イッチ「“個性”と言う特殊能力がある世界に転生したら“緑谷出久”って子が自殺したんだけど…どうしたらいい?」スレ民達『ハ?』   作:DestinyImpulse

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 リメイク版と統合しました、今後とも宜しくお願い致します。

 今回は体育祭、ちょっと前のお話。


間話・雄英の日々

 

 

 

 イマジン襲撃から翌日、いつもの様に雄英に通う俺だったが……少し困った事になった。俺は現在、轟と一緒にA B両方のクラスのみんなに取り囲まれている。

 

「すげー!それが新しい聖剣ってヤツかよ!」

 

 理由は単純明解。

 イマジンとの戦いで轟の覚悟と共鳴する様に形成された、キングエクスカリバーを例外として除けば二本目の聖剣である“水勢剣流水”だ。

 

 流石にこの事を相澤先生や皆んなに黙っておく訳にもいかず、今日、相澤先生達に報告した。

 

 流石にイマジンの事を言う訳にもいかずに、轟と口裏を合わせた結果、『轟と模擬戦したら、火炎剣烈火から新しい聖剣が誕生しました』と言う事にした。

 

 正直言ってかなり無理があると思う、轟も「厳しくねぇか?」と言っていた。しかし、イマジンや過去に行った事など説明のしようがないので、こうするしかない。

 

 

 ………相澤先生達、宇宙猫みたいな顔してたな。

 

 そして現在、俺達は皆んなに囲まれて質問攻めに合っている、とても逃げ出せそうにない。

 

「ほへー剣君の火炎剣烈火とよう似とるなー」

 

「うーむ、剣君の火炎剣烈火から派生したと考えれば…当然と言えば当然だな」

 

俺の烈火と轟の流水を見比べながら感想を言う麗日と飯田。

 

「なぁなぁ剣!俺にも聖剣くれよ!こぅ、雷の聖剣!」

 

「私も!私も!えーと、……強酸の聖剣!」

 

「…………闇の聖剣を我に」

 

 テンション高くどストレートに聖剣が欲しいと言う上鳴と芦戸…しれっと常闇も言ってきた。いや、雷と闇は分かるが強酸の聖剣って怖いわ!

 

「……いや、どうして流水が誕生したのか俺にさっぱりで」

 

「そんな事言って、A組だけに聖剣をーー「やめんか!」ーー…ぐっ!」

 

 しかし、残念ながら流水が誕生した理由も分からず、生み出そうと思っても生み出せない。物真が難癖つけてきたが、拳藤の鋭い手刀がダウンさせる。

 

「んで、実際どんな感じなの?」

 

「ああ、多分、剣の烈火とそう変わらねぇ。自在に呼び出せるし、変身もできる」

 

 耳郎の質問に轟も流水を消したり呼び出したりを交互にしたり、ソードライバーを腰に呼び出したりして説明している。

 

「…………アンタら二人なんかあった?」

 

「「!?」」

 

 そんな時にふと耳郎が放った言葉に俺達はビクッと身震いした。そんな俺達にやっぱりと言わんばかりに耳郎はジト目を向ける。

 

「やっぱり……轟、アンタ自覚ないかもしれないけど…なんつーか吹っ切れたつーか、……柔らかくなった?」

 

 耳郎の言葉に何とも言えない顔をする轟。

 今までの轟は酷く冷たい…恨みつらみを抱えたような目をしていたが…今はどこか吹っ切れたような、柔らかい目をしていた。

 

「………USJの一件で俺も思う所があって。皆んなが特訓してる間も一人を気取って悩んでたが……答えなんて出なくてな」

 

 左手を意味深に見る轟に皆んなは押し黙る。

 轟に左の炎とエンデヴァーの事を聞くのはタブー扱い……それが戦闘訓練後に皆んなで決めた事だ。

 

「だがそれも、もう振り払った。……今まで気を使わせてちまって悪かった」

 

 そう不器用に笑う轟に俺や耳郎…A組の表情も明るくなる。

 

「迷惑じゃなければ…今日から俺も特訓に加わりてぇんだが」

 

「迷惑な訳ねぇだろ!」

 

「そうだとも!体育祭ではライバルだが、今はヒーローを目指す仲間!共に悔いの無い様、精進していこう!」

 

 特訓に加わりたいと言う轟、昨日お邪魔した時には「今更どんな顔して参加すればいいんだよ」って顔していたが、やっぱり切島や飯田は参加する事に大賛成だし、A Bの皆んなも賛成して……あ、物間が手刀喰らってる。

 

 

 

「おのれ……イケメン剣士共めぇ…!」

 

 

 そんで、お前はそれ以上、負のオーラを高めると何かに変身しそうだから、そろそろ落ち着け峰田。

 

 

 

 

 こうして一通りの説明が終わり、いつも通りの授業も終わり午後のホームルームに差し掛かった。もう少しで終わりだなと思っていると……

 

「最後にお前達には課題を出す」

 

 突然、相澤先生が俺に視線を向けて言葉を投げかける。

 

 課題?突然だな?

 

 みんなも同じ事を思ったのか頭にハテナマークが浮かんだ様な顔をしており、相澤先生も予想通りと言わんばかりに話を続ける。

 

「生徒に課題を出すのも俺達教師の自由だ。内容としては“ライドブック”についてだ」

 

「ライドブックですか?」

 

「そうだ剣。お前の個性である“物語”が作り上げたライドブック。一つ一つが何かしらの能力も持っており、その全容を把握すべきと判断した」

 

 成程、確かにライドブックは一つ一つが特殊な能力を持ち、戦闘訓練の時にみんなに見せた事はあったけど能力までは教えてなかったな。

 

「無論、ブラドが許せばB組とも協力してもいい……期日は明日…以上だ」

 

 

 …………ん?

 

 

 

『明日ぁぁ!?』

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「成程な…よし分かった!今日は剣のライドブックの把握を主軸とする」

 

 放課後、いつもなら体育祭に向けた特訓が始まる所だが、突然の課題に提出期限が明日、故にこの時間にやるしかない。

 

 その旨をブラドキングに話した所、聖火の課題を主軸とした特訓が始まろうとしていた。

 

「ありがとうございます。ブラド先生」

 

「気にするな。お前のライドブックの把握は必要な事だったしな。まぁ、いきなり期限間近の課題を出されて戸惑いが有るかもしれんが、プロになれば事後処理の書類を即座に提出しなければならない時もあるのを覚えておけ」

 

「はい!」

 

「よし、時間は有限だ!課題故に剣が主体となって内容を決めろ!ライドブックの特性をより良く表現する為に誰の力を借りるか、人材適正を見抜くのもプロに必要な事だ!そして見ているお前達も力の把握と特性を見抜く練習だと思え!」

 

『はい!!』

 

 

(俺には人材適正を見抜く力を他の者には把握と見抜く力を…プロに必要なスキルを即座に教える。やっぱり雄英はすげーな…)

 

そんな事を考えながら聖火はABの皆んなを集める。

 

「じゃあ、早速始めるか……まずはやっぱりコレだな」

 

 

【ブレイブドラゴン!】

 

 そう言って聖火が取り出したのはブレイブドラゴンのライドブック。聖火が仮面ライダーセイバーに変身するのに使う、一番のブックだ。

 

「剣と言ったら、まずはブレイブドラゴンだよね」

 

「まぁな、変身するのに使うから烈火にリードする機会は少ないけど…!」

 

 聖火と言えばブレイブドラゴンとレポート用紙を手に持つ拳籐が納得そうに頷く、どうやらレポートは拳藤が主体となって書いてくれる様だ。

 

 そのまま変身に使う訳ではなく烈火にリードすると、烈火が荒々しい炎に包まれる。

 

「こんな風に烈火の強化ができるな。まぁ、ドラゴンを使って変身しても同じ事ができるから、やっぱりリードする機会はないな…」

 

「ブレイブドラゴンはセイバーに変身する要……有る意味じゃ剣君の生命線と捉えられるな」

 

 飯田の言う通りブレイブドラゴンはセイバーに変身する要とも言える、電王のライドブックで変身した時もあるが、やはり相性はブレイブドラゴンが一番だ。

 

「ここからが本番だ…八百万は何か適当なジャンク品を、B組の吹出は…小さな声を出してくれ」

 

「了解ですわ!」

 

「うーん…と、ワッ!みたいな感じでいい?」

 

「ああ、そんな感じだ」

 

 聖火のリクエストを受けて、八百万は適当なジャンク品を創造し、吹出は個性【コミック】で漫画でよく見かける「ワッ!」を実体化させる。

 

「よし、最後に麗日のゼログラビティと柳のポルターガイストで俺の前に浮かばせてくれて」

 

「任せといて!」

 

「分かった」

 

 そうして生み出された物を麗日とB組の柳の個性で浮かせる。それを確認し聖火はピーターファンタジスタのブックを取り出し烈火にリードさせる。

 

【ピーターファン!ふむふむ……】

 

【習得一閃!】

 

「はぁ!」

 

 烈火の剣先から飛び出したから伸縮自在の「キャプチャーフック」が周囲に浮かんでいたジャンク品や「ワッ」を巻き上げ、そっと地面に下ろす。

 

「ピーターファンタジスタは、こんな風に伸縮自在のキャプチャーフックを使って何かを引っ掛けたり、振りまして牽制に使えるな」

 

「入試の時に私を助けてくれたのも、そのブックだよね!」

 

「ケロ、人命救助にも使えるのは良いと思うわ。私も負けられないわね」

 

 入試の事を懐かしむ麗日と人命救助の事を考える蛙吹に同意しつつ、次に取り出すのはニードルヘッジホックのブック。

 

「次はヘッジホックだな……じゃあ、切島と鉄哲に喰らってもらうか」

 

「おいおい…まぁ、良いけどよ」

 

「よっしゃ!こい剣!」

 

 まさかの役割に何とも言えない顔をしつつも、コレが適正かと体を硬化と鉄化させる二人の確認を取って…

 

 

【ヘッジホッグ!ふむふむ…】

 

 

 聖火はニードルヘッジホッグを火炎剣烈火の剣先にかざし…

 

 

「受けるがいい……我が刃!!」

 

 

【習得一閃!】

 

 

 火炎剣烈火を振るうと共に無数の針が切島と鉄哲に着弾、次の瞬間爆発した。

 

「ヘッジホックはこんな風にハリネズミの針をイメージしたエネルギーを飛ばして相手に着弾させ、爆発させる遠距離技だな」

 

「改めて聞くと結構コエーな、俺等じゃなきゃヤバかったぞ」

 

 聖火のニードルヘッジホックの説明に爆発した煙を払い、無傷の切島が苦笑いを浮かべていた。

 

 

「てかさ、剣は良くピーターとヘッジホックを使うよね」

 

 そんな時にふと、耳郎が聖火に問いかけてきた。

 入学してまだ数週間だが、聖火はピーターとヘッジホックの二冊を多様しているイメージだった。

 

「ああ、ヘッジホックは中遠距離に対応できるし、ピーターは小回りが効くから多様してるな。それに…いざと言う時は遠近中の三つに対応できる【ドラゴンヘッジホックピーター】に変身できる。だから、左のホルダーに常に常備してるんだ」

 

 そう言って聖火はソードドライバーの左側に添えてあるホルダーを見せる。右にはUSJの一件で見せた居合い切りに使用した必冊ホルダーが備わっている。

 

「十数個あるライドブック…緊急時にドジやらかさない様に工夫してんだね。……じゃあさ、USJで使った【キングオブアーサー】って…?」

 

「……………」

 

 耳郎の問い掛けに皆の意見を合わせてレポートを書いていた拳藤を含めた全員の視線が集まる。USJでの戦闘で圧倒的な力を見せたライドブックだ、気にならない幅がない。

 

 

【キングオブアーサー!】

 

 聖火はそっとキングオブアーサーのライドブックを取り出して起動させる。するとライドブックは聖王剣・キングエクスカリバーとなって聖火の左手に収まる。

 

「キングオブアーサー…名前から一目瞭然だが、コイツはアーサー王物語が元ネタの俺の切り札だ」

 

「剣氏の切り札…!…確かにあの力は凄まじいの一言でしたぞ」

 

「脳無にトドメを刺した光の一撃…まさに騎士王の名に恥じないモノだった」

 

「ああ、なんつーか……そう!剣士版オールマイトって感じだな!」

 

 

 宍田と常闇はともかく、佐藤の感想を聞き聖火は神妙な面持ちでキングエクスカリバーを見つめる。本当はオールマイトから受け継いだワン・フォー・オールが形を変えた物だが、それを言う訳にはいかないので、カバーストーリーで誤魔化していく予定だが、やはり似通ってしまう面もあるのだろう。

 

「………まぁ、オールマイトの超パワーをイメージして振ってるからな。ブックの能力としては、このキングエクスカリバーが使用でき、それを使った超パワーの一撃が特徴だ。俺自身、まだ完全に制御できる訳じゃねぇ……もっと精進が必要だな」

 

「………………」

 

 そう語る聖火に何かを感じた耳郎、されど深く踏み込みはせずに静かに見つめていた。

 

 その後も特に問題が起こる事なく順調にレポート作りは進み残るは一冊となった。

 

 

「コレで最後だな」

 

 

【西遊ジャーニー!】

 

「それって新しいライドブック?」

 

「ああ、先日作ったんだ。西遊記を読んでな」

 

 最後に聖火が取り出したのは孫悟空が描かれた赤いライドブック。これ迄で見た事ない初見であり拳藤の言う通り、これからの戦いを危惧して聖火が新たに生み出したライドブックだ。

 

「そうだ…まず轟から使ってみてくれ」

 

「ん?…ああ」

 

 烈火にリードしようとした聖火だったが、ふと何かを思いついた様に轟にリードを促す。突然の事に戸惑いつつも轟は水勢剣流水を呼び出して渡された西遊ジャーニーをリードする。

 

 

【西遊ジャー!ふむふむ…】

 

 

 ライドブックのエネルギーが水勢剣流水に収束し流水が赤く発光する。

 

「…ッ!」

 

【習得一閃!】

 

 

 そして轟はそのまま流水を鋭く振るうと流水から赤い斬撃波が離れ地面に着弾、小規模な爆煙を撒き散らす。

 

「………使ってみたが、お前がやっても変わらないんじゃねぇか?」

 

「……んじゃ次は俺の番だな」

 

【西遊ジャー!ふむふむ…】

 

 何故、自分にやらせたのか意図が分からない轟から西遊ジャーニーを返して貰い、今度は烈火にリードさせる聖火。

 

「瀬呂、鱗…俺に向かって個性を放ってくれ」

 

「ん、良いのか?」

 

「ああ、遠慮はいらねぇ」

 

「よし分かった、怪我しても文句言うなよ!」

 

 突然のリクエストに驚きつつも何か考えがあるのだろうと、二人は聖火から距離を取り周囲を巻き込まない事を確認した後に、瀬呂は聖火をぐるぐる巻きにしようとテープを、鱗は鱗の弾丸を放つ。

 

 

【習得一閃!】

 

 しかし、聖火は慌てる事なく烈火のトリガーを押してライドブックの力を解放すると烈火から飛び出した赤い雲が迫り来る攻撃を防いでしまう。

 

「防がれた!?なんだあの雲!?」

 

「筋斗雲さ…便利だろ!」

 

 得意げに笑い火炎剣烈火で周囲を浮かぶ筋斗雲を操作する聖火、轟がやったのた全然違う光景に大なり小なり反応する皆んなを尻目に聖火は轟に語りかける。

 

「轟は西遊ジャーニーを“どんなイメージ”で使った?」

 

「……特に考えてねぇな」

 

「ライドブック……本は考える力を育む物だ。つまり、ブックに宿った力をどの様に引き出すか…使い手の想像力で真価が変わる」

 

「……想像力」

 

「そう、何も考えずにリードすれば単純に聖剣を強化しただけになる。……まぁ、慣れだな」

 

 聖火の言葉に轟は水勢剣流水を見る。左の炎を使う覚悟に反応する様に誕生した己の聖剣…左の炎だけでなく流水を使い熟すには自分にはまだ足りないモノが多い。

 

「……前途多難だな」

 

 口ではそう言うが轟の表情には確かな笑みが宿っていた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 翌日…放課後すら過ぎた時間帯、職員室で相澤が聖火達から渡されたレポートの内容を確認していた。

 

「さっそく確認してるなイレイザー」

 

 そこにABの特訓を見終えたブラドが声をかける。

 

「ブラドか、特訓の方はどうだ?」

 

「うむ、皆慢心せず直向きにレベルアップを目指している!体育祭が楽しみだ」

 

「……アイツらは入学して直ぐプロの現場を体験した。雄英入学の気の緩みも抜けた…ある意味では理想的な展開だ」

 

 USJの一件は生徒達に現実と危機感を与えた。自分達が目指す場所がどれだけ過酷な場所か、ヴィランとはどれだけ恐ろしい存在なのか…

 

「それでレポートの出来はどうだ?ウチの委員長が主体となって書いたんだ、俺も見たが良いできだろ?」

 

「ああ、要点が分かりやすく尚且つ合理的に描かれている…良い出来だ」

 

「だろう!……で、体育祭前にいきなりライドブックのレポート提出を言ったのは、剣の能力を最低限理解させる為か?」

 

「…………あくまでも最低限だ。お前も分かっているだろう?ライドブックの力は組み合わせる事ができる」

 

 相澤の言葉にブラドも黙って頷く。

 聖火はまだ、皆の前で披露してはいないが、火炎剣烈火には三回までライドブックをリード……即ち力を重ねる事ができる。

 

「アイツは変身に最大で三つのブックを使える事を考えると…聖剣にも三回まで力を重ねる事ができると考えるのが自然だ」

 

 しかし此処は最高峰の雄英で彼等はその教員、聖火が言わずともリード機能について理解していた。

 

「唯でさせ体育祭前にライドブック単体の力が暴露されたんだ、それ以上がない様に敢えて翌日提出にして二冊目以降をレポートする時間を無くしたんだろ?」

 

「……正直言って悩んだがな。剣のヤツはライドブックの事で……“まだ何かを隠している”」

 

 考える事が多いと苦笑しつつ相澤は再びレポートに目を通す。その傍らには【体育祭種目案】と言う資料が纏められていた。

 

 

END

 

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