冬は良い。しかして春も良い。だが夏は好かん——なんだ、分からんのか?私はアイスを所望する! 作:FG廃課金ユーザー
ですがそれだけお気に入り数が増えてるってことは、スカディ様好きが増えているということ!
さぁ、皆さんスカディ様を好き!と言うのです!そしてスカディ様の二時創作よもっと流行るのだ!
失礼しました。これからも司波千影(スカディ)と月影依琉(オルトリンデ)をよろしくお願いします。
あと誤字報告してくださった方、誠にありがとう御座います。
おおよそ司波邸より10㎞*1距離にある小高い丘の上に建つ寺。その寺の縁側でのんびりとサンドイッチを食べているのは、達也と九重八雲だった。
「そういえば千影君と依琉君と珍しく一緒に居ないんだね」
つい先ほどまで、達也の体術を褒めていた八雲がそう話題を切り替えた。
「そうなんです、お姉さまと依琉さんはどうやら朝からアイスを作っているようで」
お茶の入った水筒を達也にさりげなく取り出したりと自身の兄の世話を甲斐甲斐しく焼いていた深雪が答えた。
「アイスを朝から作っているのかい?」
先ほどまで中にサンドイッチを入れ過ぎてむせていたが、深雪の甲斐甲斐しい世話焼きによって口の中からサンドイッチを消し去った達也が、八雲の確認に肯定した。
「久しぶりに手作りアイスを食べたいと言って私たちが家を出る前から作ってました。」
達也が八雲の問いに答えた。
「あの子たち筋は良いけど突飛なことと良くするからね、昔から」
何を隠そう千影と依琉も八雲のいる寺をたびたび訪れている。千影、依琉の双方とも槍の使い手であるし、千影に関しては槍のみならずある程度の格闘戦術も軒並み理解している。(大神の叡智B+)
が、どうしても人肌が感じられて熱いので格闘はしたくない。なので忌避してはいるが相応の腕をしている。どのくらいかというと達也が苦戦するくらいの腕はある。なお本人はか弱い女なので拳は苦手であると宣っている(筋力Bの癖に)
依琉はガーディアンとして訓練されたときの嗜みである
それはともかく。
今頃はアイスを天国にいるような顔で味わっているであろう二人を思うと、ちょっと微妙な顔をする三人だった。
★
その頃。千影はアイスはもうすでに食べ終わっていて、ルンルン気分で登校していた。一高の生徒が利用する駅は『第一高校前』という安直な名前の駅で、その駅から学校まではほぼ一本道。
もちろん千影と依琉もその駅を利用している。
B組に着いた時には始業の1時間ほど前だった。普通なら早く来てしまったと思うところであるが、北欧をモチーフにしているがゆえに基本白夜である千影の部屋(雪原とも言う)であるため、夜というのは存在しない。また、睡眠を余りとらなくても良い身体(スカサハ=スカディ、ワルキューレ)であるため1日のうち起きている時間は20時間を超えているのだ。
「それにしても誰も居ないな。早く来すぎたのだろうか?」
「始業開始一時間前です」
「……それはだれも居ない訳だ」
それから少し待ち始業開始30分前にちらほらと同級生が入ってきて、10分前くらいにはエイミィが朝からハイテンション、天真爛漫な笑顔を振り撒きながら教室に入ってきた。
「おっはよー!」
エイミィの挨拶に、おはよう、という好意的な挨拶が教室の所々から返ってくるのは、彼女の人柄もあるだろう。明確にどこそこと仲良く行動しているという事は今のところ少ないがそのうち気が合う者と一緒に居るようになるだろう。
「エイミィか、元気そうだな」
「あ、千影おはよー!元気ー?」
「元気ではある」
「そっかー、良かったー!」
朝一のオリエンテーションが終われば、次は授業見学だ。今日、明日は授業見学をする時間が設けられていて、自由に授業を見学することができる。
「なんか普通に体育って感じだね」
「まあ、まだ二年生の授業も初日だし」
エイミィが意外そうに言うが、よくよく考えてみれば、今日はまだ授業初日。いきなり彼女が期待するような魔法科高校らしい魔法ぶっぱと言うものは行わないのだろう。
「新入部員勧誘週間の時にはクラブのデモンストレーションが行われるそうだ。その時にまた来れば良い」
「千影詳しいね」
「……オリエンテーションの時に言っていた筈だが?」
エイミィは苦笑いでごまかしたようだが千影は知っている。今日の朝一のオリエンテーションで堂々と寝ていた事を。
ちなみに依琉は相変わらず仮面を顔に張り付けていた。
見学を終えて昼食の時間になった。そうするとエイミィは、最初のコンタクト時にはできなかったとあることを提案した。それは————
「ねぇ千影、依琉!一緒にご飯食べない?」
もちろんそれに対する返答は、
「宜しい、ともに食べるとしよう」
「分かりました」
是である。
そうして3人で訪れた食堂はものすごい混んでいた。おそらくは勝手が知らない新入生の影響なのだろう。3人でいるがどう考えても4人掛けのテーブルの方が良いので4人掛けを探すために食堂内を彷徨う事になったのは仕方がない事だろう。
「ねぇ、二人とも。午後はどうするー?」
「午後か。とくには考えていないが」
「…千影さん」
依琉が自分からしゃべっただと…!ちなみに依琉から話を切り出すことはあまりないがある事にはある。だが、そもそも口数があまりにも少ないので声を聞けただけでも貴重な体験となるだろう。
「どうした依琉?」
「私は『射撃場』に行きたいです」
「『射撃場』って言うと生徒会長が所属するクラスの実技だったか?」
「そうだねー。混雑しそうだから早めに行こう」
エイミィが言う通り、午後の射撃場は確かに混雑することが予測できる。遠隔精密魔法の分野で何度も優勝し、エルフィンスナイパーやら妖精姫やらと呼ばれている生徒会長の実技を見たいという新入生は多いはずだ。早めに行くに越した事は無いだろう。
「あぁ、早く行くべきだろうな」
そしてさりげなくハーゲンダッツをテーブルの上においてふたを開けて食べ始める。
「…千影、そのハーゲンダッツどこから出したの?」
エイミィが千影が出したハーゲンダッツに気づき、どうやって冷えたまま学校に持ってきたのだろうと疑問符を浮かべる。
「私のハーゲンダッツはやらんぞ?」
もちろんそれは自分自身の部屋に置いてある(部屋の気温-25度)ハーゲンダッツを
「そういう事じゃないんだけど…まぁいっか」
「ウム…依琉、もう一つあるぞ」
「本当ですか!じゃあいただきます!」
「エイミィも食べるか?」
「…バニラで」
「ほい、落とすなよ」
依琉とエイミィもハーゲンダッツを食べたいようだったので取り寄せてテーブルの上を滑らせて渡す。ハーゲンダッツは至高なのだ!
★
午後になった。午後になったために射撃場をへと早めに赴いてみると、達也がいち早く最前列へと陣取っていた。
「達也……」
「千影、どうした?」
「あずきバー食べるか?」
達也は自分の従妹がなぜこんなにアイス好きなのか全く分からなかった。そしてアイスばかりを食べていて太らないのか、とも。
だがそんなことを聞いたら槍で追いかけ回されるか氷柱になるかのどちらかになるので言わない事にしている(前に問答無用で選ばされ追いかけられた。深雪ガードは残念ながら機能しなかった)
そういうと深雪がその会話に割って入ってきた。ちなみにあずきバーは未だに世界最硬アイスの座を譲っていない状態である。
「お姉さま、何であずきバーを学校に持って来ているんですか?」
「そんな事は決まっている。校則にあずきバーを持って来てはいけないと書かれていないからだ!」
千影がアイスに対する執念が強い事はこの兄妹に良く知られている。
ちなみに其の後、生徒会長である七草真由美の実技を一目見ようと大勢の新入生が射撃場に詰め掛けた。だが、見学できる人数は限られている。一科生に遠慮してしまう二科生が多い中で、2科生である達也達が前の席を陣取っていた。
当然のように悪目立ちし、一科生に悪い印象を与えた。
そして、ことが起きたのは下校時である。
「いい加減に諦めたらどうなんですか? 深雪さんは、お兄さんと一緒に帰ると言っているんです。他人が口を挟むことじゃないでしょう。別に、深雪さんはあなたたちを邪魔者扱いなんかしていないじゃないですか。一緒に帰りたかったら、ついてくればいいんです。何の権利があって二人の仲を引き裂こうとするんですか」
校門前で女子生徒の声が響き渡った。そのことに気づいて千影が校門前に行ってみると、一科生と二科生が言い争いをしていた。
「あれは…達也と深雪か?一体どうしたんだ……」
「…どうしますか?」
「この騒ぎにエイミィまで巻き込むわけにはいかん。危険だ」
「さすがにあの人たちにも自重というものがあると思うから大丈夫だと思うんだけど」
一般論ならそうかもしれない。だが、かっとなった人間が危険なのも事実である。
一科生は「彼女に相談することがある」とか「少し時間を貸してもらうだけ」など子供みたいなことを言うだけであった。
「ハン! そういうのは自活中にやれよ。ちゃんと時間がとってあるだろうが」
私からすれば誰か知らない男の生徒が一科生に食って掛かった。
「相談だったら予め本人の同意をとってからにしたら?深雪の意思を無視して相談も何もあったもんじゃないの。高校生になってそんなことも知らないの?」
「うるさい! 他のクラス、ましてやウィードごときが僕たちブルームに口出しするな!」
一校限定の差別的用語を口に出した一科生に、あの時小動物的な印象を与えた美月が言い返した。
「同じ新入生じゃないですか。あなたたちブルームが、今の時点で一体どれだけ優れているというのですかっ?」
決して張り上げていたわけではない。張り上げたわけではないが、その言葉は不思議と辺りに響いた。今の状況で今の言動は明らかに拙い。
「……どれだけ優れているか、知りたいなら教えてやるぞ」
「ハッ、おもしれぇ!是非とも教えてもらおうじゃねぇか」
「だったら教えてやる!」
学校内でCADの携帯が認められているのは生徒会の役員と一部の委員会のみだ。だが、校外でCADの所持が制限されることはない。自衛のために使うのは正当防衛として認められるものなのだ。
故にCADを所持している生徒は授業開始前に事務室へ預け、下校時に返却される手続きとなっていることとなる。
千影の所有する通常のCADとルーン魔法が刻まれた刻印宝石型CADも小型のハードケースに入れて預けている。が、今は下校時なのでそのどちらも千影は持っていることとなる。
つまり、下校途中である生徒がCADを持っているのは特におかしなことではない。
「ちっ、特化型か!」
「お兄様!」
とっさに千影があずきバーをぶん投げた。
「ヒッ!」
悲鳴を上げたのは銃口を突きつけていた一科生の方だった。小型拳銃の形をした特化型は弧を描いて宙を舞う。相当な速度をもって投げられたあずきバーが小型拳銃をはじき飛ばしたのだ。
眼前ではどこから出したのか、警棒らしきものを持ちエリカが固まっていた。
そして、達也は飛んできたあずきバーを片手でバーのところを的確に持ち掴んでいた。
「…え?あずきバー?もしかしてお姉さま?」
もう既にあずきバー=千影という方程式が成り立っている気がする。
珍しく千影が女王ムーブを始める。
「馬鹿者共め、一度氷となって頭を冷やすか?」
魔法などは使用してはいない。魔法発動の予備動作が無かったこと、サイオンを使用していないことからもうかがえる。魔力の粒子から杖を作り出し、手に持つ。周囲の気温が一気に減少し始める。その気温は-10度。普通の人間からしたら急に気温が寒くなると凍えるだろう。
だが、頭に血が上っている者達はそれに気づくことは無かった。気づいたのは達也とオルトリンデとエイミィくらいな比較的冷静な者達だった
残念ながら、千影の警告であっても逆上するものが発生した。
女王としての風格があっても逆上するものが発生したので、それ以外の者が対応したらさらにまずい事になっていたのかもしれない(達也がいる限り大事にはならないはずだが)
「うるさい!貴様別のクラスだろう!それとも
依琉がさりげなく前に出ようとするが、千影はそれを手で制止する。ちなみにエイミィはちょっとおろおろしていた。かわいいね。
千影の乱入で火に油が注がれることはなかったが、状況が好転することもなかった。
そして。誰か一人の学生がCADを起動させる。魔法式が起動し始めた。
「止めなさい! 自衛目的以外の魔法による対人攻撃は、校則違反である以前に、犯罪行為ですよ!」
声の主を認めて、魔法を発動しようとしていた生徒は一様に顔を青ざめさせる。ちなみに千影はすぐさま冷気を霧散させたが魔法を使ってないのでやましい事実など存在してないために顔を青ざめさせはしていない。というか青ざめるキャラをしてないと言えばそれっきりなのだが。
「さて、今回どのような経緯でこのような事になったのかを聞かさせてもらおう。ついて来なさい」
未だに何が起きたか理解していない者ばかりだが、理解している者がいないわけではない。その中の一人、達也が胸を張るわけでもなく、項垂れることもなく毅然とした態度で摩利の前へと歩み出た。突然出てきた一年生に、摩利は訝しげな視線を向ける。
「すみません。悪ふざけが過ぎました」
「悪ふざけ?」
唐突に思えるそのセリフに、鬼の風紀委員会長の眉が軽くひそめられる。
「はい。森崎家のクイックドロウは有名ですから、後学の為に見せてもらうだけのつもりだったんですが、あまりにも真に迫っていたため身構えてしまっただけです」
「では、その後に1-Aの女子が攻撃性の魔法を発動しようとしていたのはどうしてだ?」
視線を巡らせ、CADを操作しようとしていた一科生を確認した摩利は冷笑を浮かべながら達也を見た。
「彼女が発動しようと意図したのは目眩ましの閃光魔法です。それも、失明や視力
誰かが息を呑む。それに伴うように摩利の視線は興味深いものを見つけたとばかりに達也を注視しはじめた。
なお未だに手にはあずきバーを持っている。
「ほう……どうやら君は、展開された起動式を読み取ることができるらしいな」
「実技は苦手ですが、分析は得意です。起動式を読み解くのならそこの千影と依琉もできますが」
「……誤魔化すのも得意なようだ」
魔法式。それを読み解くのは生半可な技術ではできないという事は千影でさえ知っている。千影と依琉が魔法の起動式を読み取ることができるのは、千影と両方が
千影も依琉も読み解くことは可能である事は達也と深雪も知っている。しかし千影と依琉はとばっちりを食らった形である。エイミィは千影にそんなことできるの?と小声で聞くと帰ってきた言葉がYesだったので思わず息をのんだ。
「兄の申した通り、本当に、ちょっとした行き違いだったんです。先輩方のお手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした」
達也を庇うように一歩前へ出て、嘘くさい達也とは対照的に綺麗な謝罪をしたのは深雪だった。これには、鬼の風紀委員会長摩利も毒気を抜かれたのか、目を逸らしてしまった。
そうしたら偶然達也が右手で持っているあずきバーが目に入ったので突っ込むかどうか迷ったが、空気を読んで突っ込むのは辞めた摩利だった。
「摩利。もういいじゃない。達也くん、本当にただの見学だったのよね?」
救いの手だろうか。ニコニコと達也を見る真由美。それに計画通りと言いそうな達也の顔。どうやら思い通りに誘導できたようだ。
「確かに、生徒同士で教え合うことが禁止されているわけではありませんが、魔法の行使には、起動するだけでも細かな制限があります。このことは一学期の内に授業で教わる内容です。魔法の発動を伴う自習活動は、それまで控えた方がいいでしょうね」
「……会長がこう仰られていることでもあるし、今回は不問にします。以後このようなことの無いように」
真由美の言葉に、いまいち納得しないまま摩利がそう告げ、踵を返す。が、一歩踏み出したところで足を止めて背中を向けたまま問いかけを発した。
「君の名前は?」
「一年E組、司波 達也です」
「覚えておこう。そこの女子二人の名も聞きたいが…」
「達也の妹だ」
「達也の幼馴染」
「……まぁいいか」
ものすごいごまかされた気がする鬼の風紀委員長摩利だった。が、本人たちはそれしか言う気がないのだろうし、達也の妹という事は深雪の家族だという事だし、同様に幼馴染という事は達也とある程度親しくしているという事。とりあえず達也を連れてくれば、深雪をはじめとした3人がセットで付いてくるはず。
そう考えた摩利はしょうがないと思いつつ歩きだすのだった。
達也は今まで持っていたあずきバーを千影に返し、皆を困惑させた。
そして千影が予めあずきバーにコーティングをルーン魔術で施していたのでそのまま食べれる状態だったが、気分的にアレだったので、そのあずきバーに1本足して2本にして耐熱容器に入れて温めてぜんざいにして食べた。
感想での質問の回答をします。
Q.この作品のスカディ様はサーヴァントか女神なの?だったら寿命無い?そして物理的に死ぬことはあるの?
A.女神です(断言)この作品のスカディ様は北欧異聞帯におけるスカディ様の在り方と全く同じではありません。即ち女神として存在しては居ます。
が、あの時は女神として君臨する必要がありましたが今は必要がないため今の神生を楽しんでいます。
そして、寿命は今現在存在しません。ですが物理的に死ぬことはあり得ます。ほら、隣にいるでしょう?お兄様が・・・・・・皮肉にも、神殺しを成し遂げることができるのが達也です。そしてスカディ様は家族を愛し、それ以外の命も愛する女神です。
ですので達也が暴走したとき北欧異聞帯のあの時と同じく神命を賭してでも止めようとします。
・・・・・・よくよく考えたら千影が女神ってバレたら一つの宗教出来上がってもおかしくはねぇぞコレ。
最後まで読んでくださった皆様、この後書きの場を借りてお礼申し上げます。最後まで読んでくださったあなたが大好きです。
これからも拙作をよろしくお願いします。
要望リクエスト専用の活動報告ページを作りましたので、こんなのを書いてほしいと思ったら下記URLの活動報告ページにお書きください
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=260265&uid=255223
過去偏(追憶編に相当)は書いた方が良いか否か
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ぜひ書いてほしい
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書いてほしいが無理強いはしない
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書いて貰わなくても問題は無い