大体アプリ版準拠です。
ネイチャとテイオーの両方の面倒を見ることになったトレーナーの話。
たぶん良バ場


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第1話

「トレーナー!!!!」

 

 トウカイテイオーは今日もご機嫌にトレーナーに向かって突撃していった。

 いつものことのようで、トレーナーは、見事な回避を見せる。

 

「ブーブー。たまには受け止めてくれたっていいじゃないのさ!」

 

「ウマ娘の突撃に人間が耐えられるわけないだろ自重してくれ」

 

「わかったよ。でもその代わり、頭を撫でて撫でてー!」

 

 ポンとテイオーの頭に手を置いて、わしゃわしゃと髪をとかす。

 

「ほら、これでいいか?」

 

「ありがとー! これで僕、もっともっと頑張れるよ。期待しててよね!」

 

 さっきまでよりさらに早く、テイオーはトレーニング場へ駆けていった。

 

「気をつけろよー!」

 

 申し訳程度に、トレーナーは注意をしたが、テイオーの耳に入ったのかはわからない。

 

「全くあいつは」

 

 額に手当てるトレーナーだったが、その口元にはうっすらと笑みが浮かんでいた。

 

「さて、俺も向かうとしますかね」

 

 テイオーなら心配いらないだろうが、万一ということもある。

 

 ウマ娘たちの様子を見てあらゆるトレーニングのコツを閃きながら、トレーナーも練習場に向かった。

 

 ●

 

「ねえ、トレーナーさん」

 

 練習場前で、トレーナーは気安い口調で呼び止められた。

 

「ネイチャか。どうしたんだ、こんなところで」

 

「トレーナーさんを待ってた」

 

「ん? 俺を待たなくても練習始めてればよかったのに」

 

「トレーナーさんと一緒に始めたかったからに決まってるじゃん。⋯⋯ いや違うよ。深い意味はなくてね。やっぱこういうのはトレーナーさんが見てないと行けないからさ。わかるよね? ね?」

 

 首をかしげるトレーナーに、ワタワタし始めたナイスネイチャは、トレーナーの腕をひく。

 

「いいからいいから。ね、早く練習するよー!」

 

 赤くなった顔を見られると恥ずかしすぎるので、そちらは絶対に見せないように。

 

 トレーナーが来るのをずっと待ってたことは、いうつもりはなかった。

 

 ●

 

 トレーナーの現在の担当は、ナイスネイチャとトウカイテイオー。この二人だ。

 二人とも同時期にトゥインクルシリーズを走ることになっている。

 

 チームの仲間で、同期のライバル。

 

 それがいい方向に作用するとトレーナーは信じている。

 

 が、二人にとってはその限りではなかった。

 

 ●

 

「あー、ネイチャずるいよ。トレーナーさんと一緒に来るなんて!」

 

「まあまあ、たまにはいいじゃん。これくらいはね?」

 

「テイオーは、ちゃんと練習してたみたいだな。えらいえらい」

 

「えへへー。もっともっと褒めるがよいぞ」

 

 テイオーはすぐに機嫌を直した。

 ちょっともやっとしてはいたけど、それだけだ。

 

 ネイチャはこっそりチョロかわと思っていた。

 思ってはいたが、もちろん油断する気は微塵もなかった。

 レースでは才能の差を痛いほどに感じてしまうし、トレーナーとの距離の詰め方も、ネイチャには到底真似できない。

 

 油断してたら恋でもレースでもあっという間に追いつけないところまで行かれてしまう。

 

「トレーナーさん。私のメニューもお願いね。テイオーには、負けないから」

 

「ふふーん。テイオー様に追いつけるかな?」

 

「わかった。二人とも、ちゃんとメニューは考えてるからな」

 

 この間見かけた、車を救助していたキタサンブラックとサトノダイヤモンドの様子を見ながら閃いたトレーニングをトレーナーはさせることにした。

 

「まっけないよー!!」

「私だって」

 

 並走する二人はスピードを上げる。

 

 ナイスネイチャと、トウカイテイオーは、「弧線のプロフェッサー」を習得した!!! 

 

 ●

 

 若駒ステークスで、トウカイテイオーは一着、ナイスネイチャは三着だった。

 

「トレーナー!!! 見ててくれた!?」

 

「まあ、私なんて、こんなもんだよね」

 

「二人ともよく頑張ったな!」

 

「私は三着ですけどね」

 

「三位だって立派な成績だよ」

 

「ボクの勝ち!!」

 

「あーもう。テイオーはキラキラしちゃってまあ」

 

「ネイチャにも誰にも、負けるつもりはないよー。だってボクは、無敗の三冠ウマ娘になるからね!」

 

 

 会長に報告してくるというテイオーを先に行かせて、ネイチャとトレーナーは、二人で帰ることになった。

 

「あのね、トレーナーさん」

 

 ネイチャはぽつりと呟く。

 

「私ね。自分もちょっとはいけるかもって思ってたんだ。そりゃテイオーはキラキラ主人公ウマ娘だけどさ。私だって本気で頑張ったら、いけるかもって、テイオーに勝てるって思ってた」

 

 実際、ナイスネイチャの練習のタイムはテイオーと比べても遜色がないものだった。

 

「でも、ダメだったんだ。どれだけ前を目指しても、あいつの背中が離れていって、私とあいつの間に、越えられない壁、みたいなのがあるって思い知らされた」

 

「やっぱりさ。不相応だったのかな。こんな普通の私が、テイオーに勝つなんて」

 

「そんなことはない」

 

 トレーナーは、ナイスネイチャの瞳をまっすぐに見つめて言った。

 

「ネイチャはすごいウマ娘だって、俺が保証する。テイオーにだって、絶対に勝てる」

 

「あははは。ありがと、トレーナーさん。お世辞でも嬉しいや」

 

 ナイスネイチャには、その言葉を正面から受け止められるだけの心の余裕はなかった。

 

「私さ、クラシック三冠の夢を見るの、やめる。同期にテイオーがいて、それでも勝ちたいって思ってたけど、もう、私は、戦えない。ごめんね。トレーナーさん」

 

 

「⋯⋯ 。わかった。ネイチャがそう言うならそれに合わせたレースプランを練ろう。もう一度戦えるようになるまで、俺は君を絶対に諦めない」

 

「もー、真顔で何言っちゃってんの。恥ずかしいよ。ああもうはっず」

 

 ネイチャは自分の髪で、トレーナーの目線を遮った。

 だって、今、自分はすごい顔をしているだろうから。

 

 涙を見せたくはなかった。

 

 それがたとえ嬉し涙だったとしても。

 

 

 ●

 

 皐月賞、日本ダービー。

 ナイスネイチャは、どちらも出走を取りやめた。

 

 代わりにトウカイテイオーが、どちらのレースも圧倒的な力を見せつけて、無敗の二冠を達成した。

 

 ダービーの後のウイニングライブ。

 最前列に陣取ったナイスネイチャとトレーナーは違和感に気づく。

 

 テイオーが左足をかばうような動きを見せたのだ。

 

 普通であれば見逃してしまうような違和感。

 だが、チームで一緒に練習を積み、見守ってきた二人には、よくわかった。

 

「トレーナー!!」

 

「ああ。早く向かうぞ控え室に」

 

 頷きあった二人はテイオーの元に向かうのだった。

 

 ●

 

 テイオーは笑顔で二人を出迎えた。

 

「トレーナー、ネイチャ。見ててくれたー?! 僕とってもカッコよかったでしょ!」

 

 元気溌剌と言った様子で、調子が悪いとは思えない。

 

「テイオー、足に違和感があるんじゃないか?」

 

「レースで痛めたんじゃない?」

 

「もー、二人とも、顔が怖いよー」

 

「真剣に聞いている」

 

「誤魔化さないで」

 

 テイオーは、笑顔を凍らせた。

 二人のことは誤魔化せない。

 

「⋯⋯。なんかね。左足に違和感があるんだ」

 

「わかったとりあえず病院に行こう」

 

「えーヤダヤダ。僕病院嫌いー!」

 

「無敗の三冠ウマ娘になるんだろ。怪我した状態でなれるわけないぞ」

 

「そうだよテイオー。テイオーの夢を、叶えなよ。応援してるから」

 

 ずっと共に練習を重ねてきた二人にそのように言われると、さすがのテイオーもそれ以上嫌とは言いずらかった。

 

 

「トレーナー、ネイチャ。僕、これからも走れるよね⋯⋯」

 

「ああ。大丈夫だ。テイオーは無敵だ」

 

「あんたが走れなくなるわけないじゃん」

 

「えへへー。だよねー」

 

「安心して治してこい」

 

 

 ●

 

 テイオーの左足は、結局疲労が溜まっていただけだった。

 

 ただ、もう少し発見が遅ければ、骨折もあり得たということだったので、危ないところだった。

 

 

 とりあえず、大事を取って、休息をとることにした。

 

 具体的に言うと、湯治である。

 

 ウマぴょい前に温泉旅館に行く。

 

 それはあるゲームにおいてはありえない御技。

 

 しかし湯治の名目なら、大丈夫だ。

 

 と言うわけで、トウカイテイオー、ナイスネイチャ、トレーナーの三人は、温泉旅館に来ていた。

 

「すみません。こちらのミスで部屋が足りていないので、一部屋で大丈夫ですか⋯⋯? お値引きいたしますので」

 

「俺は大丈夫だけど、ネイチャとテイオーはどうだ?」

 

「僕は全然いいよー。トレーナーと一緒にいたいもん」

 

「私も別に大丈夫。逆に得したよ」

 

 ⋯⋯

 

「いや、値段的な意味でね?」

 

 ネイチャは聞かれもしないのに、言い訳を始めた。

 

「変なことはしないと誓うよ」

 

「ゆっくり羽を伸ばすぞー!」

 

「私が来ても良かったのかな⋯⋯」

 

「ネイチャは特訓するぞ」

 

「あー。トレーナーさんはそうだよね。期待して損した」

 

「んー。何期待してたのネイチャ?」

 

「いやいやいや。突っ込まないで、そこに。ね?」

 

「テイオーは温泉でゆっくりすること。特訓を一緒にするとかは厳禁だぞ」

 

「うん。わかったよ! 頑張ってね。ネイチャ」

 

「この特訓でテイオーのこと抜かしちゃうかもね」

 

「ウンウン。頑張ってくれたまえ。治った僕なら一瞬で追いつくに決まってるからね」

 

「キラキラしてるわーやっぱ。それでも、いつも通りで安心する。待ってるから」

 

「うん!!!」

 

 ●

 

 ナイスネイチャは一足早い夏合宿の特訓をこなした。特訓レベル5である。友情トレーニングを度外視しても、とても良いトレーニングになることは確定だった。

 

「次の出走は小倉記念を考えている。勝てれば菊花賞出走も夢じゃない」

 

「テイオーと、戦うってことになるじゃん」

 

「ネイチャは、テイオーにだって負けないウマ娘になれると信じているって言っただろ」

 

「あー。そっか」

 

 ネイチャは指の腹で頬をこすった。

 

「ありがとね。うん。頑張ってみるよ」

 

「ほんとか!」

 

「トレーナーさんが、期待してくれてるんだもんね。私だって、やってやりますよ」

 

「よし。一緒に頑張るぞ!」

 

 二人は目標を定めたのだった。

 

 ●

 

 湯上りのテイオーは、それに構わずにトレーナーに突撃した。

 いつものように避けたら、テイオーの体に障りがあるかもしれないと頭によぎったトレーナーは動けない。

 

「ぐふっ」

 

 怪我しているとはいえ、ウマ娘の力である。トレーナーには大ダメージだった。

 

「テイオー⋯⋯。もっと体を労ってくれ。頼むから」

 

 

 ほかほかのテイオーからは、甘い匂いが漂ってきて、トレーナーはテイオーの’女’を意識してしまった。

 

「えー。いいじゃん。僕、一人で寂しかったんだから。構ってくれてもさ」

 

「それは、まあ、悪かったよ。でも、そろそろ離れような?」

 

「ヤダヤダヤダー! トレーナーを感じていたいんだもん」

 

「どういうことだよ⋯⋯」

 

 トレーナーは戸惑いながらも、テイオーを突き放すことはできなかった。

 

 彼女が弱っていることを理解している彼は、テイオーの望みを全て叶えてやりたかった。

 

 ガラリと障子が開いて、ナイスネイチャが合流する。

 

「あー。テイオー何やってるの。トレーナーはテイオーのものじゃないんだよ」

 

「僕のトレーナーだよ」

 

「いやいや。ネイチャさんのトレーナーでもあるでしょうが」

 

「僕のだもん⋯⋯」

 

「トレーナーさんもやることがあるんだからさ。そのへんで勘弁してあげなよ」

 

「ううーわかったよ」

 

 ようやくテイオーはトレーナーから離れた。

 

「助かった。ありがとうネイチャ」

 

 

「トレーナーさんもビシッと言わなきゃダメだからね」

 

 

「いやー、どうしてもテイオーには強く出れなくてな」

 

「私がしっかりしてないと、このままじゃ取り返しがつかないことになっちゃう⋯⋯」

 

 ネイチャは小声で決意する。

 

 トウカイテイオーの湯治兼ナイスネイチャの特訓期間は、無自覚なアタックを繰り返すテイオーを、ネイチャがなんとか捌くという時間となったのだった。

 

 ●

 

 G3、小倉記念。

 

 九州の小倉競馬場で行われるそれで、ナイスネイチャは勝利した。

 

「私が、一着、ね⋯⋯。よし」

 

 控えめなガッツポーズで、喜びをあらわにするネイチャ。

 

「よくやった、ネイチャ!」

 

「ありがとう。トレーナーさんのおかげだよ」

 

「あとは、菊花賞だな」

 

「そこで、テイオーと勝負。うん。やれる。私だって、やってやるんだ」

 

「はは、その意気だ」

 

「あのさ、トレーナーさん。どうしてトレーナーさんは、私とテイオーを担当しようと思ったの?」

 

「一目惚れだよ。二人とも。テイオーの軽やかなステップも、ネイチャの凄まじい末脚も、どちらも俺が惚れ込んだ力だ」

 

「ふふふ。そっか」

 

 ネイチャは照れたように頬をかく。

 

「二人が同じ年だとは思わなかったけどな」

 

「そこは確認しとこうよ」

 

 

「この子しかいないと思ったんだよ」

 

「二人だけどね」

 

「そこは、返す言葉もない⋯⋯」

 

「トレーナーさん、菊花賞。私とテイオー、どっちに勝ってほしい?」

 

「どちらも」

 

「そっか」

 

「どちらが勝っても嬉しいし、悔しいんだろうって思うよ」

 

「玉虫色の答えだね」

 

「ひょっとして、俺とてつもなくダサいか?」

 

「どっちの前でも、一番は君だと言ってないだけマシじゃない?そういう風に、ネイチャさんは思いますよー」

 

「ありがとう」

 

「ねえ、トレーナーさん。菊花賞に私が勝ったら⋯⋯。いや、いい」

 

「どうした」

 

「なんでもない」

 

「そうか⋯⋯」

 

「頑張るよ。うん。テイオーには負けない」

 

 

 ナイスネイチャの闘志が再びテイオーに迫る。

 

 ●

 

 菊花賞、当日。

 

「テイオー、私はもう、負けない」

 

「ネイチャが待ってるってわかってたから、僕は頑張れた。だから僕も証明するよ。僕が無敵のテイオー様だって」

 

「うん。知ってる。だけど、決めたんだ。私が勝つって。勝って、トレーナーに告白するって」

 

「へ?」

 

「行くよ」

 

 ナイスネイチャの瞳はどこまでも真剣で、トウカイテイオーは、気圧された。

 さらに、先ほどナイスネイチャの口から出た告白という言葉。

 

 意味は理解しても、テイオー自身は、ずっと先のことだと思って遠ざけていた言葉。

 

 それが彼女の頭をぐるぐると回る。捉えて離さない。

 

 ゲートに入って、なんとか、集中を入れ直したが、頭の一角には、絶えずその言葉が渦巻いていた。

 

 

『ゲートが開きました。一番人気トウカイテイオー、これは出遅れたか?』

 

 

 そして、その状態で走れるほど、レースは甘くない。

 

 いつもすっと上がって好位置につけるテイオーの出遅れに周りがかすかに動揺する気配がする。

 

 テイオーは、焦りながら、位置を上げていく。

 

『トウカイテイオー、上がっていく』

 

『かかっているかもしれません。スタミナを切らさないか心配です』

 

 脚を溜めるよりも、いつもの好位置に入ることを優先した。

 

 テイオーを意識したウマ娘たちも、ペースが上がる。

 

 

 それを横目に、ナイスネイチャは、後方に控えた。

 自分の武器は切れる末脚だと理解している。

 

 菊花賞は3000m。焦って自分のペースを失ったウマ娘から脱落していく過酷な長距離レース。

 

 脚をためていくのが正解だ。

 

 

 駆け引きをしながら、正面スタンド前、そして2周目を全力で走り抜ける18人のウマ娘たち。

 

 

 

『さあ、第四コーナーカーブ。うちからくるか外からくるか、最後の局面です』

 

 

『外からレオダーバンが仕掛けた』

 

 外から先行していたウマ娘がペースを上げた。

 

 ここからゴールまで、すべてを出し尽くしたものが勝つ。

 

 反応して、他のウマ娘も加速する。

 

 ナイスネイチャは冷静に道を見極める。

 

「見えた」

 

 抜けるべき道。

 

 今いる場所から大外へ加速できる道が、天啓のように開いていた。

 

「いくよ」

 

 一気に加速する。

 

 周囲のウマ娘たちを強引にかき分けてでも、前へ。

 

 自らの願いのために、自分を信じてくれたトレーナーのために。

 

 一方のトウカイテイオー。

 

 前半に無理をしたテイオーは、脚が、とてつもなく重く感じていた。

 

 いつも軽やかなステップを踏めるはずの彼女の脚が、今は鉛のようだ。

 

「それでも、僕は、三冠ウマ娘になる。絶対に、なってみせる!!!」

 

 無理は承知の上。

 これで終わってもいいと、最後の追い込みを図る。

 

 先行するレオダーバンを捉え、そして、さらに前へ。ゴール番がかすれて見えた。

 あと、200m。

 

『やはり、トウカイテイオーだ。無敗の三冠ウマ娘が誕生するのか?!』

 

 スタンドの歓声も最高潮に達する。

 

『いや、ここで、ナイスネイチャだ。大外からナイスネイチャが一気に上がってきた!』

 

『ナイスネイチャか。トウカイテイオーか。ナイスネイチャか。トウカイテイオーか!」

 

「僕は、三冠ウマ娘になるんだ。カイチョーに、追いつくんだー!!!」

「もうテイオーに勝てないって思ってた私はいない。きっとその先へ、私は、行ける!!!!」

 

『二人横一線だ。ゴール前。どっちだ?!』

 

 ゴール番を駆け抜けた。

 

『菊花賞。勝ったのはナイスネイチャ。ナイスネイチャです!! トウカイテイオーの三冠を阻みました!』

 

 一瞬の静寂。

 そして、爆発的な歓声がスタンドから飛んだ。

 

 クラシック戦線に絡めずに、夏にようやく調子を上げて菊花賞に挑んだナイスネイチャ。

 彼女もまた、人気のあるウマ娘だ。

 特に、各地の商店街では絶大な人気を誇る。

 

 彼女のG1優勝は、祝福を持って迎えられた。

 

 ●

 

「トレーナーさん。私、勝ったよ。テイオーに、勝った!」

 

「ああ。よくやった。すごいぞ、ネイチャ」

 

「うん。トレーナーさんのおかげ。自信が持てなかった私に、あなたが勇気をくれたから」

 

 ネイチャの言葉は、まっすぐだった。

 いつもなら照れて、別のことに逃げてしまうネイチャ。

 

 だが、菊花賞をとったネイチャはもう、覚悟を決めていた。

 

「トレーナーさん。菊花賞で勝ったら、言おうと思っていたことがあるんだ」

 

「なんだ」

 

「あのね。トレーナーさん。私はあなたのことが好き。うん。好きだよ」

 

「へ?」

 

「あーごめんね。いきなりだったよね。うん。だから待つよ。有馬記念の後に、返事を聞かせて欲しい」

 

「⋯⋯ 。わかった。ネイチャが真剣なことも。よく考えて、年末には返事をする」

 

「ありがと。よし、じゃあ、ウイニングライブ、見ててよね。トレーナーさんのために、歌うから」

 

 そのままばたりと扉を閉めて、ナイスネイチャは歩き出す。

 

「⋯⋯ ああもう、はっず。でも、言ってやった。言ってやったんだ!」

 

 ●

 

 ナイスネイチャが去った後の、控え室。

 

 混乱したトレーナーのもとに、トウカイテイオーが訪れた。

 

「負けちゃった」

 

「⋯⋯、そうだな」

 

「悔しいよ。でも、ネイチャがすっごく強くなっていたのはわかってた。負けたのは完全に僕の実力不足」

 

「そこまで、割り切れてるのか」

 

「そんなわけないじゃん。悔しくて悔しくて、泣かないだけで精一杯だよ」

 

「泣いてもいいぞ」

 

「ありがとう。ちょっと、トレーナーのここ借りるね。見ないでね」

 

 トウカイテイオーは、トレーナーの胸にすがりついた。嗚咽が漏れる。

 

 トレーナーは、テイオーを抱きしめた。

 

「テイオーはよく頑張っていたよ。怪我を乗り越えて、ここまで来たんだから」

 

「でも、でも、でも!!!」

 

 涙声が、止まらない。

 

「大丈夫だ。テイオーが強いのは俺がよく知っている」

 

「でも、負けたよ」

 

「ハナ差だ」

 

「負けは負けだよ」

 

「ああ」

 

 テイオーは、そのままトレーナーの胸にすがり泣き続けた。

 

「ありがとう。落ち着いたよ」

 

「よかった。ウイニングライブでは、悟られないようにしろよ」

 

「トレーナーの前だけだよ。こんな姿を見せるのは」

 

「それは光栄だよ」

 

「ところで、ネイチャから、何か言われた?」

 

「なんでそこでネイチャが出てくるんだ?」

 

「ネイチャが告白するって言ってたから」

 

「言ってたのかよ」

 

「ネイチャはなんて?」

 

「⋯⋯ 俺のことを、好きだって」

 

「どうするの?」

 

「年末に、返事をする。それまでじっくり考えるさ。俺の気持ちを」

 

「なるほどね。わかった。でも、その結論、出すのは慎重にね」

 

「もちろんだ」

 

「じゃあ、僕はウイニングライブがあるから」

 

 テイオーも、部屋を出た。

 

「この気持ちはなんなの。わけがわからないよー!!!!」

 

 ばくばく言っていた心臓の音が、自分のものだとテイオーはようやく気づいた。

 

 ●

 

 ウイニングライブのナイスネイチャは、とんでもなくあざと可愛かった。

 

 今まで少なからず持っていた照れというものをほとんど捨て去って、ただ一人に向かって歌う歌。

 

 その思いは、ウイニングライブに集ったファンの心を動かす。

 

 特に、投げキッスをする振り付けの箇所では、何人ものファンがネイチャの名前を叫んだ。

 

 トレーナーは自分に向かって放たれたことを確信してしまった。

 

 どういう反応をすればいいのかわからなくなって、彼もまた、ネイチャの名前を叫んだ。

 

 何はともかく、とてつもなく盛り上がったウイニングライブだった。

 

 ●

 

「トレーナーさん、お疲れ様」

 

 昼休みのトレーナー室。

 ナイスネイチャは時々ここに顔を出すようになった。

 

「今日もお弁当作ってきたんだ。ほらほらあんまり根を詰めないの」

 

「ありがとうネイチャ。助かるよ」

 

 仕事にかかりきりで、お昼を抜くこともままあるトレーナーには、とてもありがたいことだった。

 

 外堀をどんどん埋められている気もするが、考えないようにしていた。

 

「今は何をしてるの?」

 

「今度のレース、どこに出るか、だな。ジャパンCも有馬記念も、走る価値のある大きなレースだが、菊花賞からさほど日も経っていない。無理をさせるべきかどうか、悩んでいる」

 

「有馬記念は、ファン投票で選ばれたウマ娘が走るレース。ジャパンCは、世界のウマ娘が日本に来て戦うレース、だよね」

 

「そうだ。よく知ってるな」

 

「私、授業はちゃんと受けてる方だよ。テイオーほど成績は良くないけどさ」

 

「えらいぞ」

 

「にへへー。正面からほめられると照れちゃうね」

 

 ナイスネイチャは頰を掻く。

 

 

「その中なら、私は、有馬記念に出たいかな。応援してくれるファンの人たちに、応えたいってのは、私の大事な原動力の一つだからさ」

 

「なるほどな。モチベーションってのは大事だ。菊花賞の疲れも残っているだろうし、ネイチャは有馬記念に絞った調整をしていくぞ」

 

「りょーかい。あ、それとさ、返事、期待してるからね?」

 

 ネイチャはトレーナーの机に置かれた手にそっと触れた。

 

「あ、ああ⋯⋯」

 

「それじゃあね。待ってるよ」

 

 扉が閉まる。

 

 菊花賞後から顕著に見られることになったナイスネイチャの照れのない言葉。

 混じり気なしで放たれる好意の証。

 彼女にあるまじきその振る舞いは、だからこそ、トレーナーの心を揺らすには十分だった。

 

 ●

 

「あっ、トレーナー」

 

 対照的にトウカイテイオーにはいつもの元気が足りていない。

 

 今回も、トレーナーに抱きつくことなく、足を止めただけだ。

 

「テイオー、大丈夫か。調子が悪いのか?」

 

「そんなことないよ。絶好調だよ!」

 

 元気に腕を振ってみせる。

 

「ほらね。元気いっぱいでしょ?」

 

「そうか。ならいいんだが」

 

「大丈夫大丈夫。トレーナーが心配することなんて、何もないよ」

 

 むしろ自分に言い聞かせるように、彼女は言う。

 

「テイオーの次のレースなんだが⋯⋯」

 

「うんうん。ジャパンC? それとも有馬記念? どちらも負けないよ!」

 

「ネイチャは有馬に絞る予定だ。そこで提案なんだが、ジャパンCと有馬記念、両方とも出てみないか?」

 

「うわあ。だいぶハードだね。毎月レースすることになっちゃうよ」

 

「テイオーならやれると信じてる。ジャパンCの世界の強豪にも、有馬記念の人気と実力を兼ね備えたメンバーにも」

 

「当然でしょ。僕は無敵のテイオー様なんだから」

 

「ああ。テイオーならいけるさ。ただ、やっぱりハードなスケジュールになる。身体管理はしっかりしないとな」

 

「当然。ダービーの後みたいなことにはもうなりたくないもん。僕はずっとターフの上で走り続けるから」

 

「ああ。俺も注意してメニューを組み立てる。まずは、ジャパンCだ。取るぞ」

 

「うん。僕に任せてよ!」

 

 テイオーは少し、前を向くことにした。

 走りたい。ゴール板の前を先頭で駆け抜けたい。

 その渇望がある限り、彼女は止まらない。

 

 

 テイオーの胸の奥のモヤモヤとしたものは、ジャパンCに向けた調整に没頭していくうちに、薄れていった。

 

 いや、もしかしたら、別のものに変わっていっただけなのかもしれない。

 

 

 

 ●

 

 ジャパンC。

 

 世界の名だたる強豪を相手に、トウカイテイオーは、圧巻の走りを見せた。

 

 先行で好位につけてから最終直線で軽く抜き去る。

 皐月、ダービーと、積み重ねてきたテイオーの必勝パターンだ。

 

 菊花賞でナイスネイチャに敗れて、メンツも豪華なレースということで、走る前は3番人気にとどまっていたが、蓋を開けてみると、トウカイテイオーの圧勝で終わった。

 

 

 レースの後。

 

「やったよトレーナー! 僕ってば最強だよね!!」

 

「さすがテイオーだ!」

 

 世界の並み居る強豪相手に、完勝に近いレースをしたのだ。

 トレーナーとしても感無量だった。

 

「トレーナーのおかげだよ」

 

「何言ってるんだ。テイオーの力の証明だよ」

 

「ふっふーん。でしょでしょ。もっともっと褒めていいよー!」

 

 ひとしきりトレーナーが褒めたので、テイオーはとても気分が良くなった。

 だから、言葉を続けた。約束を迫った。

 

「トレーナー、僕からも、大事な話があるんだ。だから有馬の後、開けておいてね」

 

 トレーナーは驚きながらも、それを了承した。

 

 トレーナーが控え室から出ていくのと入れ違いに、ナイスネイチャが入室した。

 

「テイオー、おめでとう。やっぱりテイオーは強いね」

 

「そんな僕に勝ったんだからネイチャだって強いに決まってるじゃん」

 

「私としてはいまだに信じ切れてないんだけどね」

 

「でも、もう負けない」

 

 明確な意思を視線に乗せて、テイオーはネイチャを見る。

 

「やっぱテイオーはキラキラ主人公だわー。でもね。私だってファンの思いを背負って走る。簡単には負けないし、勝つよ」

 

 それをネイチャは真正面から受け止めた。

 

「で、有馬の後、トレーナーさんになんて言うの?」

 

「え? ネイチャと同じだよ?」

 

「まさか本当に?」

 

「自分の気持ちに気付いちゃったからね。言う。ネイチャに勝って、僕も言うんだ」

 

「マジかー」

 

 ネイチャは頭を抱えた。

 その気配に薄々気付いてはいたけれど、まだテイオーは自覚しないと油断していた。

 

 

「ネイチャ。やっぱり僕は一番がいい。ネイチャに負けるもんか」

 

「私だって、一番を譲るつもりはないから」

 

「僕が一着をとって、トレーナーさんと話をするんだ!」

 

「私が一着をとって、トレーナーさんに告白の返事をもらうから」

 

「あははは。簡単だね」

 

「ま、ここであんたを超えないと、届かないよね」

 

「ネイチャ」

 

「テイオー」

 

「「有馬で、勝負(だ)!!」」

 

 

 

 ●

 

 有馬記念。

 

 パドックの段階から、ナイスネイチャとトウカイテイオーの姿は人目を引いていた。

 

 どちらも、とてつもないプレッシャーを放っている。

 

 他のウマ娘たちは萎縮するしかなかった。

 

 二人のプレッシャーは、互いに向かい食い合っていた。

 

 等量の勝ちたいという気持ち。

 そして、その先の約束という希望。

 

 それが二人の心に薪をくべる。

 

 ゲート前。

 

「勝つよ」

 

「負けない」

 

 小さく言葉を交わして、ナイスネイチャとトウカイテイオーはゲートに入った。

 

 雪がちらつきバ場は重。

 

 いつもよりもスタミナを使う2500mのレースだ。

 

 一番人気はトウカイテイオー、菊花賞が二着だったこと以外は、G1を3勝という文句なしの圧倒的な成績で、この年末のレースを迎えている。

 二番人気はナイスネイチャ。長距離ではテイオーにやや分があると見られての人気だ。

 

『さあ始まります有馬記念。あなたの夢、私の夢は叶うのか。各ウマ娘ゲートに入って、今スタートしました』

 

 各ウマ娘が一斉にゲートを飛び出した。

 

 まずは逃げウマ娘がペースを作る。

 

 今回のテイオーは完璧なスタートを決めた。菊花賞の時のような精神的な脆さは全く感じさせない見事な走りで好位につける。

 

 それを窺うようにナイスネイチャ。

 

 テイオーから三バ身ほど離れての追走だ。

 

『各馬、得意とする位置を確保します。特にトウカイテイオー、この位置どりが非常に巧みです』

 

『好位につけて仕掛けるのは王道の戦術ですからね。こうなったテイオーはなかなか止められませんよ』

 

『ジャパンCでは見事な走りを見せてくれました。間違いなくこの有馬でも、素晴らしい走りをしてくれるでしょう」

 

 

 馬群中団から、ナイスネイチャはテイオーをマークしていた。

 

 やっぱり、このレースのテイオーは強い。

 

 スパートを先にかけられたら、もう絶対に追いつけない。

 

 そんなことを予感させる羽の生えたような軽やかな走り。

 

 前のウマ娘の後ろに入ってスリップストリームを利用しながら、ネイチャはレースを組み立て直す。

 

 テイオーがスパートをかける前に、仕掛けるしかない。

 

 この重バ場で、スタミナが持つギリギリのライン。

 

 それとテイオーのスパートのタイミング、二つを天秤にかけて、自分のタイミングを割り出す。

 

 差しを得意とするウマ娘として、トレーナーと練習してきた経験が、ナイスネイチャの背中を押す。

 

 第四コーナーカーブ。

 

 どんなウマ娘でも失速を避けられない場所。

 

 失速を最小限に、むしろ速度を増すことができるウマ娘は、「弧線のプロフェッサー」とまで呼ばれる。

 

 

 その称号を持つウマ娘はこのレースに二人。

 

『ナイスネイチャが仕掛けた』

 

『コーナーの速さが抜きんでていますね』

 

『先頭集団を捉えにかかる』

 

『トウカイテイオーも行った!』

 

『二人とも見違えるほどに速いですね」

 

『やはりこの二人だ。トウカイテイオーとナイスネイチャ!!』

 

『菊花賞でのデットヒートは記憶に新しいです』

 

『さあ、曲がり切って最終直線。わずかにナイスネイチャの方が速いか?』

 

 スパートをかけるタイミングが絶妙で、曲がり切った時には、ナイスネイチャの方が半歩先を行っていた。

 

「きっと、その先へ!」

 

 中山の短い直線。

 

 そこで先行したことは大きな意味を持つ。

 

『さあ、あとは直線。先頭二人の一騎打ちだ』

 

 半バ身しか離れていないのに、全く縮まる気配がない。完全に先手を取られている。

 

「いやだ。もう二度と負けたくない。ボクは勝つ。ここからだ!」

 

 なんとか詰める。だが、ネイチャの加速も凄まじい。

 あと一歩、鼻差が遠い。

 

 だが、テイオーは挫けない。

 

「それでも、絶対は、僕だ!」

 

 不屈の闘志が湧き上がる。

 

 速度がさらに上がる。

 トップギアのさらに先。

 限界を超えた走りでテイオーはネイチャに追いついた。

 

 横一線。

 

 もうひと伸びを試みたところがゴール板前だった。

 

『ゴールしました。トウカイテイオー、わずかに体勢有利か?』

 

『結果が出ました。一着はトウカイテイオー。二着はナイスネイチャ。人気通りの着順になりました』

 

『とても良いレースだったと思います』

 

『年末の有馬、制したのはトウカイテイオーです。これでG1、4勝目! シンボリルドルフに最も近いと言えるウマ娘でしょう』

 

『次のレースが早くも楽しみです』

 

 スタンドに手を振るテイオーに応えるようにテイオーコールが巻き起こる。

 

 

 

 

「あそこから差し返すとか、どんな主人公だって話ですよほんと。⋯⋯。ほんと、すごいなぁ。テイオーは」

 

 ナイスネイチャはぽつりと言った。

 祝福と負け惜しみが入り混じってどんな顔をすれば良いのかわからなかった。

 ●

 

 有馬記念のチーム待機場所にて。

 テイオーは、いつも以上に元気いっぱいだった。

 

「トレーナー!! テイオーは何番?」

 

「一番だ」

 

「言ったね。言質は取ったよ。ボクがトレーナーさんの一番だ!」

 

「いやいやそんな騙し打ちみたいなことやめなよ? トレーナーさんも困惑してるでしょ」

 

「じゃあ、勝負に勝った僕が先に言うね。トレーナー。僕も君が好きだ。答えを待ってる」

 

 真剣な表情をするテイオーからはいつもの子供っぽさが影を潜めている。まるでシンボリルドルフのような威厳のある帝王の姿だった。

 

「ちょっと待て。ネイチャの返事で手一杯って時にさらに情報を増やさないでくれ。俺はどうすればいいんだよ」

 

「簡単簡単。今ここで、僕とネイチャ、どっちを選ぶか決めちゃえばいいんだよ」

 

「そんな殺生な」

 

「トレーナーさん。どんな形でも良い。答えをくれると嬉しいな」

 

 二人に迫られてトレーナーは混乱するしかない。もともと決めていた返事の方も頭から吹っ飛んだ。

 

「俺が選ぶのは⋯⋯」

 

 

 1.トウカイテイオー

 

 2.ナイスネイチャ

 

 3.引退まで待ってくれ。←

 

「どちらを選んでもこれからのレースに支障がでる。そんなことはトレーナーとして許せない。だから二人が最後のレースを走り切った時に改めて返事をするよ」

 

「むうう」

 

「テイオーが勝った時からそんな予感はしてたよ。でも一つ教えて。テイオーの告白がなかったら、わたしにはどんな返事をしてた?」

 

「そりゃ⋯⋯。よろしくお願いしますって返事になってたよ。ネイチャは一所懸命で好感の持てる女の子だからな。好きにならない方がおかしい」

 

「あはは。照れるなー。⋯⋯えっ、マジで? マジか⋯⋯。なんで負けちゃったんだろうわたし」

「ひょっとしてとんでもなく危ないところだったの? 諦めなくてよかった!」

「何かあったのか?」

 

「トレーナーには」

「トレーナーさんには」

「「秘密」」

 

「よしネイチャ。ウイニングライブに行くよ。恋でもレースでも絶対に僕が勝つからね」

「わたしの実質的な勝利が⋯⋯。あーもう。キラキラ主人公になんて負けるもんか! テイオー、勝負だ!」

 

「あははー。先に行くよー!」

「こら、待てっての!」

 

 二人はウイニングライブへ向かっていった。

 

「これでよかったのか⋯⋯?」

 

 引退後のことを考えると頭が痛くなりそうだったトレーナーはとりあえずウイニングライブを楽しむことで忘れることにした。

 

 もちろん、テイオーとネイチャの歌がトレーナー自身に向けてのものであることに気づいて悶えることになる。

 

 

 


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