棺と踊れ、ジルバを刻め   作:ザタキシード

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原因 2

 

たった1回だけで良い、アイツに怖い思いをさせる。

 

それが、俺が考え出したあの新人に対する更正方針だ。

 

兎に角、本気で怖い思いをさせないと、アイツは何も直さないし、直すつもりも起きないだろう。

 

そんなことを傍らで考えながら、分隊の装備管理倉庫で俺は、自分の「高い棺」の調整やチェックをしていた。

 

「高い棺」こと、77式機動装甲鎧2型は、俺達人類が作り出した、対「ミミズ人」装備だ。

 

この装備は、簡単に言えば着ぐるみを100倍くらい物騒にしたものだ。

 

システムは簡単、中に人が入って動かす。

 

それだけだ。

 

まあ、色々な軍用機器が詰め込まれた着ぐるみは、説明で言うほど簡単には扱えないが。

 

俺達、装甲歩兵の主力兵装は、71式50口径携帯機関銃と90mm無反動砲、コンカッショングレネード、そしてスパイクショットだ。

 

たまに、連中の「巣穴」襲撃作戦用に、特殊散弾砲などを装備するときもある。

 

が、それを使用するのもかなり稀だ。

 

ふつう、滅多なことがない限り、連中の「巣穴」は見つかりはしない。

 

それはそうと。

 

この中で、最も特異な兵装はスパイクショットであろう。

 

正式呼称、80式成型炸薬釘1型。

 

釘と銘打つあたり、開発者の真正直さが滲みでている。

 

この兵器は、「ミミズ人」が地球に降りてきて、人類と喧嘩を始めたとき、人類が慌てて開発したものだ。

 

連中の表皮は、質感こそブヨブヨしていて軟らかそうだが、これがなかなかどうして意外と堅い、と言うより弾力がすごい。

 

ちょっとやそっとじゃ、銃弾では貫通せず、せいぜい傷つけるのがやっとなのだ。

 

そこで、ある研究者は考えた。

 

無理矢理中に入れて中からズタズタにしてやればいい。

 

その結果生まれたのが、件の兵器、スパイクショットだ。

 

扱いは、ある意味どの兵器よりも簡単だ。

 

相手に肉迫して、スパイクショットを装着した左腕を敵に向ける。このとき、彼我の距離は50cm未満であればなお良い。

 

そして、トリガーを引いて発射。

 

直径3cmの針の中に仕込まれた高性能爆弾の時限信管が、相手の体内で作動、中からミンチに仕立て上げる。

 

つまり、針型爆弾を相手に撃ち込むのだ。

 

当てれば一撃必殺の、超兵器だ。

 

当てれば、の話だが。

 

通常、敵にそこまでの接近を許した場合、ソイツは喰われる。

 

喰われずに、暴れ続けられる場合は滅多にない。

 

それにしても、統合陸軍の、特に俺達みたいな下の部隊に回される補給物資は、比較的粗悪品が混じっている割合が高い。

 

さっきから、ずっと俺は自分の使う機関銃の分解整備と、使用弾薬の点検をしている。

 

テーブルの上には、12,7×95mm徹鋼弾が50本ずつ並んでいる。

 

下には、数10本の不良品が転がっている。

 

いわゆる粗悪品、と言う奴だ。

 

どうかしたら、口径が違うどころか、ただの空薬莢や訓練用のペイント弾も混じっていたりするから、内地の補給部隊がいかにいい加減な仕事をしているのかがよく分かる。

 

弾薬ケースの中から、1本ずつ出しては品定めをして、良しなら並べ駄目なら捨てる。

 

そのくりかえしだ。

 

・・・・・・あ、こいつは駄目な弾だ。

 

また1つ、金属音が響く。

 

その行を、延々と繰り返すこと30分、やっと終わりかけた。

 

だが、問題が生じた。

 

最後の1発分が足りないのだ。

 

50発ずつ分けられた弾薬のグループが計7つ、49発の弾薬のグループが1つ。

 

どれも、50発対応弾倉に突っ込むために揃えたのだ。

 

絶対に50発装弾しないと弾倉が故障する、とか流石にそんな問題はない。

 

だが、いつも50発撃っているのが当たり前だから、1発足りなければヘンな感覚に捕らわれかねないのだ。

 

誰かの弾をくすねるか、少し考えたがそれはやめた。

 

くすねた相手が、そのとき死ぬ。

 

そのときとは、くすねられたまま戦場に行ったときだ。

 

辺りを見回す。

 

倉庫の電灯はついているが、やはりどこか薄暗い。

 

何個かの電灯が故障しているから、とかその手の理由ではなく、恐らく雰囲気的なものだ。

 

どこかに、まともな弾はないか・・・・・・。

 

最近納入された装備が入った木箱、個人ロッカーの列、

この倉庫全体の電気系統を握るブレーカー、他のテーブル、並ぶ「高い棺」達・・・・・・。

 

どこを見ても、俺の求めている物は見つからなかった。

 

近くにないか、体を動かして、周囲を探り出したときだった。

 

俺は、何かを蹴った。

 

「ん?」

 

足元を見る。

 

不良品と定めて、床に捨てた弾が小さな山になっていた。

 

その小さな山から、少し離れたところにソレは転がっていた。

 

「・・・・・・!」

 

コイツは使える。

 

色んな意味で、コレは使いようがある。

 

俺はそう判断して、49発の中にソレを混ぜた。

 

物は揃った。

 

後は、使う時を待つばかりだ。

 

 

 

 

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