Magolor In Under World   作:青ボタン

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レベル1 シュガリー ルインズ 【ステージ1】

大きな穴に飛び込んだ、そのおよそ三十秒後。

自分の現在の体力を考慮していなかったマホロアは、結局、落下の勢いを殺しきれずに地面へと頭から落ちることになった。

 

「イッ……テェ!」

 

とはいえ、落下地点に生えていた黄色い花のおかげで、特に怪我を負うことも無く。衝撃で少し痛む頭を抑えて、周囲をすばやく観察する。

 

地下空間なので当然とも言えるが、地上の光の届く場所を除き、酷く暗い場所だった。少し離れた場所に、明らかに人工物であるアーチが立っていたので、マホロアは少し安堵した。とりあえず、無人の地という訳ではないようだ。

 

頭の痛みが収まるまで少し待ってから、アーチを潜る。誰かいるかもしれないと警戒していたのだが、先程と同じような光景が続いたのを見て、直ぐに緊張を解いた。

 

「ナーンダ、誰も居ないノカァ。困ったナァ…」

 

「困ってるみたいだね、新入りさん!」

 

「エッ?」

 

先に進もうと花畑を横切ろうとした瞬間、突然掛けられた声に思わず声を上げる。見ると、可愛らしい顔の着いた大きな花が、こちらを見てニコニコと笑っていた。

 

「アッ、キミがココの住人なのカナァ…?」

 

「そうだよ!ボクはフラウィ!おはなのフラウィさ!」

 

「ヨカッタァ!ボクはマホロアっていうんだヨォ。色んな星を旅シテル旅人なんだケド、船が壊れちゃったウエニ穴に落ちチャッテ…」

 

「大変なんだね。旅人さん、この地底の世界では、地上とは違うルールがあるんだ。先輩のボクが、それを教えてあげるよ!」

 

「ホントウ?ありがとう、フラウィ!」

 

嘘つけ、とマホロアは心の中で悪態をつく。このフラウィの態度は、明らかに嘘をついているやつの態度だった。とはいえ、憐れな旅人というスタンスを取ってしまった以上、簡単に態度を変える訳にも行かない。騙されている振りをすることにして、大人しく話を聞くことにした。

 

「いい?この世界では、LV…つまり、LOVEを集めれば集めるほど強くなれるんだ!ほら、きみのタマシイが見えるでしょ?このタマシイに、他の人のLOVEを分けてもらうんだ!」

 

「ヘェ…これが、ボクのタマシイネェ…?」

 

ふわりと目の前に現れたハート型の物体を見て、マホロアは思わず目を細める。タマシイ、という言葉は聴き馴染みの無いものだったが、赤色に、黒に、紫にと、混ざり合うように色を変え続けるそれは、まるで鏡を見ているかのように、こちらを見つめ返してくる。

 

「そう!タマシイっていうのは、キミという存在そのものと言っていいモノなんだ。普段はキミの中にいるけど、今みたいにLOVEの受け渡しをする時には、こうやって外に出せるんだよ!」

 

フラウィは、ぴこん、という音が聞こえそうなくらい大袈裟にウインクをすると、小さな粒を空中に作り出し、見て、とマホロアに声をかけた。

 

「LOVEはね…こうやって、白くてちっちゃな、なかよしカプセルにいれてプレゼントするんだ。今からこれをあげるから、追いかけていっぱい拾ってね!」

 

「ナルホド、分かったヨォ!」

 

――分かるワケネーダロ!と、マホロアは心の中で叫んだ。この花が“なかよしカプセル”と呼んだ白い欠片は、どこからどう見ても小さな魔力球の類いである。

痛いのも嫌なので、素直に受けてやるのは正直言って面白くない。が、ここで安易にこの花を攻撃するというのも、この先の展開がどうなるか分からない以上避けたかった。迷っている間にも、魔力球はゆっくりとこちらに距離を詰めてくる。疲れのせいもあってか回りきらない頭で、結局マホロアが出した答えは―――

 

「ウ、ウワーッ」

 

こっそり威力を軽減しつつ、素直に受けることだった。流石に複数の球に当たることは避け、覚悟を決めてぶつかりに行った。見た目よりもダメージを負ったことに驚いたが、それでもまだまだ余裕はある。もちろん、痛みに怯える表情と、辛そうな悲鳴を上げることは忘れないが。

フラウィはそんなマホロアの様子を見て、顔と態度を大きく変えた。演技に気付いている様子もなく、馬鹿にするように笑い声をあげる。

 

「バカだね!」

 

「ナ、ナニするんだヨォ!」

 

「このせかいでは、殺すか殺されるか、なんだよ!お前みたいなイレギュラー、通すわけないだろ!」

 

動けない演技を続けるマホロアの周りを囲むように、ざらざらざら、と球が配置される。小さい分、魔力消費が少ない技なのかなんて分析を挟みつつ、この窮地を脱する方法を急いで考える。

もちろん、攻撃したり、分かりやすく防御してしまえばそれまでだが、それでは先程攻撃を受けた意味がまるで無い。そんなくだらないことはしたくなかった。

フラウィの先にあるゲートの奥をちらりと見るが、やはり誰かがいる気配はない。助けがくる可能性もないとなると―――

 

「助ケテ、ローア!」

 

「はぁ!?」

 

誰かに助けを求めるふりをして、異空間バニシュで逃げる、この手が最善に思われた。突然消えたマホロアの姿を必死で探すフラウィの横を通り抜けゲートの奥まで進むと、魔法を解除して姿を現す。振り向くと、フラウィはもういなくなっていた。

 

「これで、ボクのチカラじゃない…ッテ思ってもらえたカナ?」

 

ウンウン、と満足気に頷くと、更に距離をとるために、階段を上り先へと歩を進めた。

 

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