台本形式なのでこれを使って公演したい方がいらっしゃいましたら感想などで「やりたいです」などと一言言っていただければ大丈夫です。あとは作者名「優柔不断丸」の記述をよろしくお願いします。潤色脚色ご自由に。
ナーゴヤン:東アイチランド共和国大統領。できるやつ。ツッコミがち。
サツポロ:ホカイドア王国国王。おバカでお金持ち。猫を飼っている。
オーツ:シガリア公国公爵。めんどくさがり。茶化すのが好き。
???「21xx年5月24日。ある占い師が、この日世界は滅亡すると予言した。これからご覧いただくのは、その前日、5月23日の会議の様子である」
机に3人が座っている。
ナーゴヤン「これから、第20回国際会議を行います」
サツポロ「おお、記念すべき回ですね」
ナーゴヤン「お黙りなさい!……司会はこの私、東アイチランド共和国大統領のナーゴヤンが務めます」
オーツ「シガリア公国公爵のオーツ二世です。どうぞよしなに」
サツポロ「ホカイドア王国の国王、サツポロです。……このやりとり、毎回やってますけどいります?」
ナーゴヤン「出だしをきちんとすることで、会議を滞りなく進められるのです」
オーツ「サツポロさんはどうやっても変わらず自由人のままだと思いますけどね」
ナーゴヤン「でしょうね……。私もそこは同意見です」
サツポロ「あの、ナーゴヤンさん。今日はなにを話し合うんですか?」
オーツ「こらこらサツポロさん。まーた怒られちゃいますよ、『今までやった会議みんな同じテーマだったでしょ』って」
サツポロ「そうでしたっけ?」
ナーゴヤン「もうかれこれ19回もやっているはずですが!?」
オーツ「ほらね。ちなみにテーマは、地球が滅亡するという予言についてですよ」
サツポロ「ああ、そうでしたそうでした。でも、こんなに何回も会議してるのに、結論は出ないものですね」
ナーゴヤン「誰のせいだと思ってッ……もういいです、とにかく進めましょう。オーツさん」
オーツ「はいはい。とは言っても、あの予言では世界がどのようにして滅びるかもわかりませんからねえ」
ナーゴヤン「あの占い師、SNSで大人気って噂の人でしょう?SNSに詳しいサツポロさんなら知っているんじゃないですか?」
サツポロ「そうですねえ。予約もいっぱいみたいで、今から予約すると……半年後らしいですね」
オーツ「半年後なんて、世界が滅びてますよ」
サツポロ「ですよねえ」
オーツ「んふふ」
サツポロ「へへ」
ナーゴヤン「笑っている場合ですか!」
オーツ「ふふ、ごめんなさい。しかしそうなると、漠然とした『滅亡』への対策を考えなければならないんですよねえ。まったく困りました」
ナーゴヤン「……本音は?」
オーツ「めんどくさ……こほん、神が人類を間引こうというのならば、それに従うべきだと思っています」
ナーゴヤン「考えるのが面倒なんですね」
オーツ「まあぶっちゃけ」
ナーゴヤン「はあ……そう言うと思いました」
オーツ「いったい誰なんですか?こんな適当な予言した人は」
ナーゴヤン「知らないんですか?オーツさんあなた同業者でしょうに」
オーツ「はい。こちらは副業でやっているとはいえ、同じ占い師として許せません!私だったらもっとそれらしいことを言いますし、そもそも地球が滅亡するなんて混乱を招くような予言、わざわざ言いませんよ」
ナーゴヤン「実際地球が滅びるとしても、ですか?」
オーツ「ええ。私は占い師ですが、本業は公爵。シガリア公国の主ですからね」
ナーゴヤン「その心構え、サツポロさんにも見習って欲しいですね」
オーツ「ええ、ええ。その調子で皆さん、私をもっと敬ってくれてもいいんですよ?」
ナーゴヤン「はいはい。……サツポロさんといえば、さっきからサツポロさんが静かですね」
オーツ「ほんとですね。というか、姿も見えませんね。彼は一体どこに……?」
サツポロ「あ、俺ですか?ここです、ここ!」
ナーゴヤン「机の下から声……うわ!?なんでそんなところにいるんですか」
サツポロ「ノボリヴェートが下に入っちゃって……ああ、ちょっとそっち行っちゃダメだよ!」
オーツ「ノボリヴェート……?わ、とと、猫さんが膝に!」
サツポロ「こら、ノボリヴェート!こっちに来い!また怒られちゃうだろ」
ナーゴヤン「会議に猫を連れてこないでください!!」
サツポロ「ノボリヴェート、お前のせいだぞ。反省しろよ」
ノボリヴェート「にゃー?」
サツポロ「うんうん、わかればいいんだ」
ナーゴヤン「もうこの人会議室からつまみ出していいですか?」
オーツ「いいんじゃないですか?」
サツポロ「酷い!今のはノボリヴェートです」
ナーゴヤン「飼い主はあなたでしょう」
サツポロ「それはそうですけど……じゃあ、ほら!ノボリヴェートのかわいさに免じて怒らないでください」
ナーゴヤン「はあ?通るわけないでしょうが。とっとと外に出してください」
オーツ「あらら、ナーゴヤンさんは猫さんが嫌いでしたか」
ナーゴヤン「いえ、嫌いというわけでは」
サツポロ「ノボリヴェートかわいいでしょう、ツヤツヤの毛並み!こんの美人さんめ〜!」
ナーゴヤン「……かわいいですね」
サツポロ「でしょでしょ!?よかったなあ、ノボリヴェート!」
オーツ「もう会議どころじゃなくなっちゃいましたねえ」
ナーゴヤン「ハッ!……会議に戻りますよ」
サツポロ「ノボリヴェートはどうします?」
ナーゴヤン「ああもう、そのままでいいですから。席についてください」
席について落ち着く3人。
ナーゴヤン「……あの。この会議を開く理由って、あるんでしょうか」
オーツ「ないと思いますよ。世界は明日滅びちゃうわけですし」
サツポロ「あ!それなら、提案です!死ぬまでにやりたいこと、できるだけやってみましょうよ。この3人で!」
オーツ「へえ、いいですね。では私、プリクラを撮ってみたいです」
サツポロ「俺は野球したいです!一国の王子だからって危ないこと全然できなくて」
ナーゴヤン「私は……。私は、お子さまランチが食べてみたいです」
サツポロ「お子さまランチ!俺も食べたことないです!」
ナーゴヤン「子供っぽいものが恥ずかしくて嫌いだったんです。だから家族でご飯を食べに行ったときも、頼んだことなくて」
オーツ「そういえば、私も食べたことないですねえ。そもそもお子さまランチが出るお店に行ったことがないんですけど」
サツポロ「うんうん。大抵のものは屋敷のなかでも手に入りましたし」
オーツ「じゃあ、ちょうどお昼時ですし、ご飯を食べて、プリクラ撮って、スポーツセンターに行きましょう」
サツポロ「おお、それなら今日中に解決できますね!」
ナーゴヤン「いいんですか?お二人も巻き込んで……」
サツポロ「当たり前でしょう?もう20回も一緒にお話ししてる、お友達なんですから」
オーツ「ええ。タロットにも、お友達とご飯を食べに行くべし!と出ています」
サツポロ「それ信用できるやつですか?」
オーツ「なんちゃーことを言うんですか。本業ですよ私」
サツポロ「そうなんですか?すごい!」
ナーゴヤン「さっき話しましたよね!?ああ、ノボリヴェートに夢中で話聞いてなかったんでした」
サツポロ「えへへ、すみません。でもタロットってそんなことまでわかっちゃうんですか?」
オーツ「まったく、お二人とも、いいですか?ミスターレイク様が直々に占ってあげてるんですよ?予約は半年待ちという大人気のミスターレイク様が!」
ナーゴヤン「……ミスターレイク?どこかで聞いたような……」
オーツ「そうでしょうとも!なんたって大人気の──」
サツポロ「ええ!世界滅亡の予言をした占い師ってオーツさんだったんですか!なーんだ、そうなら早く言ってくださいよ」
オーツ「……え?」
ナーゴヤン「ああ、そうでした、ミスターレイクって今回の予言の方でした。……あれ、でもオーツさん、」
オーツ「え、え!?私ですか!?いや、まったく身に覚えがないんですけど……!」
サツポロ「でも、ほら!ミスターレイクのTwitterに」
オーツ「『5月24日、世界は滅亡する。滅亡するべきなのだ。こんな世界は』……なんですかこれ!」
ナーゴヤン「知りませんよ、あなたでしょうがこれ書いたの。自分の発言には責任を持ってください」
オーツ「いや、いや、でも!……あっこれ晩ご飯に嫌いなものが出た日の日付ですね。ヤケ酒したので記憶が曖昧ですが……そういえば、そんなことを呟いた気も……あったような、なかったような…………」
サツポロ「晩ご飯に嫌いなものが出てくるなんて、オーツさんかわいそう……」
ナーゴヤン「そんなこと言ってる場合じゃありませんよ!では、世界滅亡の予言は、」
オーツ「…………はい、ヤケ酒の勢いで適当に書いた、予言ですらない願望です」
ナーゴヤン「どうするんですか!多くの人が、明日までの命だと思って過ごしているというのに!!」
オーツ「いえ、ほんと、本当にすみません……」
サツポロ「もういいじゃないですか、オーツさんも反省してるようだし」
ナーゴヤン「そういう問題ですか!……はあ、どうやって国民に伝えればいいんでしょう」
サツポロ「まあまあ、それはお昼ご飯食べてから考えましょうよ!さあ、ファミレスへレッツゴーです!」
ナーゴヤン「サツポロさんが能天気すぎるんですよ!ちょ、ちょっと!?このまま行くんですか!?」
サツポロ「はい!俺もうお腹すいて死にそうなんです、急ぎましょう!!」
オーツ「痛い痛い痛い痛い!腕!!!痛い!歩けますから!離して!!」
3人、はける。
???「こうして、世界滅亡の予言は取り消され、世界に平穏な日常が取り戻されたのであった」
ナーゴヤン「こんなオチでいいんですか!?」
完