ちょっと白兎のお姉ちゃんになった、そんな話。   作:サソリス

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第六話

 俺は今完全武装でベルと一緒にダンジョンへと向かっていた。

 

「本当について来るの?」

 

「ヘスティア様が不在、それに私も力を付ける必要がありますから」

 

 ヘスティア様が宴へ出かけて2日ほどたったぐらい、俺はとことん暇を持て余していた。だってさぁ~教会の修繕も材料がなくなったから出来ないし、味見役であるヘスティア様がいないから前世料理再現をやろうにも出来ないしで暇すぎた。

 

「ソファーの損傷を確認、メンテナンスを実行しま──―ッ!」

 

 だからそんな中、ソファーを修理をしようとした時にふと俺の脳裏に浮かんでいたステイタスを書かれた紙を思い出してこう思った。このままじゃベルに置いて行かれるんじゃね? っと。

 

今のベルはヘスティア様曰く今成長期。だから戦えば戦うほど他の者とは違い早く強くなれる。そして強くなればなるほど更なる成長の為にもっと強い敵求めて奥深くへと潜るだろうだろう。でも、その結果ベル自身の死亡率が今まで以上に高くなってしまう。

 

 これに気付いたってか気付くのが遅いと自分でも思うけど焦ったね。このままだとベルをいざと言う時に助ける事ができないって。

 

今までのベルだったら成長期に入る前だった為に成長速度が俺よりも遅かったので今後パーティーを組む事を見込んでパワーレベリングにならないようあんまりダンジョンアタックをする必要が無かったけれど……今のベルは成長期、俺の想像以上の速度でに強くなるだろう。そしてこの前のダンジョンアタックで判明した俺の技術力不足。アレだね、この前のダンジンアタックで思い知ったけどステイタスの割に戦う技術が貧弱すぎるわ。

完全にステイタス任せのパワープレイで草も生えませんな。後データ不足により露呈したペース配分。今の段階で全体的なステイタスはベルよりも高いはずなのに一晩潜っただけでベルと同じぐらいに消耗しているんだからこれからは考えて行動しないとすぐにスタミナ切れになっちまうのご想像付く。もしこのままだといざと言う時、ピンチなベルへと助けに来たはずの俺自身が彼の足手まといになるだろう。まぁそんな事実に気付いた俺は早速さに準備を整えた後、珍しくいつもよりも遅い時間帯にダンジョンアタックをする予定だったベルについて来ていたりするって訳さ。

 

「そういえば神様2、3日留守にするって言ってたけど今日も帰ってこないのかな?」

 

「不明です。ですがヘスティア様の事ですから恐らく今日あたりに帰ってくると予想できます」

 

「ん~…でも心配だね」

 

そんな話をしながら歩いてしていると―――

 

「おーい!」

 

何処からともなく声がかかった。なんとなくそちらへと目線を向けてみとなんだか見覚えのある服装に身を包んだ獣人の女性がこちらへと呼びかけていた。

 

「待つにゃ白髪頭、頼みがある―――って白髪頭が二人?」

 

‥‥‥‥そういえばこの場所って豊饒の女主人がある道じゃん、あの時はベルをストーキングする事に夢中で道覚えてなかったから気付かなかった。

 

「えっとアンタ誰ニャ?」

 

「この子の姉です」「僕の姉さんです」

 

それに加えあの時はフードを被って正体隠してたからまぁ今回が実質初対面みたいなもんか。そんな感じ三人で見つめ合う数秒間にて何か気づく獣人さん。

 

「あっ、おはようございますニャ」

 

なるほどなぁー、挨拶は大事だもんなぁ。されたら返すのが常識、でもこのタイミングでやるか普通。

 

「おはようございます」

 

「お、おはようございます」

 

ベルもなんだか取り乱してるっぽい。おうベル、おめぇの知り合いには俺含め変わり者しかいない感じか?

そんな感じで俺達は彼女の元へと近づき事情を聞いてみる事―――。

 

「って剣姫!?」

 

「ただのそっくりさんです」

 

―――の前にひと悶着あったが問題なかった。ってか毎度の如く剣姫って人と間違えられるけどそんなに俺と彼女って似てる訳?

何て考えながらも彼女の話を聞くとどうやらベルの知り合いのシルって方が財布を忘れたらしく、ちょうど彼女の知り合いでもあるベルに届けてほしいらしい。でもその説明の内容が端折り過ぎてベル自身は内容を理解出来てないみたいだけど。

 

「そ、そうニャンよね。よく見ると獲物も違うし瞳も髪の色も違うニャン。ただのそっくりニャンか」

 

「そっくりニャンです」

 

「真似するなーっとそれより弟白髪頭ニャン、話は分かったニャン?」

 

「えっとぉごめんなさい。まだ、話がよく見えないのですが……」

 

仕方ないなぁ~俺が説明してやろうと思った所に予想外の声がかかる。

 

「アーニャ、それでは説明不足です」

 

店の奥から洗濯物を抱えた女性が出て来た。キリっとした感じのエルフ族の女性はそのまま話を続ける。

 

「クラネルさんも困っています」

 

「リューはアホにゃ。店番サボって、モンスターフィリアを見に行ったシルに忘れ物を届けてほしいニャンって、いちいち言わなくても分かる事ニャ」

 

いや、俺は普通じゃないからわかったっけど普通の人だったらその内容を説明しないと全然わかんないからね。

 

「と言うわけです」

 

ほら、リューさんって言うエルフ族の女性も説明放棄してんじゃん。ってかこの人もなんだか一癖二癖ある感じが滲み出てて変わってそうだなぁ。

 

「なるほど」

 

「シルは無論サボった訳ではなく、休暇をとってでの祭り見物です。今頃財布が無くて困っているでしょう。お願いします、クラネルさん」

 

でも仲間思いではありそうだね。そしてその頼みを優しいベルが断る訳もなく了承するんだ。ほんっとお人好しなんだから。

 

「ごめんね、姉さん」

 

「問題ありません。困った時はお互い様です」

 

でもここで一つ問題なのが―――

 

「で、あのぉモンスターフィリアってなんですか?」

 

俺達はここに来てまだ半年ほどしかたってはいない。だからこの土地のイベントなんかに疎いからわかんない事が多いんだよなぁ。

 

「モンスターファミリアってのはね―――

 

その説明によるとモンスターフィリアとは年に1度、ガネーシャファミリア主催のお祭りらしい。内容は迷宮から連れ出したモンスターの調教をコロシアムを貸し切って見世物にする祭りらしく内容的にはかなりハードなモノだ。野蛮だけど確かに民衆受けして盛り上がりそうな祭りだな。

 

「そんなお祭りが」

 

「そうにゃ。毎年お客で溢れかえってると思うニャンからシルを探すときには要注意だニャ」

 

マジか……ハァ、そうなると祭りで一日つぶれると思うから今日はダンジョンに潜れないだろうな。

 

その後、ベルは財布を預けられ俺達はその祭りへ向かう。せっかく万全を期して戦う為、彼方から開発を続けていた俺専用の装備、沢山持って来たのに骨折り損だなぁ。そんな事を考えながら俺はベルの後をついて行くのであった。

 

「シルさんの言ってたと通りだ」

 

「人口密度が高いですね」

 

そして安良状人が多すぎて人っ子一人見つけるのにも苦労しそうな感じである。例えるなら前世で何度か見た人混み沢山な渋谷のスクランブル交差点。そんな中でどうしたモノかと俺達は考えていると―――

 

「おー! ベル君! テオス!」

 

ありゃ? この声は。声のかかった方へと顔を向けるとそこには見慣れたロリ巨乳が―――ってヘスティア様!?

 

「神様どうしてここに???」

 

「ヘスティア様、ご用事はお済みで?」

 

「うん! もうばっちり。それとボクがここに居るのは君達に会いたかったからだ!! 主にベル君と―――…

 

最後の方何か言っていたみたいだけど俺には聞こえなかった。まぁ、多分だけどベルと会いたかったんだろうさ。この神様、ベルに対してぞっこんだもの。

 

「あ…はぁ、僕も会いたかったですけど」

 

そして我弟ながら完璧な返しである。やっぱベルは優しいからなぁ、ヘスティア様の事も心配してたみたいだし……ッは!

 

この瞬間俺の脳内に閃き走る。【もしかしてヘスティア様ってベルに対して――――片思いをしているのでは?】っと。

 

でも、ベルには初恋相手に剣姫がいるからそれを知っているヘスティア様の恋は発生していないかもしれない。けど正直片思いしていないって証拠もないし、何なら逆に”ボクはベル君LOVEですよー”って感じの証拠は普段からの態度を見ていればいくらでも証拠が出てくる。だとしたらその事に気付いた俺はどっちのアシストに回ればいいんだ……ベルの恋も知ってる、ヘスティア様の恋も今気が付いた。片方に回れば片方の恋が叶わなくなることに―――あぁ~マジでどうしよう。

 

「すばらしいね!」

 

俺は悩んだ。他人にとっては一瞬だろうけど思考を加速させている俺にとっては何時間もの出来事。そして思考回路をフル回転させて結論を出す。ハーレムで全員娶ればよくない? っとね。あ、決して思考放棄とかではないので悪しからず。

 

「すいませんお二人共」

 

「ん? どうしたんだいテオス」

 

「どうしたの姉さん。」

 

そうと決まればすぐ行動。

 

「少し用事を思い出したので私は離れます。なのでお二人でこのお祭りを楽しんでください」

 

「えぇ!?」

 

「おぉ、わかったよテオス!」

 

俺のナイスアシストが効いてるのかヘスティア様がいつも以上の笑顔でベルを引っ張っていく。これでOKでしょヘスティア様、俺はあなたの恋を応援していますよ。そんな感じで俺は―――

 

「さて、この空いた時間、どうやって潰したモノか……」

 

―――暇を持て余すのであった。




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