ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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第99話 「ライバルの師匠」

ポケットモンスター

転生したのは初めに旅立った子供

 

第99話

「ライバルの師匠」

 

ジョウトリーグに出場するため、旅を続けるソラタとククリは4つ目のジムがあるエンジュシティにやって来ていた。

 エンジュジムのジムリーダー、マツバとのジム戦に勝利したソラタは無事にファントムバッジをゲットし、続いて翌日にはククリが挑戦することに。

 今回のジム戦ではククリが一人で挑戦するよう言われており、ソラタは観戦に来ない。一から十まで全て自分一人で考え、ポケモン達と共にジム戦に勝利しろと言われている。

 

「こんにちはー! ジム戦に来ましたー」

 

 エンジュジムにやってきたククリは奥から出てきたマツバを見つけると、いよいよライバルの師匠とのジム戦が始まるのだと唾を飲んだ。

 歩いてくるマツバの纏っている雰囲気が、オーラが、今までのジムリーダーとは一線を画しているのが肌で感じ取れる。

 

「よく来たね。早速だがバトルフィールドへ案内しよう」

 

 マツバは時間が惜しいとばかりにククリを案内してフィールドへ連れて行く。昨日、ソラタとのバトルが行われたフィールドは既に整えられており、いつでもバトルが出来る準備が出来ていた。

 

「メグリから聞いているが、君はあの子のライバル、ならばメグリの師匠として君の実力をしっかり見定めてみたいんだ。ジムリーダーとしてだけではなく、メグリの師匠としてね」

「はい」

「よし、使用ポケモンは3体、先に相手のポケモン3体を全て倒した方の勝ちだ。準備は良いね?」

「勿論です」

 

 良い返事だと、笑みを浮かべたマツバがジムリーダー側のトレーナーゾーンに向かったので、ククリもチャレンジャー側に立つ。そして二人の間には審判も立って、両手に赤と緑のフラッグを持って準備万端だ。

 

「これより、エンジュジム、ジム戦を行います! 使用ポケモンは3体、途中ポケモンの交代はチャレンジャーにのみ認められます!」

「よし、ではゆけ! ゴース!」

 

 マツバの一番手はゴース、ゴーストタイプとしてカントーとジョウトではメジャーなポケモンの一体。対するククリの1番手は……。

 

「デルビル! お願い!」

 

 悪タイプのデルビル、ゴース相手には相性では有利なポケモンだ。

 

「ゴースVSデルビル、バトル開始!」

「デルビル! “わるだくみ”!」

「ゴース、“ちょうはつ”だ」

 

 デルビルの“わるだくみ”を、ゴースの“ちょうはつ”で封じられた。

 未進化ポケモンとはいえ、流石にジムリーダーのポケモンというだけあってゴースの方が先に動けたようで、“ちょうはつ”が先に刺さって“わるだくみ”は不発に終わるも、それはククリにとって想定内。

 

「“ニトロチャージ”!!」

 

 ククリの目的はゴースの技の枠を一つ潰すこと。その為にあえて初手“わるだくみ”でゴースに“ちょうはつ”を使わせたのだ。

 同時にゴースの素早さを図る目的もあり、現時点でゴースはデルビルより素早い事が確認出来たため、“ニトロチャージ”を指示して走り回らせた。

 

「ゴース、“シャドーボール”!」

「回避しながら更に“ニトロチャージ”!!」

 

 “シャドーボール”を回避しながら炎を纏って走り回るデルビルは、段々とその速度が上昇していく。

 やがてゴースが目で追えなくなるほどの速度になったときが、チャンスだ。

 

「“バークアウト”!!」

 

 ゴースの背後から放たれた“バークアウト”が直撃、振り返りながら吹き飛ばされたゴースは、その舌を伸ばしてデルビルを一舐めしながら床に叩き付けられ、そのまま目を回してしまった。

 

「ゴース戦闘不能! デルビルの勝ち!!」

 

 まずは一勝、このままデルビルで次もと思ったククリだったが、デルビルの様子がおかしいことに気づいた。

 まるで身体が痺れているかのようにその場で蹲ってしまっているではないか。そこで先ほどのゴースが吹き飛ばされながら舌でデルビルを舐めていたのを思い出す。

 

「“したでなめる”の麻痺……っ!」

「正解だ。タダでは終わらないよ」

 

 麻痺状態になったデルビルは、“ニトロチャージ”で素早さを上げていたとしても、速度が大幅に下がってしまう。

 まだ体力は十分だが、今は休ませるべきだと判断してマツバがゴースをボールに戻すのと同時にデルビルを戻した。

 

「次はお前だ! ゴースト!」

「お願い、ヨルノズク!」

 

 マツバの2番手はゴースの進化系ゴースト、ククリはヨルノズクだ。ヨルノズクはノーマルタイプを持っているので、ゴーストタイプの技を完全無効化することが出来る上に、エスパータイプの技を使えるので、ゴーストに有効打を与えることが出来る。

 

「ヨルノズクか、なるほど考えたな」

 

 マツバはこの時点でヨルノズクの特性を“ふみん”だと予測していた。ゴーストを含むゴーストタイプはエスパータイプの技も使用可能なポケモンが多い。

 そして、使用可能なエスパータイプの技の中には“さいみんじゅつ”と“ゆめくい”というカントー四天王のキクコが得意とするコンボが存在しており割と有名だ。

 ならばその対策として“ふみん”特性のヨルノズクを投入してくる可能性は高く、今までのチャレンジャーにも居たことがある。

 

「なら、これを突破できるか試してみよう」

「では、ゴーストVSヨルノズク、バトル開始!!」

「ヨルノズク! “エアスラッシュ”!!」

「まずは様子見だ、“さいみんじゅつ”」

 

 怯み狙いであろう“エアスラッシュ”を回避しながらゴーストが“さいみんじゅつ”を使用するも、ヨルノズクは一切の効果が無いとばかりに気にすることなく引き続き“エアスラッシュ”を放ってきた。

 

「なるほど、やはり“ふみん”だったか」

「そうです、だからヨルノズクに“さいみんじゅつ”は効きません! ヨルノズク、“サイコキネシス”!」

 

 マツバの予想通り、ヨルノズクの特性は“ふみん”であることが確定したので、マツバの採る戦術は決まりだ。

 

「“スキルスワップ”」

 

 ゴーストがヨルノズクの“サイコキネシス”に捕らわれた瞬間、ゴーストの身体から光のようなモノが放たれ、ヨルノズクも同じく光のようなモノを身体から放って交換するように互いの身体に入る。

 すると、ヨルノズクは突然バランスを崩し、先ほどまで羽ばたいていた羽を止めてしまったのに宙に浮いたままとなって、逆にヨルノズクがバランスを崩したことで“サイコキネシス”から解き放たれたゴーストが床に降りた。

 

「“ふゆう”の押し付け……っ!」

 

 “スキルスワップ”による特性“ふゆう”の押し付け、これはククリにとって身に覚えのある戦術だった。

 マツバの弟子にしてククリのライバル、メグリのムウマが使用した戦術で、それによってナエトルが敗北したという苦い記憶だ。

 

「で、でもヨルノズクは元々空を飛ぶポケモン、“ふゆう”を押し付けられたところで……!」

「だが、これで君のヨルノズクは“ふみん”を失った」

「っ!? しまった……っ!」

「今気づいたとて遅い! ゴースト! “さいみんじゅつ”!!」

「ヨルノズク! 自分の周りに“ぼうふう”!!」

 

 特性“ふみん”を失ったヨルノズクにゴーストの“さいみんじゅつ”が襲い掛かるも、ギリギリで“ぼうふう”を自身の周囲に展開したことで難を逃れた。

 ククリの師匠であるソラタのギャラドスが得意とする攻防一体の戦術、己の周りに“ぼうふう”を発動することで敵の攻撃を防ぐ戦法をククリも学んでいたのだ。

 

「“ぼうふう”による防御結界か……やるな」

「今! もう一度“サイコキネシス”!!」

「ホォオオオ!!」

 

 “ぼうふう”の中でヨルノズクが再び“サイコキネシス”を発動、再度捕らわれたゴーストが、“サイコキネシス”で操作された“ぼうふう”に飲み込まれた。

 

「ゴ、ゴース、ト……」

「ゴースト、戦闘不能! ヨルノズクの勝ち!」

 

 “ぼうふう”が去った後、残されたのは目を回して倒れるゴーストの姿が。戦闘不能となり、ヨルノズクの勝利となった。

 

「やった! ヨルノズク、ありがとう!」

「ホォ!」

「……戻れ、ゴースト。見事な戦術だったよ……ギリギリだったとはいえ、まさか“ぼうふう”を防御に使って“さいみんじゅつ”を防ぐとは」

 

 だが、次のポケモンにもそれが通用するかは、ククリ次第だと最後のポケモンが入ったボールを取り出したマツバ。

 

「最後はお前だ、ゲンガー!」

「ゲンゲロゲーン!!」

 

 マツバの最後のポケモンはゲンガー、ゴース、ゴーストとその最後の進化系であるポケモンであり、カントー・ジョウトにおけるゴーストタイプポケモンの代表格と言って良いポケモンだ。

 

「ヨルノズク、まだ行ける?」

「ホォ!」

「うん、頑張ろう」

 

 ノーマルタイプを持つヨルノズクは、依然としてゴーストタイプを相手に有利に戦えるのは変わらない。

 このまま続投出来るかという問いに頷いたヨルノズクを信じて、ククリはこのまま行くことを決める。

 

「では、ゲンガーVSヨルノズク、バトル開始!!」

「ヨルノズク! まずは“エアスラッシュ”!」

「ゲンガー、“こごえるかぜ”」

 

 開幕、ヨルノズクの“エアスラッシュ”とゲンガーの“こごえるかぜ”が激突、中央で爆発した瞬間、二体は動き出した。

 

「“どくどく”!」

「“サイコキネシス”!」

 

 毒のエネルギーを拳に纏ったゲンガーが突っ込んで来たが、ヨルノズクが“サイコキネシス”でその動きを止める。

 “どくどく”による猛毒を受けるわけにはいかないと咄嗟に動きを止める選択をしたが、正解だったとククリは思うだろう。だが、ゲンガーはそれだけで止められるポケモンではない。

 

「実体を解け」

「ゲン!」

 

 “サイコキネシス”で動きを止められたゲンガーが、その場から消えた。まるで空気に溶け込むかのように透明になって姿を消したゲンガーにヨルノズクも、ククリも慌てて何処へ行ったのか探すが、それは大きな隙だ。

 

「やれ! ゲンガー!!」

 

 ヨルノズクの後ろで実体化したゲンガーの“どくどく”を纏った拳がヨルノズクに直撃、吹き飛ばされたヨルノズクは体制を建て直すも猛毒を受けてしまって顔色が悪い。

 

「あ、あんな回避方法があったなんて……」

「ゴーストタイプのポケモンは本来の姿、実体の無い姿がある。実体のある状態と実体の無い状態、好きに切り替えられるのさ」

 

 ヨルノズク、絶体絶命。猛毒状態になり長期戦が出来なくなってしまった現状、控えているデルビルも麻痺状態でゲンガーと戦うには不利な状態だ。

残るポケモンに全てを託すか、それともこのままヨルノズクの限界まで戦うか、ククリはどちらを選択するのか、次回に続く。

 

 




次回、ククリのジム戦決着、ソラタ不在の状態でククリはゲンガーに勝てるのか、お楽しみに。
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