男が少ない世界で人生を謳歌するために必要なのは? そう紳士道!!   作:庫磨鳥

1 / 19
好きなあべこべ小説を読んでいたら、どうしても書きたくなったのでサブ小説としてちまちまと書いていきたいと思います( ̄▽ ̄)。

作者の別作品を愛読してくれている方向けとなりますが、この作品では特殊タグは滅多に使わないと思うので、それでも見て頂けたら幸いです。


はじまり

気がつけば自分は四歳の子供となっていた。それから三ヶ月後、二十代にしか見えない母と年の離れた姉に対して全力で子供の可愛さというものを見せつけて悶絶させる遊びをしていた時に、これは転生と呼ばれるものであることに気付いた。

 

さらに言えば前世の地球とは異なる、いわゆる異世界みたいで、なんと男性の数が女性に比べてかなり少ないらしい。その比率は男性が1だとすると女性が20ほど。私はそんな世界にて前世と同じく男性として生まれた。

 

道理でテレビ番組に出演するタレントの殆どが女性で、いまいちパッとしない男が瞬きほどの時間でも出ればアイドル並の黄色い声援が沸くはずだと納得した五歳の春である。母親も姉も、子供の遊びに付き合って派手に喜んでくれているという勘違いが解消されたのも同じ時期であり、どうにも世間一般的な息子という存在は家族には冷たくするものが多いらしく、それに比べて自分は愛想と優しさを振りまくものだから、あのド派手な反応は感極まった果てのガチだった。

 

時折呟いていた神様が贈り賜った天使と言うのは実の息子である自分のことだったらしく、恍惚とした表情で言うものだからてっきり変な宗教にでも入っているかと思っていたのだが違ったのか。

 

ともあれ、自分はガチの反応であるとは想像すらせず、時には鼻血を噴射させて、時には泡吹いて倒れさせて、その反応を迫真の芝居だと楽しんでいた。知らぬこととはいえ母と姉には本当に申し訳ないことをしたと反省するばかりである。

 

……止めたら止めたで酷く寂しそうな顔をしないで欲しいものだ。これで体調を気遣っていると正直に言えば、天使と叫びながら鼻血垂らして倒れそうだから始末に置けない。因果応報とはこのことか、仕方ない大事な家族を悲しませるのも嫌なので、せめて料理を振る舞おう。とにかく卵なら身体にいいだろうと、鉄分摂取も兼ねて肉多めのオムライスを作ってみた。五歳が作るものにしては中々の出来である。

 

「む、息子の手料理……がはぁ!?」

 

せめて食べ終えてから倒れて欲しい。この世界の男性は料理を作らないものなのか、単に母が異常なほどの親馬鹿なのか判断に苦しむ。あと姉は永久保存用に冷凍庫を買おうとするな。バイトを増やそうとするな。

 

なにか自分が家族のためにと行動を起こすと狂喜乱舞を通り越して阿鼻叫喚となる家族を見て、この世界の男というものは神か悪魔の類いではないかと疑い始める六歳。ふと自分がひとりで外に出たことがないことに気付く。

 

年ごとの健康診断、買い物や外食などはしているのだがどれも家族との外出ばかりであり、思えば転生してから一度も子供らしく外で同年代の友達と遊ぶというものをしたことが無かった。

 

とは言うものの、この頃、日本の文字体系とほぼ一緒なため文字が読めた自分は姉の私物である漫画にどっぷり嵌ってしまい。ちゃんと考え出したのは三ヶ月後ぐらい後である。

 

姉のセンスが良いのか所持している漫画がとにかく面白かったのも原因だろう。この世界の漫画は男女七つにして席を同じゅうしないという不文律でもあるのか、地球以上に男性が出る漫画は男性ばかり、女性も同じく女性ばかりであるものの地球人思考の自分でも問題なく楽しめる名作揃いだった。

 

そんな姉も今や大学生。通っている大学は決して近くはないのだが、家族との触れ合い(主に自分)を絶やしたくないらしく、態々片道二時間掛けて通っているのだから凄いものだ。そのことを素直に褒めたら高熱を出してしまい、次の日を休んでしまった。普通に風邪だったと信じたい。

 

閑話休題。漫画もある程度読み終わったころ、子供らしく外に遊びに行こうと思い立ち、母に外に遊びに行くと伝える。

 

「て、天にお還りあそばせられるのですか?」

 

おかしい。この世界では遊びに行くは死を意味するのか? 普通に外に遊びに行くだけだともう一度言えば理由を問われたので、適当に公園で一人カバディをしにいくと伝えると、母は怒濤の勢いで外の世界、正確には女性というものが、どれだけ危険な存在かを説明しはじめる。

 

ふむ、ニュースで女性のセクハラ行動が問題視されていると話題になっていたが、どうせ胡麻を大豆だと言わんばかりに大袈裟に語っているだけかと思ったが、この世界の女性は地球に比べて遙かに生存戦略意識が高いらしい。故にそういった女性の被害にあってトラウマになる男性が多く、誰とも添い遂げずに定期的に精子だけを国家や企業に売って生きるようになるものも多く、中には息子が立たなくなってしまったのも居るらしい。

 

さらに話を聞けば小学校に通う年齢になるまで男子は家の中で育てるのが普通らしかった。もしも小学生未満の男子が一人外に居た場合、最悪その親は育児放棄と見なして親権を剥奪されてしまうそうだ。本気でどうかしている。母は嫌ってくれても良いから母親で居させてと大号泣。

 

母にいらぬ心配を掛けさせて泣かせてしまったことを悔やみ慰める……奇声を上げて鼻血出して気絶したのを介護したあと、この世界になんとも言えない窮屈さを感じてしまい、ため息を吐いた。男なら無条件でチヤホヤされることに舌を出して喜びたいところだが、どうにもそう簡単には行かなさそうだ。

 

オスライオンになる気は毛頭無いが、重婚ありきの異世界なのだ。ここはひとつハーレムを目指してもいいなと秘めていた決意が少し淀む。まあ、それ以前に、とにかく素敵な人と出会いをしたい。女の子と青春を一緒に過ごしたいものである。一人での外出もそのための最初の足踏みのつもりもあったのだが、こうなっては仕方が無い。

 

自分はまだまだ家とテレビと漫画でしか、この世界のことを知らない若輩者。とりあえずは母の言うとおり学校に通うまでは家の中で遊び倒して小学校に通い、この世界をきちんと見聞してから将来のことを考えればいい。

 

であれば、小学校でやることはとにかく女の子と仲良くなることだと計画を改める。小学生の恋路というものがどこまで進んでいるか分からないが、卒業までにはハグ出来るまでの関係性を築き上げたいものだ。

 

もはや殆ど覚えていない前世では女っ気がない人生を送っていた。多少怖い面もあるが何事も挑戦が大事、二度目の小学校生活が本当に楽しみである。

 

「――ここが志亮(こころ)が六年間通う。紅月“男子”小学校だよ!! ってどうしたの志亮!? お腹痛いの!? 救急車呼ぶ!?」

 

――神詩 志亮(かみう こころ)は激怒した。必ず、この世界で自由に生きることを決意した。もうこの世界の常識とか知ったことではない。

 

可愛い女の子とイチャイチャすることに弊害が、危険が、理不尽があるというのならば、その全てを打ち払うほど、そして世界の常識に抗えるほど強く生きよう! であれば自分のやるべきことは決まった!

 

「紳士の道を究めよう!!」

 

「え? “しんし”ってなに?」

 

――どうやら、この世界に『紳士』という言葉は無いらしい。

 




冒頭はダイジェストするもの(違う)。

よろしければ高評価、お気に入り登録、感想など頂けるとありがたいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。