オグリが心配で、スタッフにさせて貰った。(完結)   作:ハヤモ

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進めなきゃ……と思いつつ。
漫画の方だと10R辺りにさしかかるというのに、倍以上かかっているという。
目処にしているカサマツ編終わらない(殴。
テンポ良くしなきゃ……。

情報地名等、間違いがあったら指摘してくれると嬉しいです。

原作タイトルにもあるシンデレラの話を思うと、色々と合う場面がある気がしますね。
気がするだけかもですが。
不良サンは意地悪姉さんぽいし、ガラスの靴を授ける魔女はベルノでしょうか。
そしてシンボリルドルフは王子様。
ジョーは知らんがな(ドロップキック。
主人公は勝つ事が出来るのでしょうか。


第25R「皇帝はシンデレラを見初める」

 

「ほっほっひっふ〜♪」

 

 

妙な声を出してるのはオグリキャップ。

 

上機嫌な時に こうなる。

 

myシンデレラは今日も可愛いだろ?

 

俺と恋人繋ぎをして、部室のベンチに隣り合うまである。

 

肩に こてっ と頭を預けられもする。

 

オグリといられて し あ わ せ 。

 

 

「なぁ」

 

 

不躾にジョーが声を上げた。

 

なんだよ、オグリとの時間を堪能している時に。

 

 

「何があったのか知らねぇけど、ちょっとは遠慮して?」

 

「彼女いないからって やっかむなよ〜♪」

 

「うぜぇなおい!?」

 

 

カンカンと音が鳴る部室。

 

ベルノとナニかしている。

 

 

「ベルノからも言ってやれよ」

 

「良かったねッ! どうぞお幸せにッ!」

 

「もっと言う事あるだろ」

 

 

キレ気味に幸せを願われた。

 

祝ってやる(誤字)的な?

 

 

「ありがとう、幸せになるよ!」

 

 

オグリは真に受けて礼を言った。

 

相変わらずの天然笑顔炸裂。

 

 

「もうコレ作るのやめようかな……いっそ歪ませて……ふふふっ」

 

 

ベルノの目が死んでいく。

 

見えないナニかが歪んでく……。

 

この手は対応しないと悪化しそうなので、合いの手を入れることにした。

 

やれやれ……仕方ないな。

 

これもスタッフの定めか。 ふっ。

 

 

「祝い物か?」

 

「───脚が遅くなるよう願おうかな」

 

「呪い物かよ」

 

 

鈍いと呪いを掛けてるのかな?

 

テメーの 引出物 ねぇ デス。

 

 

「冗談です。 蹄鉄を作ってるんです」

 

「マジで? それって買うモノじゃないの?」

 

 

デビュー戦の後、買い物した記憶が蘇る。

 

あの時、店に蹄鉄が売っていた。

 

ヒトの靴同様、アレは買う物という認識だ。

 

そうでなくても、制作は困難だと思う。

 

裁縫じゃないんだから。

 

 

「買いましたよ。 アルミ合金で」

 

「なるほど。 修正しているのね」

 

「いえ。 鉄桿から作ってます」

 

「は?」

 

 

へ、ナニそれは。

 

 

「……板から作り始めてるんだよ」

 

 

ジョーは疲れ気味に説明した!

 

っべー。 ベルノ っべーわ。

 

実家がスポーツ用品店だからって、そこまで技術力が高いと畏怖的存在だよ!

 

いや知らんけど!

 

 

「今度のレース、中京盃だろ?」

 

 

オグリはクビを傾げた。

 

 

「そうだっけ?」

 

「そうなんだよ、しっかりしてくれ」

 

 

出走者が把握していない現実!

 

これでは、いけませんね(面接ビデオ風)。

 

 

「中京レース場に行くからな。 地方では珍しく芝が経験出来る場所だ。

今後、遠征に慣れる為にも出走して貰う。 勿論、走るからには勝ちに行く。

対策として、芝用の蹄鉄を作ってるというワケだ」

 

 

へぇー。

 

まぁそれはそれとして、走るなら見に行かなきゃ。

 

でも中京レース場って何処?

 

 

「そんな所、カサマツにあった?」

 

「岐阜じゃない、愛知だ」

 

 

お隣かな。

 

新幹線に乗って関東地方に行くノリじゃなくて良かった。

 

 

「しかし愛……愛かぁ……愛だってオグリ」

 

 

だけど、このノリにはノれるかオグリ?

 

すると。

 

 

「愛してる♡」

 

 

ぎゅっとしてくるオグリ!

 

期待通り!

 

天然でも反応してくれて嬉しい!

 

俺も思わず抱き返す!

 

 

「俺もだッ! ずっと一緒だよ!」

 

「テメェら時間と場所を弁えろよ!?」

 

「「ジョー煩い」」

 

「大外枠ってレベルじゃねぇ」

 

 

刹那。

 

ドゴンッ、と重い音が壁に響く。

 

見やればベルノが使っていたハンマーが減り込んでいた。

 

なんという威力……バリキ怖ッ!

 

 

「夜道に気を付けて下さいね……突然、ハンマーが飛んでくるかも知れませんから」

 

「そうだな。 気を付けるよ」

 

 

オグリが普通に言った。

 

いやいや具体的過ぎただろ、注意内容が。

 

気付け。 ベルノの耳とか見て。

 

天然もここまでくると恐ろしかった。

 

 

「……大丈夫なのか、ウチのチーム」

 

 

ジョーが顔面を両手で覆う。

 

知らんがな。

 

そこはトレーナーだろ、手綱を引けよ。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

なんだかんだレース当日。

 

ハンマーが飛んでくる事なく、中京レース場へやってきた。

 

デカい。 レース場の話である。

 

見上げて ほぁああ、とオグリとベルノが声漏らすくらいには立派だ。

 

 

「カサマツより大きい……」

 

 

そうだね。

 

俺の……いや、これ以上は危ない。

 

黒服が来そうだ。

 

 

「土日には中央のレースも やってるくらいだしね!

今日は平日だけど……」

 

 

出たな中央。

 

オマイらも お呼びではないのだよ。

 

中央トゥインクルのエリートウマ娘達が、地方のローカルウマ娘達を蔑もうが、こっちはこっちで幸せなら良い。

 

他所は他所。 ウチはウチ。

 

見習っても中央に行くのが目標では無い。

 

ここにも幸せはある。

 

なら、ナニも問題無い。

 

オグリが中央に行くなら話は別だが。

 

……そうだ。

 

落ち着いたら、中央のタマモトに連絡しないとな。

 

善意(?)は無碍には出来ない。

 

ところで。

 

 

「ベルノ、あのロゴマークはナニ?」

 

 

URAと書かれている看板を指差す。

 

 

「なんだろうか。 私も分からない」

 

 

オグリもクビを傾げた。

 

Uの前にはウマ娘の頭と思われる絵が添えられている。

 

何の略だろうか。

 

 

「う、ウソでしょ……」

 

 

ベルノが信じらんないという顔で見てくる。

 

そんなレベルなの?

 

 

「Uma-musume Racing Associationの略です」

 

「Uだけローマ字かよ」

 

「そ、それは私に言わないで下さい!」

 

 

その通り、ベルノはナニも悪くない。

 

horse-girl とかは都合が悪かったのかもな。

 

えっちは品位が損なわれるとか。

 

 

「主にトレセン学園、トゥインクル・シリーズ、ウイニングライブなどを運営している団体です」

 

「またか」

 

「へ?」

 

「スマン、何でもない」

 

 

……関係ない話だ。

 

運営や上層部なんて雲の上。

 

俺らは俺らで、走るべき所で走る愛バを支えて応援する。

 

あと愛し合うのも忘れまい!

 

 

「───そうだ、これ」

 

 

ベルノは思い出した様に、鞄から蹄鉄を出した。

 

 

「新しい蹄鉄! 芝専用だよ! 上手く合えば良いけど……」

 

「私の為に……ありがとう」

 

 

じ〜んと感涙したオグリは、受け取るやベルノを抱き締めた。

 

 

「痛い痛い」

 

 

ベルノが新たな鯖折り犠牲者に……。

 

バリキが掛かり気味ですね、息を整える暇を与えてくれれば良いのですが。

 

 

「何してるの お前等?」

 

 

空気だったジョーが突っ込んだ。

 

いたのね。 いや、いなきゃ変だよな。

 

 

「あんま気ぃ抜くなよ? 一応 お前 初めての……」

 

「大丈夫。 観てて」

 

「……おう」

 

 

ベルノが「折れる! 折れる!」と訴えているんだが。

 

そういう ところだぞ、ジョー。

 

ちゃんと手綱を……あ、俺のオグリだった。

 

 

「オグリ、ベルノを離してあげなよ」

 

「……嫉妬?」

 

「バ命救助です」

 

「? 分かった」

 

 

解放した後、各々が所定の場所へと別れた。

 

といっても、出走するオグリ以外の俺らは固まって観客席へ行くのだが。

 

 

「おっ、ここから見ようぜ」

 

 

ジョーに誘われて、見晴らしの良さそうな席へ。

 

よし。 今日も愛バを応援だ。

 

 

「何で出してんだバカ野郎」

 

 

ヌッと、いつぞやのクソジジイが現れた!

 

 

「うおおおおおおお!? ろっぺ」

 

「六平だ!」

 

 

バルスッ!

 

くそっ、飛行石が無い!

 

 

「なんで来てんスか」

 

「ンなの俺の勝手だろうが。 それより俺ぁ中京盃やめとけって つったよな?」

 

「それこそ俺の勝手でしょう! 芝への対策ならちゃんとしましたよ!」

 

「バッカ! そうじゃなくて……」

 

 

……ナニか噛み合ってないような。

 

 

「あの」

 

 

聞こうとした時、ベルノの声に遮られた。

 

 

「ト、トレーナーさん!!」

 

 

血相変えてるが、なんだ?

 

ヤバい事態?

 

まさかウチのオグリの身にナニかが!?

 

 

「シシシ……」

 

 

死!?

 

 

「シンボリルドルフさんが来てます!!」

 

 

違った。 勘違いだった。

 

……しかし誰だ、其奴は。

 

ションボリルドルフ?

 

言い難い名前だなぁ……。

 

 

「うおおー!! マジだ!! ホンモノ!?」

 

 

ジョーは席を立ち、上を向く。

 

その先にはウマ娘達が特等席に座っていた。

 

実に偉そうな連中である。

 

どうせ、また中央絡みだろ。

 

俺には関係ない。

 

オグリを応援するのみ。

 

 

「週末のレースの為に先乗りしたんでしょうか!?」

 

「もしかして隣にいるのマルゼンスキー!? やべぇええ!!」

 

「サイン貰えますかね!?」

 

 

なんだって? マルイスキー?

 

大手企業のファンかナニか?

 

いや、それより気になるのは。

 

 

「ム●カさん、ナニが理由で出走駄目なんですか?」

 

 

オグリの出走に否定的だったジジイである。

 

 

「六平だ。 テメーもか」

 

「テメーじゃない、リョウマツです」

 

「何だって良い。 トレーナーじゃなさそうだが……知り合いか?」

 

「恋人です」

 

「はぁ!!?」

 

 

なんで驚くんですかね。

 

老いらくの恋?

 

オグリは俺のモノだから駄目だぞ♡

 

 

「い、いやまさか……ジョーのヤツに そんな趣味が……」

 

 

とんでもない勘違いしてやがるぞ このクソジジイ!?

 

 

「違ぇよバカ野郎!? オグリキャップの恋人だっつってんだよ!!」

 

「かぁー!! どっちにしろ 小っ恥ずかしい事をデケェ声で言うんじゃねえよ!」

 

「どっちにしろってなんだぁああ!? 良くねぇよ社会的に大違いだよバカ野郎!」

 

「誰がバカ野郎だバカ野郎!」

 

「バカって言ったヤツがバカなんだよバカ野郎!」

 

 

……周りの注目を浴び始めたので、流石に言い争いは続かなかった。

 

くそっ……てめっ、覚えてろ……ッ!

 

 

「これだからホモ・サピエンスは!」

 

「自分は人間じゃねぇみてぇな言い方だな……」

 

 

まあ良い。 いや良くないが本題だ。

 

 

「で? なんで駄目なんスか。 上にいる、中央連中絡みですか?」

 

「察しが良くて助かる」

 

「いや口で言ってくれないと詳細分からないんですけど」

 

 

焦ったい伏線はいらない、答えを寄越せ。

 

許せるのは、犯人が罪の意識から言い淀みながら嘘を吐くとか、その辺だぞ。

 

警告する気あるなら、言葉にしなきゃ分からない。

 

 

「まだ分かんねーか」

 

「エスパーじゃないんですよ、こちとら」

 

「ちったぁ、テメェの頭で考えろ」

 

「くどい! 話せコラ!」

 

「…………オグリキャップは地方のレベルじゃねえ。

その脚を中央が見たら……引き抜かれるぞ」

 

 

引き抜く……?

 

 

「引出物?」

 

「ボケてる場合か」

 

「いや、もう出走するんですが。 レース始まるんですが。

もうこれ、手遅れじゃないですか?」

 

「……だから言ったんだ、ジョーに」

 

「俺に言った理由を"ちゃんと"伝えたんですか?」

 

 

捲し立てる。

 

手遅れの今、怒りが湧いてくる。

 

 

「……ジョーはトレーナーだ。 なのに察しが悪過ぎなんだよ」

 

 

はぁ!?

 

トレーナーだから!?

 

なのに察し!?

 

そんな曖昧なの……!

 

 

「分かるワケないでしょう!? 血縁だから、全部を言葉にしなくて良いとか思ったんですかアンタは!?

中央のウマ娘への指導も"察し"なんですか!?」

 

 

言葉にしなきゃ分からない事だらけなんだぞ!?

 

俺とオグリみたいにな!

 

一歩間違えれば、破局だった!

 

それを経験したから言える事がある!

 

このジジイは間違えてる!

 

 

「中央は」

 

「うるせぇクソジジイ! "中央はもう飽きた"んだよ!」

 

 

ザワザワ……。

 

また注目を浴びるが、今度は構わねぇ。

 

 

「そんな所、夢も希望もありゃしねぇ! そんな場所にオグリキャップを行かせない!

強制的に連れていこうものなら、相手が皇帝様だろうが殴り込んでやる!」

 

 

メ●スはこんな気分だったのだろうか。

 

愛する者を攫う行為、邪智暴虐な魔王に変わりない。

 

魔王……ガ●ンドルフめ!!

 

 

「落ち着け。 まだ決まったワケじゃねぇよ」

 

「……そうでした。 すいません」

 

 

キレてる間も、ずっと冷静だったジジイに言われて やっと黙る。

 

まだ周囲はザワついているが、仕方ない。

 

今頃席を替えられる程、余裕は無いし。

 

 

「おい……そりゃあ、あくまで可能性だよな?」

 

 

戻ってきたジョーが、不安気に言葉を発した。

 

……戻って来なくても、デカい声で喚いたからな、普通に聞こえたか。

 

 

「……そうだ。 あくまで、だ」

 

「……は、はは……だよな」

 

 

ジョー。

 

お前も、ジジイにキレて良いと思うぞ。

 

だって……お前の夢、中央に奪われるかも知れないんだぞ。

 

 

「……今は中央より、中京レースを見ましょう」

 

 

ベルノが遅れて、気休めを言ってくれた。

 

ジョーは反応するように、弱音を吐く。

 

 

「勝てなきゃ……目立たなきゃ良いんだ……初めての芝だ、碌に走れないかも知れないしな……」

 

「ソレは違うぞジョー」

 

 

それは否定させて貰おう。

 

 

「オグリは勝つ。 それは信じ続ける。

ジョーも信じろ。 オグリのトレーナーだろ」

 

「あ、ああ……そうだな。 勝つと信じなきゃ、だな」

 

 

弱々しい返事。

 

だがレースからは目を背けないジョー。

 

 

「そうとも。 こうなった以上は……勝って貰おう。

それを魔王に見せつけた上で、向こうから やってきたら……その時に考えれば良い。

今は今だ、応援するのみだ」

 

「ま、魔王……?」

 

 

名前を言っても良い、例のウマ娘。

 

 

「ガノ●ドルフ」

 

「シンボリルドルフね」

 

 

ベルノに突っ込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……その後だ。

 

ジジイの予想通りというか。

 

オグリキャップが圧勝したのは。

 

後続を2バ身離しての1着ゴールだった。

 

 

「北原様。 お連れ様。 少々ご同行願います」

 

 

そんで黒服が迎えに来た。

 

これが俺のうまぴょい思考を読んでの連行だったら、まだ良かったが。

 

それでジョー共々連れてかれた先。

 

偉そうにしていた魔王と対面する事になる。

 

そして告げられた残念な事。

 

 

「オグリキャップを中央(トゥインクルシリーズ)にスカウトしたい」

 

 

こんな話が始まったのだ。




オグリキャップを巡って争いたい。
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