イッチ「“個性”と言う特殊能力がある世界に転生したら“緑谷出久”って子が自殺したんだけど…どうしたらいい?」スレ民達『ハ?』 作:DestinyImpulse
今回でリメイク前にやりたかった事の一つをやれるので感無量です。
「俺は個性婚で産まれたんだ」
連れて行ってほしい……そう言った轟はポツリポツリと語りだした。
父親であるエンデヴァーの事……エンデヴァーは破竹の勢いでヒーロー界に名を馳せたが、それはエンデヴァーの極めて高い上昇志向によるものだった事。 だがそれ故に、生ける伝説であり毎年トップに君臨するオールマイトが目障りで仕方なかった事。しかし、エンデヴァー自身は己ではオールマイトを超えることが出来ないと悟った事。
そして個性婚に走った。
金と権力で相手の親族を丸め込み、エンデヴァーは轟の母親となる女性を……氷結の個性を手に入れた事。そして己の上位互換と呼べる轟をオールマイト以上に育て上げようとしているが、轟自身はそれを否定している事。
「俺が戦闘訓練でお前につっかかったのは見返す為だ。あいつの個性を使わず……母の力だけでヒーローになる!それで“奴”を完全否定する……筈だった。あのUSJ襲撃の日までは…!」
先程まで憎しみに満ちていた轟の表情は、次第に迷子の子供の様に変わっていく。
「あのUSJの一件で考える様になった…!左の炎を使わないせいで助けられない人がいるかも知れない事を…!」
轟の迷いが何となく分かった。右の力だけでも轟はヒーローになれるだろう。
だけど全てを救えるとは限らない。当然だ、完璧な存在なんかじゃないんだから。
でも…もしかしたら左の炎を使えば助けられるかもしれない。
だけど、…左を使う勇気が今の轟にはない。
「そうして…うじうじ惨めに悩んであんな化け物の言葉に乗って……このまま終わって良い訳がねぇ…!……頼む!」
「轟…」
そう頭を下げる轟を俺は黙って見ていた。
すると黙っていたツカサさんが展開していたオーロラカーテンに向き直った。やはり轟を連れて行くのは……
「何をボーッとしている……終わるつもりは無いんだろ?」
「…っ!」
そう思っていたが、背中越しに言うツカサさんの言葉に轟は顔を上げて立ち上がった。
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173:炎のヒロアカセイバー
よかったんですか?
轟を連れてきて……
174:対魔忍リバイ
タイムジャッカーやイマジンの様な時間軸を弄る事件は元凶を倒せば修正力で無かった事になるのなら…
175:マゼンタの旅路
理由か?
それは……
176:SAOテイマー
それは?
177:マゼンタの旅路
勘だ。
178:OCGトマト
成程…勘ですか。
……………勘!?
179:ありふれナインギーツ
そんな曖昧な理由でいいんですか!?
180:マゼンタの旅路
まぁ強いて言えば、あのまま放っておくのも忍びないし、例え時間軸の修正力で無かった事になったとしても自分のケツは自分で拭くと言ったんだ。
ならば、やらせてやるのが優しさってヤツだ。
181:最高最善のグランドマスター
まぁ、例え無かった事になっても朧げに残ってる事もあるし…良いんじゃないか。
182:神を薙ぐ超古代の光
でも暴走しない様にちゃんと見てないとね。
183:炎のヒロアカセイバー
はい!
184:マゼンタの旅路
分かっている。
185:極み主任
さて、オーロラカーテンでイマジンが行った過去に着いた訳だが。
186:OCGトマト
轟君、めっちゃ辺りを見回してますね。
187:対魔忍リバイ
そりゃ、過去に行くなんて普通あり得ないからな。
188:マゼンタの旅路
まぁ、事が終わればその記憶も曖昧になるがな。
「唖然とするのは分かるが道案内はしてくれ、あのイマジンは間違いなく過去のお前がいる場所……即ちお前の家に向かう筈だ」
『あ、ああ……こっちだ』
189:屋根裏ジョーカー
もうイマジンが行動している。
急ぎーー……っ!?
190:炎のヒロアカセイバー
あの爆発…まさか!
『やはり、向こうに先手を取られるか…』
『あの方向……ッ!お母さん!!』
「お、おい!轟!!」
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轟は必死に走っていた。
あのツカサと言う男が呼び出した銀色のカーテンの様なモノを潜った先にあったのは少々劣化しているが確かに幼少期に過ごした過去の街並みであり、本当に過去に来たのだと唖然としつつ実家へと道案内していた時に聞こえてきた爆発音。
それは今まさに自分達が向かっていた方向から聞こえて、そう遠くない所で煙が上がっている。
あのヴィラン…ツカサが言うにはイマジンと呼ばれる存在は、契約してしまった自分を通して過去に行った。
現代の自分を通したのなら当然、過去の自分から出てくる。
この時代…まだお母さんが居た頃の自分は父親であるエンデヴァーの教育方針で家の外から碌に出させてもらえず絶えず虐待とも言える特訓をさせられていた。
「あ、あああ……!」
故に家にいる過去の自分から出てきたイマジンが暴れるのは、必然であり火の手が上がる我が家を目にして漠然とする。
少しでも距離を取ろうと辺りに居た人達が逃げ惑い、轟と肩が何度かぶつかるが轟は気にも止めない。
「あ?何でお前が過去に居るんだよ?」
何故なら火の手が上がる我が家からイマジンが現れたからだ、片側が炎でもう片側が氷の姿をした怪人。
「お前…!よーー「よくもこんな事を…か?おいおい、契約したのはお前だぜ?」ーー…黙れ…!黙れぇぇぇ!!」
それはまるで自分が見ている様であり…この惨状は自分が起こしたと幻聴すら聞こえてきた。
故に轟が激昂するのは至極当然の事であり、ヴィランであるイマジンの側に逃げ遅れた人も居らず躊躇う事なく右側から巨大な氷結を放ちイマジンを凍結させようとするが…
「はっ!」
「なっ!?」
轟を嘲笑う様にイマジンが左腕を向け五指から一発ずつ、計五発の火炎弾が射出。放たれた三発が轟の氷結を相殺し残った二発が轟に迫る。咄嗟に氷結を放ちガードするが防げたのは二発の内の一発。最後に残った一発が直撃する。
「ーーっ!?」
熱が肌を焦がし、衝撃が轟を吹き飛ばす。幸いにも地面を何回か転がる事で服に燃え移った炎は鎮火されたが、ダメージが思うよりも大きく、上手く立ち上がる事ができない。
「轟!…っ!」
その時、逃げ惑う人を掻き分け追いついて来た聖火が、倒れ伏す轟に駆け寄る。大事ない事に安堵しつつ、イマジンに鋭い視線を向ける。
「チィ!お前、時間移動までできたのかよ?…はぁー、これだから仮面ライダーは目障りなんだよ!」
「っ!変身!!」
【烈火抜刀!!】
過去にまで追いかけて来た聖火に、目に見えて苛立つ様子のイマジン。そのまま火炎弾を放つが、聖火も火炎剣烈火を抜刀、仮面ライダーセイバーに変身し、迫り来る火炎弾を切り払い、そのままの勢いで火炎剣烈火を振り下ろす。無論イマジンも黙って斬られる訳もなく、炎を纏った左腕で受け止め、鍔迫り合いになる。
「はぁぁぁ!!」
「ちぃ…!」
しかし、聖火が火炎剣烈火に力を込めると、烈火が纏う炎が激しさを増し、イマジンの炎を飲み込み切り飛ばす。
「面倒だな…。……なら!」
切り飛ばされたイマジンが数メートル後退り、出力負けをした左腕を軽く振るった後、次は氷に包まれた右腕を振るう。すると十数個の氷塊が形成され聖火………ではなく“轟”に迫る。
「…っ!」
【烈火抜刀!!】
それを見た聖火がすかさず火炎剣烈火を納刀。ニードルヘッジホッグ、ピーターファンタジスタをセットして火炎剣烈火をドライバーから引き抜いた。
【ドラゴン!ヘッジホッグ!ピーターパン!三属性の力を宿した、強靭な剣がここに降臨!!】
三冊のワンダーライドブックを使用して【仮面ライダーセイバー ドラゴンヘッジホッグピーター】へと変身。
【ニードルヘッジホッグ!】
ドライバーのニードルヘッジホッグを押し込み……火炎剣烈火を振るうと炎に包まれた無数の針が動けない轟へと迫り来る氷塊を相殺する。
「…つ、剣!」
痛みが引いて来たのか、ヨロヨロと立ち上がった轟が庇ってくれた聖火に後ろめたさを秘めた声を掛ける。一方で、イマジンが小馬鹿にした声で聖火に語りかける。
「はっ!聞いた通りの甘さだなぁ、仮面ライダー!先走って、突っ込んで返り討ちにあった“馬鹿”を庇うなんてな!」
「……言ってろ。傷ついた人に気を使わず、自己満足で戦うだけの奴を人はヒーローなんて呼ばねぇんだよ」
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「……言ってろ。傷ついた人に気を使わず、自己満足で戦うだけの奴を人はヒーローなんて呼ばねぇんだよ」
俺を庇う剣の言葉がやけに響いた。
利用されて終わっていい筈がないと、無理言って連れて来てもらった分際で先走って、ヤケになってヴィランに突っ込んで返り討ちにあって無様に倒れ伏す俺……惨めにも程がある。
そんな俺を庇う義理なんて剣には無いのに……いや、アイツにはそんな事は関係ないのだろう。
一週間後にある雄英体育祭……それで戦闘訓練での負けとUSJでの憤りを晴らす為に剣へのリベンジを果たそうと考えていた。
「……チクショウ」
でも、本来なら手を伸ばせば届く筈の剣の背中が遠く感じ、無意識に俯いてしまう。
「…………なぁ轟、そんなにエンデヴァーになりたくないの?」
そんな時だった、ヴィランの攻撃を凌ぐ剣がふと俺に声をかけてきた。
「ッ…!当たり前だ!!誰があんなクズ野郎に!?」
それは俯いた俺の顔を上げさせるには十分だった。当たり前だ!お母さんを苦しめてきたクズ野郎になんてなりてぇ訳がねぇ!!
話聞いてなかったのか!?
「そうだよな、正直言って俺もドン引きだったよ……………でもさ、轟は轟じゃん」
「……何?」
「例え轟が望んでエンデヴァーになろうとしても轟は轟にしかなれない。親子だろうが何だろうが…結局、他の誰かにはなれないんだよ。もし仮に俺の他に仮面ライダーセイバーになれる人が居ても、俺はその人にはなれない。俺は俺にしかなれないんだよ」
「……なら、どうすれば良いんだよ」
気づけば言葉が出ていた。
そりゃそうだ、今まで親父を否定する為に生きてきたんだ…!その為に個性を伸ばして来たんだ…!そんな正論ぶつけられても…!
「……今更、変えられる訳ねぇだろ…!」
お母さんの…!この力で勝たねぇと、意味がねぇんだ。この力だけじゃねぇと、意味がねぇんだよ…!
「……轟はさ…どうして雄英に来たの?」
…は?
どうして雄英に?そんなの…決まってる。
「俺はヒーローに成りたくて此処に来た。それは耳郎も拳藤も飯田や切島達だって同じだ。轟は違うのか?エンデヴァーを否定する為に此処に来たのか?」
……違わねぇ…。
俺だって…オールマイトみたいな…ヒーローになりたくて…!
「俺は……俺は…!」
「お前は…USJで俺を助けてくれただろ、左の炎を使って!お前はいざって時にはプライドや拘りなんてものを放り出して誰かを助ける事ができるんだよ!!」
「ちぃ!!何をベラベラとさっきからーー「お前は黙ってろ!!」ーー…っ!?」
【ドラゴン!ヘッジホッグ!ピーターパン!三冊撃!ファ・ファ・ファ・ファイヤー!!】
「火龍怒髪天!!」
「がぁぁぁっ!!?」
痺れを切らしたヴィランへと必殺技を叩き込み無理矢理黙らせた剣が俺へと……
「エンデヴァーの事以前に自分が何をしたいのか…キチンと考えろ、轟焦凍!!」
……振り向いて叫んだ言葉が俺の芯に響いた。
そうして吹き飛ばしたヴィランを追って剣の背中が遠くなる。
「ふっ、言う様になったな聖火の奴も」
不意に聞こえた声の方を見れば、あのツカサとか言う男がいつの間にか俺の隣に立って首元に掛けていたレトロなカメラを弄っていた。
「あ、アンタ…今まで何を?」
「ん?決まってるだろ、人命救助だ…ほら」
そうアッサリと答え指を後ろに向ける。後ろを見ろと言う合図なのだろうか?
「?……っ!?」
そう察して振り向いた俺は……思考が固まった。
「みんな走って!」
何故なら視線の向こうには
あの火の手が上がる我が家からツカサさんが救い出したのだろう。急いでこの場を離れ様とする傍らお母さんはツカサさんに小さく会釈する。恐らくヒーローと思ったのだろう。
「っー!」
会いたかった。
幼い時に居なくなってしまったお母さんが……もう朧げになってしまった記憶でしか会えなかった“あの頃”の優しいお母さんが居る。
“何故”か俺に気づいていないが、呼びかければ必ず気づいてくれる!
「お、お母さーー「大丈夫、大丈夫だからね!
声が出なかった。
お母さんに抱きかかえられた、俺じゃない俺……過去の俺が。
距離もあって正確ではないが怯えた表情でお母さんを抱きしめ返していた。
「あ……」
そうだ…糞親父に虐待じみた特訓を受け、糞親父なんかになりたくないと泣く俺を…お母さんはいつも、ああやって抱きしめてくれていた。
「…………」
「………追いかけなくてよかったのか?」
もう遠くへと走り去って、小指ほどの大きさにしか見えなくなった所でツカサさんが声を掛けてくる。
でも、もう、追いかける気にはなれない。
「……あのお母さんは…この時間の俺のお母さんだ」
そう…
「だから……
「……そうか。お前がそう決めたなら何にも言う事は無いが……やるべき事は分かってるな?」
ああ、分かってるさ。
あのイマジンとか言うヴィランを倒さなきゃ、この時代のお母さん達、家族が危ねぇ。
「……そういや礼がまだだった。ありがとう…俺を連れて来てくれて。この時間のお母さん達を助けてくれて」
「ふっ、そう思うなら情けない活躍をするなよ」
痛みはだいぶ引いてきた…これならもう問題はねぇ。
ツカサさんに、これ迄の事の礼を言い剣とイマジンが戦う場へと駆け出し…
「うぉぉぉぉ!!!」
自分にこびり付いた不安や苛立ちを振り払う様に“左腕”を振るい。
俺はUSJの時の様に炎を解き放った。
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「ぐぁああ!!?」
「っ!?」
轟を巻き込まない様にイマジンを吹き飛ばし、その先で戦闘を行なっていた俺。炎と氷を扱う相手、決めきれない戦況にキングオブアーサーの使用を決めた、その時に放たれた炎がイマジンを襲った。
俺との戦闘に夢中だったイマジンが対処できる筈もなく、モロに喰らいその身を焼かれる。
その出来事にUSJのデジャヴを感じ視線を向ければ。あの時の様に左腕から炎を迸らせる轟の姿があった。
「……ありがとよ剣。『自分が何をしたいのか…!』…お前の言葉を聞いて思い出せた。親父にはなりたくはないが……………ヒーローにはなりたかった」
そんな轟の言葉を俺は黙って聞いていた。
「そうだ…俺だってヒーローになりてぇさ!この思いは糞親父なんて関係ねぇ…!」
そう笑みを浮かべて轟は俺の隣に立ちイマジンに対面する。
「何、青春ぶってんだ!んなもんコッチは求めてねぇんだよ!!」
燃え移った炎を掻き消してイマジンが俺達を否定する叫びをあげる。やはり、炎を使う分耐性はある様だ。
イマジンが炎と氷を同時に放ってくる。
迎撃しようと構えたその時だった……右手に持っていた火炎剣烈火が突如として眩い光を放ちイマジンの攻撃を吹き飛ばしたのだ。
「なっ!?」
俺はそんな事を烈火に頼んでいない。烈火から放たれた光はやがて烈火の刀身から離れ……轟の目の前で止まった。
「お、おい剣。こいつは一体…?」
「お、俺にも分からない…!」
当然、轟が訳が分からないと言わんばかりの表情で俺を見るが、俺も何が何だか分からない。掲示板のみんなも困惑してる…もしかしたら耳郎の時みたいに…!
「……っ、呼んでる」
「?、轟。呼んでるって誰が?」
「分かんねぇ…声が聞こえる訳でもねぇ。……でも確かに俺を呼んでる」
そう言って轟は目の前で輝く光に手を伸ばし……
「…あ」
その時、俺は思い出した。
数ヶ月前…オールマイトから託されたワン・フォー・オールを聖剣にしようとした時…。目の前の光はあの時、ワン・フォー・オールがキングエクスカリバーに変化した光と同じモノだ。
「ま、まさか…!」
ある予感が過ったその時、轟の掴んでいた光が形を変える。朧げだった形は剣と言う確かなモノに変わり……現実の物へと昇華する。
俺の火炎剣烈火と似た刃を持ちながら、その色は鮮やかな“青色”で彩られ水のエンブレムが付けられた“聖剣”。
【
水の聖剣、【
END
遂に二本目の聖剣を出せました!(キングエクスカリバーは除く)
所有者はリメイク前から見てくれた皆様はお察しの轟君です。
リメイク前は体育祭で出す予定でしたが、リメイクした今作では炎覚醒演出と共に聖剣覚醒演出も加えました。
変身は次回ですのでお楽しみ!!
後、もう二話位でリメイク前に追いつくので、そしたらリメイク報告で記載した通り、リメイク前のssに全部移して、一つに纏めます。