敵(ヴィラン)個性でもヒーローになってやる   作:マーボーDon

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第19話

雄英体育祭終了、優勝しました! やったね!!

と手放しで喜べることばかりではない。

 

一つ目に俺のことがSNSなんかで話題になりまくってる。このご時世だから個人情報の特定拡散は速攻でヒーローのお世話になるからないけど、憶測なんかが飛び交っている。あとで報道陣とかもくるのかねぇ。

 

二つ目に飯田が早退した。なんでもお兄さん、ターボヒーロー・インゲニウムが(ヴィラン)に襲われ負傷したらしい。結果、飯田はそっちに戻りお兄さんの見舞いに行くこととなった。表彰台に上がることはないから体育祭の運営自体に影響はないが、個人的には本当に心配だよ。

 

そして三つ目なんだが、これは後でわかることだしいいか。

 

「それではこれより表彰式に移ります!」

 

さて、全日程が終了した雄英体育祭一年ステージ。メディアが軒を連ねて俺達を見つめる。簡易的な表彰台が準備され、フィールドにせりあがってきて、俺達はそこに立っていた。

 

三位の場所には轟と常闇が。ここは三位決定戦をやってないからな、同率ってことなんだろう。そして二位は爆豪、なんだが…

 

「なにあれ…」

 

「起きてからずっと暴れてるんだと。まぁ、有言実行できなかったわけだしな」

 

二位の表彰台には口を塞がれ、両腕と足を柱に縛られながらもがき暴れる爆豪の姿があった。さっき言った問題三つ目がこれだ。俺との決勝戦後、気絶から回復したと思えばすぐに暴れ俺との再戦をやろうと飛びついてきたりした。そこをミッドナイト先生の個性によって眠らされ、ああなってるらしい。今もこっちを睨んできてる。

 

「もはや悪鬼羅刹」

 

「大丈夫か、虚影?」

 

「あぁ、すっげぇプレッシャーだけど大丈夫だよ。いい加減落ち着け爆豪」

 

「んんっ~~~!!!!」

 

そして一位の場所には、何とか俺が立てている。人使との約束も、これで果たせたかな。長いようであっという間に終わってしまった体育祭だが、今年のしめは誰かね。毎年校長だったりするけど。

 

「今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!」

 

「ハッハッハーーー」

 

会場のドーム上から人影が、笑い声とともに飛び降りてくる。その声を、姿を見ただけで人々は喜び歓声を上げる。

 

「我らがヒーロー、オールマイト!!」

「私が、メダルを授与しに来たぁ!!」

 

あ、二人の声が完全にかぶった。むしろマイク通してる分、ミッドナイト先生のほうがよく聞こえる。被ったことをミッドナイト先生は謝り、オールマイト先生は固まってしまっている。事前に打つ合わせてなかったのか教師陣。

 

気を取り直してということでメダルの授与が始まった。まずは三位から。

 

「常闇少年、おめでとう。強いな君は。ただ、もっとフィジカルも鍛えると戦術に幅が出るぞ」

 

「御意」

 

メダルの授与とともにハグ、そして感想と追加のアドバイスが送られた。№1ヒーローの言葉だ。今後の糧になるだろうな。

 

「同じく三位、おめでとう。轟少年。準決勝、炎を使えばまだ策はあったんじゃないか?」

 

「緑谷戦できっかけをもらってわからなくなってしまいました。貴方のようなヒーローになりたかったと思いだした。虚影は吹っ切るためのきっかけをくれました。清算しなきゃいけないことが、まだある」

 

「うん、深くは聞くまいよ。だがきっと君なら精算できる」

 

そうして三位へのメダル授与が終了する。そして次、第二位。

 

「爆豪少年、ってこりゃあんまりだな。選手宣誓の伏線回収はできなかったな、だがそれに届きうる力を見せてもらったよ」

 

「オールマイト、一位以外に価値なんかねぇんだよ! 一位にならなきゃ意味ねぇんだよ!!」

 

口の拘束を解かれた爆豪はそう言い続ける。欲しいのは一位なのだと。それ以外に意味はなく、それ以外はゴミなのだと。あと顔がやばいな。オールマイト先生もちょっと怖がってんぞ。

 

「確かに今回君は自分の宣言を実行できなかった。だが、それを糧とできるのが爆豪少年、君じゃないか。受け取っておきなさい、傷として、今後の糧としてね」

 

「だがらいらねぇって!」

 

「そい!」

 

いらないと駄々をこねる爆豪に無理やりメダルを渡したオールマイト先生。まぁ多分先生の言う通りなんだろう。こいつはこの敗北を糧にして上ってくる。俺を殺そうとして、になるんだろうけど。

 

「さて、虚影少年優勝おめでとう。私にいった宣言通りとは恐れ入った」

 

「ありがとうございます。結構トーナメントは組み合わせのあれですけど」

 

「よせやい。君の実力は恐らく一年でも頭一つ抜けている。そして今回、君は心の壁をぶち破った。それは大きな一歩だろう?」

 

№1にそう言われると恥ずかしいとこあるが、まぁ概ねそんなところかな。

 

「皆が全力で、必死の中、俺だけ本気出さないのもあれですし。緑谷の叫びが響きましたよ。それに」

 

フィールドのほうに視線を向ける。するとクラスメイトが笑いかけてくれた。さらにB組と普通科の何名かも。

 

「こいつらには言ってもいいんじゃないかって思えたんです。あと、意外に熱血だった親友との約束なんで」

 

「なるほどな。改めて素晴らしかったよ。君は立派なヒーローになるだろうな!」

 

「ありがとうございます」

 

そうしてメダルを受け取り軽くハグをしてもらって授与そのものは終了。

 

「さぁ、今回の勝者は彼らだった。しかし皆さん、この場の誰にもここに立つ可能性はあった。皆が切磋琢磨し、競い合い成長している。次代のヒーローは確実にその目を伸ばしている!! では最後にご唱和ください!」

 

 

「お疲れ様でした!」

PlusUltra(プルスウルトラ)!!!』

 

 

え…?ここは校訓いうタイミングじゃね?

 

「いや、皆疲れてるかなってさ」

 

すぐさま会場からブーイングが鳴り響く。№1でもこういうとこミスったりするんだ。でもそこもユーモアに溢れてるっていうのかね。完璧じゃない、そんなとこもろ愛されるヒーローの秘訣なのかもと、その人の背中をみて思ったのだった。

 

 

****

 

 

体育祭終了後はバスを利用し俺たちは一度校舎に戻った。

 

「お疲れ。明日明後日は休校になる。ヒーローからの指名もあるだろうがそれはこっちでまとめとく。結果を楽しみにしながら休めよ」

 

『はい!』

 

夕方となりそのまま帰宅時間となった。美化委員の集まりももうないし、このまま帰るかなぁ。

 

「虚影! 今日はたまたまお前の勝ちだっただけだ! 次は絶対(ぜってぇ)俺が勝つ!!」

 

「次も負けねぇよ爆豪」

 

俺はたぶん、爆豪に好敵手判定されたのかなと思う。帰り際にそう言い残し爆豪は帰っていった。伝えた通り負ける気はないが、確かに最後危なかった。もっと力をつけねぇとな。

 

「虚影君、改めておめでとぉ!!」

 

葉隠の言葉に続いてみんなが祝いの言葉をかけてくれる。あの姿をみても特に反応が変わらないのは嬉しかった。

 

「その、かっこよかったよ。マジでロックだった」

 

「だよな! あの爆豪に勝つんだからよ!」

 

「目指すべき目標だな」

 

耳郎や瀬呂、障子にそう言われ恥ずかしくなる。顔が少し赤いような気もする。

 

「虚影ちゃん、顔赤いわよ」

 

「蛙吹、そういうのは黙っててくれるとありがてぇなぁ…」

 

「梅雨ちゃんと呼んで。私思ったことは何でも言っちゃうの」

 

「知ってた。あと女子をちゃん付けは柄じゃないんでパス」

 

とたん教室が笑いに包まれる。蛙吹はすこし残念そうだが納得してくれたようだ。そのまま数十分は感想を話し合い、その日の思い出に花を咲かせた。

 

「お、いたいた。虚影!」

 

と話をしていたら拳藤と、B組数人がやってきていた。なんだ?

 

「この後祝勝会というか、残念会するんだけどあんたもどう? もちろんA組の皆も一緒に」

 

「お、良いなそれ! 行く行く!」

 

「行こー!!」

 

切島や芦戸が行く気満々になっていた。他のクラスメイトも同様だ。

 

「あー、すまん。今日は家帰んないといけねぇんだわ」

 

「えー! 主役がいないんじゃ意味ないよー」

 

「だからちょい待ち」

 

ぶーたれる面々に一度待つように伝えてから電話を掛ける。義父(とう)さん出るかな?

 

『おう、どうした白夜』

 

「ごめん義父(とう)さん。今日って宴会場使える?」

 

『使えるけど、なんでまた?』

 

「クラスメイト、友達がさ。祝勝会やるって盛り上がってて主役だから参加しろって言われてさ。で、どうせなら家で出来ないかなって思ってさ」

 

!!? 周りが驚いた雰囲気なっているのがわかる。どうかなぁ。

 

『…いいぞもちろん。その代わり、料理は手伝えよ馬鹿野郎』

 

「わかってるよ、ありがと」

 

そう言って電話を切る。

 

「と、いうことで店とか予約してないなら家こい。歓迎すんぞ!」

 

『行くー!!!』

 

その場にいた一名を除く全員が行く気になったようだった。その一名、轟はそのまま帰ろうとしていたので一応声はかけたが、

 

「また今度誘ってくれ」

 

そう言い残して帰っていった。今日の朝に仲良しこよしじゃないと吐き捨てたと思えばまだいい返事なのかね。

 

人使にも連絡を入れたが今日は普通科のほうで集まりがあるらしく不参加となった。こっちはヒーロー科ばっかりだしそれでいいのかもな。

 

帰り際に食材を買い込み家へと帰宅。でかい日本家屋だったため皆には驚かれたが気にせず中に。

 

「お帰り白夜。あと、いらっしゃい」

 

さらに出迎えは元№5ということでさらに驚かれたり盛り上がったりした。B組には俺の親のことは言ってなかったからA組の倍くらい驚いてたけど。

 

義父(とう)さんが事前に用意していた分の料理もあったがどう考えても人数分ないため俺が料理を担当。(基本料理なんかの家事は俺がやることが多い。義父(とう)さんに任せると大体カレーかパスタだ) 女子たちがそれは悪いと手伝いを申し出るので、早かった順に拳藤、八百万、耳郎、蛙吹にサポートを頼んだ。男子連中は義父(とう)さんに興味がああるようなのである程度料理が出来るまでは相手をしてもらった。

 

「え、虚影料理ウマ!」

 

「中々の手際ですわね」

 

「ケロ、家事もこなせるのね」

 

「すごいね、ほんと」

 

予想以上だったのか予想外だったのか手伝ってくれた女子には驚かれ続けた。

 

「必要に駆られてだよ。四人も中々手際いいじゃん。いい嫁さんになりそ」

 

ということを言ったら蛙吹は照れるが、他の三人は何故か落ち込んでいた。?

 

さくっとできるもので、焼きそばとか炒飯、あとは冷凍のから揚げなんかを大量に作って宴会場に持っていき、全員がそろったところで祝勝会スタート。

 

まぁ、ほぼ教室で話していたことの延長戦だがB組が入ることで会話のバリエーションは広がった。特に鉄哲と切島が暑苦しいのなんのって、体感温度2度くらい上がった気がした。

 

俺に関してはほぼ質問攻めをくらい四苦八苦。答えられること答えられないことがあるのでぼかすところはぼかしながら話した。基本的には個性に関することがほとんどだったけど。

 

途中で料理が切れれば補充しながらを繰り返し楽しい時間は過ぎていった。祝勝会途中で拳藤に連絡先を教えてほしいと言われて教えたら、耳郎や八百万のとなり、とりあえずその場にいた全員に教えておいた。(上鳴や緑谷なんかはすでに教えていたが)

そして21時前には解散し、皆は各家に帰っていくのであった。

 

「よかったな白夜、いい友達に恵まれて」

 

「あぁ」

 

義父(とう)さんと二人きりとなりそんな話になる。ほんともったいないくらいの仲間だよ。

 

「優勝おめでとう。誇りだよ、お前は俺の」

 

「っ!!」

 

そう言われるとは思っていなかったから、いきなり目頭が熱くなってきた。不意打ちにもほどがあんだろ。でも、№1ヒーローよりも、この人の言葉のほうがうれしくかんじるんだよな。

 

「まだまだ、俺は義父(とう)さんを超えるヒーローになるんだから」

 

「おう、期待してるぞ」

 

そう言って涙をこらえる。強がりでも、なんでも、涙は見せたくなかったから。

 

 

そうして長いようであっという間だった雄英体育祭が幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 




体育祭これにて終了です。
次回は閑話を挟んで職場体験に移りますのでお楽しみに!

夏休み、映画の話をいれるか否か

  • 入れる
  • 入れない(すぐに林間合宿)
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