「それではヘスティア様、これがご要望のドレスとなっております」
「わぁーお、本当にテオスは何でもできるね。僕の好きな青色と清水色のツートン、それに加えあんまり詳しくない僕から見ても丁重な作りだと分かる細かなバラの装飾品……うん、完璧、僕の注文以上の仕事だよ!」
「感謝。神々の集まる宴と言う事だったので、いつも以上頑張りました」
そうやって俺の仕立てたドレスに身を包み、笑顔で姿見に映る自身の姿を見つめるヘスティア様……俺、本当に頑張ったよ。俺はこの半日を振り返る。
事の始まりはヘスティア様の有難いお話を終わった直後ぐらいまでに振り返る。
話し終わったヘスティア様は突然座っていたソファーの上に立ち上がると僕達をニヤついた表情で見つめて来た。何だ何だと俺は思いながら見ていると突然―――
「っと言うわけで二人とも、今夜から2、3日留守にするけど構わないかな?」
―――何て言いだした。一応その用事を聞き出してみるとビックリ、何でもガネーシャ神主催の宴に行ってくるとかどうとかで留守にするらしい。
ほへー、神主催の宴って事で他の神様も集まって騒ぐんだろうなぁ~なんて能天気に考えているのもつかの間、俺の脳裏に一瞬嫌な予感が走った。
「それではヘスティア様」
「ん? 何だいテオス」
「お召し物はどのようにするおつもりで?」
俺の記憶が間違ってなければヘスティア様ってドレスコードの服って持ってなかったような……
「ん? 前に仕立ててもらった物を着ていくつもりだけど―――」
「…」
―――それってこの前着たとき胸が苦しいとか言ってなかったけ?
「姉、さん?」
ヘスティア様の発言なさったお言葉があまりにも予想外だった為にフリーズしてしまったが気を取り戻した途端、俺はすぐさまに建物を飛び出し店の並ぶ大通りへと急いだ。
コツコツと偶にダンジョンに潜って溜めていた貯金を解放し、お世話になっていて伝手のある店からすぐさま良い生地を購入。何故か俺の脳内メモリーには服の型紙が記録されてるから制作やデザインに関しては問題ないけど――
「わ! もう帰って来た!?」
―――ヘスティア様ああああ、なんであなたはそうやって大事な事を直前に言うんですかああああああ!
帰って来た俺に対して驚くヘスティア様を他所に俺は最適なサイズを割り出す。ベルは既にダンジョンへと向かっているらしく部屋の中に姿はなかった。クソ、前回より胸がやっぱりデカくなっていやがる……神は不変とか言うけどぜってぇ嘘だ。
その後ヘスティア様から色だとかデザインだとかの要望を聞き出し俺は服の制作に取り掛かる。その最中胸を強調するデザインと言われて仕立て中に内心キレたのは内緒だ。そして、今に至る。
「これで今夜の宴には問題ないでしょう」
「うん! ありがとうね、テオス」
笑顔でお礼を言われ。その笑顔を見た途端に体に蓄積されていた疲労感が癒されるのを感じ、あぁ~、頑張ったかいがあったんだなぁ~なんて考えながら俺はソファーへと倒れで寝た。正直精神的にもう、限界。
※※※
ありがとう!テオス、ロキのあんな悔しそうな顔はボク、初めて見たよ!
神々が集まり情報交換や楽しく飲み、そして楽しむガネーシャ主催の宴。
そんな宴に僕はベル君の助けになる為にと思い、神友でファイストスと会う為に来たんだどまだ中々見つけられない。ちょっとした気晴らしにと宴に出ている食べ物をつまんでいると比較的あんまり会いたくないけどマシな女神、フレイヤがこっちに来た。
「こんばんわヘスティア」
「ふ、フレイヤぁ」
フレイヤはいつも道理女にのボクから見ても綺麗で、なんだか楽しそうにしている所をみるに良い事でもあったんだろうと予想できる。
「お邪魔だったかしら?」
「ボクは君の事苦手なんだ」
正直な事を言うと笑ってそういうとこが好きという始末‥‥‥‥やっぱり沢山の子供達を抱えているファミリアの神は器も違うのかねぇ。
それからちょっとだけお喋りしていると途中後ろに嫌な影が――
「まぁ、きみは まだマシな方なんだけどね」
「おーい!フレイヤーーーーーーードチビ!」
「あらロキ」
僕の一番に苦手な神、ロキ。毎度毎度ボクの背に関してバカにしてきて……コレだから苦手なんだよ。
「何しに来たんだよ君は」
ボクは呆れながら問うけど……多分ボクを笑いに来たんだろうなぁ。
「なんや、理由が無かったら来たらあかんのか!」
「かっ…!」
ホラやっぱり!僕を笑いに来たんだぁああああ!
うぎゃーっとなりそうになったが沈まれぇ~、沈まれボクぅ。
「ッゴホン。でもちょうどよかった」
今回はへファイトスに合うことが目的だったけど丁度いい、ロキにはベル君の初恋愛相手であるヴァレンなにがしについて聞きたい事があったんだった。
「ロキ、君の所にいる剣姫。ヴァレンなにがしには付き合っているような男や伴侶はいないのかい?」
僕がそう問うとロキは目の色を変えた。
「アホォ、アイズはうちのお気に入りや、ちょっかい出す奴は八つ裂きにしたる」
「ッチ」
だろうと思ったよ、まったく。伴侶なり彼氏なりがヴァレンなにがしにいたらベル君だって僕に目を向けると思ったのに‥‥…ッチ。
「あ、そうそうアイズと言ったらドチビ」
「誰がチビだ無乳!」
ロキがいきなりドチビと言うから無意識的に無乳と返したがなんだろう。ヴァレンなにがしに聞いた事にひっかりでも覚えたのかな?
「な、ッゴホン、今回はうちも気になっとることがあるから無乳呼ばわりは許したる」
「それで何だい」
「ドチビの所の白頭の坊主、その姉がうちん所のベートを平手打ちで気絶させたんやけど何か知っとるか?」
「ッ!?」
て、テオス!? 何やらかしてくれてるんだい!!
テオスは基本そんな事をするような子じゃないとはわかってるけど一体全体どういう事なんだいホントに。それにロキファミリアの子を一撃で気絶させた? レベル1のあの子にそんな力があるはずないし………ってどうゆう事なのさ! まさかあのスキルが関係して―――
「へぇ、それは面白い話ね」
「やろ?」
っと。今はそんな事を考えている暇じゃない、何とかこの場を切り抜けないと。もしテオスのスキルがしれたりしたら……うッ。
「不意打ちだったとは言えそんな事をできる奴は限られとる」
「確かロキのファミリアの子供達は軒並み実力者揃い、それに加えロキ個人が把握している子となるとそのファミリアの中でも上の方にいる子のはずだから―――ねぇ」
や、ヤバイ。まだロキ相手だったら誤魔化しも通じたかもしれないけどよりにもよってフレイヤが興味を示し始めちゃった……もう! アレだけ他の神に目を付けられないように言った後だってのに……、なんで神に目を付けられていて問題起こしてるんだよぉ。
「へ、へぇー。ベル君にお姉さんなんていたんだ。は、初耳だなぁー」
嘘はついてない嘘は。ベル君とテオスは義理の兄弟だから実の姉なんて僕は知らない!そう、僕は知らないんだ!!
「ふぅ~ん、ドチビが把握してないとなるとファミリヤにはいなっちゅうー事になるし……うん~」
「ふふふ」
よし、ロキは誤魔化せた。けどフレイヤが何だか意味ありげにこっちを見てるよぉー! 助けてベルくぅーん!
そんな悲鳴を内心上げていると救いの女神が降臨した。
「あれ? ヘスティア?」
「!」
声のかかった方へと目を向けるとそこには赤いドレスに身を包んだボクのお探しの女神―――
「ヘファイストス!!」
鍛冶の神、ヘファイストスがいたのだった。
でーきた