登場人物
時雨 さっそく洗礼を受ける。
夕立 ソロモンの悪夢どころか不眠症っぽい。
満潮 ツッコミ役。遠征の隊長らしい。
萩風 この日、提督には上手く逃げられてしまった。
不知火 蛍光色のピンク。落ち度は無い。
神通 名前だけ登場。神通ちゃんと呼ばないと怒られる。
谷風 名前だけ登場。要警戒対象。
時雨Side
「萩風ぇ…………」
それは、何でここにこいつが、どうしてこのタイミングでこいつが、こいつにだけは遭いたくなかった、そんな思いがありありと伝わってくる呟きだった。夕立……、女の子がそんな顔しちゃダメじゃないかな?……というか、どうしたのかと言われても。
「えっと、僕たちはその……」
「……今日配属された時雨を、夕立に紹介してもらっていたのよ」
「あら、そうなの?そういえば新しい人が来るって司令が言ってたわねぇ♡」
「そ、そうなんだよ。僕は白露型駆逐艦2番艦の時雨だよ」
「陽炎型駆逐艦、十七番艦、萩風。参りました。司令、ご指示をお願いします♡」
ふー、どうしようか慌てていたところを、満潮が上手くフォローしてくれて助かったね。…………あれ?今の挨拶なんか変だったような……
「あら、突っ込んでくれないのねぇ♡」
「……新人にいきなり何やらせようとしてんのよ。自己紹介くらい普通にやりなさいよ」
「コミュニケーションの一環よ♡それより時雨さん、あなたは……」
「和やかに会話してないでさっさとどっか行ってほしいっぽい!」ドンッ
「……ゆ、夕立?」
苦々しげな顔をしてこちらを見ていた夕立が、萩風のセリフを遮ってそんなことを言い放った。
「あら、随分と冷たいわねぇ♡ついこの前までルームメイトだったのに♡」
「時雨が来てくれてようやくお前から解放されたの、しばらくお前の顔は見たくないっぽい!」
「え?ルームメイト?……というか、夕立は何でそんなにけんか腰なんだい?」
夕立は僕と同室だって行っていたけれど、僕が来たことで部屋を移動していたのか。……あれ?これってもしかして、僕が原因で険悪なことになっちゃってるのかな。いやでも、ようやく解放されたとか言ってたし…………どうなんだろう?
「こいつと同室だったせいで、夕立はえらい迷惑だったっぽい!」ウガー
「あら、ここで上手くやっていけるように色々教えてあげたのに酷いわねぇ♡」フフフ
「む…………それについては感謝してるかもしれないけど、それとこれとは別っぽい」
「……いったい何があったんだい?」
「あー…………まあ、夕立と萩風にも色々あるのよ。それより早く不知火の部屋に……」
満潮がなにかをごまかすように、話を終わらせようとする。
「こいつが毎晩毎晩でかい声でオ○ニーしてたせいで、夕立なかなか寝られなかったっぽい!」
「あー…………それ言っちゃうのね」
「オ、オナって……なっ、何言ってるのさ//////」
え、そ、それってもしかしなくてもそういう///////////
「……時雨はそこで赤くなるのね」
「えー、別に良いじゃないそれくらい♡」
「良くないっぽい、人が隣にいるときにやるとか意味わかんないっぽい!」
「それは、誰かが聞いてる方が興奮するじゃない♡」
「こいつマジで嫌い」
「夕立…………ぽいが抜けてるわよ」
「え、えぇ……、話についていけないんだけど」
いや、別に僕もそういうことを全くしないとは言わないけども///………………毎晩って!それに誰かが聞いてる方がって!なんかレベルが違いすぎてもう無理だよ!
「まあ、私としてもこいつがムラムラするからって司令官に手を出してるのは、正直思うところが無いわけでもないけど…………」
「て、手を出して////////」
「時雨は結構初心なのね。……夕立、アンタもあんまりけんか腰にならないの。萩風の事情だって知ってるでしょ」
「……確かにそれは不憫だと思うし、できることがあるなら力になってあげたいとも思うわ。…………けど、毎晩毎晩隣であえぎ声聞かされる覚えはないっぽい!!」
「…………まあそれはそうよね」
「あ、あえぎ///////」
「時雨さんはさっきから可愛いわねぇ♡」
「……アンタも少しは自重しなさい」ハァー
「……ハーイ♡隊長がそう言うならしょうがないわね♡それじゃあ時雨さん、遠征体験の時まで生きてたらまた合いましょう♡…………………………私は傷ついたから司令に慰めてもらいに行こうかしら♡」
「マジで自重しろっぽい…………」
「え、遠征で/////////」
「いや、遠征に赤くなる要素無いでしょ、しっかりしなさい。」パシッ
「は!……ぼ、僕は何を?………………というか遠征の時はあの子といっしょなのか……」
「……私も遠征だから安心しなさい」
さっきから衝撃の情報が次々入ってきて混乱していたけど、ようやく落ち着いてきたかな? 萩風…………かなりインパクトの強い娘だったね。遠征だといっしょって大丈夫かな?……ま、まあ、満潮もいっしょらしいし大丈夫だよね?
「……とりあえずさっさと不知火のところに行くっぽい。このうえ神通さんとかに遭ったりしたら、ストレスで死にかねないっぽい」
「神通さんは別に悪い人じゃないでしょ。……それに神通ちゃんって呼ばないと怒られるわよ」
「悪い人じゃないけど面倒くさいっぽい。疲れてるときは相手にしたくないっぽい」
「……まあ、それはそうかもしれないわね」
「僕、これからここでやっていけるかな……」
そこはかとなく不安になってきたよ。やばいヤツもいるとは聞いていたけど想像以上だよ。…………いや、幸いにも性格はそんなに悪くなさそうだったし、大丈夫なのかな?うん、前向きに考えよう。……そうじゃないとこれからもたなさそうだしね…………
「やっと、不知火の部屋に着いたっぽい」
「……谷風はいないでしょうね?」
「ちゃんと遠征で出かけたのを確認したっぽい」
「ならいいわ」
満潮さえこれだけ警戒する谷風っていったい……もうなんか気が遠くなってきたよ。やっぱり扉の横には(たにかぜ・しらぬい)ってひらがなで書いてあるし。これなんの意味があって、ひらがななんだろう?
「不知火―、いるっぽい?」コンコンコン
「不知火になにか御用ですか」ガチャ
そう言って中からピンクの髪の駆逐艦が顔を出す。……あれ?不知火の髪って、こんな蛍光色みたいなピンクだったっけ?僕のところにいた子はもう少し落ち着いた色合いだったような……
「これから時雨の歓迎会をするから呼びにきたっぽい」
「歓迎会ですか……」
あれ?あんまり乗り気じゃない?見た目のイメージだと、もっと“イエーイ”とか言ってノリノリで参加してくれそうな感じなのに。
「そうよ、不知火も参加してほしいっぽい!」
「残念ながら、不知火はそれに参加するわけにはいけませんね」
「……やっぱり」
「えー、不知火は歓迎しないっぽい?」
「…………」ズーン
こうして面と向かって断られてしまうと結構心にくるね。なんというか……今泣きそうだよ。
「ほら、不知火が断るから時雨が傷ついたっぽい」
「なんでしょうか。……不知火に落ち度でも?」
「みんな自分のセリフは言っちゃうのね。…………私も人のことは言えないけど」
少し落ち込む僕に不知火が声をかけてくれる。
「勘違いしないでください時雨さん。不知火は別に時雨さんを歓迎しないわけではありません。まだこの鎮守府に適応できるかわからないのに、今の段階で歓迎することはできないというだけです。司令のように1週間経つまでは……なんて言うつもりは無いですが、せめて一晩は乗り越えてほしいですね」
「今晩僕の身にいったい何が起きるの!?」
生き残るって戦闘での話じゃなかったの!? ……それとも今夜いきなり夜戦任務にでも出されるのかな?
「……夕立、アンタ時雨に話してないの?」
「時雨は真面目そうだから歓迎会の後でも大丈夫よ。それに歓迎会の前に不安にさせるようなことは言いたくないっぽい」
「言ってないせいで余計に不安になってるような気が…………」
「み、満潮。ここでいったい何が起きるんだい!?」
「……係の夕立が言ってない以上、私の口からは言えないわ」
「そんな…………」
なんでそんな案内係に全権が委ねられてるみたいなシステムなのさ!?
「それより、早く次に行った方が良いですよ。いつまでもここにいると、そのうち谷風が帰ってきても知りませんよ」
「さっ、次に行くわよ」スタスタ
「さっさと行くっぽい!」スタスタ
そう言ったかと思うと2人は足早にここを去っていく。だから谷風はいったい何者なんだよ!……って早く2人を追いかけないと。
「じゃ、じゃあ僕ももう行くね」
「あ、時雨さん」
「うん?」
「まだ歓迎はできませんが、あなたが仲間になることを楽しみにしてますよ。その時は…………あらためて2人で歓迎会でもしましょう」
「え、う、うん。ありがとう。……なんだか照れるね/////」
あれ?思ってたよりも良い子なのかな?
「……不知火に落ち度でも?」
「そ、それはもうわかったから」
「そうですか、それより早く2人を追いかけた方が良いですよ」
「あっ。そ、それじゃあまたね」
不知火に手を振って2人のことを追いかける。……思ったより不知火とは仲良くなれそうで良かったよ。…………けどその前に僕は今晩を生き残らないといけないんだったね。生き残るっていったい何から生き残れば良いのさ!?誰か僕に教えてよ!!
不知火Side
……行ってしまいましたね。まあ、真面目そうな方でしたから生き残る確率はそれなりに高いんじゃないでしょうか。
「少なくとも、ここ最近配属されていた、人の話を聞かないヤツらみたいなことにはならないでしょう」
……それでも、どんな真面目な方だとしても、心の弱い人、感受性の高すぎる人、運のなさすぎる人、そういった人はこれまで何度も
「2人で歓迎会って何をするんだい?」
「そうですね、夕立さんはどうせ食堂で頼んでいるでしょうから、不知火自ら手料理を振る舞いましょう」
「え、不知火料理ができるのかい?あ、もしかして失敗したものを出して“不知火に落ち度でも?”とか言うつもりかな?」
「……そんなわけないでしょう。間宮さんにはさすがに敵いませんが、それなりに自信があります」
「へぇ、それは楽しみだね」
「期待に応えてみせます」
次回も歓迎会のメンバーを集める予定です。