オグリが心配で、スタッフにさせて貰った。(完結)   作:ハヤモ

9 / 35
レース後は、いつもより大食いになるオグリですが、ムシャクシャしていると、更に暴食になるオグリ。
作中では主人公が制止させます。

以下、オグリに嫌がらせをしていた3バのプロフィールを晒します。
怨みは無イヨ?

ノルンエース(ギャル)
誕生日:5月10日
身 長:167cm
鹿毛 地元で有名 実家がダンス教室

ルディレモーノ(ヤンキー。 ガラが悪い)
誕生日:5月10日
身 長:165cm
栗毛 ガラが悪い 身内には甘い

ミニーザレディ(チビ。 目元のはメガネじゃなくマスク?)
誕生日:5月10日
身 長:147cm
青鹿毛 イタズラ好き 座学成績学年2位

3バとも誕生日が一緒。
マーチの回想でも、幼い頃の彼女たちと思われるウマ娘が出てきて、仲良くゲームをやっている事から、付き合いは長いのでしょう。


第8R「オコグリ」

学園の外を軽く清掃し、夕飯の支度をするべく食堂へ。

 

すると、待ち構えていた3バに捕まった。

 

メガネチビに、ヤンキーに、ギャル。

 

どいつも悪そうな見た目だ。

 

特にギャルなウマ娘は間違いない。

 

オグリと相部屋なのに、オグリを入れずに部屋を占拠しているからな。

 

オグリの発言からして、物置部屋に追いやったのはコイツで間違いない。

 

 

「よぉ、食堂のスタッフさんよぉ」

 

 

先頭はヤンキーか。

 

当然のように制服は真面目に着ていない。

 

逆に、ジャケットか何かを羽織る。

 

そのくせ、可愛らしいニンジンが刺繍されていた。

 

弱者を虐めたがりそうなタイプだ。

 

その割に折れたら一気に弱くなりそう。

 

 

「なんだい? これから夕飯の支度をしなきゃならないんだ、道を開けてくれ」

 

 

内心ビビりつつ、堂々言う。

 

向こうは生徒。 こっちはスタッフ。

 

チカラの差はあるが、それは変わらない。

 

 

「ちょっとくらい付き合えよ。

泥ウサギ……オグリキャップが心配じゃねえのか? ん?」

 

 

ヤンキーが挑発。

 

合いの手で しししっ、と笑うチビ。

 

煽るように携帯で写真を撮ってくるギャル。

 

……お前ら、オグリに何をした?

 

 

「そんな怖い顔すんなって。 ただ、ちょっと協力してくれるだけで良いんだ」

 

 

説明するように、今度はメガネチビが言う。

 

悪い事を考えてそうなヤツだ。

 

企みの主犯はコイツだろう。

 

悲しいかな。

 

ヒトの世界にもいるように、ウマ娘にもこういう奴らはいるのだ。

 

ヒトによってはショックだな。

 

アレだ。

 

夢があるアイドルが、実はブラックな性格的な。

 

 

「泥ウサギの幼馴染なんだって?

片想いで学園に入ったアイバ リョウマツさん」

 

 

……どこで その情報を?

 

アイツか? ジョーか?

 

それともベルノか?

 

オグリは違う筈だ。

 

推測、或いはハッタリか?

 

素性がバレた動揺のまま、尋ね返さなかった俺は偉い。

 

ここでそんな事したら、相手の思うツボ。

 

ここは無視だ。

 

スタッフである以上、生徒に手は出せない。

 

だが向こうもスタッフに手は出せない筈。

 

そんな事バレたら、退学処分だ。

 

 

「遊びに付き合う程、今は暇じゃないんだ。

君達の食事を用意しなきゃならないんでね、じゃ」

 

 

ギャルの脇を通り過ぎようとする。

 

そうしたら、耳元で囁いてきた。

 

 

「段ボール被った変質者ってさー、アンタの事だよね?」

 

 

どこまでバレてるの。

 

どこまで揺さぶりたいの君達。

 

だが負けん。

 

足を止めたらオシマイだ。

 

無言で厨房まで逃げ込もうとするも。

 

ヤンキーに襟を掴まれてしまった。

 

ぐっ……!?

 

首が締まる! 苦しい……!

 

前に進めない……ッ、歩けない……ッ!

 

 

「テメェもアイツと一緒で愛想がねぇな」

 

 

ウマ娘のパワーに勝てる筈もない。

 

ましてや3バリキ。

 

バリキと言っても、通常の生活を送る程度と本気で差はデカい。

 

本気を出されたらバリキは ン十倍と跳ね上がる。

 

ヒトの俺が勝てる要素は微塵もない。

 

 

「……ッ! やっぱお前たち、オグリに何かしたな……ッ!?」

 

「証拠も無いのに疑うのは良くないな」

 

 

メガネが笑いながら言いやがる。

 

やっぱり何かしたな。

 

思い返せば、その節はあった。

 

ゲート体験授業の時、オグリの隣はコイツだった。

 

コイツがしゃがんだと思えば、次のスタートにはオグリもしゃがんだ。

 

靴紐が解けただけだったようだが、もしやコイツの仕業だったのではないか。

 

だが証拠も無い。

 

オグリも困ってる様子は無い。

 

推定無罪。

 

ムカつくが、言う通り責められない。

 

 

「何が狙いだ……俺なんか捕まえて、何になる」

 

 

白旗を上げると、ヤンキーは素直に離してくれた。

 

前のめりに倒れ、床にぶつかる。

 

痛みに悶える余裕はない。

 

本能が呼吸を優先。

 

むせながらも、息を深く吸う。

 

新鮮な空気が肺に入り、ようやく楽になる。

 

床に這い蹲る様子を不良どもは笑いながら見下し、声を投げてきた。

 

 

「最初っから素直になれば良いんだ」

 

「そうそう。 ちょっと協力して貰うだけさ」

 

「アイツのどこが好きなのか理解できないけどさー、まぁ悪いようにはしないから」

 

 

だから、どうしろと。

 

立ち上がりながら思う。

 

ヒリキなジンリキに、何を求める。

 

下衆な話なら、従うフリしてコイツらをシバく方法を模索するぞ。

 

 

「何、簡単さ。 オグリに飯の制限を掛けて貰いたいだけだ」

 

 

意外とマトモそうな話を始めるメガネ。

 

なんかスゲェ。

 

 

「他のウマ娘が飢えるのは良くないからね」

 

「ねー? 普通の話っしょ?」

 

 

ううむ。

 

ある意味、いつも通りの話である。

 

オグリが1番だけど、他のウマ娘に気を遣っているつもりだ。

 

だから他の娘の分まで潰し掛けたら止めている。

 

ギャルが続ける。

 

 

「たださー、最初に盛る時、体積よりデカい量は盛らないで欲しいんだよね。

アンタの飯は美味しいけど、あんなの見せられたら 他の娘が『無くなっちゃう』って慌てて良くないワケ」

 

 

成る程。

 

最初の嫌悪感は何処へやら、俺は真面目に聞き入れた。

 

それもまた、皆の為だ。

 

見た目は大切だが、中身まで判断してはならない。

 

脅迫じみた お願いには不満だが。

 

内容は通る。

 

いちおう了解。 頷いた。

 

 

「そんなワケだから。 宜しく〜」

 

 

そう言って別れる不良ウマ娘達。

 

もっとヤベェ事をされるかと思っていただけに、妙な安堵感を覚える。

 

まぁ良いか。

 

奴らの快感の為になる、嫌がらせになるなら癪に触るが。

 

やる事は ある意味いつも通り。

 

許せオグリ。

 

俺は君の為にやるんだよ。

 

 

「ちょろいな」

 

「マーチと話してたのを見た泥ウサギの様子から……そんなコトされたら、ねぇ?」

 

「想いあっていても乙女心が分からないんじゃ、付き合うまで行かないっしょ」

 

 

ナニか不良が嘶いているが。

 

構ってられない。 仕事があるんだ。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

夕飯。

 

大量の野菜を油で炒めて大鍋に揚げ物を放り込む。

 

決して複雑ではないもの。

 

しかし大変で苦しい工程。

 

だが何より苦しい事。

 

それはオグリに制限を掛ける事。

 

やがてやってきたウマ娘達のリクエストに添った、ご飯を盛っていく中、オグリだけは拒否する。

 

 

「何故だ。 他の娘には言われた通りに盛ってるのに」

 

「それでも大分 盛ってるぞ」

 

 

オグリの皿を見て言う。

 

既に大の大人でも苦労しそうな量はある。

 

 

「いつもより少ない。 もっと盛って欲しい」

 

「じゃあ聞くけど、どれくらい?」

 

 

聞いたら、食堂の長テーブルを指した。

 

 

「あれに載るくらい」

 

「無理」

 

 

即答。

 

オグリなら食えるだろうけどダメ。

 

食糧の備蓄が消し飛ぶわ。

 

というか、いつもより食欲旺盛だな。

 

ウマ耳も後ろに倒れている。

 

怒っている。

 

こりゃあれだ。 何かあったぞ。

 

イライラして暴食になるのは、ヒトにもある事だ。

 

飯を制限されたくらいじゃ、こんな事にならない。

 

今までも あった事だから。

 

 

「なぁオグリ」

 

「良いから盛って」

 

「……何か、練習であったのか? ジョーかベルノと喧嘩したとか?」

 

 

だとしたらドロップキックだな。

 

勿論、監督責任を負うジョーに。

 

 

「違う」

 

 

オグリはクビをフルフルして否定。

 

可愛いが、堪能している場合じゃない。

 

 

「別に何も無い」

 

「何も無くて、こんな事しないだろ」

 

「じゃあ……」

 

 

俺の目を真っ直ぐ見て、一泊おいて。

 

 

「リョウは芦毛が好き?」

 

 

急にそんな事を言ってきた。

 

なんなんだ。

 

毛色なんか、今まで気にしてこなかったろ。

 

この学園で何か言われた?

 

あの不良3バカ辺りに?

 

とにかく。

 

あまりオグリをカウンターに立たせているワケにもいかない。

 

他のウマ娘に迷惑になる。

 

適当に言って席に向かわせよう。

 

 

「好きだよ。 綺麗じゃないか」

 

 

言ってから恥ずかしくなる。

 

顔が熱い。

 

間違いなく厨房の熱気の所為じゃない。

 

これ、相手がオグリじゃなかったら告ってるみたいじゃないか。

 

 

「そう……やっぱり あの時……」

 

 

そんなオグリ。

 

今度はウマ耳を前に垂れた。

 

しょげている。

 

なんで落ち込む。

 

オグリも芦毛だろ。

 

綺麗と言われて、そうなる理由が分からん。

 

 

「良いから席に着け。 おかわり なくなるぞ」

 

「……なら盛って」

 

「ダメ。 他の娘が慌てる」

 

「そうやって他の娘ばかり」

 

 

何をブツクサ言っている。

 

虐めているつもりは無いぞ。

 

 

「オグリに優先するワケにはいかないの」

 

「……わかった」

 

 

渋々席に向かうオグリ。

 

やっと行ったか。

 

急に食欲が失せたのか、モソモソと野菜炒めを食べ始める。

 

そうだ。 それで良い。

 

大人しくしていなさい。

 

そうしていれば、目を付けられる事もない。

 

 

「ハイ次のウマ娘……って、うん?」

 

 

また芦毛がいた。

 

顔を見る。

 

マーチだった。

 

赤面し、口をパクパクしている。

 

雛鳥じゃないんだ。

 

そんな事をして どうしたんだ。

 

 

「ニンジンを突っ込まれたいのか?」

 

「ち、違う! その、お前は芦毛が好きなのか? いや、好きなんですか!?」

 

 

微妙にバグっているな、コレ。

 

だってタメ口と敬語が混ざってるもん。

 

俺まで動じるワケにはいかない。

 

ため息を吐く。

 

マーチの皿に適量盛りつつ、適当にあしらう。

 

 

「特別好きってワケじゃない」

 

 

言うと、マーチは落ち着いた。

 

逆に どうしても聞きたい事があるのか、尋ねてくる。

 

あまり目の前に立ち続けて欲しくないんだが。

 

他のウマ娘の迷惑になるぞ。

 

 

「なら、どういう意味だ?」

 

 

面倒だ……。

 

オグリが好きと言うワケにはいかない。

 

下手な発言をして、毛色で差別する男だとも思われたくない。

 

寧ろ、差別しているのは皆である。

 

 

「強いて言えば、反骨精神かな」

 

「なんだそれは」

 

「因習に右倣えしたくなかったんだ」

 

 

コレを言うと世の中のルールに反発する、集団生活に馴染めない腐ったみかん扱いをされるが。

 

別に青信号を無視するとか、泥棒をしようとしているワケじゃない。

 

芦毛が走らないって、ルールは今は無いだろと言いたい。

 

そんなの、迷信だろと。

 

ペットボトルが猫除けになるような。

 

何を根拠に言ってやがるんだと。

 

昔は出走自体認められなかった時代もあったのかもしれない。

 

そもそも数がいないのかも知れない。

 

だから そう言われ続けているのかも知れない。

 

でも、そんな事は無いんだ。

 

無いはずだ。

 

だって。

 

 

「オグリも、マーチも。 芦毛は走ってるじゃないか。 誰よりも速く」

 

 

知ったかぶりを発揮する。

 

レースを知らない男だからね。

 

でも嘘じゃない。

 

オグリは速い。 マーチも速い。

 

そしてオグリは、小さい時は走れるどころか立つ事すら出来ずに泣いていた娘だ。

 

それが今じゃ走る。 走るんだ。

 

なんならマーチ、君よりも。

 

 

「それだけ。 満足したら席に着きなさい」

 

「……そうか。 だがな、コレは言っておく」

 

 

なんだ。 まだ言い足りないか。

 

いや怒らせたか?

 

でもウマ耳は立っているから、違うか。

 

 

「1番は、私だ」

 

 

そう言い残し、彼女は座りに行った。

 

 

「1番ね……レースの着順は、俺は気にしないよ」

 

 

でもね。

 

俺の中じゃ、オグリが1番だ。

 

 

「あの、リョウマツさん。 リョウマツさんってば!」

 

 

はっ。

 

配膳中に話し込んだ挙句、棒立ちしてしまった。

 

 

「ごめんよ、どれくらい食べる?」

 

「ああ、いえ。 その前に」

 

 

また立ち話?

 

そう不満気に顔を見たら。

 

今度はオグリの友だちが目の前にいた。

 

 

「あっ。 ライトノベル」

 

「ベルノライトですっ!?」

 

 

今日も元気だ。 何よりだ。

 

 

「その……オグリちゃんと何かあったんですか?」

 

 

寧ろソレ、俺が聞きたい。 聞こう。

 

 

「いや。 逆に聞くけど練習中に何か?」

 

「いえ特には」

 

 

じゃあ、何で怒ったり めげるんだ。

 

幼馴染なのに分からない。

 

これは……ウマ娘同士じゃないと聞けないし、分からない事もあるやも知れん。

 

頼んでみるか。

 

 

「なあ ベルノっち」

 

 

かの お世話ゲームに出てきそうなネーミングで、親し気に。

 

こうして お願いし、スムーズに話を進めよう。

 

 

「ベルノっち!?」

 

 

驚愕するベルノっちを無視し、お願いする。

 

 

「オグリの友達と見込んで頼む。 なんで あんなにしょげたり 怒ってるのか探ってくれ」

 

「そんな刑事みたいな事、無理ですよぉ」

 

「やってみなくちゃ分からないだろ。 ハイ頼んだから、次の方〜」

 

「酷いですっ!?」

 

 

適量を皿に盛って渡し、右から左へ受け流す。

 

だがな、俺は分かるぞ。

 

君みたいな素直な良い子は、押しに弱いとね。

 

 

「俺には君が必要なんだ」

 

「ッ! うぅ……やってみますぅ」

 

 

ほらな。

 

赤面しつつも頷いてくれた。

 

ちょろい。 早速当てウマとして役に立つ。

 

で、様子を探る。

 

本命は俺が何とかしないとだろうけど。

 

仕事もある以上、生徒の時間と俺の時間は異なる。

 

一緒にいられるとは限らない。

 

そんな時は彼女に頼ろう。

 

上手くいくかは分からないけども。

 




ベルノは、漫画の中で誰かの役に立てるのって良いなと言っているので……。

でも、主人公の役に立つのとレースで役に立つのとでは意味が違います。 当たり前だよなぁ?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。