オグリが心配で、スタッフにさせて貰った。(完結)   作:ハヤモ

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メインを並行しつつ、その影(寄り道)も書きたくも思います。
カサマツ編で終わらせるとなると、中央ウマ娘との絡みが無くなるので……。
いえ、それが良いのかもとも思ってしまいますが。
「俺達の走りはこれからだ〜」になった後の妄想展開の為に(殴。


第29R「応援しなきゃ」

ジョーと別れた後、自室で悩む。

 

放心し、足が地に付いていない感覚は不快だ。

 

その癖、あの時どうにかならなかったのかと引き摺るものだから救われない。

 

 

「ホント、救われないねぇ。 俺もジョーも」

 

 

独り言が児玉した。

 

言って状況が変わるなら、こんな余計な一言も役に立つのだろう。

 

残念ながら、それは有り得ないのだが。

 

それを体現し追い討ちを掛けるようにして電話が鳴る。

 

ビビりながら見やれば『タマ』からのメールだった。

 

気休めになるか。

 

下衆にも利用してやろうという邪心で見てやった。

 

実に屑である。

 

…………。

 

内容としては。

 

阪神レース場で行われた重賞レース、鳴尾記念における勝利報告である。

 

重賞レースに勝ったのは初めてらしく、とても嬉しいので祝えといった所か。

 

後は、怒涛の3連勝らしい。

 

この勢いのまま、勝ちまくってやると息巻いた内容だ。

 

添付された画像には、笑顔のタマ。

 

ピースサインの様に、指は3本立てて見せている。

 

3連勝、という意味だろうな。

 

 

「勝つ……か」

 

 

勝つ。 1着になる、という事は。

 

何バも出走するレースにおいて、ただ1バであり唯一頂点に君臨する事である。

 

それがウマ娘にとって どれほど重く難しく、遠いモノなのかは想像つかない。

 

聞いたとしても、ヒトには分からない領域かも知れない。

 

だからこそ、ソレにヒトの都合が絡んで良い筈がない。

 

なのに、ジョーは……。

 

 

「百歩譲ってレースに賭事をしたのを許すとして。

負けて欲しい、なんて願ってないだろうな」

 

 

ありそうな話だ。

 

でもさ、腐っても良いから。

 

自分トコのウマ娘の勝利を信じて応援してやれよと思う。

 

俺もそうするからさ……。

 

 

「なに結果をオグリに決めさせるんだ。 勝てると踏んで、その実力を認めてるからこそ、そんな事をする?

中央に行きたくないから、ウマ娘が本気で走らないとでも? ワザと負けるとでも?」

 

 

身内のゴタゴタをタマに相談するワケにもいかない。

 

俺は取り敢えず、当たり障りの無い返信をして携帯を放る。

 

寝よ。

 

なんか、運動してないのに疲れた。

 

不良サンにボコられた影響が残ってるのかも知れないな。

 

と、寝落ちしそうな時に また電話が鳴る。

 

 

「なんだよ……」

 

 

いや、マナーモードにしたり着信拒否なり電源切るなりすれば良いだけだが。

 

見やればタマではなく『魔王』とある。

 

メールである、後で良いだろ。

 

見るのが怖い、というのが本音。

 

 

「…………どうせ逃げられないんだ」

 

 

結局手に取って開いた。

 

そんな俺は勇者である。

 

ちっぽけだが、全俺の中では勇敢だった。

 

 

「でも怖い」

 

 

部外者に何の用か知らないが、まさか向こうから先に連絡するなんて。

 

悪い知らせじゃありませんように。

 

そう願いつつ、俺は文面に目を通す。

 

 

「………あぁ」

 

 

まあ、逃げられないよなと思った。

 

うまぴょいコールなんてある筈ない。

 

メールではあるが、夜分遅くに申し訳ないと断りを入れた後から本文が始まる。

 

スタンドで威圧してしまった件を謝罪している。

 

完璧に悪いのは俺なんだが。

 

律儀というより、まあこれは社交辞令の一種であろう。

 

悪く言えば、遠回しに「お前をいつでも突き出せるぞ」と脅している様にも読める。

 

流石は魔王のいる世界。

 

いやー、乱世乱世。

 

その内に真紅の大輪を大きく咲かされそう。

 

 

「まさかオグリを渡さないと、訴えるとか? それは考え過ぎか」

 

 

そこまでしないと願おう。

 

そんな事したら、ガチ魔王、いや悪魔だぁ。

 

…………。

 

他には、やはりオグリの事か。

 

まぁこれは……もし中央に行くとなれば、色々教えてあげて下さいお願いしますと書いておこう。

 

偉さ故に放牧プレイしそうだが、オグリにソレは危険である。

 

方向音痴だし、大食いだからね。

 

ああ、それと。

 

真紅の大輪ではなく、柔らかな布団の上で純白の大輪を咲かせてと送っておこう。

 

血祭りにあげる悪魔ではなく、献花してくれる優しい娘であれという想いを込めた。

 

これは彼女が薄曇りの京都レース場、菊花賞で勝ちクラシック三冠を達成、我が国のウマ娘史に名を刻む行為をした際の名実況を真似ての事だ。

 

どうだ。

 

少しは調べたんだぞ。

 

 

「よし、送信」

 

 

送った。 返信きた。 早い!?

 

 

「流石はシンボリルドルフ。 褒めてやりたいところだ」

 

 

冗談を言いつつ、開いてみたら。

 

 

 

 

魔王より送信

"件名:親愛なる相葉良秣様へ"

 

"本文"

殺す

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

ウッソだろお前!?

 

思わず二度見。

 

間違いない、殺意がお太い!

 

親愛の後の言葉が重バ場!

 

ナニコレ。 ヤンデレかな!?

 

 

「なんで こうなったんだ!?」

 

 

一体全体、あの内容のどこに彼女を ここまでして怒らせる文面があったのか。

 

日の出ずる地方より火の沈む中央に〜みたいな事を書いてないのに!

 

いや方角的には中央が東であるから違うのだが。

 

 

ピロリンッ♪

 

 

「!?」

 

 

また連続してきたぞ!

 

 

 

 

 

魔王より送信

"件名:親愛なる相葉良秣様へ"

 

"本文"

貴賤なしと思考したいが その限りで無い様だ。

 

才気煥発。 見せてくれた礼にと少々過激な文字を添えさせて貰った。

 

なに、かのような文才と内容からして、寧ろ重畳であろう。

 

私に任せてくれ。

 

君に再会する日を楽しみにしているよ。

 

 

 

 

 

「絶対会いたくねぇええええ!!」

 

 

絶叫! 阿鼻叫喚!

 

ナニに怒ってるの!?

 

シンボリルドルフ君、ナニ言ってるか分からないよ!

 

いけない。

 

このままでは、世にも恐ろしい うまぴょいが始まる。

 

悪寒が背筋を走った俺は、直様にメールを打った。

 

我が人生において、最速の速度だ。

 

それだけなら並のウマ娘を凌駕した自負がある。

 

 

「くそぅ! くそぅ!」

 

 

気分は魔王に挑む勇者。

 

いや知らんけど。

 

 

 

 

 

その後の、夜の激しい攻防は語りたく無い。

 

ただメール内容を全て破棄するくらいには悍ましかったとだけ。

 

結論から言えば、向こうが下ネタを送信されたと誤解したのである。

 

俺はソレを必死に解いた。

 

狼少年って感じか。

 

日頃の行いは大切なんだなって思います。

 

 

 

 

 

「どうしたの、ルドルフ」

 

「私は……卑しい女だったのか?」

 

「?」




間違いがあれば、すいません。
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