東方黒殲鬼   作:弥識

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まずはナズーリン。
あ、お気づきかも知れませんが、今回の調査メンバーの選定は『話の都合→2割:筆者の好み→8割』で出来ております。


ナズーリン編:食事の時間

「さて……と。始めようか」

 

ロッドで肩をトントンと叩きながら、ナズーリンは目の前の獣人に話しかける。

事情を知らない獣人は驚いたように周囲を見回していたが、すぐに落ち着きを取り戻し、目の前にいるナズーリンを見て唸りだした。

 

「グルルルル!」

「あーやはり言葉は通じないか。外の話を聞く良い機会だと思ったのに」

 

ナズーリンはつまらなそうに肩を竦める。尤も、どちらにせよ結末は一緒なのだが。

 

「しかし近くで見るとより一層臭いが前に出るな。ちゃんと水浴びとかしてるかい?」

 

思わず顔を顰めながら鼻の下を擦る。なんというか、獣臭い上に何だか牡臭い。色々溜まっているのだろうか。

 

「グルァァァ!!」

 

言葉は通じなくとも、馬鹿にされているのは分かるのだろうか。獣人が飛び掛ってくる。

 

「遅いよ。視符『ナズーリンペンデュラム』!」

 

獣人の動きを冷静に見極め、スペルカードを発動させる。

すると胸のクリスタルが光り、ナズーリンを守るように巨大な3つのペンデュラムが浮かび上がった。

 

「巫女辺りならこの位ぶち抜いてくるだろうが……君相手ならこれで十分だ」

 

ナズーリンの言うとおり、獣人の鋭利な爪も3つのペンデュラムに阻まれて彼女までは届かない。

 

「ふむ、やはり爪を使った攻撃のみか……言葉を用いない時点で大した知能は持っていないと思っていたが」

 

素人が見たら震え上がるような獣人の猛攻を、冷静に捌いていく。

 

「まぁたった2本の腕で3つのクリスタルを相手しろ……と言う方が無理な話か。やはりどこぞの巫女は化物なわけだ」

 

※因みにどこぞの巫女は3つどころが5つのクリスタルをぶち抜いていたりする。全く、下手な妖怪よりも恐ろしい。

 

ペンデュラムの動きに焦れたのか、無理矢理に獣人が突っ込んでくる。

確かにソレが彼女の周りを浮んでいる以上、その中に入り込まない限りナズーリンには届かない。しかし――

 

「それも読みだ」

 

飛び上がってかわす。数瞬遅れて、彼女がいた辺りの地面に獣人の爪が突き刺さった。

衝撃で、地面が小さく震える。

 

「あぁそうそう、その辺りに強い衝撃は与えない方が良い……ってもう遅かったか」

 

思い出したようにナズーリンが呟く。次の瞬間、爪が突き刺さった地点を中心に地面が大きく窪んだ。

 

「ついさっき見つけたところでね、地盤が悪かったんだよ。まぁ即席の落とし穴ってトコさ」

 

ダウジングはこういう時便利だ……とロッドを撫でる。

 

「おっといけない、このままじゃ危ないな。穴はちゃんと『埋めて』おかないと」

 

そういって、近くの大きな岩をロッドで強く突く。

すると、砕けた岩が穴の底の獣人を押しつぶしてしまった。

 

「さて、これで一丁上がり……ん?」

 

ロッドを担ぎなおしたナズーリンの耳に、唸り声が届く。

みると、岩の隙間から血だらけの獣人の顔が見えた。まだ息があるようだ。

 

「おや、存外丈夫じゃないか。まぁ詰みなのに変わりはないか」

 

そういって小さく指を鳴らす。一方の獣人は、何とか脱出しようと唸ってもがく。

 

「こらこら、静かにしたまえ。『食事前のお祈り』中は喋らないのがマナーだよ?」

 

そういって獰猛な顔で嗤う。すると、彼女の周りに夥しい数の妖怪鼠が集まっていた。

 

「最近は彼らに『生肉』を与えてやれなくてねぇ。流石に里の人間は不味いし」

 

丁度よかったよ……と獰猛に嗤う。

 

「さて、お祈りは終わりだ。さぁ皆……『好きにして良いよ』」

 

そういってもう一度指を鳴らす。次の瞬間、ネズミ達が身動きの取れない獣人へ一斉に襲い掛かった。

 

「我々は由緒正しき妖怪鼠だ……言葉も解せぬ獣一匹、喰い殺せなくてどうするね?」

 

獣人の断末魔を聞きながら、ナズーリンは静かに呟いた。




最低文字数は何とかクリアできましたね。
pxivでは『ページを変えて場面を切る』という力技が使えたので…

まだまだ戦いは続きますよ。
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