辺境の世界からSOS   作:銃病鉄

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本当にお待たせいたしました(土下座)


5503年・春 「名品・電気・目」

・宇宙歴5503年 春

 

 

 

 

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「完成であります! これぞマイクロエレクトロニクスを活用した最新設備、通信機であります」

 

 うぐぐ。コツコツ貯めていたコンポーネントがガッツリ持っていかれた……。

 

「隊長。これから拠点の設備を充実させるなら、コンポーネントはいくらあっても足りないであります。優先的に採掘するかキャラバンから買うのであります」

 

 むむむ。必要な物資が多すぎる。

 

 それで、この通信機で誰と通信をするの? 特に連絡を取り合うような相手も心当たりがないんだけど。

 

「通信機で、周辺の派閥と連絡が取れるですぅ。例えば特定の商品を扱っているキャラバンの派遣をお願いしたり、同盟している派閥から援軍をお願いしたりできるですぅ」

「最大限に活用するなら、できるだけ友好的な派閥を増やすのが不可欠でありますな」

 

 なるほど。上手いこと使うには、まだまだ時間がかかりそうだなぁ。

 

「しかし、キャラバンと売買する機会は格段に増えるであります」

 

 そうなの?

 

「そうであります。この通信機なら、この星の近くを宇宙船で航行する商人とも交渉が行えるのであります」

 

 宇宙船と!? それはすごい!

 

「でもバフィ、あまり宇宙船とばかり売買するのは反対ですぅ。できれば周辺の派閥との間でやりくりしてお友達になりたいですぅ」

「たしかに。どうも宇宙商人の奴らはドライでありますからなぁ」

 

 そういうのもあるのか。

 とりあえずは、その時の状況から判断しようか。

 

 

 

 

 

 はーい。ムースの方々がご来店でーす。

 

『ふむ。当初の予想に反して、それなりに利用客がいますね』

「うへへ。色々とでっかいお姉さまたちが、部屋にいっぱい。ああ、眼福……ブフッ」

 

 スパロウ、鼻血をふきなさい。

 

 それにしても、やっぱり立地的に恵まれているおかげでお客さんは続々と来ている。

 ただ、問題があって……。 

 

「ねー。このベッド、壊れかけじゃない。すっごいギシギシいってるんだけど」

「いくら私たちが寒さに強いからって、ストーブぐらい客室に用意してほしいわ」

「なんか宿の主のヌード像が飾ってあるんだけど。普通に不快」

 

 旅の途中の休憩所としては喜ばれているんだけど。肝心の宿泊設備のクオリティが低すぎて、それ以上の評価がもらえないんだよね。

 っていうか、いつの間にオレの像なんて作ってたんだよ。そんなの客室に飾るな!

 

「むぅ。インスピレーションを受けて作ってみたけど、手厳しい評価だね。天才のボクの腕前を、モデルの醜悪さが上回ったというのか。ボクは、まだ未熟」

 

 猛烈にデコピンしてやりたい。

 

『この調子では、他の派閥と関係を深める前にあなたたちの終焉が来ますね』

 

 む、ぐぐぐ。でも、設備を充実させるにしてももう木材もタケも余裕はないし。

 何かないのか。使えそうなものは。

 

「隊長、少しよろしいでありますか?」

 

 どったの。レモン。

 

「チュー。自分、余裕のある物資を使ってなんとかできるかもしれないのであります」

 

 

 

 うーむ。レモンに任せてはみたものの、大丈夫だろうか。

 

『なぜ具体的な内容を聞く前にゴーサインを出すのですか』

 

 自主性を尊重したかった。まあ、なんだかんだレモンもネオ・サラゴサ町の発展に貢献してくれてるし、そんなにまずい事態にはならないって。信頼しているよ。

 

『客室のベッドにシャワーを設置しだすかもしれませんよ?』

 

 あ、スチールを持ち出していないことは監視していたので大丈夫です。

 

『信頼とは?』

 

 それにしても、石材も持って行ってないんだよな。木材もタケもなしに、いったい何をするつもりなんだろ?

 

「キャアアアアアッ!」

 

 ひ、悲鳴!? 客室の方だ。いったい何がッ。

 

 

 

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「……隊長。自分、やり遂げたのであります……」

 

 こ、これは……。マッファローの毛から作ったラグマット……。

 しかし! なんだ、このラグマットからあふれ出してくる神々しさは! ただの編み込まれた毛というだけでは説明のつかない迫力、凄みッ! てんで素人の俺にもたしかに感じられる。

 このラグマット、何かが違うぜ!

 

『なんですか、そのテンション』

「すごいわよ。このラグマット、そんじょそこらの職人が作れるものじゃないわ」

「間違いなく名品。こんな小さな女の子が作るなんて。部屋の印象がガラッと変わった」

 

 お客さんからも大好評だ。さっきのは悲鳴じゃなくて歓声だったのか。

 

「……感無量であります。自分の建築スキルが上がっているのは知っておりましたが、こんな名品を作りあげることができるとは」

 

 よかったね、レモン。ずっとがんばってくれていた成果だよ。

 この調子で、ネオ・サラゴサ町を立派な拠点にしていこう。

 

「チュー! であります!」

 

 

 

 

 

 さて、そろそろ作物の成長する気温になってきた。

 今年は何を植えよう。コメは当然として、また新しい植物を育ててみたい。いやー、畑仕事のことを考えているだけでワックワクだね。

 

 プツンッ

 

 ん? 今の音は?

 

「大変ですぅ、カサバルさん! 拠点の照明が消えちゃったですぅ!」

 

 え、照明が壊れちゃった?

 

「照明だけじゃないよ、おじさん。ストーブも止まってるし、電気を使う家具が全部機能してない」

 

 あー、ということは。

 

『はい。電気の枯渇です。とうとう風車による発電が、消費する電力量に追いつかなくなっています。年末から拠点の設備を増やしていた弊害が出てきました』

 

 むぐぐ。スチールが足りなくて発電量が少ない風車で間に合わせたのが、ここにきてアダになったか。

 

「そもそも、発電機一つだけでいつまでもやっていけるはずがないんだよ。増設するしかないね」

 

 ま、またスチールが消し飛ぶのか。

 しかし、どうしようかな。今度こそ風力発電を建てるか、別の発電方法を試すのか。

 

「話は聞かせてもらったのであります」

 

 おお。我が星くずサバイバーズの誇る建築担当、レモン。アイデアがあるんだね。

 

「ここは、我がラットキン族に伝わる至高の発電機の出番であります!」

 

 至高の発電機?

 

 

 

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 レモォオオオン! 何これぇえええええ!?

 

「これぞラットキン族の産み出したハムスターホイール発電機であります! 楽しく運動できて、おまけに電力まで得られる。最高であります」

 

 ついでで発電しないでよッ。あ、走りながら叫んだせいで、い、息が、もう……。

 

「見てる分にはおじさんが滑稽でいいけど。アイちゃん、どれだけ発電できているのさ」

『お世辞にも多いとは言えませんね。焼け石に水です』

 

 こんなにがんばっているのに!?

 

「チュー。発電量は足の速さに依存しておりますので。足を負傷している隊長では、これが限界でありますな。というわけで、ここは我ら星くずサバイバーズきっての俊足を誇るスパロウ殿に」

「絶対に使わないからね」

 

 

 

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 というわけで、太陽光発電の設置完了。

 

「チュー。せっかく作ったハムスターホイールが……」

 

 不採用です。常に切羽詰まってる俺たちに、遊んでいる余裕はない。

 

『ようやく太陽光発電ですか。文字通り太陽光を電力に変換する発電機です。風力発電と比べて最大発電量は控えめですが、日光がある限りは一定の電力を産み出せる安定感が強みです』

 

 ふーむ。バッテリーにも順調に電力が貯まっていってる。しばらくは風車と太陽光発電でネオ・サラゴサ町の設備は稼働できそうだな。

 

 しかし、今から思うと風車の位置が悪かったかもしれないな。今後に拠点を拡張していくなら、解体するという選択肢も考えておくか。

 

『風を利用する都合上、周囲に木や屋根などの障害物があると発電量が激減しますからね』

 

 当面はこのままで、また必要な電力が増えたら本格的に風力発電に移行した方がいいかもしれないな。となると、北側のスペースに余裕があるから、そっちに建てるか。

 

「カサバルさん。簡単に言ってますけど、もうスチールもコンポーネントもカツカツですぅ」

「それに、発電機の前に必要な設備はまだまだあるのであります」

 

 じゃあ、そっちを優先して……。でも、そうするとまた電力の消費が上がって……。となると、やっぱり発電機は必要で……。

 う、ぐぐ。頭がぁ……。

 

『さてさて。技術レベルが上がったことで、考えなければいけない要素が増えてきましたね。選択肢が増えるほどに取捨選択というものが重大になってくるのですが。この野蛮人にどれだけ期待できたものか』

 

 

 

 

 

 とりあえずは、現状維持で。

 

『思考放棄』

 

 違う。星くずサバイバーズの現状を考えた、論理的な結論だ。

 

 正直、ネオ・サラゴサ町は今のところ日常生活を送る上では充分に発展しているんだよね。メンタルブレイクも出なくて済むぐらいにゆったりした毎日を送れている。

 これ以上に拠点を広げていくなら、新しい仲間が増えてからでいいかなぁ、と。

 

『……まあ、たしかに無暗に拠点だけ大きくしてもしかたないですね』

 

 というか、昔のことを考えたら本当に拠点も発展したよな。ツンドラに来る前は、岩山を利用して必要最低限のスペースで生活していたなぁ。

 ストーブで部屋を暖めて、お風呂に毎日入られる生活なんて想像もできなかった。

 

『まだアナタがRimWorldに来たばかりのころですね。そう言えば、アナタはワタシに敬語を使っていたのに、いつの間にかタメ口になっていませんか?』

 

 そう? 最初からアイちゃんにはタメ口だったと思うよ。

 

『後でログを確認しておきますからね。違っていたら容赦なく電気ショックです』

 

 この人工知能、器が小さすぎる。 

 

『失礼な。こんな端末ではなく、人工衛星にあるワタシの雄大な本体を見せてさしあげたい』

 

 そういう意味じゃない。

 

 話を戻すけど、色々と考えないといけないことは増えたけど、それだけ生活に余裕ができた証拠というか。昔は生活の十割が食料確保だったし。

 

『真冬に海岸で釣りをして、凍死しかけていましたね』

 

 あったねぇ、そんなこと。

 

 あの時は、たしかバフィが助けてくれたんだっけ。思えばバフィとも長いつき合いになったけど、加入した時は突然でビックリしたな。敵襲だと思って警戒していたら、キツネ耳の子供が走ってくるんだから。

 そういえば、キツネ耳が頭から浮いているように見えてギョッとしたなぁ。

 

『RimWorld周辺宙域で起こる磁気嵐のせいです。視覚に異常を起こし、体の部位が浮いていたり、身体がピンクの光に包まれたりします』

 

 フシギ!

 

「部屋の外がうるさいな。ボクの芸術活動の妨げだ」

「カサバルさん。バフィ、研究中なのでちょっと静かにお願いしますぅ」

 

 おっと、ごめんごめん。

 バフィとスパロウもまじめにがんばっていてえらいねぇ。

 

 ……ん?

 

 

 

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 いやぁああああ! バフィたちの目が4つに増えてるぅうううう!?






クーリンの顔、バグる。
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