棺と踊れ、ジルバを刻め   作:ザタキシード

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ナイーブ

 

特設機動大隊本部→・第1中隊(装甲歩兵中隊)

  ↓      ・第2中隊(装甲歩兵中隊)

・本部付中隊   ・第3中隊(砲兵中隊)

・情報小隊    ・第4中隊(偵察中隊)

・通信小隊    ・輸送中隊→・ヘリコプター                     隊

・本部守備小隊        ・輸送装甲車隊

・補給小隊          ・整備隊

 

各自に渡された特設大隊の編成表だ。

 

まあ、何とも面白味のない、しかも継ぎ接ぎ感丸出しの雑な編成だ。

 

それぞれ中隊と銘打っているから様になっているが、実際のところ中隊たる人員数は確保できていない。

 

せいぜい3個小隊分の人数を揃えられていれば、まだ良い方と判断される体たらくだ。

 

まあ、先の戦闘でほぼ壊滅した第3大隊の残存部隊を色々な形で再編成した結果だという前提で見れば、まだマシではあるが。

 

そう、特設機動大隊などと格好よろしい名前だが、事実上の臨時編成大隊だ(特設と付けているだけ小賢しいがまだ正直だ)。

 

で、俺達、元第3大隊第2戦闘隊第1分隊は先の編成表で言うところの第1中隊に入れられている。

 

ここで1つ、重要かつ特異的な事がある。

 

俺達、装甲歩兵と言う兵科には小隊と言う概念が存在しない。

 

中隊の次は、いきなり分隊がくる。

 

理由は、俺達装甲歩兵の真価を発揮させるためだ。

 

装甲歩兵という兵科の設立概念は、歩兵より火力面で優れ、戦車よりも機動面で優れることを前提に置かれている。

 

噛み砕いて言えば、戦車と人の中間に立つ万能兵科なのだ。

 

そして、その万能さを活かすためには、複数の小規模部隊を一括して中隊の指揮下に置くのが最もよろしいとされている。

 

小隊という指揮系統上の障害を除いた結果、より迅速に、より細やかに、より効率的に、の3つのメリットを揃えた。

 

その意義はかなり大きく、この兵科とこの指揮系統が完成されて以来、人類の後退に歯止めがかかった。

 

正確には、後退の速度と規模がかなり鈍った、の方が良いのだが。

 

事実、装甲歩兵が戦場に立つ今でさえ、負け戦の数は更新し続けている。

 

だが、鈍らせた、と言う事実は人類に希望を持たせるには充分でもあったらしい。

 

まだ人類はやれる、いつかきっと勝てる、と。

 

だから、統合軍入隊希望者の数は、こっちが徴兵制を導入しないでも足りている。

 

希望とは偉大だ。が、同時にパンドラの箱の中にあった理由も理解できる。

 

希望とは、モルヒネと同列の劇薬だ。

 

希望とは、現実をまだ見ていない者にとってはこれ以上にない良薬だが、現実を目の前にしながら生きている者にとってはただの毒だ。

 

倒せども倒せども、それでもどこからともなく沸いて出てくる敵、敵、敵。

 

それを迎え撃つ俺達は、疲労ばかりが積もり時に仲間が食われる瞬間を目撃する。

 

希望が、持とうにも持てない。

 

減っていくという事実だけがこの身に残され、いつかきっと勝てるなどと言う妄想が入り込む余地が無い。

 

それでも戦わなくてはならない俺達は、一体どれだけ不幸なのだろうか?

 

生きているだけまだマシ、と言われればそれまでだが。

 

さて、俺は一体何が言いたいのだろうか?

 

最近、よくそんなことを考えるようになった。

 

勝てるのか、生き残れるのか? と。

 

最後までやり合わないと結果は分からないものだ。

 

そんなことは百も承知な訳だが、それでも考えずにはいられなくなるのだ。

 

特に、俺達統合軍のかなり美化された戦果報告をテレビとかラジオとかで知るときは。

 

そんなにもキレイなもんじゃないぞ、と何度思ったことか。

 

最近の俺は、どうにもナイーブになっているみたいだ。

 

悲観的になり過ぎているきらいがある。

 

ひとまず、気合いを入れ直してやるべき事をしっかりこなすとしよう。

 

考えるのは、それからだ。

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