オグリが心配で、スタッフにさせて貰った。(完結) 作:ハヤモ
そして大胆に(?)会話内容を変更。
恋バナとレースの闘争心は似て非なるモノでしょうからね(謎。
レースの話は程々に(ドロップキック。
漫画にあった靴購入シーンへ。
嫌な事件だったね。
もう あんな目に遭うのはゴメンだが、原因が不鮮明だと懺悔しようが無い。
闘争心溢れるウマ娘の事だ。
レースの興奮のままに、じゃじゃ馬になっただけだろう。
そういう事にしておく。
あまり考えてはならない。
大切なのは過去ではなく、未来だと誰かが言ってたもん。
決して現実逃避ではない。
少なくとも、俺を助けなかったヤツらのトレーナーよりは良い。
さて。
そんな俺、校長室に呼ばれた件。
他にもジョーさんとオグリ、イケメンとマーチも呼ばれた。
そして校長の前で横整列。
何を言われたかって?
ご想像通りだよ。 お小言だよ。
記念すべきデビュー戦で様々な問題を起こした我々だ。
要略すると反省しろ、この一言に尽きる。
モラルの無い幼稚な行為をするなとか、そんなところだ。
ウマ娘のレースは新聞ラジオTV等、メディアに取り上げられる機会が多い。
例え地元新聞の掲載止まりのローカルでも、あまり世間に顔向け出来ない事はするなと。
「柴崎くんは まだ若いから分かるが、北原くんは先輩なんだから手本になる行動を頼むよ」
「はいすいません、はい……」
「……すいませんジョーさん」
「本当だよ、俺を助けろよ」
「君もだリョウマツくん。
生徒と仲良くなるのは良いが、一線は引きなさい。 もう子供じゃないんだから」
「……すんません」
「それはフジマサマーチくんも、オグリキャップくんもだよ」
「……次はオグリキャップに勝ちます」
「貴様には負けん」
で、謝らない芦毛2バ。
代わりに互いに睨み合う。
ヤメテ。
こんな時にも俺の腕に抱き着かないで。
あとバリキも発揮しないで。
腕死ぬ! 千切れる! 壊死する!
校長先生たすけて!
このままだと地方新聞どころか全国紙に載るよ!
見出しは「ウマ娘に挟まれた男死す!」
墓石スタンバイ!
顔向けどころじゃない!
腕と命があらぬ方向に向く!
天国に逝くッ!
だから溜息をついてないで!?
「はぁ……若いのは素直に羨ましいが、場と時間を弁えなさい」
ひと通りクドクド言われた後。
一応、レース結果についてや、俺が厨房等で頑張ってる件を褒めてくれる辺り、教育施設のヒトだなぁとも感じた。
「───しかしリョウマツくん。 君の厨房での活躍は聞いている。
良くやっている。 何故か今年は学園の食費が嵩むそうで困っていたからね」
「ハハハ……」
その件は複雑だよ。
乾いた笑みを浮かべるしかない。
原因は知れているからね、うん……。
「そうなのか。 それは大変だな」
オグリが呟いた。
勘違いするな。 原因は お前だぞ。
その流れで次の目標はチュウキョウハイかね、とか東海ダービーかね、とかトレーナーに聞いていた。
東海ダービーはジョーさんから時々聞くからまだ良いが。
チュウキョウハイってナニ。
ウーロンハイの親戚か?
あいや冗談。 分かってる、レースの話だと。
でも知識が無いと置いてかれるな。
この辺は適当に聞き流した。
細かい事はトレーナー達に任せます。
こうして校長室で説教という、願わくば二度とされたくない場所から退室。
「……オグリキャップ、今は引いてやる。 だが次は勝つ」
マーチは やたらオグリを睨みつけながらも、イケメントレーナーと共に割り当てられた部室へ。
相変わらず、ナニを怒ってるのか理解に苦しむよ。
あいや勝負、レースの話だろうけど。
ただウマ娘の……勝負の話には巻き込まないで欲しいね。
俺、ヒトだし。
兎に角。
俺らも倣うようにして、部室へと向かった。
どちらもウマ娘が先頭であった。
…………。
なんというか、その。
イケメンもジョーさんも、トレーナーなのに担当ウマ娘の手綱を握れてないんだよね。
説教の後なのに。
修羅バを見て汗ばんだり逃げたりせず、ちゃんと握れよマジで。
そして叱ってでも俺を助けろ。
お前らもある意味で教育者だろ。
校長を見習うんだよ。
俺が死んだら呪うからな。
半分は冗談だが、半分は本気だぞ。
…………。
さりとて今後だ。
オグリが汚いジャージを着ている件は水に流すとして、靴の話へと相成った。
なんでもウマ娘用の、それもレース用の靴を買うらしい。
俺のあげた靴は普通のもので、とてもこの先耐えられる代物じゃないからだそうだ。
将来への投資は大切だとは思う。
ただ、ちょっぴり寂しい。
俺の靴、もう履いてくれないのだろうかとか考えちゃうと。
仕方ないけどさ。
オグリには、しっかりと走って欲しいし。
そんでジョーさんは、その話をベルノにするワケである。
ベルノはその辺、詳しいだろうし。
「靴……ですか?」
ベルノがキョトンとした。
おメメぱっちりで可愛い。
オグリもマーチも、ここまでしろとは言わないが、死んだ目になったり睨むのやめて欲しい。
「あぁ。 こいつ多分どれ買って良いか分かんねぇと思うから、ついてってやってくれねぇか?」
ジョーがオグリの頭を撫でた!
この野郎!
オグリを御せぬ癖に なんて真似を!
天誅だなァッ!?
鬱憤晴らしに殴ろうとした時。
「やめれ」
その前に怒ったオグリに手を払いのけられた。
や っ た ぜ 。
「ザマァ! 俺だったら受け入れられたね!」
思わず叫ぶくらいには、勝利宣言したいワケよ。
わかる? この気持ち。
同時にオグリは、誰でも良いワケじゃないのがハッキリした。
ルビーさんと俺には素直に撫でられるが、他は嫌がるか。
何だか特別枠で嬉しい……嬉しい……。
「てめっ、言いたい事はそれだけか!?」
ジョーが吠える。
負け犬らしい言い方だなぁ?
「いくらでも言ってやる、ザマァッ!」
「言わせておけば……! てか、なんで部室にまで来てんだよ!」
「良いだろお前デビュー後だぞ」
「ワケが分からねぇよ!?」
狭い室内でギャンギャン騒ぐ。
おうおう幾らでも吠えろ。
結果は変わらないからな。
ジョー……ボクの勝ちだ。
「はぁ……これはまぁ いいんですけど……」
男のむさい声を止める様に、ベルノの可愛い声がした。
一喜一憂する俺らを無視して、何かしていたらしい。
ジョーさんから受け取った封筒の中身を確認していたそうだ。
ジョーを無視して、そちらをチラ見。
札が何枚か入っており、数えている。
現金で4万くらい入ってるんじゃないか?
それなりに大金だ。
そんなにあれば、大抵は買える……。
「多分これじゃ足りませんよ」
「「え」」
ジョーさんと俺が思わず口にした。
足りない……だと?
そんなにウマ娘用って高いの?
「オグリちゃんの場合、リョウマツさんのあげた靴みたいのだと またすぐダメになっちゃいますから」
地味にディスられてる気がするが気の所為だろう。
「多少高くても丈夫なの買っておいた方が……」
「うっ……だよなぁ……」
うぐぐ……悔しい。 けど理解出来ちゃう。
オグリは脚のチカラが強く、靴の消耗が激しい。
何度も買い換えるくらいなら、ちゃんとしたものを履かせるべきか。
その方が経済的でもある。
「それに蹄鉄も消耗品ですから、いくつか買っておかないと……」
「わ、わかったよ! カード渡すから!
これで必要なの揃えて来い!」
ジョーさんが根を上げるように、ベルノにカードを渡した!
や っ た ぜ 。
こいつめ、女にカードを渡しやがったぜ。
誰かに聞いた事があるんだ。
女にカードを渡してはいけない、と。
何故かは考えたくもないが、そういう事だ。
これで色々無駄使いして困らせようぜ。
日頃の怨みを思い知らせたい。
……冗談だ。 少しはマジ。
普通に買物しても4、5万超えになるなら拷問だろう。
もう今から絶望顔が楽しみですな。
だが そんな程度で絶望していては、オグリは養えないぞ。
オグリは普段の生活でも金が掛かるのだ。
食費とか食費とか、特に食費に難儀する。
で、そんなオグリ。
部屋に飛んでいる羽虫を目で追っていた。
靴の事は考えてない顔である。
すぐ側で騒いでたのにも関わらず。
いつも通りの天然オグリ。
けどね?
少しは気にして。
あげた靴の件とか……さっきまでの情熱が冷めたみたいで……ちょっと寂しくなるじゃん。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
さて、やって参りましたスポーツ用品店。
ショッピングモール内の一角にあるような、そんな所。
ベルノを筆頭に、オグリと俺の3名。
「リョウマツさんも来たんですか」
突っ込まれた。
いや分かるよ?
無知識のヒトが来ても仕方ないと。
でもオグリの関係者だし。
「いちおう、ね?」
「……ホント、オグリちゃんが羨ましい」
「へ?」
「何でもないです」
ムスッとされて、店の奥へ行かれた。
何故だ。
そんなに俺が邪魔?
なんか悲しい……悲しい。
落ち込むが、感情に支配されて棒立ちしているワケにもいかない。
靴を買いに来たのだ。
目的を果たそう。
やるのは主にベルノだが。
後学の為だ。
俺も店内に立ち入り、周囲を見渡す。
様々なウマ娘用品が陳列されているが、正直どれが何なのか分からない。
ヒト用と具体的に どう違うのだ。
靴底の強度? 厚み?
ベルノは迷わず進み、オグリは近くの新発売された靴を眺め始める。
飯以外に興味を持つ。
良い事だ。
逆に飯以外に好きになれるものがあって安心したよ。
「どうした?」
「これ……可愛いなって」
見やれば、きゃる〜んな可愛らしい靴が。
シュータンには猫とパンダを合体させたようなキャラが遇らわれ、先ゴムには大きなハートマーク。
周りにもリボンやハートの装飾が付けられている。
ヒールは上がっており、靴底の真ん中は接地しない作りになっているから、履けば少し背が高く見えるかも知れない。
うーん……これは……可愛いが、デザインは子供向けだろ。
脚を痛めそうだし……。
背伸びしたい子向けだな。
それも低学年までなら許されるような……いや、これは個人的な価値観だが。
現にオグリは気に入った様子。
だって耳が左右にピコピコ揺れている。
ふむ。
だがな。
俺としては靴よりも……。
「オグリの方が可愛いよ」
「えっ」
オグリと目が合う。
まん丸に開かれた瞳には、俺だけが映っている。
………………。
…………。
暫しの沈黙の後。
「あっ、いや! 買ってあげるよ!?」
勢いで誤魔化す!
しまったアアアッ!?
俺、流れで恥ずかしい事を!?
「そうなのか! でも お金が……」
ハッとして、慌ててプライスタグを見た。
うっ……新発売に凝ったデザインの所為か、かなりのインパクト……ッ!
これはツライさん。
「ぐぬぬ……!」
いっそジョーさんのカードで!
いや、駄目だ!
他人のカードで愛バにプレゼントとかクズ過ぎる。
財布を見た。
買える。 ギリ買える。
だが買ったら厳しい生活。
ベルノに金を無心するか。
店に対して値切り交渉……。
いやいやどっちもクズじゃん。
決意しろ。
男リョウマツ、ココで決めろ。
「買おう」
灰色の お姫さま の為だ。
「オグリは特別だからな」
添い寝した時を思い出して、靴を手に取った。
「……ッ! ありがとう!」
パッ、と満面の笑みを浮かべるシンデレラ。
嗚呼。
笑顔に出来て幸せ。
よし、後はレジに向かうだけ。
踵を返して、いざ会計へ……。
「……………………ナニしてるんですか?」
ベルノと目が合った。
目が虚ろである。
へ? は? どうして?
俺、また何か責められる事した?
「ナニって、オグリに靴を買ってやろうと」
「…………」
なんかヤバい。
何か。 何か言わねば。
ベルノの手を見た。
頑丈そうな靴が握られている。
コレか。 コレにコメント残せば良いか。
格好良い靴だが……。
褒めるか?
いや、下手な機嫌取りは逆撫でする。
ここは正直に言おう。
自分の持ってる可愛い靴を見せるようにして、笑顔で言った!
「可愛くないな、それ」
刹那。
ビシリッ。
ナニかにヒビが入った音。
最近も聞いた気がするが。
なんだろう。
デジャブかな?
「……リョウマツさん」
肩をワナワナ震わせるベルノ。
あっ、キテいる。
キレてる キレてない じゃない。
キテいる。
本能がジャッジした瞬間、雷が落とされた!
「何しに来たか もう忘れたんですか!?」
「うおっ!?」
怒り顔!
ベルノもウマ娘!
その剣幕は怖い!
身体能力の差を本能が感じてか、脳内で警笛が響く!
いかん!
怒りを鎮めなければ!
「も、モチのロン! オグリの靴を買いに来たんだ!」
「なのに何してるんです ふたり して!」
「ナニって靴を買って……」
「レース用の靴を買いに来たんですよ! なのに普通の靴を買って どうするんです!」
怒りを買ってしまった。
買う気は無かった。
即返品という名の異議申し立て!
「普通じゃないぞ。 可愛いのだ」
「レースは可愛い靴のお披露目会じゃないんです! 勝負の場なんです!」
ぐっ!
あいや、それだけじゃない。
男リョウマツの覚悟を知らしめねば。
「こ、これを買えば生活に困窮する。 その覚悟が俺にはあって」
「そんなの自業自得です! オグリちゃんだけじゃなくて、自分自身の身も案じて下さい!」
「俺は大丈夫」
大丈夫じゃないヒトが言うセリフを言った!
「どこが? そんなだから縺れるんです!」
「モツレル? 何の話だよ」
「他のウマ娘とですっ」
ちょっとナニ言ってるか分かりませんね。
そう思ったら考える余裕が出来た。
ふむ……。
レース用の費用はジョーさんのカードから。
で。
それはベルノが選べば良い。
それで。
俺は俺でポケットマネーからオグリのプライベートを買えば良い。
問題無くね?
「コレは俺の金で買う。 レース用は君が選んで、カード払いすれば良いじゃない」
「うっ……! で、でも! それじゃリョウマツさんが!」
「俺が? 勝手じゃないか」
「生活が どうって」
「さっき君も言ってたじゃん。 自業自得だと。
それで良いさ。 君が気にする事じゃない」
「で、でも……それだと……」
なんで食い下がろうとするのだ。
俺を案じてくれているのか。
「ありがとう」
「へ?」
礼を言った。
「心配してくれてるんだろ?」
「それも……ありますが」
「大丈夫だよ。 こう見えてサバイバルを繰り広げてきた」
「サバイバルって大袈裟な」
「いやいやマジだから。 オグリの飯代で俺の飯が無い時、川で食料調達よ」
釣りして魚を獲り、野草を摘み。
後はザリガニとかカエル……。
上手く調理すれば美味い……。
後は調味料があれば……。
叶わない時、ルビーさんに助けて貰ったな。
…………。
いや思い出したくない。
なるべく そうならないように しよう。
「ま、まぁ……食堂で 賄いを食べるさ」
「余るほど余裕無いですよね?」
「……残して貰うよ」
1食分くらい、融通効くよな?
怖い事言わないでくれよ。
昔の記憶が蘇る。
ルビーさんの所に行っても、オグリが蝗害の如く食い尽くしていた時は絶望した。
「……リョウ」
ここで幼馴染の声。
振り返れば、耳がしょげたオグリがいた。
「無理しないで。 それで悲しむのは見たくない」
「いや! いやいや!? オグリの為に身を扮して捧げる覚悟!」
「気持ちは嬉しい。 でも私は靴よりリョウが1番なんだ」
おぅ……。
嬉しい事を言ってくれるじゃないの。
「そ、そうなの……か」
「そう」
どう返せば良いか分からず、棒立ち。
オグリは俺の手からスッと靴を取り上げると、元の場所に戻した。
「だから、な。 側にいて欲しい」
「……おぅ」
やべぇ。 マジっべーわ。
こんなの反則だろ。
天然ジゴロというかさ……。
「イチャつくのか靴を買うのかハッキリして下さい」
そんな空気をブチ壊したのは、大外枠どころか蚊帳の外のベルノ。
「ああ、そうですかそうですか そういう娘でしたものね ええ。
私、お邪魔なら帰ります。 どうぞ、レース用の靴でもなんでも買って下さい。
カード渡しますので、それじゃ末永く幸せに。 サヨナラ!」
「待て待て待て待てBダッシュ!?」
ウマ娘の脚力を発揮される前に、止められた俺を誰か褒めて。
「そんな娘知りません」
「べ、ベルノライト! 頼む! 君の助けが必要なんだ!」
「どんな苦難も、ふたりなら大丈夫です」
「むりぃ! ふたりじゃむりぃ!?」
知識ゼロだぞこちとら!
ナメるなよ!
「オグリだけじゃ嫌なんだ!」
言った刹那。
またビシリッ、と。
ナニかの音が聞こえた。
オグリからだった。
「ふ、ふふ……リョウは私だけじゃ不満か」
「お、オグリ?」
「欲張りだな。 ああ、私が他の娘より たくさん食べるからか」
「気にしない! それは気にしないから!
だから元に戻って頼む!?」
なんで こんな目にばかり遭うんだ。
俺の何がいけないんだ。
「私が気にするんだ」
「あーもー! 助けてベルえもん!」
「そんな娘知りません」
「ベルノライトォッ!」
店中で騒ぐ事、暫く。
店員だけでなく、店先にもギャラリーが増えて無数の目線が痛くなってきた。
流石にこれにはベルノもオグリも勝てないらしく、鎮静化。
不良サンも黙らす世間様のメンチビームは最強である。
どこぞのトレーナーも見習って、どうぞ。
俺も説教垂れて締めるから。
「以後、公の場で騒がないように!」
「「誰の所為だ(です)」」
突っ込まれた。
オグリにまで。
地味に堪えるな、コレ。
「とにかく」
ベルノが仕切り直す。
「レース用の靴はコレなんて、どうかな」
先程の靴をオグリに見せ始めた。
クビを傾げるシンデレラ。
俺も分からない。
そんな俺らに苦笑しつつ、説明を始めてくれた。
「防水・対滑で特殊繊維。 強化樹脂の先芯入り!
オグリちゃん、足で掻くチカラ強いから つま先の強度が心配だったんだけど これなら大丈夫!
それで蹄鉄なんだけど、トレーニング用は ちょっと重いけど耐久性があって減りにくい極軟鋼が一般的かな。
レース用はアルミ合金の蹄鉄がおすすめかも!
なんといっても重さが極軟鋼の3分の1!
その代わり耐摩耗性は劣っちゃうから少し多めに買っておこう!
無難にいくなら勝負鉄とも呼ばれているこの競争ニウムって蹄鉄だけどオグリちゃんの場合 鉄頭部に鋼片が埋め込まれているトリプルクラウンとかクイーンズプレートとか合ってるんじゃないかな?」
はて。
宇宙に投げ出されたのか、俺らは。
考えるのをやめた。
「その……なんというか……詳しいんだな」
オグリが絞り出すように、なんとか言った。
俺も同意見だよ。
ナニ言ってるのか意味不明だが。
「えへへ……実家がスポーツ用品店で、少しだけ……ね」
遠慮がちに言った。
少しなのか?
勉強する気が失せるんですがそれは。
「じゃあ……うん。 ベルノが選んでくれたヤツを買って行こうか」
ここから逃げ出したい意味も込めて、レジへと促した。
かのようにして。
レース用の靴をオグリは手に入れたのであった。
領収書
SPORTS LIGHT
お買い上げありがとうございます
北原 穣 様
¥82,005
(内消費税等 ¥7,455)
内訳 クレジット ¥82,005
お品代として
ジョーさんの犠牲を払って…………。
「ジョーさん、どうしたの?」
「少し出費が……」
「せめて勝って……」
next……
ジョーさんは犠牲になったのだ……。