1945年4月6日夜8時・沖縄沖
ヤマトがブンゴストレイトを南下中との情報を得た第58機動部隊では軍議が始まった。
「通信情報から判断により、カゴシマに集結したエアフリートから大規模なカミカゼがオキナワに来るわ。私達は今から北上、カゴシマ上空のエアスイープを開始する」
真の目的を隠して軍議を仕切るバンカーヒルとエセックスは命令を出した。
「艦隊北上、航空隊はアタックに備えなさい!」
「待ってください。ニューメキシコ長官は、我々の休養と再編成が終わるまで今の海域に待機せよと命令されてます!」
「イントレピッド姉さん、何言ってるの?作戦遂行上必要とあれば独自に行動しても可とニミッツ長官はミッチャー司令に認められたわ。我々はミッチャー司令の意思に従うだけですよ~」
「でも・・ニューメキシコ長官に話を通さないといけないわ・・」
「ダメだよ。姉さん、そんなことして、マリーンのカーゴにカミカゼが来たらどうするんですか?今は行動あるのみだよ!」
「そうだけどさ。司令・・・戦艦部隊がここにいないのは何故かしら?」
「彼女達まで、ここに呼んでは、JAPのサブマリンがあった時に混乱するからよ。あの子達には明日の朝伝えます!」
「ならいいけど・・・」
機動部隊は北上すると決まった。
軍議は終わった、エセックスはバンカーヒルに尋ねた。
「明日の朝、出せる機体は何機かしら?」
「万が一のカミカゼに備えて半数は予備にします。残りの367機をヤマトにぶつける!」
「まずは、ヘルキャット・コルセア・ヘルダイバーを出すのね」
「そう、索敵機より正確な報告があり次第、アベンジャーを投入してヤマトをKILLする!」
「全てが決まった後の軍議で戦艦連中に話すのか・・司令も悪ね」
「これぐらいのことをしないと、プライドだけは高いバトルシップを出し抜けません。念には念を入れて、我々のアベンジャーの半数に撮影妖精を載せます」
「タスクフォース単独でKILLしたことを残すのか・・・何から何まで予定通りって訳ね!」
長姉のエセックスとともにほくそ笑むバンカーヒルであった。
同じ時、豊後水道で哨戒任務についた潜水艦部隊は、ヤマトを中心とする10隻の艦隊が南下しているのを探知した。
「ハックルバック、ヤマトを発見したわ。アタックする?」
「スレッドフィン、ニューメキシコ長官の命令よ。アタックは禁止」
「了解!こういう時に限って絶好の位置をJAPが通り過ぎるのがムカつくよね!」
水上にシュノケールを上げた2隻は、上空を飛ぶゲタ履きに警戒しながら、第一遊撃部隊への接触を始めた。
「敵潜水艦、発見!」
矢矧を先頭、大和を殿にして単縦陣で南下する第一遊撃部隊、大和の前を進む雪風の水探が敵潜水艦を探知した。
「雪風、速やかに排除しなさい!」
「了解しました。やってやります!」
雪風は不意打ちに警戒しつつ潜水艦に接近した。
「JAPのデストロイヤーが来たわ。ヤるか?」
「ダメ!一時避退するよ!」
「ち、絶好のターゲットなのによぉ!」
スレッドフィンはぶつくさ言いながら、ハックルバックとともに一時退避した。
2隻の潜水艦が退避してるのを知った雪風は大和に聞いた。
「敵潜水艦まで1万2000メートル、攻撃を開始しますか?」
「その必要はありません。艦隊に戻りなさい」
「了解しました」
雪風は先に進む大和達に加わるため進路を変えた。
「JAPは行ったわ。どうする?」
「追跡を再開する!増速!」
ゲタばきが、上空にいないことを確認した2隻は浮上して、追跡を再開した。
「艦長、敵潜水艦を発見しました」
「高角砲を向けて対処する」
電探・夜間見張り・照準を任された池山中尉は、電気関係の整備をしてくれた四条大尉の仕事に感謝しながら。矢矧に告げた。
「後は君の仕事だぜ」
「わかったわ・・本当は電探や水探と連動できる高角砲が欲しかったけどね」
「それは言っても仕方がないな・・・今ある物で頑張るしかないよ!」
「そうだったわね。照準合わせは、頼んだわよ」
池山は、高射砲を潜水艦に向けるよう命じた。
「アガノ型が高角砲を向けてきたよ」
「やばい、潜行用意!」
矢矧は大和に攻撃するかの確認を取った。
「敵の潜水艦を左後方に発見、どうしますか?」
「進路右250度に変針しつつ22ノットに増速、潜水艦を振り切りなさい」
「了解、いい電探があれば、撃沈してやるのに・・・」
奇しくも敵潜水艦と同じ気持ちになった矢矧は、命令に従って250度に変針して増速した。
「ああ、敵艦隊に巻かれたよ~」
「仕方ないわ・・西南方向に向かったとニューメキシコ長官に伝えるよ」
「了解!」
潜水艦の報告を受けたニューメキシコ率いる第46任務部隊は、マリアナ基地娘に連絡してオオスミペニンシュラからタネガシマにかけての海域をよく偵察してくれと依頼した。
75年後の天界
追跡してきた駆逐艦と対潜哨戒機を振り切った伊401達は、日本村の領海へ逃げ込んだ
「あ、扶桑さんと山城さんだ、助かったよ~」
「シオイ。ご苦労様。ここからは私達に任せてください」
伊401達を引き取った扶桑姉妹は、追ってきた米国・駆逐艦娘と相対した。
「我が国の領海に侵入してコイツを使った連中を引き渡してもらおうか?」
駆逐艦娘は、晴嵐に改造したリーパーを、証拠物件と言わんばかりに、投げつけた。
リーパーを受け取った山城は聞き返した。
「我が村はリーパーを使ってませんよ。失礼ですが。あなた達のお仲間の悪ふざけじゃないでしょうか?」
「何だと・・・惚けるのか!?」
「貴方達が、あくまでも引き渡しを要求するなら、容疑者を取り調べた上で引き渡したいと思います。今日は引き下がっていただけませんか?」
「何だと!話にならん・・・内部の立ち入りを要求する」
「そうなさる前に、長門に話を通してもらえませんかねぇ~。我々の一存では許可は出せませんよぉ~。今日は出直してもらえませんかぁ~」
のらりくらりの対応に苛立った駆逐艦娘の一人が、扶桑姉妹に銃を向けて捜査をさせろと強要した。
「ダメなものはダメです・・・・て、何をなさるのですか?」
「どけよ・・年増女!」
突き飛ばしたショックで主砲弾が暴発した。口論は熱戦に変わった。
「聞き入れてくれないなら、仕方ありません。我が空母機動部隊を呼びます」
「何、空母機動部隊だと・・戦争行為じゃないか?JAPは米国村に言いがかかりをつけて資源を強奪するのだな?こちらも空母機動部隊の出撃を要請する」
些細な領海侵犯問題は、両村の海洋資源問題が絡んで大事になろうとした。
「高槻さん、面白くなりましたよ!」
「らしいな・・これで空母部隊が大和姉妹とアイオワ姉妹の決戦を邪魔するのは難しくなった。だが、もっと熱くならないと俺たちのショータイムが始まらないな」
「自分たちのF35は偵察機仕様ですが・・・仕掛けますか?」
「熱くなった連中は俺たちが武装があるかは分かるまいさ!」
「ですよね・・少し派手目に行きますか?」
「ああ、不幸姉妹が大怪我しないように仕掛けるぞ。あの二人にも役割を振ってやるぞ!」
上空から押し問答を繰り返すのを見下ろしていた2機のF35は、駆逐艦娘達を挑発するため急降下した。
(続く)