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「ベル、何処ですか、ベル!」
俺は後を追って店を飛び出した。いくら高性能といってもこの世界にはGPSや人工衛星なんて便利な道具はない。だから地道に探すしかないのだ変えど、今のあの子はなにをするか家族である俺も予想がつかない。俺がぶっ飛ばした獣人にボロクソ言われメソメソと泣くだけならまだ俺とヘスティア様が叱れば良い。でももし、あの臆病なベルが1人、あんな鎧も身に着けてない格好でダンジョンに潜ったなんて可能性が……だとしたらマジでヤバイ。
「捜索区域を変更。目標、ダンジョン内」
俺は商店街からダンジョンへ行く先を変更、生憎と武器は教会内に置いているのでモンスターを相手取るしかないがまぁ現地調達するので問題ない。
人のいなくなったダンジョン。本来ならこんな時間に潜る人は限られるために灯りも少なく朝の光景と比べガランとしている。
「ダンジョンアタック開始」
俺は勢いそのままに螺旋階段──―を使わずに真ん中穴をそのまま落下、目標の階へと急ぐ。ベルのレベルやステイタスを考えて恐らく上層5から7層のどこかに居るはずだ早く探し出さないと大影を追う事に────それだけは避けなくては。
ダンジョン内を身体能力に身を任せ、かなり速いスピードで走る。道中モンスターがポップしたようだが……関係ない!
「ガァぁぁぁ!」
敵はカエル型、動きは鈍く、攻撃は単調! 敵の舌攻撃をジャンプして飛び上がり身を捩らせ回避しながら右腕の機械を露出。内部エネルギーを腕内部にあるシリンダーへと圧入、そしてピストンで圧縮し敵を殴るのと同時に──―放出!
「ブースト・ナックル!」
敵に触れた瞬間腕が高速で撃ちだされ一撃のもとで敵を屠る。それを何ども続け2体3体と次々に殴り飛ばしていく。敵は多いが倒さない強さではない。しかし何より数が多い!
右腕のみの武装では対処が難しいと判断、左腕の武装も使用も視野に入れる。 右腕で敵を屠り左腕で突き刺す。 そして増援の数が俺の処理速度を超えた時、とうとう避けられない攻撃が繰り出された。
「シールド──」
その瞬間左腕の機械部分を露出、シールドを展開攻撃を防ぎ。直後ソイツへと左腕を向ける。
「──―アンカー」
そのシールドを射出し敵の体を突き破る。その後は完全には俺も覚えてはいない。やけに多い敵を屠り、屠り、屠りまくる。右腕の武装を、左腕のシールを、時には脚部に装備されたスラスターを利用した蹴りを使い屠った。そして、等々俺はベルを見つける。
「ベル」
「姉、さん」
見つけたベルはそれはもうボロボロで。もう少し遅ければ死んでしまっていたのでわ? っと疑問に思うぐらいに疲労している。
「ベル、何故このような危険な真似をしたのですか」
俺はボロボロなベルへと問う。ベルはボロボロであるがなんだか言いにくそうな様子だが。まぁこんな真似をした理由なんて一つしかないか……ハァ。
「……バカにされて、悔しかったのですか?」
「ッ!」
まぁ、ベルも14歳であるが男だもんな。あれだけバカにされれば腹も立つ。でも、ここまで危険な真似しなくても良いと思うのだが……ハァ。恋は盲目と言うがリスクすら盲目によって消されるのか。……恋は厄介、危なすぎるな。
「ハァ~……詳しくは聞きません」
「……ゴメン」
本当にベルってば
「何がともあれこんなにボロボロになるまで1人でダンジョンアタックを慣行したんです、二度とこのような危険な真似はしないでください」
「それは姉さんもだよ……僕を追いかけるためにここまで1人で―――」
―――そうだった。俺も1人でダンジョンアタックしてるからあんまり人の事言えない立場だわ。ハァ~……ヘスティア様怒ってるだろなぁ。
「そうでしたね、なら、一緒にヘスティア様に怒られましょう」
「うん。本当にゴメンね、姉さん」
俺はボロボロのベルを背負って階段へと目指す。はぁ、脳内時計によると今の時間帯は朝方と示してる。つまりは一晩中ベルを探すために駆け回ったって事になるし…‥‥俺達めちゃくちゃに怒られるんだろうなぁ、憂鬱だ。
※※※
クラネル姉弟が帰って来ない。
何時もなら私がバイトから帰ってくるとテオスが出迎えてくれるはずなんだけど今回はそれが無かった。
ベル君もベル君で帰って来ない、これは本当に何かあったんだろうか……心配だ。
特にテオスが一番心配なんだよね……あの子は何かと特殊だから。
テオス・クラネル
種族名、機械人形。
過去、僕達神が下界に降りるよりもはるか昔。機械人形という種族は人間の子供達によって生み出された。最初は対モンスター用の兵器だったけれど技術の発達によって私達神すら滅ぼす存在へと進化した時神の怒りに触れ、そして滅ぼされた。
人間の身勝手よって生み出され、そして神の身勝手によって滅ぼされた種族。一部の神しかその存在を知ってはおらず、その種族を生成する技術もヘファイストスすらも再現ができないほど精密で、そして難解。
だからこそ何も知らない神や逆に知っている神の目に止まったりしたら……本当に不味い。
どういう事情でベル君とテオスが出会ったかはわからない。けど、テオスだけが機械人形という種族の最後の生き残りだと言う事はわかる。
自由意志があり、そして他の子供達の様に笑って、怒って、そして泣いて……他の子供達と機械である事以外は他に何ら変わらない。
だけど―――
「テオスは何だか昔見た機械人形の子達と違う気がするんだよね……一体なにが違うんだろう?」
夜が明けそして朝日が昇ると同時に、僕が待ちわびた二人が帰って来た。
「もう、二人とも何処に行っていたんだい……ってその姿を見れば一目瞭然か」
二人共ボロボロな格好で気絶同然の様子でテオスの背中で寝ているベル君。
ベル君がボロボロなのはいつも道理だけどテオスがボロボロなのは珍しい。それどころかダンジョンへと行くこと自体彼女には珍しい行動だ。多分だけどベル君が無茶してテオスが駆け付けたって事だと思うけど……二人共どれだけ壮絶な戦闘をしてきたんだよ。
「申し訳ありませんヘスティア様」
「テオスは……その様子だと僕が怒っている理由も分かってるみたいだね」
「肯定、ベルを助ける為とは言え、単独での、素手によるダンジョンアタック。主神であるヘスティア様へと心配をかけた事を深く反省しております。今後はこのような事が無いようよりいっそう「そんなに堅苦しくしなくて良いから……ほんっとテオスは融通が利かないな」申し訳ありません」
っと言うかこの子素手でダンジョンへと向かったのか……以外とワイルドな一面があるんだね。そんな風に思っていると突然テオスは膝を付いてしまう。あぁ、大丈夫かいテオス!
「少々無理を重ねましたので内部エネルギーが枯渇しております、少々暇をもらいます」
そう言ってベル君を僕に預けて教会の中へと入るテオス。その足取りは安定せずふらふらであることから本当に疲れているんだろうなぁ……
「うっ‥‥神、様」
ベル君が起きたみたい、これはきつく叱る……事できるかな? ベル君は見た感じでも分かるようにかなり疲弊している。今日はまともに会話もできないだろうなぁ。
「おはよう、ベル君。どうやら凄い無茶をしたようだね」
「ごめんなさい……神様」
こうしてベル君達の一日はやっと終わったんだと思う。でもベル君、その後にベル君発したその言葉の意味、分かって行ってるのかい? その恋を叶えるために強くなろうとするだなんて…‥‥本当にバレンなにがしの事が好きなんだね。……ホント、嫉妬しちゃうよ。