オグリが心配で、スタッフにさせて貰った。(完結) 作:ハヤモ
角を曲がれば何もかもが違う場所。
中央が絡み、とうとうシリアスムード。
読者任せにして甘えてしまったレース用語や技術、観察眼等。
不必要の日常ものを続けなかった作者の表現不足が祟り、競走バファンの方々を気性難にしてしまったカサマツ編(当作品)。
でもウマ娘をやるなら、レースも入れたかった。
その結果、期待を裏切るモノに(落込。
その件は 申し訳ないです
m(_ _)m
ともあれ、クライマックスに近くなりました。
ここまで来たら完走したい気持ちもあります(出来るとは言っていない。
果たして大外枠無印(作者)は予後不良になる事なく、重バ場を完走(カサマツ編)する事が出来るのか。
皆様の投票(感想評価等)をお待ちしております(殴。
また、漫画を見ている方は既にご存知かも知れませんが、漫画に無い情報等を度々出しています。
漫画通り過ぎない様に蛇足を付けている感じです。
ただ、やはり素人なので間違っている可能性があります。 ご注意下さい。
中京レース場、最も高い位置からレースを見下ろせるガラス張りの観覧席。
明らかに一般席ではないスタンド。
ペガサス スタンド。
そんな大層な場所に通されたジョーと俺。
で、そこに居並ぶウマ娘たち。
制服はタマと同じだ。
やはり全俺の中で噂の中央だった。
「な……なに、この状況……?」
ジョーがビビるのも無理はない。
俺もビビってる、チビりそう。
だって、しょうがないじゃないか。
誘われてやった気持ちで乗り込んだらさ……。
高貴で威厳があるというか、分かるだろ?
ほら、不良映画の喧嘩場所イメージって、汚い校舎とか廃墟とか工場じゃん?
間違っても魔王城に乗り込む勇者ごっこしていたのに、いざ来たら綺麗な女の子に囲まれて、キラキラしてるとか……ねぇ?
まだ黒服を相手にしていた方が良いさえある。
汚いヤツは汚い場所でしか生きていけないんだと教えられてる気分になるよ。
所詮、俺はイカリングを騙ったオニオンリングだ。
ごめん。 自分でもナニ言ってるのか分からない。
「君がオグリキャップのトレーナーさんかな?」
最も高い位置から、階段を降りて来る鹿毛のウマ娘。
センターは、三日月の様に白毛が混ざる。
大人びて、整った顔立ちは綺麗で美しい。
美女。
脚色では無い。
が、たぶん魔王。
美女で魔王とか闇堕ちしそう。
短い言葉にもそんな風格がある。
だって学生……小娘が40くらいのジョーを君呼ばわりだもん、地位が相応である。
いや俺もウマの事言えないが。
ほら、ジョーと俺はウマが合うから……たぶん。
それよりヤベェよ、マジでそういう世界があるのか。
靴をお舐めな世界か。
目の当たりにすると衝撃に眩暈が……。
「そして、君は……」
で、俺も見る。
一瞬、ほんの一瞬 目を細めた。
錯覚じゃないよな……。
ヤベェ、チビりそう。 寧ろチビった。
「ジョー」
小声で語り掛ける。
ウマ娘の聴力をもってすれば、聞こえているだろうが気持ちの問題だ。
「な、なんだよ こんな時に……」
「生物って危機的状況に陥ると本能が生き延びる為にアレコレするらしい。 それも無意識に」
走マ灯も そのひとつ という話が。
前に見た時は、相当ヤバかったからな。
今もヤバいが。
「……暴れんな、暴れんなよ」
「暴れた」
「へ?」
「既に遺伝子が……」
「そういう雰囲気じゃねぇだろーがッ!?」
蹴りが飛んできた。
痛い。 だがウマ娘程じゃないのでセーフ。
息子を狙われなかったし、良心的。 親切。
「あー、こほん」
魔王の咳払いで現実に戻る。
見やれば少し赤らんでいる。
周囲のウマ娘はゴミを見るような目で見下ろしてくる、赤くなりながら。
…………へぇ?
小学生の如くニヤけちゃう。
お嬢様風な彼女達の中にも、そういう知識があるのだと。
生物であり女の子しか存在しない以上、レースの闘争本能以外にも興味や欲求は強いのかも。
やはり同じ人間……じゃないが。
「ジョー、緊張が解れたか?」
「……ありがとよ」
「俺も解れたよ、まだ硬いけど」
「もうツッコまないぞ」
「まぁ大胆」
「いい加減黙れマジで」
仕方ないだろ危機的状況下だぞ、緊急量産態勢なんだよ、生きてるって証拠だよ。
あれ、ジョーはどうなんだ。
「すいません、連れが粗相を……」
当人が話の腰を低腰で戻した、仕方ないね。
「いや良いのだが……だがまぁ、そうだな。 あまり時間を取らせるワケにもいくまい」
そうだよ、オグリのダンス見れないんだよ。
って、時間を浪費した原因は俺でした。
もう諦めよう、それは。
「単刀直入に言おう」
まぁ、なんだ。
ここまで来たら予想付くよね。
「オグリキャップを中央にスカウトしたい」
「だが断る」
反射で言ってしまった!
俺が言う資格無いのに。
「ほぅ?」
また目を細められた。
周りのウマ娘の視線も痛い。
ナニ言ってんのコイツって。
「って、言いたかったんだ。 はははっ……」
笑って誤魔化す。
本人……本バが居ない今、トレーナーだけで即断出来ないのを良い事に。
「おい! いやホントすいませんっ!」
ペコペコ頭下げるジョー。
ザ・下々の者サイドだからね、俺ら。
非難はしないよ。
俺だって殴る腹だったのに、ビビってやめるシャバゾウだし。
でもさ。 言いたい事は言おう。
「ここ、ローカルシリーズにも一生懸命走るウマ娘がいます。 俺が応援しているオグリキャップがそうです。
オグリとトレーナーのジョーには地方に目標があります。 夢があります。
俺はトレーナーじゃありません。 浅い知識でウマ娘を応援するただのいちファンですが、側にいたから言えます。
どれだけ中央が凄いのか分かりません。
でも、そこで何かを得られる打算よりも、夢に邁進するオグリとジョーの笑顔が見ていたいのです。
だから……だから」
俺は頭を深々下げた。
「お願いしますッ! オグリとジョーの夢を、幸せを奪わないであげて下さいッ!」
いくらでもチープヘッドを下げて懇願してやる。
靴を舐めて叶うなら、それだってやってやる。
尊厳なんて食えないものより!
オグリとジョーの夢が大切だ!
ジョーが、ルドルフが、周りのウマ娘が どんな顔で見てたか分からない。
そんな中、ルドルフの声だけが聞こえた。
「そうか。 だが」
温かくも冷たい言葉のナイフを立ててきた。
「君は最も判断する立場に無い人間だ。 想う気持ちは立派だが少々独善に過ぎる。
差し出口を挟む様だが、オグリキャップにとって1番の選択を一考してみては どうかな?」
───正義を言い張る醜さこそ本性。
そんな、どこかで見聞きした言葉が浮かぶ。
それを見抜いてか否か。
呼んでおきながら容赦ない娘だ。
これ……これこそ、オグリを預けたらフォローせず放牧プレイされる気がしてきた。
言葉は続く。
「我々はあくまで招請を乞う立場だ。 だが、裃を脱いで頂けた事は有難い」
「へ? 脱いで良いの? ムキムキだよ? それともシたいの?」
「そういう意味では無いッ!?」
ついでに息子の裃も……って、やめよう。
お茶を濁したが、少しはマシになったか。
ルドルフを見ているのは面白い。
白じゃなくて赤いけど。
「兎に角! トレーナーさん、宜しくお願いします」
「……えと……はい……」
そう言って、ルドルフの電話番号をゲットするジョー。
はい、じゃないよ。
トレーナーだからこそ、ガツンと言ってやりなさいよ。
夢は奪わせねぇ、終わらねぇの勢いで。
俺の下々トークを活かすんだよ!
「なら俺にも番号教えて下さい」
ジョーだけズルいからね。
有名バとは仲良くなりたい。
それでコネを得て上手くいけば権力と金の配当が!
更には彼女含む美女を侍らすのだ!
実に下衆思考。 オグリがいるのに。
これがね、本当の下々って事なんだねぇ。
醜いねぇ……嫌だねぇ……。
まぁ半分は冗談なんだけど。
「…………良いだろう」
「か、会長ッ!?」
悲鳴が上がった。
当然、悪い方の。
「お気を確かに!」
「そうです! こんな危険な男、ナニされるか分からないんですよ!?」
酷いね君たち。
中央のウマ娘は やっぱり……って、俺が完璧に悪い。
「そうなんです、コイツ頭がイッちゃってましてぇ、ですから教えない方が身の為かと」
ジョー、てめっ、なに便乗してんだよ!
モテないからってやっかみか!
「確かに、この男は危険かも知れない。 下の観覧席で暴言暴虐と野蛮な行為も見受けられた」
見てたんかい。
だが勘違いするなよ、仕方なかったんだ。
たぶん。
「だがオグリキャップを想う気持ちに嘘偽りは無い様に思う。
下の様子から時々に独断専行をする様にも感じるし、独善に独占を重ね、それでも熟考の元、彼なりにも納得して貰いたいからな」
短期間で散々な評価である。
「どうも。 流石は魔王●ノンドルフ」
「シンボリルドルフだ。 皇帝の名を頂戴しているが……魔王と呼ぶのは君が初めてだよ」
「やったぞ、ルドルフの初めてを奪った」
ごまだれー!
そんな空耳の効果音が聞こえてきそう。
「……そろそろ警察に突き出しても良いのだぞ?」
「すいません二度としませんハイ」
それでも連絡先を押してくれた。 優しい。
で、別れ際に嘶くのだ。
スゲー怖い顔で。
「"飽きた"? 見ても無いのだろう」
…………………。
聞こえたのか? 聞いたのか?
「中央を無礼(なめ)るなよ」
周りのウマ娘が小さな悲鳴を上げた。
何バかは泡吹いた。
顔面真っ青だった。
中央の娘達は可愛いと思う、赤くなったり青くなったり。
これで黄色があれば信号機完成か。
だとしても止まるワケにはいかない。
ジョー、お前も止まるんじゃねーぞ……。
「そういう事だ。 くれぐれも宜しく頼む」
次には良い笑顔を向けてきた。
今のを知らなければ、世の男は堕ちそうな良い笑顔。
うん。 アレはキている。
連絡するのが怖い。
「ジョー、もうここに用は無い。 帰ろう……うん?」
ジョーもまた、青くなって泡吹いて倒れていた。
「立て! 立つんだジョー!?」
ここで終わるな!
夢を見させてくれ!
俺の所為なのは謝るからさ!
作風の件含め、許しを乞うスタイル(ドロップキック。