冬は良い。しかして春も良い。だが夏は好かん——なんだ、分からんのか?私はアイスを所望する! 作:FG廃課金ユーザー
スカサハ=スカディ。それは、北欧における女神スカディと、ケルト神話の影の国の女王スカサハ師匠を足してしまった特殊な存在だ。
特殊であるがゆえに、正史では存在せずにFGOにおいてはあり得ない歴史をたどった北欧神話の最後の女神。それが彼女だ。
スカディは、どよめきの国スリュムヘイムの古い館に父と住んでいたが、後に北欧の神々のもとへ嫁いだ為「神々の麗しい花嫁」と呼ばれる。
1度目の夫である海神ニョルズと離婚し、オーディンと再婚したと言われている。
しかし、それは“本来ならば”の話であり、スカサハ=スカディの存在としては未婚のままである。
なお、その事を揶揄ってからかうともれなく自分自身が氷漬けにさせられる可能性があるので気をつけよう。
ともあれ、何故スカサハ=スカディが彼の異聞帯で最後の女神として君臨していたのか。それは、彼女が未婚であった事に関係している。神々に愛され求婚され続けていたスカサハ=スカディだが、間違った北欧神話の終焉により、神々からただ一人取り残された。
そして、彼女は哀しき『北欧最後の女神』となったのだ。FGOのストーリー上の彼女は、自らが統治する国すべてを愛し、そして敵であると判断すれば容赦なく刃を、杖先を向けた。
神であるが故に、慈愛と冷酷。そんな神の両面性を併せ持った女神なのだ。
だが、そんな彼女は。何の因果か、召喚されると意外な面を見せてくれるのだ。
彼女は意外と……
神霊と分類される者たちの中では人間臭い面がある。
可愛い。
そしてあざとい。
さて、これでざっくりとだけどスカディ様の紹介としよう。
え?私かい?私はエナドリを飲みながらFGOをプレイしてたただのFateファンだよ。最後の記憶はスカサハ師匠にスカディ様を挟んで耐久戦をしていて、スカディ様の宝具がきれいだなーと思ったのが最後だったさ。
まぁ、前の“私”の事は置いておこう。
さて、“私”が転生したと自覚したのはおおよそ3歳。その時はまだかわいい日本の美幼女だったのが、5か6歳くらいの時に突如膨大な知識量が流れこんできて、寝込んだ。そして次の日には黒髪黒目の幼女から、菫色と赤目の幼女に一気に変化した。
この時点で察したが、当初はスカサハ師匠に転生したのかと思った。だが、明らかに違った。流れ込んできた知識の中に、スカサハ=スカディの記憶があったから。スカサハとしての記憶ではなかった。
そして理解したんだ。これはスカサハ=スカディという女神様の可愛さを布教せよとの
だが、私が転生したのはどうやら異聞帯でも、カルデアでもなく。21世紀後半の日本。すなわち未来の日本だった。
仕方ない。どうやら私には従兄妹がいるらしい。ならば自ら率先してスカディの魅力を実感せるべきではないのだろうか!と決意した。
手始めに自らに与えられた部屋を魔術的に拡大し、雪原と自らが望む居住区を設けた。その結果が、私が今現在氷のイスに座ってのんびりしている場所。白氷で作られた、一切の兵士や兵器と言った無粋なものが一切ない美しく壮大な城。
隣には、私が創造したこの国の唯一と言っても良い住人。すなわちオルトリンデである。オルトリンデはワルキューレの一人として登場した乙女のうちの一人であるが、彼女を模して造ってみた。
実は私が転生した家にはガーディアンを置くという伝統的な風習がある。確かに私にもそういう話はあったが、そこらの人間にこの城の環境が耐えられるとも思えなかった。ので、ついでと言っては何だが、ワルキューレの中で個人的に好きだったオルトリンデをチョイスしてルーン魔術と女神としての権能をフルで引き出して創造してみた。
そしたら案外いけたのでびっくりした。彼女が私によって創造されたとき、彼女が一番最初に見たのは私である。だからというかなんというか。
どうやら母として認識したようだ。
問題点としてはオルトリンデはワルキューレとしての性能を持っているために、ガーディアンとしては優秀過ぎるくらいだった。
しかも、従妹である四葉深雪がシスコンにしてブラコンと育ってしまって、私の周りの人間関係は良く分からなくなった。私を産んだ母———四葉真夜————はもうすでに打つ手なしとあきらめたようだ。
そうして、達也と深雪という従兄妹と
そんな事を考えているとアイスが食べたくなってきた。スカディになって以来、どうもアイスをものすごく食べたくなる。それでいて恐ろしい量のアイスを食べても太らないし病気にもならない。ちなみに、お風呂に入りながら、アイスを食べるのはものすごく良いとだけは言っておこう。
よし。アイスを取りに行こう。
「オルトリンデ、ハーゲンダッツを貰いに行くぞ」
「はい」
アイスをもらうために立ち上がろうとしたら、机の上に置いてあった携帯端末が突如鳴りだした。
ちなみに音源は自分とオルトリンデの二人で歌った曲『躍動』を録音して入れてある。ジャンヌの声優さんと違う雰囲気が出てて、これもこれでいいと思っている。
オルトリンデの方を見れば、目で“どうぞお取りください”と訴えかけていたので、携帯端末を手に取ってみれば珍しい人物の名前が書かれていた。
とりあえず何の用かは知らないが、携帯端末には母の名前が書かれていたので出る事にした。私の携帯端末のナンバーを知っているのは達也、深雪兄妹と母の四葉真夜、そして隣のオルトリンデくらいしか知らないのだから何も考えずに出ても良いくらいなのだが、それはそれとして。
「母よ、急に連絡をよこしてどうしたのだ?」
『ちょっと話したいことがあるから私の部屋に来てくれない?』
話したい事…か。厄介ごとか、それとも何でもない事なのか。さて、鬼が出るか、蛇が出るか…どちらだ?取り敢えず母に要件は通さなければ。
極めて重要な要件を通さなければ話にならん。
「ふむ…構わないが、とりあえず私はアイスを所望する」
『ええ、それはもちろん分かっています。その代わり私のお願いも聞いてくれる?』
「…私のできる範囲ならしてやらなくもない」
『大丈夫、そんな難しい事じゃないから。じゃあ後でね』
そう言って通信が切れた。滅多にない母からの呼び出しに、何事かと少しばかり警戒心を抱くのは仕方がない事だと思う。
「行ってみないと分からんか」
★
それは、私にとっての最も重要な案件であるハーゲンダッツを母から渡され、のんびりとハーゲンダッツのバニラを味わっていた時のことだった。
「千影さん、制服を着たら私に一度見せてくれませんか?」
「・・・・・・は?」
少なくとも、彼女が予想さえしていなかった頼みに、彼女は普段は挙げないような突飛な声をあげてしまった。
一方の真夜は普段であるならばまずは聴けないであろう気の抜けた声を聞き、艶やかな笑みを浮かべる。
温和と冷酷を器用に使い分けながらも、家族の前では結構うっかり、ぼんやりしている。どこか幼さを感じさせながらも、大人の雰囲気を醸し出すそのギャップに真夜の心が撃ち抜かれ、立派な親バカへと進化したのは言うまでもないだろう。
「制服なぞ中学生の時にあれほど見せてやったではないか。そ、そもそもだな!何かと理由を付けて私を辱める事などするのではない!」
そう、真夜はこの反応がたまらないからその様な言葉を投げかけたのだ。
真夜のよりいっそう深まる笑みに、千影は羞恥心の限界に達しかけている。実の母の前にもかかわらず、顔がほんのりと赤くなり、耳の先も赤く色づいた。
取りあえず分かったのは子供の反応を見て楽しんでいる親バカが発動したということくらい。
千影は羞恥心が振り切れ、ついと顔を背け、恥ずかしさの余り部屋から退散したいと考えるようになる。
「ええい、仕方ない。制服を着た暁には好きに見せてやろう。だから私の反応で遊ぶな!
・・・・・・まだ一高の結果が分からないのに気が早いな、母よ」
そう、制服が見たいと言っておきながらまだ結果は分かってないのだ。だがそれは親バカ真夜にとっては些細な事だった。
「そうかしら?深雪と千影が入試で上位になることは容易に想像が付くわよ?」
「・・・・・・母よ。私を買い被り過ぎではないか?」
思わずハーゲンダッツを持ちながら苦言を呈す千影であった。
★
二〇九五年 四月三日
魔法大学付属第一高校
入学式の日がやってきた。千影は無事に入学し、無事(?)に真夜に制服を着せられ千影の羞恥心がMaxになった事もあったが、仕方がない事だろう。何しろ千影と真夜の約束であったのだから。
そして迎えた入学式。そんな清々しそうな空気に満ち溢れてそうな第一校のとある一角に、らしくない喧騒に包まれた場所があった。それが校門前という場所。
「納得がいきません!」
「どうしてお兄様が補欠なのですか!入試の成績だってトップではあったでありませんか!」
「まだそんなこと言っているのか」
お兄様と呼ばれた人は頭が痛いような素振りをしている。そんな時、校門前で言い争っていた兄妹に見かねた人が話しかける。
その人は菫髪赤目の女神と言われても納得するような美貌を有している。また隣に付き従っている女性も黒髪赤目と珍しい見た目をしていながらも、どこか幼さを感じさせる容貌をしていた。
菫髪赤目の人物は司波千影、黒髪赤目の人物は
千影は菫色の髪をストレートとし、額のあたりに
ちなみに、千影が姓を司波と名乗っているのは、四葉と名乗ると余計な波風が立つからという事もあって姓を借りているのである。なお、当初は黒羽でも良いかもと思っていたが、兄妹の関係の事もあり司波姓に落ち着いた。
「深雪」
千影が深雪に声を掛けると、その声に敏感に反応した深雪が声がかかった方向へ勢いよく向き…
「おはようございますお姉さま、依琉さん」
挨拶を二人に投げかけた。その挨拶に依琉が無表情で返す。なお依琉が無表情なのはデフォルトだが、千影と二人きりとなると面白いほど表情をコロコロと変えるので表情が希薄という訳ではなく、ただ自らをさらけ出すのは
「それで、どうしたのだ深雪」
「それがですねー!お兄様が補欠合格だったのです!お兄様に勉学や体術で勝てる人はいませんのに!それにお姉様は私に新入生総代を譲るために点数調整したでしょう!」
「バレたか…」
なぜか怒りの矛先が達也を補欠合格にした学校から千影へと飛んできた。実際の所は神々としての権能をフルで活用して深雪をトップへと踊り立たせただけなのだ。
「どうなんですかお姉様!?」
「…深雪の晴れ姿が見たかったから……ではダメか?」
「申し訳ございません、あのようなこと言ってすみませんでした」
顔を赤らませ、若干涙目にさせながら上目遣いで深雪へと問う千影に、シスコン拗らせた深雪は撃沈されて千影に向けた矛先を収めた。
「それに深雪、今さらそんなこと言ってもしょうがないだろ」
達也の冷静なツッコミが深雪には追い討ちとなる。
「申し訳ございません、お兄様……」
「謝る必要は無い。お前は何時も俺の代わりに怒ってくれる。それだけで俺は救われてるんだ」
「嘘です……」
唐突に始まった二人だけの空間に千影と依琉は顔を見合わせて両人とも呆れたような表情を見せる。
「依琉、あのベンチで話をするぞ」
「はい」
3人掛けのベンチに二人で座った後、千影が虚空より取り出した30センチほどの魔術を振るうときの補助として使う杖をもってルーン魔術で人払いの小規模な結界を張った。結界とはいえ、それは人々が彼女らを知覚しにくくする程度のモノで物理的にシャットアウトするようなものでは無い。
そのため、達也が使う“精霊の目”のような知覚系魔法を駆使すればその結界が張られていることを把握することができる。
依琉……オルトリンデと千影が
「ここにいたのか」
「よくわかったな、私達が此処にいるという事を」
「“目”を使ったからな」
「そうか、なら良い」
達也は千影の隣のスペースに腰かけて電子書籍に目を通し始め、依琉と千影は再度結界を張りなおして自分たちの魔法の補助に使うCADの設計図を眺めながら、具体的な性能の相談を始めて残りの2時間程の時間をつぶしたのだった。
過去偏(追憶編に相当)は書いた方が良いか否か
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ぜひ書いてほしい
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書いてほしいが無理強いはしない
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書いて貰わなくても問題は無い