オグリが心配で、スタッフにさせて貰った。(完結) 作:ハヤモ
誕生日:4月5日
身 長:170cm
芦毛 気骨稜稜 読書家
漫画にあるオマケの絵で、ウィニングライブの衣装を着ているのがあります。
スカートを抑え、顔とウマ耳を赤くしていて可愛い。
新入生デビュー戦に勝利し、ウィニングライブを行った際のものと思われます。
マーチは真面目で厳しい一方、衣装や行動、言動の仕方に恥じらいを持ってるかもという妄想。
夕飯の支度は本家に任せ、再び外へ。
掃除しつつ学内把握という言い訳をしつつ、オグリを探す。
だけど見つからない。
まさか学外か?
河川敷あたりかも。
そこまで行くのは流石に。
バレたら言われるだろうか?
「うん?」
トラックを見る。
イケメントレーナーがいて。
オグリと同じ、芦毛のウマ娘が走っていた。
あの娘は……ナントカマーチ。
マーチ……マーチ……。
ウマノマーチ。
そういう事にしておこう。
皆から期待されていたウマ娘だ。
でもオグリの方が良いね。
あの娘、目付き怖いし。
なにより真面目そうなのは苦手だ。
「よし良いタイムだ。 一旦 休憩するか?」
「いえ、もう少し……デビュー戦。 絶対勝ちたいので」
その様子が ココまで伝わる。
努力しても報われる保証は無い。
努力を否定はしない。
だが苦手だ。 勝負の世界は避けてきた。
「東海ダービーに行くのは私だ……」
「ん?」
「何でもありません。 もう一本 行ってきます」
再び走り出した。
その背中を見て、溜息をつくイケメン。
予想通りか。
恐らく上手くいっていないのだ。
レースは詳しくない。
だが、1人だけで強くなるものでもないんじゃないか?
それならトレーナーは要らない筈だ。
「要らない、か」
俺は……俺は要るのか?
オグリにとって、俺は本当に必要なのか?
だって。
だってさ。
上手くいっていると言えるか?
今のオグリにはジョーがいる。
ベルノがいる。
俺は。
今は少なくとも、側にいないんだぞ。
片想いで付いてきて、なのにコレ。
スタッフとして働いているつもりだが、それだけだ。
進展が無い。
寧ろ距離が出来た。
溝が広がり深まった。
レースの世界は俺の知らない世界だ。
手の届かない場所。
知らない場所。
そこにオグリは走っていく。
何処かに行ってしまいそうになる。
俺は追い付けない。
同じ世界にすら立てない。
どうしようもない。
いや。 まだ始まったばかりだ。
慌てるな。
焦るな。
その時じゃないだけだ。
いつだって会える。 話せる。
ゴールは見えない。
何も寂しさを感じる必要は無いじゃないか。
自分に言い聞かす。
言い訳をしなくちゃ、俺は俺じゃなくなる。
それでも。
現実の光景は考えさせる。
「あのウマ娘は……」
オグリと同じ芦毛。
それでトレーナーが要らないなら。
誰の手も必要とせず、考えてないなら。
オグリも或いは。
俺は要らないのでは。
小さい頃からズケズケと絡む男だ。
良いヒトと言ってくれたけどタダの食い扶持。
それだけの存在価値。
矮小な存在なのだ。
「考え過ぎだよな……」
心が弱まると悪い夢を見るもんだ。
同時に藁に縋りたくなる。
1度崩れ始めると、後は早い。
考えると弱いのは承知している。
そんな俺は。誰に救いを求める?
目の前にはオグリと同じ芦毛の娘が走っている。
毛色だけで、他は似ていない。
だけど現実的な姿を見せつけてくる。
だからって真実なワケじゃない。
でも答えのようだ。
孤高奮闘、努力する姿は眩し過ぎる。
だから向かった。
誰でも良いから話したい気分だ。
それこそ邪魔で要らない存在だと、唾棄してくれ。
寧ろその方が、スッキリするかも知れない。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
休憩するタイミングを見計らって、彼女の側に向かった。
イケメントレーナーに見つかって止められる。
当然の結果だが、これくらいも予想出来ない程に俺は弱っていた。
「貴方はこの前の……すみません。 ここは練習に使っていますので」
「少しだけで良いんです。 ウマノマーチと話がしたいんです」
神妙に、だけど疲れた様子で願う。
ちょっとだけ。
ちょっとだけだからと。
「フジマサマーチです」
そうとも言う。
訂正されたが構わない。
前に行こうとする。
止められた。
「どうしたんです。 何を話したいんですか」
「ご飯について」
「はぁ?」
変な声を上げられた。
イケメンにやられると、腹が立つ。
でも意味不明で仕方ない。
普通に頭おかしい。
豆腐メンタルで、勝手に自爆して。
同じ芦毛の娘というだけで、初対面に変な話をしようとしているのだから。
「とにかく大事な時期なんです。 これ以上妨害するなら……」
と、そこに。
「構いません」
「おいマーチ!?」
向こうから出向いてくれた。
何か興味を引いてくれたらしい。
「少し、席を外して下さい」
「……分かった。 少しだけだぞ」
やはり我が強いのか。
トレーナーに命令しているように感じる。
言われたイケメンも渋々と離れた。
それもそれで思う所はあるが、今は都合が良いので良しとする。
「それで」
鋭い目付きが俺を睨む。
「厨房のスタッフが、なんの用ですか?」
顔を覚えてくれていたらしい。
嬉しかった。 例え高圧的な態度でも。
その他大勢だとしても、記憶に残っているという事に違いないのだから。
因みに訂正を入れるなら、厨房限定では無い。
ウマ娘が俺を見る機会が多いだけである。
「ちゃんと食べてるか? ちゃんと食べないとチカラ出ないぞ?」
「食べてます。 話ってそれですか?」
「前菜だよこれは。 だが、ちゃんと食え」
「食べてますって」
「じゃあ、昼飯は何食べたんだ」
「答える必要を感じません」
「ほぅ、忘れたか。 頭良さそうに見えて忘れっぽいな。 天然オグリですら食ったモノは覚えているのに」
笑みを浮かべて挑発してみる。
何に足しても届かないアスリートにマウントを取って優越に浸りたいだけだ。
そんな俺の心境を他所に、オグリという言葉にピクッと反応する。
これがライバル意識ってヤツ?
だとしても、俺の気持ちは無視されたものか。
「…………ポテトサラダと、ニンジンスープ」
「他にも作ったぞ」
「魚肉団子、ニンジンの…………」
最後はゴニョゴニョ言って聞こえなかった。
ナニかを恥ずかしがっているのか。
「ニンジンの……マフィン」
ああ。
アレのメニュー名を言いたくないのね。
可愛いのが苦手なのかもな。
意地悪しよう。 したいから。
「なんだって? ニンジンの?」
「ニンジンのマフィン」
「ちゃんとメニュー名を言うんだよ。 やはり忘れたんだな?」
「……ッ、ニンジンの……ふわふわ、マフィン」
ふわふわのところで赤面する。
ウマ耳まで真っ赤。
……可愛い。
慣れてないのかも知れない。
或いは、そう言った言葉を他人に使うのが。
さてはコミュ障だな?
さっきのトレーナーとのやり取りでも感じたが。
でもこうして会話は出来る。
問題なのは意欲だろう。
レースレースばかりで、他に頭が回らないとも言える。
「美味かったか?」
ニヤけながら尋ねてみる。
クールな子、威勢を張る子って、イジメたくなるよね。
「……はい」
「そりゃ良かった。 頑張った甲斐があった、俺も役に立つだろ?」
「……?」
そこは頷いて欲しかった。
頷いてくれれば、俺は仮初めの満足感を得ただろうに。
しかし。
普通に話してみるが、その中で思う。
気を許せる友だちがいなかったのだと。
オグリと過ごした幼少を思い出す。
芦毛。 その評価で詰られたのだろうか。
だから、その評価を払拭せんと努力しているのではないだろうか。
オグリは そもそも気が付かなかったが、この娘は辛かっただろう。
「もう良いですか」
「もうひとつだけ、宜しいですか」
人差し指を上にあげて、改まる。
どこぞの刑事風。
「オグリの事、どう思う?」
本題にして奇怪。
だけど聞きたい。
オグリは天然だ。
良い子だが敬遠される。
でも勝負の世界に生きる彼女からして、一緒に走る機会のあるウマ娘として、オグリは どう映るのか。
答え次第では、俺は……。
「何故?」
「えーとさ。 オグリは俺の幼馴染で……その、大切だから」
マウントを取って喜ぶ狭い男が、今度は下に出る。
それをマーチは若干の苛つきを持ってして、応対してくれた。
「敢えて言うなら敵です」
逡巡の隙も無い。
心が無いようで、実は眼中にあると認めていると考えると……何故か嬉しくもある。
「まさか負けてくれ、と頼みに?」
今度はマーチがマウントを取りに来た。
鼻を鳴らし、嘶いている。
耳は後ろに倒れていた。
レースに生きるウマ娘にとって、手を抜けとは侮辱なのだろう。
だけど誤解だ。
俺はオグリが好きだけど、その為に他のウマ娘を蹴落そうなんて考えない。
「いんや。 そんな事は言わないさ。 ただ、まぁ……ありがとう」
だから礼を述べた。
マーチはクビを傾げる。
「言われる筋合いは無いと思いますが……変なヒトですね」
「答えてくれたから」
敵だとね。
それで良い。
意識してくれているのは嬉しい。
無視されるより、よほど。
レースに限らず、やはり 1人で戦えるものでは無いのだ。
競い合う敵も、支えてくれる味方も必要だ。
「そうですか。 なら、貴方の大切なオグリキャップを全力で"負かせ"ます」
「おう、"任された"よ。 俺はオグリが何着だろうと幸せなら良い。
でも、その為に全力で世話はする。 やっぱアイツには俺がいないとダメだから」
なんだ。
自然と答えなんて出たじゃないか。
オグリとの付き合い方。
今は、そう。
今まで通りで良いのだ。
何を慌てていたんだろう。
共学生の学園でも有るまいに。
感謝するよマーチ。
妙な憂鬱に、僅かに日が差した。
「マーチには大切なヒトがいるかい?」
「惚れた腫れたの話がしたいなら、他所でお願いします」
「そんなんじゃない。
でも、レースは1人でするんじゃない。 それは君達ウマ娘が1番知っている筈だ。
陰ながら支えてくれているヒトがいるのを忘れないで欲しい」
「それって───」
身近にいるじゃないか。
イケメントレーナーが。
「じゃあな。 美味い飯、また作るよ」
そのイケメンが戻って来たので暇を告げる。
手を軽く振って、俺は学舎へと戻った。
「マーチ、大丈夫か? 何を話していた?」
「世間話です……ただ」
マーチとイケメンの声が薄ら聞こえる。
そうだ。 それで良い。
仲良くしなさい。
君を支えるトレーナーぞ。
「オグリキャップには渡したくない」
「……?」
「リョウが……違うウマ娘と話してる」
next……
「最近、ちょっと競馬に興味がありまして……」と上司に話してしまってから暫くして。
ある日、上司と車に乗っていた際の事。
車内にウマ娘プリティダービーのCMが流れたのであった。
オワタ/(^o^)\
上司:「競馬ってコレの事?」
俺氏:▂▅▇█▓▒░(’ω’)░▒▓█▇▅▂うわああああああ!!?