ダーツを使った異世界もの。
というので考えたものになります。
とはいっても、続きはないです。
人生を終えたものには天国がある。
しかし、人生半ばで終えたものには何があるのだろうか。
神田哲夫もその一人だ。
仕事終わりに「レッドブル」というダーツバーに行く途中の道中。大きなダンプの事故に巻き込まれた。
薄っすらとある意識の中で見たのは、たくさんの人間の悲鳴だった。
詳しくはわからない。が、沢山の人がケガを負ったのだろう。
哲夫にはそんな余裕なんてありはしない。
身体を動かしもできない。こんな中で、動けない身体を恨んだことはなかった。
「おはようございます」
眼前で声が聞こえた。先ほどのけたたましい声でがなく、静かで落ち着いた風だった。
「誰かいるのか?」
前が見えない。体も痛い。
声は出る。だから、だれかわからない相手に声を上げた。
「とりあえず、元気そうでよかったわ。さて、まずはっと……」
ガタガタと音が聞こえる。
目が見えない分、不安が募る。
「何をしてるんだ?」
不安に声を上げるが、鼻歌が聞こえるだけで答えは返ってこない。
どうなるんだろうか。
「さて、そろそろ動けるようになってもらわないとね」
その声と同時に、真っ白い場所が見えた。
一人の女性が、微笑を浮かべて待っていた。
「それじゃ、残りの人生を消化してもらおうかしら」
「人生の……消化?」
彼女の言葉に疑問が生まれた。
人生の消化。とはいったい何だろうか。
「さて、これからあなたには人生のお釣りを払っていくの。わかった?」
彼女はそういうと、筆箱のような箱を渡し、どこからか板を持ってきた。
「えっと、これは?」
その言葉に、きょとんとした顔を見せる。
「あら、知らないの? これはダーツよ」
平然と聞きなれた言葉、それでも彼女はそのまま言葉を続けた
「それではー、ルールは大丈夫そうですし、このまま説明は省きますよね」
そういうと、説明もないまま彼女は投げるように促した。
「あの、投げて何が変わるんだい?せめてそれは教えてくれないか?じゃないと……」
「いえ、お断りします。これでも忙しいので」
それだけを言い残すと、まっすぐにひかれた線の上を指示した。
哲夫はやけにすんなりとスタンスをとった。
目に見える的はいつもと同じ大きさ。距離感も変わらない。
真ん中にあるBULLの大きさもシングル含めて同じ感覚。
「狙える」と確信し、一投。
山なりの軌道をしながら、まっすぐに真ん中に刺さる。
歓声もない、ただただ静かに二投目を待つ目線を感じた。
何も変える必要なんてない。ただまっすぐに、投げるだけ……
とは言ったものの、一投目のまぐれのようなBULL以外は的外れな軌道を見せた。
「まぁまぁの結果じゃないかしら……」
「お恥ずかしい限りで……」
「まぁいいわ。これでここでやることは終わり。あとは、自分自身でどうにかしなさい」
何か、いい感じで終わらせようとしているが、肝心なことを忘れている。
「これって、いったい何だったんですか?」
「それはね。あなたが生きなければいけない年数なの。65点だから、65年間生きることになるわね。何があっても生きれるから安心してね」
言葉を聞き終えると、強い眠気が哲夫を襲った。
そのまま溶けていく意識の中で、少しだけ後悔した。
もっと上手ければな。っと