Magolor In Under World   作:青ボタン

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とってもお久しぶりです。そしてWiiデラックス発売おめでとうございます。明かされてしまった彼の過去のこの小説の設定との間でやや苦しみましたが、パラレルワールドということで、ひとつ。
今だけはデラックスの事は忘れて読んでくださいね。


レベル3 アルテリア ラボ【ステージ5】

けたたましいサイレンが、地底中に響き渡るんじゃないかという音量で鳴り響いた。何故かアルフィーに連れられたゴミ捨て場でまごまごしていた僕達は、大急ぎで音の発信源──研究所まで戻る。彼女を足止めした方がいいかもしれないと思ったが、それよりもサイレンの五月蝿さが勝った。ようやく辿り着いた研究所の扉は開け放しになっていて、中を見ると真っ赤なライトが点滅している。

 

「な、何が起こってるの……!?わ、わたし……とりあえずこのサイレン、止めてくる!」

 

アルフィーはそういうと、研究所に駆け込んでいく。僕も、見たこともない研究所の様子にケツイを抱くと、すぐにその後を追った。

 

「ど、どうして鳴り止まないの…!?そ、それに、こんな警報を鳴らす機能なんて、そもそもわたし……」

 

真っ青な顔で必死にキーボードを叩くアルフィーをよそに、何か変化が無いかと研究所を一周する。二階の隅々まで調べて何も無い事を確認してアルフィーの元まで戻ると、騒ぎを聞き付けたらしいメタトンとサンズが、アルフィーと一緒にモニターを見ていた。

 

「こういうのは、一旦叩いてみれば良いんじゃないかな?アルフィー」

「だ、駄目だよ……!もし壊れたら、私じゃゼッタイ修理なんて出来ないんだし……」

「止めるより先に、原因を調べた方が良いんじゃないか?オイラ的には……あー、人間、あんたが何か知ってるんじゃないかと思ってるんだがな」

 

サンズの一言で、探索から戻ってきた僕に三人の視線が集まる。知らない、と首を振ると、サンズはふんと鼻を鳴らした。

 

「じゃ、しょうがないな。アルフィー、心当たりは無いのか?」

「う、ううん……そもそも私、ニンゲンとゲートしてて研究所にいなかったし……」

「僕もその時間は生放送に出ていたからね。あまりにうるさすぎたから、中止になったけど。ああ、3人の視聴者に申し訳ないよ!」

「い、一旦扉を閉めて外に出ようか。サイレンは中から発されてるから、少しは静かになるはず……」

 

と、アルフィーが言った瞬間。開け放しだった扉が、行かせないとでも言うかのように閉まった。と同時に、あれほど鼓膜を破らんばかりに鳴り喚いていたサイレンの音が、ピタリと止む。

 

「あ、あれ……?何もしてないのに止まった……や、やったあ!」

「アルフィー、喜んでる場合じゃないよ!扉、あかないんだけど!?」

「え、ええっ!?待ってて、今開け……あ、あれ……なんで?こっちからの操作を受け付けなくなってる……」

 

青を通り越して真っ白になっているアルフィーを置いて、扉を調べてみる。近付こうが引っ張ろうが、扉はぴくりとも動かない。完全に閉じ込められている様だ。

三人にそのことを伝えた瞬間、今度は例の扉──トイレのマークの書かれた扉が、突然勝手に開いた。まるで、僕達を導こうとするかのように。

思わず、四人で顔を見合わせる。アルフィーの顔は一周したのか、黄色に戻っていた。

 

「……行ってみるしか無いみたいだな?」

「ま、待ってよ……!ダメ……!本当に……!!」

「行っておいでよ。そうじゃなきゃ僕達、ここから出られないんじゃないかな?」

 

二人に続いて僕も、行こう、とアルフィーに声をかける。当初の予定とは全く違っているが、入れるならばそうしない手は無い。

狼狽えるアルフィーと2人を置いて、早足で扉へ向かう。不安など感じる必要はない。いざとなれば、さっきのデータをロードすればいいのだから。

 

扉の奥は当然トイレなどではなく、意外にもエレベーターになっていた。呼ぶまでもなく、エレベーターはその扉を開けて、じっとこちらを待っている。まるで僕らに縋るように。助けを求めるように。

 

中に乗り込むと、少し遅れてサンズも乗り込んできた。メタトンは、もしもサイレンを聞いて集まってきた人を安心させるため、研究所で待機する……と言って外を指さした。言われてみれば、いつの間にか研究所の扉が開いている。

「じ、じゃあ、べつに行かなくても良いよね」とアルフィーは僕達が乗り込んだあとも渋り続けたけれど、『早く乗れ』と言わんばかりに一音サイレンを鳴らされて、悲鳴を上げながら飛び込んできた。

 

アルフィーが乗った途端に、エレベーターの扉が閉まる。そして操作もしていないのに、エレベーターは静かな音を立てて降下を始めた。…………長い、長い降下だ。

本当に動いているのだろうか。本当は既に止まっていて、扉が開かないだけなのでは──そんな心配すらし始めた頃、突然エレベーター内にノイズ音が響き渡る。天井に取り付けられているらしい、スピーカーからの音だ。

 

『ザ───ザザ─────』

「ひぃっ!な、なに!?」

 

隅で気配を消していたアルフィーが、思わず声を上げる。

 

『ザザ───h───p』

 

音を継ぎ接ぎしたような、不思議な音声。声はおそらく色々なモンスターの物だ。メタトンの声も聞こえる。うっすらBGMの入っている、テレビから無理やり切り取ったような音。

 

『H e l p』

 

「……助けて?」

思わず、天井に聞き返す。……が、返事は帰ってこなかった。

代わりに、エレベーターの振動が止まる。どうやら、到着したらしい。なにやら物々しい雰囲気が、閉じた扉の向こうから漏れ出してくる。

 

「へへ……凄い気配だな。この外に何がいるってんだ?」

 

サンズが冷や汗をかきながら、あくまで冷静に努めて言う。瞳の奥に、薄らと青い光が揺らいだ。……あのサンズが、僕以外を相手にこうも取り乱すとは。興奮で浮き足立っていたこの身にも、流石に不安感が頭をよぎる。急なことで、食べ物の準備もほとんど出来ていないのだ。

一度ロードをして、準備をしてから出直すべきか────と、目を瞑り。そして、猛烈な寒気が背中に走る。

 

ロードが出来ない。リセットすら、触れられなくなっている。というよりも、この世界から、時間軸からこの空間から──抜け出すことが、出来ない。

 

青ざめて目を見開く僕の目の前で、ゆっくりとエレベーターの扉が開く。エレベーターに乗った時の興奮とは相反して、今度は不安しか感じなかった。エレベーターの光が、ゆっくりと外の暗い地面に伸びる。

 

やがて扉は、全て開いた。




誤字報告と感想、誠にありがとうございます。皆さんの感想のおかげで、ウルトラスーパースローペースながら続きが出せています。完結間近の筈なので、良ければもうしばらく応援お願いします!
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