冬は良い。しかして春も良い。だが夏は好かん——なんだ、分からんのか?私はアイスを所望する!   作:FG廃課金ユーザー

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 一時的ながら評価バーが朱くなっていてびっくりしました。高評価誠にありがとうございます。本小説を読んでくださるあなたが大好きです。

 これからも司波千影(スカサハ=スカディ)と月影依琉(オルトリンデ)の二人をよろしくお願いします。


入学2

「千影、そろそろ講堂に移動する時間だ」

 

「……時間が経つのも早いものだ」

 

 依琉との相談によりCADの具体的な性能目標値を設定し終わったところで相談を中止して、結界を解除させる。解除と言っても杖を一振りするだけの動作で終わる代物だが。

 

 結界を解除し、杖を魔力の粒子にした当たりで声がかけられた。見るとひとりの女子生徒がニコニコとほほえましそうに3人を見ていた。

 

「新入生ですね、間も無く式が始まりますよ」

 

「すみません、今向かいます」

 

(………でかいな)

 

 一科生か二科生かを見分けるには制服の胸の部分に八枚花弁の刺繍が施されているかどうかを見れば分かる。

 

 ちなみに依琉と千影には胸の部分にちゃんと八枚花弁の刺繡が施されているため一科生で入学したというのが分かるのだが、本人たちとしては比較的そういう(・・・・)のはどうでも良いこと。

 

 一科生だと言われても、何の感慨も得ていない二人だった。

 

 

 そして何がでかいかというと、ナニ()がでかいのだが。若干前世の記憶を引きずっている節があって、気を抜くとそこに視線が固定されるのだが、じっと見てると胸にある刺繍に興味を持ったとは思われなくなってしまうだろう。

 

 そのために視線を声のかけた人物の顔へと移しても、知らない顔なので気まずくなり腕に巻かれている幅広のブレスレットに目を向ける。

 

(CAD……か)

 

 CADとは術式補助演算機のことで、魔法を発動する為の起動式を魔法師に提供する補助装置である。間違っても図面を引く専用ソフトの事ではない。

 

 例えるなら現代(未来)版の魔導書や杖と考えた方が良いのかもしれない。

 

 魔法発動の高速化に重点を置いたCADは、従来の呪文や魔導書等と比較にならない程の飛躍的な速さで魔法の発動を可能としている。CADがなければ魔法を使えないという訳ではないが、その利点をあえて捨てる様な魔法師は殆ど存在しない。

 

 BS魔法師と分類される超能力者であってもCADがもたらす速度と安定性を求めて愛用する程で、魔法師にとって必須の物になっている。

 

 

 千影と依琉はどちらも“ルーン魔術”を使用するが、それはいわゆる北欧神話———すなわち神代における既に途絶えた魔法の前身のようなもので、これは今の魔法世界においてはBS魔法に分類される。

 

 それがなんとなく嫌だった千影は魔力を使用するルーン魔術を魔法として体系化させた。それが『ルーン魔法』である。北欧神話における古代文字をサイオンを用いて刻むことで発動する魔法となる。

 

 従来の刻印魔法よりサイオン量が少なくても運用ができるが、ルーン文字自体を知っている者が少なく、ルーン魔法が発表された当時は騒ぎになったものの、古代文字であるルーンを使用した事もありルーン魔法専用のCADを販売している会社が僅か一か所であることも含めて実用化には難航しているという。

(その会社は裏にはやっぱり四葉がいるだが、後に語る機会がありそうなのでその説明は後に回す)

 

 そんな人類を尻目にルーン文字を知る千影と依琉は平然とルーン魔法を使うためルーン魔法を刻んであるCADと、通常魔法を使用するときに使うCAD、そしてこれは千影だけであるが、ルーン魔術を使用するときに使うオーディンより授かった杖を持っている。

 

(CADの携帯ができるのは確か風紀委員と生徒会だけのはず。という事は———)

 

 目の前の女性はそのどちらかであることが容易に良そうできた。

 

「あ、自己紹介がまだでしたね。私は生徒会長の七草真由美です。七草と書いて“さえぐさ”と読みます。よろしくね」

 

 これは自己紹介をする流れだろうか。

 

「自分は司波達也です」

 

「司波千影だ」

 

「月影依琉です」

 

「……入学試験で、七教科平均一〇〇点満点中九十六点。合格者平均七〇点に満たない魔法理論と魔法工学ともに、小論文含めて文句なしの一〇〇点を取った司波達也くん」

 

「そして、七教科平均百点。魔法理論と魔法工学の二つともに九十一点の高得点を記録した司波千影さん」

 

「そして七教科平均百点。魔法理論と魔法工学の二つともに九十点を記録した月影依琉さん」

 

 なんと自己紹介の流れで3人の試験結果が発表された。ちなみに7教科すべて満点を取っていた私たちに、達也は少し信じられないというような視線を向けてきた。

 

 ちらと横に視線をやると案の定達也がそういう顔をしていた。

 

 

 

「千影、いこう。依琉も———」

 

「分かった、そうせかすな」

 

 千影たち3人は七草真由美に見送られて講堂に入る。

 

 

 

 すると、一科生と二科生がきれいに前半分が一科生、後ろ半分が二科生に分かれていた。

 

 千影にとっては深雪の晴れ姿を見れればどこでもよいのだが。

 

 

 適当に椅子に座り、依琉はその隣へと座る。

 

 

 そして、深雪の出番まで目を閉じて待つことにした。

 

 

 

 

 

 深雪の出番をちゃんと見届け、入学式が終わった後はIDカードの交付である。

 

 IDカードには所属クラスも記されている為、クラス分け発表の意味合いも含んでいるのだ。入学式同様に、一科と二科で分かれてIDカードを受け取っていた。人間はメンドクサイと思った千影だった。

 

 

 

 そうして受け取ったIDカードにはこう書かれていた。

 

1年B組 司波千影

 

 即ちB組に組み分けされたと言う事だ。ちなみにこの他に、学生番号や生年月日などが記されている。

 

 IDカードを受け取った千影は列から離れ会場を見渡した。すると、IDカードを貰ったと思われるオルトリンデが近寄ってきたので声をかける。

 

「依琉、どうだったのだ?」

 

「B組でした、千影様と同じです!」

 

 幸運にも依琉と同じクラスに組分けされたようだ。

 

 少し離れた場所に、二人の女子生徒と会話する達也の姿を見つける。

 

「春はよい・・・命が華やかに芽吹く・・・・・・」

 

 千影がスッゴい意味深な事を言っているが達也は初日で女の子をひっかけていて破廉恥だ!という意味で深い意味は実はない。

 

 

 

 

 学校用端末が一人一台制になり、事務連絡で人手を割く必要が無くなった結果、担任制度が廃止された。だが、ホームルームは廃止されるはずもない。そのためこの後はホームルームが存在する。

 

 新しい友人を作るのにホームルームへ行くのはもってこいであるのは今も昔も変わらないのだが、実はこのあとのホームルームは出席しなくてもよいのだ。

 

「一度教室に行ってみるとするか・・・・・・」

 

 そうして教室に来てみた千影と依琉であったが、達也と深雪と共に帰る予定だったので余り時間を潰せはしないのだ。

 

「深雪様はどこのクラスに組み分けされたのでしょうか?」

 

「ふむ、組み分けはランダムで行われるそうだからな。案外別のクラスになっているのかもしれん」

 

 依琉とともに教室の中に入ると、赤髪の少女が話しかけてきた。どうやら友達を作るべく方々へと話しかけているらしい。

 

 

「二人とも仲良しなんだね」

 

「む?中学からの知り合いだからな、いわゆる親友って言うべきかもな」

 

 依琉が思いがけないことを聞いたとばかりに此方を見てくるが、頭に手を置いて髪の手触りを味わうように優しく撫でてやると、目を細めて黙って受け入れている。

 

 そんな光景に微笑ましそうに此方を見るのは、ルビーのような光沢のある紅い髪が印象的な小柄な少女だ。

 

 

「私、明智英美。日英のクォーターだから正確にはアメリア=英美=明智=ゴールディなんだけど、長いからエイミィって呼んでね」

 

「私は司波千影だ。容姿が日本人離れしてはいるがハーフでもクォーターでもない」

 

「月影依琉…私もハーフでもクォーターでもないからね」

 

「へー、そんなふうには見えないけどね。取り敢えず呼び方は千影と依琉って呼んでも良いかな?」

 

「呼び方はそれでも構わん」

 

 

 

「そういえば二人とも、これから時間ある?一緒にお昼食べない?」

 

「生憎と待ち人が居るからな。誘いはありがたいが辞退しよう。さて家に帰ったらアイスを……何だその顔は」

 

 アイスを食べれるとルンルン気分になると、千影を意外そうな顔で見つめるえいみぃ。どうしたのかと問うて見る

 

「何だその意外そうな顔は」

 

「いや、可愛いなぁって思って」

 

「んなぁっ……か、かかかかかかかか可愛いなどと言ってそう誤魔化すのではない!」

 

 頬をほんのりと赤くする千影を見て、エイミィは“あ、この人可愛い”と思うのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、エイミィと別れた二人は先程達也がいた場所を覗いてみると深雪も加わっていた。深雪が達也たちと一緒に居て、達也が真由美と共に居る一科の男子生徒に舌打ちされ睨まれている所だった。

 

 事の前後は分からないが、達也が特に気にした様子を見せていないので、大事にはなっていないはずだ。

 

「達也、深雪。待たせたな」

 

「お姉さま!どこに行っていたのですか?」

 

 七草真由美の前を素通りし、達也と深雪の方へと視線を向ける。深雪の言動からして、どうやら少し待たせてしまったようだ。

 

「達也、深雪が来てからどれほど経っているのだ?」

 

「・・・数分だ」

 

「・・・・・・・・・そうか」

 

 

 

 そこまで待って居なかったようだ。

 

 達也から何があったか話を聞くと、社交性がないわけではないが、お世辞やお愛想を嫌う傾向が少なからずある深雪からしたらその数分が長い時間に感じられるのも仕方がない。来賓や生徒会の面々に囲まれたのに気疲れをしていたと思われる。

 

「貴方が達也君の妹さん?」

 

「ん?確かにそうだが、戸籍上では従兄妹だな。深雪と達也と一緒にいる事が多かったから深雪の姉と扱われることも多いな。

 

 申し遅れた。私は司波千影、そこの司波兄妹の従兄妹である。よく聞かれるがハーフでもクォーターでも無い。因みに、この子が月影依琉だ。いわゆる幼馴染っていう奴だ。」

 

「月影依琉です。宜しく」

 

「あの…私、柴田美月っていいます。よろしくお願いします」

 

「あたしは千葉エリカ。よろしくね」

 

 と、自己紹介が終わったところでさっさとこの場所を離れたいのか、美月と自己紹介したメガネの子が提案する。

 

「せっかくですので、お茶でも飲んでいきませんか?」

 

「賛成!近くに美味しいケーキ屋さんがあるらしいんだ」

 

 ちなみに元気よく追従したのはエリカと名乗った娘だ。

 

 

「入学式の会場の場所は調べていないのに、ケーキ屋は知っているのか?」

 

 呆れている様な声音で達也がエリカたちに訊ねていた。良く知らない深雪と千影がそのことについて良く知らないので首をかしげている。(依琉は珍しく日本人の伝統芸能であるアルカイックスマイル(あいまいな笑顔)をしていた)

 

「まぁまぁ。達也くん、そんな野暮な事は聞かないで良いじゃない」

 

 頭の上にクエスチョンマークを浮かべている二人に説明しようとした達也を遮るように、エリカが口を出した。

 

 

「ケーキか、良いな。」

 

 

 

 

 最終的に男1人、女5人という世の男性の一定の方々からはうらやましがられそうな構図で入ったケーキ屋は、デザートの美味しいフレンチのカフェテリアであった。

 

 丁度お昼前であった事もあり、昼食も一緒に済ませて短くない時間お喋りに興じていた。と言っても達也と千影、依琉は聴きに徹していたが。

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで臨時に行われた茶会も終了し家へと帰るころにはすっかり夕方となっている。

 

 達也、深雪、千影、依琉の4人でぞろぞろと家へと入り、千影と依琉はとある一室の前まで来ていた。

 

 黙って魔力の粒子から杖を取り出し、ドアを開ける。

 

 

 

 開けるとそこは一面の銀世界だった。と言ってもその光景は千影と依琉にとってはいつも見る光景である。

 

 一面の銀世界、本来の季節は4月であるが雪が解ける気配は無く。氷の道が続き、その奥には美しき氷の城が存在する。

 

 

 

 純粋な魔力量でこの光景を保っているという事からもスカサハ=スカディの魔力量がいかに多いかが理解できよう。

 

 ちなみに後ろからは深雪がぴょこんとその光景を覗き込んでいた。

 

「相変わらずすごい光景ですね。さすがお姉さまです!」

 

 どうしたらそういうセリフが出てきたかは理解ができないが、深雪なのでしょうがないこととする。

 

 千影と依琉は一面銀世界で氷で舗装された道に一歩を踏み出した。

 

 

「深雪、今日は久しぶりにアイスを共に食すとしよう。」

 

 そこには、久し振りに食卓を4人で囲めるという期待に目を輝かせる深雪の姿があった。

 

 

 既に人をやめている千影は食事が絶対に必要という物では無くなり、食事は趣味となった。それは月影 依琉(つきかげ える)にも同様の事が言える。

 オルトリンデはワルキューレであるからして、食事が趣味となる。そのため、趣味趣向が千影とほぼ同様に甘い物になった。

 

 

 

 

 その日の夜は4人共に食事をとる姿が見られた。




 主要登場人物整理

司波千影(しばちかげ)
 オリ主、スカサハ=スカディは可愛いを自らを持って布教している人。深雪と達也とは従兄妹の関係にあるのだが、生まれ日の関係で一番最初に達也の強力な力を制御させる楔として打ち込まれた。
 なお本人の性格(女神として君臨、慈愛と冷徹を完璧に分ける)からして楔として意外と機能している。さらには強力な割にその在り方が女神であり女王であるため暴走は基本しない。
 生まれた際には『影』と判断されたが、それはスカサハの部分を読み取れたにすぎず、女神スカディとしての能力は当然人間が読み取れるものではない。
 また、一面氷雪でおおわれた広大なスペースを生み出す能力は周囲からは『影』の副産物と、本人が得意としている氷の魔法で作られたと思われている。

 オーディンから預かりしルーン魔術と、スカサハに関連して二槍術を扱い、通常魔法は無難に使えるが本編に書かれていた通りルーン魔術から魔法へと編纂しなおした『ルーン魔法』をも使用する。ルーン魔法は現代魔法においては古代文字であるルーン文字を使用した刻印魔法の延長として分類され、ルーン魔法が刻まれたCADにサイオンを流し込む事で発動する。
 ちなみに影の城も召喚するが今まで一度も召喚した事は無い。

 ルーン魔法としては“アンサズ”よりかは威力を落とした人一人をちょうどよく気絶させるレベルの爆破魔法、氷化魔法、飛行魔法、身体強化系魔法、人払いの魔法、全てのルーン文字を使用した魔法防御などを大粒のルビーに刻み、ルーン魔法専用のCADとしている。

 好んで使う魔法、魔術はどちらも氷系魔法である。

 好きなものはアイス、冷たい物、冬と春。嫌いなものは熱いモノ。身長体重容姿と声はFateと同様。


月影依琉(つきかげえる)
 スカディ(千影)に創造されたワルキューレのとある人格の一つ、オルトリンデ。千影を母と仰ぐが、そのような感情は衆目にはあまりさらさずに生活している。ちなみにワルキューレの分類であるが、分類としては調整体魔法師でもホムンクルスでもなく、神造兵器により近い存在。

 槍術とルーン魔術に優れるが、魔法もそれなりに使用できる。ルーン魔法ももちろん使用するが内容としては防御や支援に偏った内容となっている。
 例としては飛行魔法、人払いの魔法、全てのルーン文字を使用した魔法防御、身体強化系魔法、白鳥礼装を元ネタとした超高軌道兼防御魔法が水晶に刻まれている。また『偽・大神宣告(グングニル)』や白鳥礼装を運用できるが、その二つは使用した事は無い。

 好きな物は千影と甘い物。嫌いなものは千影と同様に熱いモノ。身長体重容姿と声はFateと同様。



司波達也(しばたつや)
 言わずと知れたチートお兄様にして極度のシスコン。最低限の情緒として兄妹愛のみが残されている。『再生』と『分解』、またそれらの副産物の能力を使えるためこの人ができない事はあまりないレベル。

司波深雪(しばみゆき)
 これまた言わずと知れたチートな妹。本来の歴史ならブラコンだけで済むのだが、本作品ではオリ主(TS)が挟まったためにシスコンとブラコンを併発している。強力過ぎる兄の能力を抑えるために置かれた楔だったが、なぜか現状のような事となった。
 

過去偏(追憶編に相当)は書いた方が良いか否か

  • ぜひ書いてほしい
  • 書いてほしいが無理強いはしない
  • 書いて貰わなくても問題は無い
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