Magolor In Under World   作:青ボタン

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先日最新話を投稿したのですが、二話も投稿抜けがあったことが発覚しました。改めて2話同時更新とさせて頂きます。先に最新話を読んでしまった方、すみません。



レベル3 アルテリア ラボ【ステージ3】

マホロアと別れ、僕は研究所の外で、しばらく待たされることになった。

マホロアがアルフィーを研究所から出して、僕が彼女の足止めをする。無事に彼があの扉の向こうに侵入出来たら、あの“穴”を開いて、僕も中に入る――――そういう作戦らしい。キミが変なコトをしなければ……、とよく分からない念を押された。

 

今までに、一度も入ったことのない部屋。アルフィーが隠そうとする部屋――――そんなもの、気にならないわけが無い。

 

好奇心だけでここまで彼に着いてきた来た“私”にとって、そんな誘いを断る選択肢はなかった。

 

マホロアが研究所に入り、扉が締まる。しん、とほんの少しの最弱が耳に染み込んだ時、当然横から声をかけられた。

 

「ねえ……ねえ、キャラ」

 

振り向くと、小さな黄色い花が、心配そうな顔でこちらを見ていた。彼はプルプルと小さく震えて花びらに着いていた土を落とすと、唐突に

 

「キャラ、あいつの言う事は……信じちゃダメだ!」

 

と。必死な顔で訴えた。

 

二人にバレないように、こっそりと後ろを着いてきていたフラウィは聞いていた。ウォーターフェルを抜けるところで、キャラが眠りについて、少しした後。マホロアが携帯電話に向かって、ぼそぼそ話しかけていた、その言葉を。

 

 

『多分、あの研究所にあるんダヨネ、ボクが探していたモノ。あのバショ周辺の、ハッキングの準備をオネガイ。――ローア』

 

 

“ローア”。彼の姿を消して見せた、謎の協力者の名前。

彼は、ただの不運な旅人なんかではなく。きっと、何か目的があってこの地にやってきた略奪者なのだ、と。

 

「あいつ、きっと何か……悪いことを企んでるんだ!はやく向かった方が――――」

「へえ。面白そうな話だな。……オレも入れてくれよ」

 

フラウィが焦った口調で何かを言った、その瞬間。僕とフラウィの間に、青い背中が立ち塞がった。

 

「サンズ……!」

「なんだ?二人揃って驚いた顔をして。仲良く作戦会議してたんだろ?……もう、お前たちは諦めたもんだと思ってたんだがな」

 

笑った顔のまま、こちらを覗き込んだ目は暗く。反射的に足を一歩後ろに下げ、いつでも避けられるようにと目を開けて前を見る。

フラウィはいつの間にか僕の後ろに移動していて、足の隙間からサンズを怒鳴りつけた。

 

「おまえ、盗み聞きするならちゃんと最初から聞けよ!それどころじゃないんだって!」

「サンズ、ずっと僕たちを見ていたの?いつもは……そんなことしないのに」

「へっ、そうなのか?なら、お前たちがいつもと違う事をしてるんだな。違うか、ええ?」

 

「それは、」と何かを言い返そうとしたフラウィを手で静止する。……アンダインという前例がある以上、ルートが違うとしても、サンズと戦闘にならないという保証が、無い。目の前のスケルトンは、あれだけ戦って、戦って戦って戦って、今まで一度も勝てていないのだ。今度は、アンダインの時のようには行かないだろう。

 

「全部終わったら、リセットするよ」

「だから、なんだ?そんなのはいつもの事だろ」

「このルートでは変なことはしない」

「お前の言葉は、残念ながら信じられないな」

「パピルスは生きてる」

「……」

 

空気が僅かに重くなる。最愛の弟が何度も殺された事実を、今の短い台詞から感じ取ったのか。少なくとも失言であったことは間違いなさそうだった。

誰も何も話さないまま、ゆっくりと時間が過ぎていく。この際、早めにロードしてやり直すべきか……と諦めかけた時、ようやく扉が開いて救世主がやってきた。

 

「え、えっと……あなたが呼んでるって聞いたんだけど、その……あ、あれ、サンズ?」

 

なぜか可愛らしい、よそ行きのワンピースを着て。

 

「……」

「……」

「あ、えと……へ、ヘンだったかな……?か、彼から伝言を貰って、急いで着替えたんだけど……」

 

一体、あいつはアルフィーに何て言ったんだ。心の中で頭を抱える。

サンズはアルフィーが現れた瞬間一瞬驚いて、すぐに切り替えて彼女に微笑みかけた。

 

「似合ってるぜ。どうした?誰かとデートか?」

「え、ええ、そうよ。その……ニンゲンとデート。あ、あんなに熱い言葉を、あなたが彼に伝えさせたなんて驚き!」

「う……うん。その、じゃあ……デート、付き合ってくれる?」

 

若干の混乱は置いておいて、とりあえず話に乗って手を差し出す。アルフィーはその手は掴まないまま、こくこくと頷いた。

行きたい場所がある、というアルフィーを連れて、研究所の前から歩き出す。「見守ってるぜ」と言って、サンズはどこかへと去っていった。

気が付くとフラウィも居なくなっていて、ゴミ捨て場に(なぜか)着いた時には、先程彼にされた話なんか、もうほとんど頭から抜けてしまった。

 

 

……

…………

………………

 

――――人間が手筈通りにアルフィーを連れ出す声を聞いて、マホロアは研究所の扉に鍵をかけた。手馴れた手付きで自分が改造したデスクトップからローアに繋ぐと、すぐに研究所のデータにハッキングを試みる。

 

「……このPC、ゼンッゼンデータが無いナァ。ヤッパリ、別の場所にあるンダ」

 

クローゼットに丸めて隠されていたレポートを乱雑な机の上に広げて、内容に目を通しニヤリと笑みを浮かべる。

 

「アナログ保存してるんダネェ。面倒ダナァ」

 

くるくると紙を巻き直し、机の横に立てかける。

コンピューターの画面を見ると、もうデータの解析は半分ほど終わっていた。真っ先にするように頼んだ電力のデータから作られたマップには、はっきりとエレベーターの記載がされている。

 

立ち上がってトイレのマークが研究所が描かれた扉の前に立つと、静かに扉は横に開いてエレベーターが現れた。ちらりと研究所の入り口を確認する。人間が、いつまでアルフィーを足止めできるか分からない。研究所の事はローアに任せて、急いで行ってみるべきだろう。

 

「ローア、よろしくネェ」

 

マイクのテストも兼ねて声を出すと、任せろとでも言うようにライトがチカチカと点滅する。明かりまでは掌握出来たようだ。

エレベーターに乗り込みボタンを押すと、ゆっくりと扉が閉まる。わずかな駆動音がして、エレベーターは地底のさらに地底へ潜り始める。

 

 

――

―――

――――どこまで潜っただろうか。携帯電話についている時計を見れば、おおよそ五分ほど、エレベーターは潜り続けた。もしかしたら、もう二度とこの扉は開かないのでは、とマホロアが不安に苛まれた時、ようやくその扉は開いた。

 

扉の外は真っ暗で、エレベーターの明かりが少し先の廊下を照らしていた。

ひんやりした風が肌を撫ぜ、ふるりと体を震わせる。

エレベーターから頭を出して、小さな声でローアを呼ぶ。

少しのラグがあって、しかしパチパチと明かりがついた。

 

廊下に一歩踏み出して、ゆっくりと前に進む。壁からピッ、という機械音がして、マホロアを出迎えるように文字が光った。

 

「『No.1。

ついに…王の いらいをじっこうする ときがきた。わたしは 国民たちをかいほうするちからを うみだす。わたしは タマシイのちからをときはなつ。』………オォ」

 

その文字を見て、マホロアは目を輝かせる。ついに、ここまでたどり着いた!マホロアは、通路に沿うように配置された他の報告書を確認しながら、大急ぎで研究所の中を見て回る。

 

……間違いない。ここは、自分がこの星に来た目的の場所。

 

 

『ソウル』の研究をしている、研究所だ。

 

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