ナユタとデンジはセックスしたいだけだった   作:シャブモルヒネ

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4日目・悪魔が誘惑した日曜日

 布団の中、朦朧とした意識の中で熱源を抱き寄せる。

 温かくすべすべした肌触りが手の平に心地よい。お気に入りのタオルを離せない赤子のように忘我のままでそれを撫で回す。

 むずがるような声を聞いた。

 腕の中に誰かいる。

(ああ、ナユタか……)

 ぼんやりとした意識の中、僅かに汗ばんだ肌に指を滑らせる。収まりのよい場所を探りながらぼんやりと考える。ここはきっと背中だろう。

(……? 上着が捲れてんのかな……)

 久しぶりに抱きしめる少女の身体には抗いがたい誘惑が秘められていた。温かく、柔らかい。いつまでも抱きしめていたい。

 どうしてだろう。懐かしい匂いがした。

 命の鼓動を感じながら吸いこんだ。

 こうして一緒に眠るのは初めてではない。

 同居したての頃は毎日そうしていた。どちらが言い出したわけでもない。自然と、温もりと自分以外の生の実感を求めてくっつくようになった。

 ナユタは自分の左側で眠るのを好んだ。曰く、心音が聞こえやすいから。そう言っていつも自分の左腕を枕にしていた。だがある日、寝違えて肩に痛みがするようになってしまい、それからは別々に眠るようにしていた。

(そうか……一緒に眠るのはあん時以来か……)

 しかし、今更どうして、また?

 疑問がちらついた。

 ナユタ。どうして同じ布団に入っている?

 昨夜の記憶をさらってみる。

 

 夕方に……ナントカの悪魔を取り逃がして……

 ナユタと合流して、帰宅して……

 夕飯を作って、食って……

 いつも通りに録画していたドラマを観て……

 その後は……その後に……?

 どうやって寝たんだっけ?

 

「……」

 ゆっくりと目を開く。

 鼻先で、濡れ羽色の髪が揺れていた。

 その下には、絵筆で描いたような睫毛が伸びていて、奥には大きな瞳が瞬きもせずに自分の顔を映していた。

「おはよう」

「……おは、よう?」

 匂いはいっそう濃度を増した、ように感じた。

 ふと、彼女に密着している指先が疑問を訴えた。

 服の感触がしない。

 どこにある? 本当に捲れ上がっているだけ?

 もしかして。何も着ていないのではないか。

「ん……んん?」

「どうしたの」

「いやぁ、なんつうか……」

 なぜか聞けなかった。

 たった一言で済むのだが。聞けばナユタは平常顔で何でも答えてくれるだろう。なのに、デンジは言葉にすることができなかった。伝えてしまえば踏み越えてはならない領域に一歩足跡をつけてしまう気がした。

 ナユタは無言でデンジを凝視している。

 確かめなければならない。ばれないように、ゆっくりと、カタツムリより遅い速度で彼女の肌に触れないように慎重に指を動かした。

 指の先に、布の感触。

 掛け布団とは違う。確かに布だ。

 上着。

 ちゃんと着ていた。やっぱり捲れていただけだった。

「鼓動、すごく速くなってる」

「そ、そおか?」

 ナユタは小首を傾げて思索に耽っているようだったが、デンジは生きた心地がしなかった。デビルハンターの仕事よりも緊張した。

「すげえびっくりした……」

「どうして」

「わ、分かんねえ」

「……」

 デンジは額に汗を滲ませて息をつく。軽い放心状態。ようやく全身の力を抜くことができた。

 ごろり、と仰向けになる。

(ああそうだ、昨日は確か……)

 天井の木目を眺めながら、思い出す。

 昨夜の記憶。潔白の証を引き寄せた。

(そうだ、ナユタがなぜか俺の布団で寝ちまったんだ。それでしょうがねえから俺はナユタの布団で寝て、ええと……それから?)

 夜中にトイレに起きた。

 その後だ。ぼやけた頭で布団に戻った、そのときに、きっと眠る布団を間違えたのだろう。

 多分そんな感じだ、デンジはようやく納得できた。

 一息ついて、布団から出ようとする。

 ぐい、と引っかかりがあった。

 服、伸びている。ナユタが掴んでいた。

「……お?」

「保健体育で習ったんだけど」

「いきなりなんだよ?」

「人間のオスは起きぬけに大きくなるってほんと?」

「あん?」

「どんな感じになるの?」

 顔はこちらに向けたまま。布団の中で手がもぞもぞと動きだす。

 スウェットが捲られた。腹が露出して、そこにぺたりと冷たい指がくっついて、徐々に下方へと、

 デンジの頭に危険信号が鳴り響いた。

「ちょっ、待てよォ!?」

 

 

 

 

 

悪魔が誘惑した日曜日

 

 

 

 

 

 デンジは食パンにバターとジャムを塗ってかぶりつく。サラダをわしゃわしゃと乱雑に噛み千切り、緑茶で流しこんでからようやく愚痴を零すことができた。

「同棲はまずいだろ」

「……どうせい?」

 ナユタは眉間に皺を寄せ、数秒ほど考えこむ。

「もしかして、同衾のこと?」

「そう、それ」

「何を言うかと思えば。今更」

 休日の朝はのんびりだ。久しぶりに帰ってきたニャーコを膝に乗せ、デンジは半眼でヨーグルトの蓋をぺりりと開けた。

「大体おめーは何をしようとしてたんだよ」

「学校の宿題」

「嘘つけ」

「ほんとだよ。保健体育の基礎項目。第二次性徴における心身の変化について」

「あぁ~?」

「デンジは義務教育受けてないから知らないか。中学校では性教育をしっかりやることになってるの」

「え~、んなことやってんの?」

「やるよ。やるやる」

「マジで……?」

 ナユタは空になった食器を回収し、ぺたぺたと素足を鳴らしながら運んでいく。

 少しだけ肩に力が入っている、とデンジは感じた。彼女の顔には見事に休日らしい気の抜けた表情が貼りついていたが、どうにも視線が不自然だった。前方に固定してデンジを見ないようにしている。

「こぉら! 俺が分からないと思って嘘ついてるだろ!」

「ちっ」

「あっ、やっぱり宿題なんかねえんだな!?」

 ナユタは悪びれもせずにちらりとデンジに目をやって、面倒くさそうに溜め息をついた。

「いーでしょ別に。減るもんでもない」

「なに開き直ってんだぁ? 人のチ○コ触ろうとしといてよぉ~。このスケベ悪魔が!」

「デンジに言われたくない」

「あ~~?」

「デンジだっていつも「セックスしたい」とか言ってるでしょ。なのに私が興味を持ったら非難する。おかしい」

「いや、いやいや。俺はつい心の声が漏れちゃっただけだし。おめーは実際に手ぇ出してんじゃん。ダメだろそれ」

「デンジにはやるなってこと?」

「ん、そりゃあなあ」

「じゃあクラスの男子に頼む」

「……は?」

 背中がぞわりと凍りつく。

「デンジにはだめなんでしょ? だったら他の人に頼むしかない」

 何言ってんだこいつ、とすらデンジは思えなかった。呆れている余裕は一発で吹っ飛んだ。危機的状況だった。ナユタの発想はあまりにも受け入れがたい。

「ダメに決まってんだろ」

 思わず声が低くなる。

「ありえねえ」

「なんで」

「なんでもくそもねえ。そういうのはやっちゃいけねえんだよ」

「デンジ、知らないんだ? 中学生ならヤってる子はたくさん居るよ?」

「そういう問題じゃねえ」

「じゃあ、どういう問題?」

 ナユタは台所の蛇口を捻った。エプロンの結び目を腰の後ろで揺らしながら背中で小さく抗議している。

「そりゃ……」

 開けた口から続きが出てこなかった。

 『なんかダメ』というのだけはデンジにも分かる。

 だけど筋道を立てて説明することができない。

 えっちなことに興味が沸いてしまうナユタの気持ちはよく分かる。共感さえ覚えた。もしもナユタが男だったなら肩を組んでエロ本を買いに行ってやれるだろう。でも、ナユタは女だった。だからダメ。なぜかというと、ナユタがナユタだから。

 どういうこっちゃ?――デンジは金魚のように口をぱくつかせることしかできない。

 ナユタの追撃が始まる。

「私が中学生だからダメなの?」

「お、おお。そうだな」

「でも私は悪魔。人間の年齢には当てはまらない」

「そうかぁ?」

「そうなの」

「でも、子どもだろ?」

「見た目はね。中身は大人みたいなもの」

「え~~? けどよぅ、ナユタは生まれてから1年も経ってねえんだし……んあっ? 1歳? ナユタ、おめー1歳なのか? あ、あれぇ!?」

 驚愕するデンジに素早くツッコミが入る。「悪魔の1歳は人間の1歳とは違う」とエプロンが揺れた。「……正確には1歳未満だけど」

「んんん、つまり……どゆこと?」

「悪魔には年齢は関係ない。えっちなことをしてもいい」

「う~~ん?」

 デンジは腕を組んで考えこむ。目を瞑り、蜘蛛の巣が張った脳みそをフル回転させた。

 ナユタの主張をゆっくりと噛み砕いてみる。

 

 ナユタは悪魔。

 年齢にとらわれない。

 えっちだって問題ない。

 

 何か間違っているところはあるだろうか。

「…………」

 無い。

 ……と、デンジは思う。

 呆けているとナユタが畳み掛けてきた。

「悪魔には法律は関係ない。もっと突っこんで言うなら、発生経過年数を基準とした法律が無いの。子どもと大人の境が無いってこと。あと、ペットのような所有物扱いでもない。何かしちゃっても契約者に過失がなければ傷害罪に問われることもないし、愛護と管理に関する法律も無いわけだから……」

「分かった、わーったから! ちょっと待て!」

 慌てて白旗を揚げるデンジとは対照的に、ナユタはあくまでも冷静だ。落ち着き払った態度で手を拭いて、ゆっくりと振り返った。

「分かったって、何が? 教えてよ」

「俺にはよく分かんねえってこと」

「……」

「あと多分、法律とかでは、えっちなことしても問題ないってことも」

「そう」

 目が細まる。弦を引き絞って狙いをつけるように、ナユタははっきりと発音した。

「じゃあ、何が問題なの?」

 デンジは、答えた。

「なんか、嫌だ。俺が嫌だ」

 ナユタは反応を見せない。

 けれど、何故か、声もなく喜んだようにデンジは感じた。

「……何が、嫌?」

 ナユタは1つ向こう側の部屋――台所で立っている。格闘技者のように隙の無い雰囲気を纏わせながら、薄暗い空間から言葉を届かせてくる。

「私はどうしたらいいのかな。何をしたらダメ? デンジ、教えてよ。デンジにとっては、何が一番嫌なの?」

「そりゃ……」

 未だ胸の裡にくすぶっている嫌悪感。その発生源を、記憶を辿って確かめた。

「クラスのやつと、えっちなことすんな」

 ナユタは、今度こそ本当に笑みを浮かべた。

 すぅっと一歩。

 白い素足を前にだす。

「それなら、町内会の大人の人ならどうかな?」

「ダメだろ」

 また一歩、歩み寄った。

「そうだ、ストーカーっぽいおじさんも近所に居たね……」

 唇のルージュが艶やかに蠢く。

「あの人、きっとロリコンだから、頼めば何でもしてくれそう。秘密にもしてくれる」

「絶対ダメだ。ダメに決まってんだろ」

 また一歩、近付いた。

「じゃあ、デンジは?」

 気がつけば。

 ナユタは手の届く距離に立っていた。

 膝の上からニャーコがするりと逃げだした。窓の外からは小鳥の囀りが聞こえてきたが、デンジには遠い世界の出来事としか思えなかった。ただ悪魔を見上げて、義務のように聞き返すしかない。

「俺が……何だって……?」

 少女は小さく呟いた。

「何でもない」

「あ?」

「今日は、ここまで」

 ぴゅう、と口笛を吹く。

 隣の部屋から待ちくたびれていた犬たちが跳ね飛んでくる。ナユタの膝にまとわりついて、優しく毛皮を撫でられると吐息を荒げて舌を出した。

 ナユタは怪しく微笑みながらデンジに手を差し伸べた。

「散歩の時間」

 

 

 川べりの土手。

 サイクリングロードのアスファルトから一歩ずれ、短い芝生の上をデンジとナユタは歩いていた。

 休日恒例の家族全員での散歩。7匹のリードを握りしめ、ナユタは何故かご機嫌だった。

「人間を学ぶのは面白い。勉強になる」

「はぁ」

 話題のきっかけは、町内会の活動についてだった。

 まずデンジは、昨日のゴミ拾いを引き合いにだした。「役に立つのは分かったけどあんなことばっかやって楽しいかぁ?」と。

 それに対する回答がこれだった。

「町内会だけでも色々な生きた実例がある。稼ぎの悪い夫に、増長する妻、影響を受ける子ども。それぞれのコミュニティでの振る舞いとの関連性はあるか。人間同士のパワーバランスはどう決まるのか」

 始まって5秒でデンジは谷よりも深く後悔した。なんにも楽しくない。聞くんじゃなかった。

「井戸端会議での牽制の仕合いとか。秘密と裏切りの兼ね合いとか。善意と打算、見栄と建前……」

「なんも楽しそうに思えねえ……」

「役に立つ。テレビを観ていたりするよりもずっと」

「ふーん、そっかぁ」

 デンジは川に目を向ける。光がきらきらと反射して揺らめいている。

 今のドブ底を漂っているような気分とは大違いだ。

「デンジ。これは誰にも逃れられない話なんだよ?」

 ナユタは7本のリードを上下に振ってみせる。

「うちの犬たちだってそう。首輪とリードをつけることでようやく人間社会の一員として溶けこむことができる。生きるためにはどうしても立場と関係性を明確にしなければならないから」

「なんだか頭痛くなってきた」

「別に人間社会に限った話でもない。これは生き物の本能でもあるの」

 犬だって、猿だって、2匹以上の集団になれば上下関係が発生する。何故なら生き物は、他者よりも上になろうとする本能を備えているからだ。そうしなければ餌が少なかったときにありつけない。貧乏くじを引けば飢えに直結してしまう。だから群れの中でも威嚇して、誇示して、優位にあろうとする。

「デンジはそういうの、しないね」

「そういうのぉ?」

「私とデンジなら、どっちが上?」

「歳なら俺が上だけど、対等だろ?」

「………………そうだね」

 対岸には土手があり、その向こう側には2階建ての住宅が連なって、更に奥には、天まで伸びていくような巨大なタワーマンションが5・6本も建っていた。

 成りあがった王者たちの城。

 のように見えてはいるが、実はその中でも対立は起こっている。停電1つで上層部と下層部の住人たちの間で諍いが起こった話は世情に疎いデンジでも知っていた。上の住人は得をして当然、下の連中は黙って損を受け入れろ――そんなクソまみれなお話だったとデンジは記憶している。

「俺ぁ貧乏くじ引かされることになっても嫌なこたぁしたかねえな」

「それができたら……いいね」

「なんだよ?」

 

 ――と、

 犬たちが、足を止めた。

 7匹が揃って耳を立てて、同じ方向に目を向ける。

 警戒の色。

 見れば、真正面の砂利道から1人の男が走ってくるところだった。

 糊の利いたワイシャツとスラックスが汗にまみれるのを厭う様子もない。息を荒げながらただ走っている。その足取りに軽快さはなかった。ばたばたと、精根が尽きそうな表情で額を拭った。

「はひぃ……ぜひぃ……」

 デンジの知っている男だった。

 昨日、ゴミ集めのときに小学校のグラウンドで見た。ナユタが話しかけていた、20代ぐらいに見えるサラリーマン風の男。

 その格好も、必死さも、ジョギング中にはとても見えない。

「おっさん、どうした?」

 サラリーマン男は膝に手をついた。

「はぁ、はぁ……。早川、さんか……んぐ、はぁ……」

 その顔はゾンビのようだった。昨日も覇気がなかったが、今日は尚更酷い。隈は深くなり、肌は青白くさえなっている。今にも貧血で倒れるのではないかとデンジは感じた。

「僕が、馬鹿だった……。早川さん、ここから離れたほうがいい。悪魔が、追いかけてくる」

「悪魔ぁ? そりゃあもしかして、冤罪の悪魔って奴か?」

「ああ、そうだ。……僕の、伴侶……。ふふ、馬鹿みたい、だろ? 僕は悪魔を匿っていたんだ」

 男は憔悴しきっている。肩を大きく上下させ、息を整えることしかできない。

 その向こう側に。

 砂利道と川を横断する橋梁の下に、1人の女が立っていた。

 パリっとしたスーツに身を包み、両手をだらんと垂らしてデンジたちを見つめている。

 いや、違う。女が粘着質な目で凝視しているのは――サラリーマン風の男だけ。

「ひいっ」

 男の喉から恐怖が漏れた。

「に、逃げろ、早川さん……。あいつは今、何をするか分からない」

「……どういうことです?」

 傍らのナユタが口を開いた。

「あの人は、あなたの奥さんでしょう?」

 女は橋の下から動かない。

 まるで陽の元に出てこられない吸血鬼のように、ただじっと影に身を潜め、何のアクションも起こさずに突っ立っていた。その姿は人間にしか見えない。しかし、

「悪魔なんだっ!」

 男は叫ぶ。

「僕が馬鹿だった! 悪魔とだって共存できる、そんなふうに思いこんでいたけど、悪魔はしょせん悪魔だった! 人間とは違う! 言葉を喋ってもっ、それらしく笑ってもっ、違うんだっ!」

 距離およそ20メートル。けして遠くもない位置にいる悪魔に聞こえていないはずがない。だというのに、その女は立ち尽くしているだけだった。影の中から怨めしい視線をかつて夫役を務めていた男へ投げかけている。

「は、始めは、ああじゃなかった……。けどあいつの目が、態度が、僕のことを都合のいい奴隷だって馬鹿にするようになったんだ。いくら話し合おうとしてもダメだった。揚げ足をとって、僕の言う事なんか聞きやしない。……敬意を払えない相手なんかと一緒に暮らせるものか! 僕はもう、見下されながら生きるのはうんざりなんだよっ!」

 

――例えば。

 人は簡単には変わらない、という言葉はあるけれど、些細なきっかけで人生観ががらりと変わってしまうこともある。

 親にどんな暴言を吐かれても憎みきれなかった搾取子が、いつもと違う無視のされ方をしただけで、その後の人生ずぅっと綺麗さっぱり関心を持てなくなってしまうことがあるように。

 たった1つの失望が悪魔を成長させてしまうこともある。

 

 ぎ、ぎぎぎ……

 

 強く、強く握りしめられて。

 ナユタの柔らかな肌に、7本のリードが食い込んだ。

 爪が皮膚を破るのも構わない、あるいは気付いていないのかもしれなかった。少女は時が止まったかのように動かない。ただ凝視している。

 冤罪の悪魔を、ではなかった。

 もっと大きな、別の何かをだ。

「ナユタ……?」

 ナユタは、

 何も、

 喋らない。

 犬たちが、一歩離れた。尻尾を丸めて目をそらす。

 少女は、ナユタだった。

 ついさっきまでは間違いなくナユタだった。

 川べりをデンジと並んで話していた、他の誰とも入れ替わっていない、だというのに、デンジは、すぐ隣で尋常ならざる目つきをしている少女をどうしても自分のよく知るナユタとは思えなかった。

 初めて見る横顔だった。

 マネキン人形めいた頬をして、瞳の中では不可視の奔流が渦を巻いている。狂気を孕んだ眼光。デンジには覚えがあった。奸計の果てにチェンソーマンに打ち勝ったときのマキマがこんな目をしていた。

 

 

 あーあ……

 

 

 あれはどんな感情だったのか。思いを巡らせる前にナユタが口を開いた。

「――どうしてマキマを殺したの?」

 唐突過ぎて、デンジは質問されているのが自分だとしばらく気付けなかった。

「デンジ。どうしてマキマを殺したの? 自分を好きになってくれそうになかったから?」

「……いんや、違う」

 乾いた喉を動かして、どうにか答えた。

「色々やりたくて……ステーキとか食いたくて、あと彼女とかたくさん欲しくて……だから、マキマさん殺した」

 ナユタは色のない顔で悪魔をまっすぐ見つめたままだった。焦点は女の向こう側、後ろの風景を眺めているような調子。

「デンジにとっては、マキマより夢のほうが上だった。いわばマキマは夢に負けたんだ」

 ナユタの瞳にようやく生き物のような感情の灯がともった。

「……私は、勝つ」

 じゃりっ、と砂利道の小石を潰す音がした。

「あの……、は、早川さん……? 早く、逃げたほうが……」

 蚊帳の外におかれていたサラリーマン男。

 ナユタはすぐ傍にいた彼に初めて気がついたようにほんの少しだけ首を傾げた。

 告げる。

あなたは家に帰りなさい。これは命令です

 男はいっそう精気を失った。

「か、帰る……ます」

 ふらふらと肩を揺らして、操り人形のように遠ざかっていく。

「お、おいナユタ……? 今、支配の力、使ったんか?」

「そうだよ」

 その返答を、きっかけに。

 肌を焼くような憎悪が浴びせられた。

 冤罪の悪魔。

 爆発的な勢いで橋の下から飛び出した。飛翔音さえ置き去りにしてデンジとナユタに牙を剥く。速い。デンジは慌ててスターターに指をかけるが間に合わない。

 だが。

伏せ

 ベチャ。

 あっけなく、冤罪の悪魔は倒れ伏した。

 けして弱い悪魔ではないはずだ。そのことを昨日戦ったばかりのデンジはよく知っている。それをこうもあっけなく、言葉一つでねじ伏せる。これが支配の力。

「うおお、ナユタ、いつの間にこんなことができるように……」

 見えない巨人に押さえ込まれているように全身を砂利道につけている。まるで超重力。かろうじて首だけが抗っていた。こめかみに青筋をたてながら、ナユタに向けた。

「お前は……!」

 女は吠える。ほつれた髪に土をつけ、怒りのままに抗った。

「お前はっ、何なんだ! あの人に何をした!」

 遠吠えはナユタには届かない。

 支配の悪魔は、泰然と、地べたを這う女を見下ろした。

「参考になった」

 膝をつき、さながら朗読するように言葉を紡ぐ。

「ありのままのやり方では溝を埋められない……それがよく分かった。私は別の道を行く」

 女は、口をつぐんだ。

 黙ったのか、黙らされたのか。傍目には分からない。

「……ナユタ。なんかすげーのは分かったけどよ、」

 デンジは恐る恐る指摘する。

「あのおっさんに――人間に使()()()のはまずくねえ……?」

 けれど、ナユタはにべもない。

「私は支配の悪魔。支配の力を使うのは、当たり前」

 あくまでも淡々と告げるだけだった。

「この際だから言っておく。悪魔はこういう生き物。その名を示す力とワンセット」

「我慢とかできねえの……?」

「逆に聞くけど、ポチタ君は力を取り戻したときに人を斬り裂かずにいられた?」

「それは……」

 デンジの記憶では、何人も斬っていた。

 ポチタに悪意がなかったのは同じ身体を共有していた者として理解している。けれど、ほんの些細な感情の迸りや行動の踏み出しが『ぶった斬る』に直結してしまうのも知っていた。それが全盛期のチェンソーマン。力を持った悪魔の宿命だ。

「じゃあナユタは、色んな人を支配しちゃうわけ?」

「そうだよ。もう力の使い方は把握した。今の私にとって、息を吸うのも支配するのも同じこと。マキマほどではないにせよ、私はもう立派に支配をやれる」

 デンジは臍を噛む。

 どうにかならないのか。もしもナユタが多くの人間を支配してしまったら――きっと公安が黙っていないだろう。マキマの再来と恐れて対処しようとする。どこかに閉じ込めてしまうか、処分してしまうか。

 力を持ちすぎた悪魔を制御する方法――その心当たりは、幸いにして記憶の底にあった。

「デンジは前に話してくれたね。血の悪魔のときは、血を抜いた。暴力の魔人のときは、毒が出る仮面をつけさせた……」

 ナユタの唇の間で、小さな紅い舌がぺちょりとちらついた。見せつけながらヒントを紡ぎ、ナユタは立ち上がって身を寄せた。

「では問題です。支配の悪魔をコントロールするためにはどうしたらいいかな?」

 血には、血を。

 暴力には、更なる暴力を。

 では支配には――?

「……もっとすごい支配をすりゃいい?」

「正解」

 自分で言っておいてデンジにもよく分からない。

「もっとすごい支配って、なンだ?」

 ナユタは答えを提示しなかった。何一つ。宿題をだす教師のように優しく微笑むだけだった。

 

 ナユタ、変に笑うようになったけど――似合わない。

 

「冤罪の悪魔。立ちなさい」

 スーツ姿の女はびくりと身体を震わせる。

「あ、あら……?」

 戒めが解けたのか。腕に力をこめて身を起こす。

 デンジは慌ててスターターに指をかけたが、女にはもう反抗する気力は無いようだった。

「あなたはこれからどうしたい? 言ってみて」

 ナユタはまさに悪魔のように優しく囁いた。

 女はしばらく呆然と、夫であった男が歩き去った先へぼんやりと目を向けていた。焦点が、徐々に意思を結ぶようになってくる。

 零れ落ちた言葉は、未練だった。

「あの人を……取り戻したい」

「呆れた」

 辛辣に。

「フラれたの分からない?」

「あの人を……失いたくない……」

「できんじゃねーの? こいつ、美人だし」

 ナユタはガラスの瞳でねめつける。

「さっき最後通牒を突きつけられてたの、見てない?」

「まぁーそうだけどさ」

「けど、なに」

「美人じゃん」

「……」

 ナユタは無言で無表情のまま呆れてみせるという実に器用な真似をした。

「いやだって、美人にごめんってされたらさ、何でも許しちゃうだろ……?」

「ふーん。じゃあ、試してみよっか?」

 スーツ姿の女に向き直る。

「冤罪。あなたに仕事を与えます」

「え……?」

「あなたは今、詰んでいる。公安にマークされているせいでこの街に居られない……それを解決してあげましょう。その代わりにあなたにはサンプルケースの続きをやってもらいます」

「さんぷるけーす……?」

 デンジの疑問顔をナユタはちらりと横目で伺った。

「……あなたの元夫と仲直りしなさい。誠心誠意謝罪して、もう二度と見下すような言動をしないと誓うのです。これは全てあなたの意志で行わなければなりません。分かりますか? 私は何も命令しないということです」

「わ、分かった……」

「もしも悪魔の欲求を抑えこめたなら和解できるかもしれません。しかしできなければ一分の可能性もないでしょう」

 女は黙って唇を噛みしめる。瞳によぎっている後悔を今後に活かせるか、全ては女の忍耐次第であった。

 悪魔は愛を貫けるのか?

 デンジは可能だと思っていた。

 ナユタは不可能だと思っていた。

 

 

 アパートに戻ってきた。

 敷地の入り口に、岸辺が立っていた。

「支配の力を使ったな」

 死んだ魚の目で告げられた。

 確認ではない。警告でもない。

 だらんと垂らされた両腕が不吉だった。

 ナユタは、まったく怯まなかった。

「人間相手に使ったことを言ってる?」

「そうだ」

「緊急避難だった。彼は、悪魔に追われているのに逃げようとしなかったから」

「ほう。仕方がなかったと? では何故その悪魔を逃がした?」

「別に逃がしていない」

 ナユタは音もなく右手を挙げた。

「おいで」

 すると。

 ナユタたちの後方、住宅の屋根の上から1人の女が飛び降りた。

 スーツ姿の女、冤罪の悪魔。

「……」

 岸辺は特に身構えない。無遠慮に女を観察している。

「放置するわけにもいかなかったから、私が支配した」

「ふうん」

 岸辺は一歩、二歩と近づく。

 その両腕にはいつの間にかそれぞれ大型ナイフが携えられていた。違和感を見つければ即座に突き刺すつもりだろう。

(うへえ~……)

 よくもまあ平然と嘘をつけるものだとデンジは改めて感心した。

 冤罪の悪魔はまったく支配されていない。

 そのふりをしろと言われただけ。

 岸辺はじろじろと見つめていたが、女はモニター越しの映像でも眺めるように興味なさそうにしている。内心では鬱陶しいデビルハンターを振り払いたいだろうに、よく耐えている。

「支配、ね。随分と簡単にできるようになったもんだ」

「強い支配をした」

「なンだそりゃ」

「マキマの傍に居たのに知らないの?」

「生憎アイツは解説してくれなかったんでね。ご説明願いたい」

「……支配の力が及ぼす影響は、白か黒かの二択じゃない。深くかかれば忌避感のある命令にも従うようになる。浅くかかれれば何かのきっかけで解けることもある。かかり易さには個人差もある」

「ほー。キャパは? 同時に何人ぐらいまでならいけるんだ?」

「……」

「答えろ」

「相手による。自立心や知能が高いと、効率が悪い」

「例えば公安のデビルハンターが相手なら? 何人を完全な支配下における?」

「……それは、本当に個々人による」

「大雑把でいい」

「2、3人、かな」

 岸辺は顔を冤罪の悪魔に向けたまま、人差し指をすぐ隣に佇んでいるナユタへ突きつけた。

「嘘つき」

 ナユタの眉がぴくりと動く。

「……どうして、そう思う?」

「俺はマキマの傍に居た」

 デンジには、事の推移を見守っていることしかできない。

 少女は渋々、唇を動かした。

「……条件もある。相手が警戒していたり、距離があったりすると、精度が落ちる。一番いいのは、無防備な相手に近づいて、目を合わせること」

「こんなふうにか」

 岸辺は、初めてナユタに向き直る。正面から目を合わせた。

 油断なく、相手の中身を覗きこんで問う。

「どうやら俺はまだ格下ではないらしいな。……で? お前の言う好条件が叶うなら、一体何人ぐらいまでいけるんだ?」

 ナユタから音が消えた。呼吸を止めたのだ。瞳が僅かに見開かれ、1つの意思が渦を巻く。

 デンジは初めて見た。ナユタが誰かに明確な敵意を向けるのを。

 岸辺はまるで意に介さなかった。

「言わなきゃ、ここで処分だ」

 一歩、

「――おい、アル中!」

 デンジが踏み出す前に、

 その喉に、ナイフが突きつけられていた。

「っ」

 岸辺はデンジを見もしない。

 チェンソーマンでもない少年など歴戦のデビルハンターからすれば赤子に等しい。

 ナユタは眉根に皺を寄せながら、

「……10人前後」

 肺の底から絞り出すような声だった。不愉快だと言わんばかりに発した。

「そうか」

 ナイフが静かに降ろされる。

 岸辺は無造作に両腕を振った。袖口の中に2本の刃物が消えた。

「プロが10人。ちょっとした戦力だな。しかもお前はまだ成長する。どうしたもんか」

「俺がなんとかしますよ」

 一歩、前に出たのはデンジだった。

 ナユタを隠しながら宣言する。

「マキマさんみたいにゃしませんよ。そのために預けたんでしょ?」

「できりゃいいんだがな」

 踵を返す。ポケットに手を突っこんで、無造作な足取りで去っていく。

 その背中が、警告を発した。

「言わんでも分かると思うが、ナユタ、お前は上に警戒されている。俺も庇うつもりはない。ちゃんと分かっとけよ。……デンジ、お前も分かるな?」

「ええと~……?」

「良い人アピールしとけってことだ」

「はぁ」

「それと、そこの悪魔。お前もぎりぎりだ。隔離するか処分したいところだが、貴重な人型で理性のある悪魔だからな、活用させてもらう。公安で働け。今度うちの職員を送るから必ず契約しろ。非協力的な態度ならペナルティなしの一発退場だ。分かったな」

「は、はい」

 岸辺、首だけ振り返る。

「……」

 デンジは思った。

 ぎちぎちに支配されてるって設定なら返事しちゃダメじゃん。

 アル中の老犬はこれみよがしに疲れきった溜め息を吐いた。

「……早く引退してえ」

 岸辺はそのまま歩き去っていった。

 

 

 アキは死んだ。

 パワーも死んだ。

 どうにかする道もあったかもしれない。

 けれど思いつけなかった。あの時の自分には、ただ仕向けられた流れに場当たり的に対処することしかできなかった。

 今は。

 何かができるだろうか。

 

「デンジ。足、開けて」

 ナユタはするりとデンジの足の間に潜りこんでくる。背中をデンジの腹に預けて、デンジの腕をシートベルトのように抱えこむ。

 こうすれば互いの体温で夜も寒くない。

 2人でくっついて、ふとデンジは気付いた。

 ナユタの身体が、すっぽりと隙間なく収まっている。彼女の頭がデンジの顎にぴったりとくっついて、他の触れている箇所からは弾力が返された。

 

 ナユタ、少し大きくなったか?

 

 録画しておいた再放送を2人で観た。

 ここのところ見続けている昭和のテレビドラマ。ストーリーはいよいよクライマックスに差し掛かり、負の情念が渦巻く秘密の地下室に、主人公の少年は身を隠した。

 

 

 少年は殺意を持っていた。

 裏切りを清算するために、逃げ場のない地下室に灯油をぶちまけた。

 火が全てを浄化する。

 金のため、そして女の情念のために不貞を続けていた母が、燃えていく。

 情欲と支配欲のために姉と母を食べていた金持ちの男も、燃えていく。

 優越感のために罵倒を繰り返していた金持ちの娘も、燃えていく。

 火をかけたのは、主人公ではなかった。

 作中で唯一、貧しくも誠実に生き続けていたはずの父だった。

「いいか。父ちゃんが燃えてるって言うんだぞ。おめぇは、知らねぇ、何も知らねぇで通すんだぞ」

 その父も、炎に包まれた。

 全てが消え去って。

 最も狡猾だった姉は、金を持って別離して、

 主人公は、刑事に追われて孤独な人生を歩むようになる。

 

 

 デンジは溜め息をついた。

「これ……面白れえか?」

「面白い」

「どこが?」

「デンジ。父親は、どうして火をつけたと思う?」

「そりゃ……主人公が手を汚さないように、だろ?」

「違う」

 ナユタの声は力強かった。

「父親は消したかったの。自分を裏切り、蔑み続けた妻を。その妻と娘に手を出していた金持ちの男、そしてその一族を。最後に、何よりも、そんな屈辱を飲みこみ続けなければならなかった不甲斐ない自分自身を。全部、全部この世から消したかった」

 デンジの腕が、ぎゅうと強く握りしめられる。

「人間はみんなそう。都合の悪いものを消したがる……」

「ナユタ?」

 抱えた少女の顔は覗けない。

 首を横に伸ばしてそおっとナユタの様子を伺った。

 ガラスの瞳がぶつかった。

 綺麗だな、とデンジは思った。

「勝負したい」

 前置きはなかった。

 ナユタは、鼻先がくっつきそうな距離から一方的に告げた。

「丸一日……24時間あげる。明日、月曜日のこの時間に、答えがほしい」

「なに? なんの話?」

 ちらりと壁時計を確かめる。

 23時55分。日付の変わる直前だった。

 腕の中でもぞりと肢体が前後を入れ替えて、たおやかな指がデンジの頭を挟みこむ。

 こつん、と額が合わさった。

「私をどうにかできるのはデンジだけ」

 静かに、はっきりと。

「他の人なんてどうでもいい。有象無象。敵か、敵じゃないか。でもデンジは違う。この世でたった1人だけ、まだ天秤にかけきれない人。……どうしてだか、分かる?」

 目が合っていた。

 距離も近い。

 何故だか鼓動が早くなっていて、今の自分はこの上なく無防備なのだろうとデンジは頭の片隅で思った。

 けれど、確かな信頼があった。ナユタはけしてデンジの嫌がることはしない。

 その理由。

 薄々は感じていた。

「デンジはどんな女の人が好きなの?」

 喉が渇いて声を出せない。3日前にも同じ質問をされていた。あの時の自分はなんと答えたかどうしても思い出せない。

 ナユタも教えなかった。

 上書きするように、こう告げた。

「私はデンジ」

 

 

 デンジ君みたいな人。

 

 

 かつてマキマは、どんな男がタイプかと問われてそう答えた。

 あれは完全に嘘だった。

 しかし、今度は嘘じゃない。

 ナユタは、はにかむように笑った。

「デンジが好き」

「は……」

 ぴとり、と。

 デンジの唇に柔らかな人差し指が添えられた。

 まだ喋らなくていい。そうやって優しく塞がれている。

「悪魔はね、人間なんか好きにならないの。普通はね」

「……俺を、好き?」

「ちゃあんと考えて。これはとっても大事なことなんだから」

 

 見つめ合う少年と、少女。

 その傍らの窓では、煌々と夜空が輝いていた。

 星々がぎっしりと敷き詰められている。北極星が光を放ち、春の大曲線が輝いて、北斗七星が瞬いている。知識と気付きがなかろうと確かに存在していた。

 黄金は掘り起こされた。

 あとは手を伸ばすか、埋め直すか。選ぶだけだった。




ドラマ名:避暑地の猫
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