イッチ「“個性”と言う特殊能力がある世界に転生したら“緑谷出久”って子が自殺したんだけど…どうしたらいい?」スレ民達『ハ?』   作:DestinyImpulse

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 入試はもう少し先、今回はオリジナル回。

 爆豪についてです。現在本編で色々と活躍して人気出してる彼ですがこのSSではアンチはやり過ぎずに扱っていくつもりです。


四章「出発、後悔の旅・前編」

 

 

 静岡県に私立中として折寺中学校は存在していた。何か結果を出した訳でもない、特に自慢できる卒業生が居る訳でもない。そんな、ありきたりな中学だった。

 

 そんな折寺中学校に期待の生徒がやって来た。今年3年生となった()()()()である。()()()()()()()()()()()を持つ彼は日本で1位2位を競う難関ヒーロー高校である()()()()()()()()()を受験しようとしており、成績も優秀だった彼ならこの折寺中学校初の雄英進学者になる!

 

 学校中の教師達も揃って爆豪勝己に期待していた!

 

 

 そう、彼が3年生になったばかりの……4月中旬までは……

 

 

 いきなり含みのある言い方をしてどうしたかって?

 

 

 

 

 

 折寺中学校で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が起きたのである。

 

 

 当然、警察の細かな調査が入り折寺中学校内で自殺を図った無個性の男子中学生である()()()()に対してのイジメがあったことが発覚した。

 

 しかも緑谷出久をイジメていた主犯は将来を期待されていた爆豪勝己。更に便乗して三年生の約八割がイジメに加担していたのだ。

 

 

 

 それに追い打ちをかける様に折寺中学校の教師達は個性差別者であり無個性の緑谷出久を助けるどころか爆豪勝己の経歴に傷がつかない様に見て見ぬふりをしていただけでなく、学校がいじめを隠蔽しようとしていたのだ。

 

 事件の詳細は当然、世間に報道された。しかし、教師達はともかく未成年である彼等の名前は伏せられて報道された。

 

 

 生徒はホッと胸を撫で下ろしただろう……

 

 

 しかし、今はネットが至る所に張り巡らされた情報社会。被害者である緑谷出久を弔う書き込みの中にイジメの主犯は誰なのか……また、共犯した生徒の個人情報を記した書き込みが()()()()()()()載せられたのだ。

 

 

 イジメの決定的証拠の他にも主犯である爆豪勝己の取り巻き二人の喫煙やカツアゲ。他の生徒も問題行動もバッチリ加工される事なく掲載され世間は彼等を非難した。

 

 

 これにより……彼等の日常は狂いに狂ってしまい……もはや()()()()()()()()を持つ事など許されない。そんな彼らが……今……どう過ごしているか……

 

 

 

「くそ……何で俺が……」

 

 

 薄暗い路地裏で誰にも見つからない様に蹲っている彼を見れば一目瞭然だろう。

 

 イジメをしていた生徒の両親や家族は仕事を失う、もしくは職場で陰口を言われ、その原因である生徒に家で毎日の様に暴力を与えた結果、生徒の身体中に傷や痣が刻まれ、個人情報が漏れた事で電話番号が知られてしまい、鳴り止まない迷惑電話によって満足に眠れず、当たり前のように挨拶してくれた近所の人達からは、挨拶をしても無視され、白い目を向けられながら陰口を言われ、自然と人の居ない場所に逃げる様になってしまった。

 

 路地裏の向こう側から聞こえてくる声。もしかしたら自分の罵る声なんじゃないかと震えていた。

 

 

「え?」

 

 

 しかし、その声は突然止む。自分の声以外何も聞こえない()()()()()()()()()()()()()()かの様だ。

 

 

「決めたよ……君に」

 

「な……何だよ! お前も俺を馬鹿にしに来たのか!」

 

 その時、青い服を着た少年が現れる。この数日の間に人間不信になった生徒は怯えた様子でその場を離れようとする。

 

「違う違う……僕は君に提案をしに来たんだ」

 

 しかし次の瞬間、後ろに居た筈の少年は生徒の目の前に立っていた。

 

「ねぇ、……過去をやり直したくない?」

 

「え?」

 

 

 もう何が何なら訳がわからない。そんな生徒の耳に聞こえる声……過去をやり直す。もしそんな事ができるなら……無意識の内に少年の言葉に耳を傾けていた。

 

 

「君の人生が滅茶苦茶になったのは誰のせい?」

 

「そんなの…そんなの決まってる!爆豪だ!アイツが…アイツが緑谷に『個性が欲しけりゃ屋上からワンチャンダイブ』なんて言うからだ!俺は……俺は悪くない!」

 

 自分は緑谷を少しイジメただけで非難されるべきなのは爆豪だ……そんな現実逃避に近い考えを生徒はしていた。

 

「うんうん。じゃあさ、その爆豪は何でイジメをしたんだい? その緑谷ってのが居なければ少なくともココまで酷い事にはならないんじゃないかな?」

 

 そんな生徒の様を楽しそうに見る少年は語る。そもそも緑谷が居なければ爆豪もイジメをしなかったんじゃないのかと…

 

(そうだ……そもそも緑谷の奴が無個性のくせにヒーローになるなんて馬鹿な事言わなきゃ爆豪のイジメだって加速しなかった筈だ!)

 

 

 生徒の中に沸々と湧き上がるドス黒い感情。爆豪と緑谷…この二人さえ居なければ…!そんな思いが膨れ上がる。

 

 そんな生徒を見て笑みを浮かべる少年は最後の仕上げとばかりに語りかける。

 

「僕と契約しよう……そうすれば過去に行って君の人生を滅茶苦茶にした二人を消して……君がヒーローになる未来を手にできる」

 

 

 契約が何なのか内容など全く分からない。しかし……もう夢を語る事すら許されない今を変えられるのなら……選ぶ道は一つしかない。

 

 

「わ、分かった。契約する……!」

 

 

 生徒の言葉に少年は嬉しそうに笑いながら掌から少しはみ出る程の大きさをした時計を取り出した。

 

 

「今日から君が、仮面ライダー電王だ!」

 

  その言葉が何を意味するのかなど生徒には分からない。少年は笑いながら手に持つそれ……アナザー電王ウォッチのスイッチを入れる。

 

 

 

【DEN-O!】

 

 

 

 

 おぞましい音声と共に起動させたアナザー電王ウォッチを生徒の体内に押し込む。次の瞬間、生徒の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

--------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

 

 オールマイトとの修行が始まりオールマイトから言い渡された海洋公園の掃除に俺は尽力していた。現在は七割と言った所であと一ヶ月も有れば公園は綺麗な姿を取り戻すだろう。

 

 そして現在、俺は買い物の為に街に来ていた。目的の店に向かう為に歩いていると路地裏から飛び出した何かにぶつかった。

 

 どうやら人だったら様で声を出して尻餅をついている。一方俺は少しよろめいただけで相手に手を差し出す。

 

「いきなり飛び出して危ない……え?」

 

「うるせぇ!俺の前に……ッ!?」

 

 飛び出した事に文句を言おうとして固まった。今ぶつかった相手は……爆豪勝己だったのだ。向こうも俺を見るなり明らかに敵意を向けてくる。

 

「テメェ!あの時の仮面野郎!!」

 

「……随分な言い草だな」

 

 ヘドロ事件の時の事が気に入らないのだろう。原作では緑谷君にも怒鳴っていたらしい。スレのニキ達の考察では物語当初の奴は誰かと協力もせずに助けを突っぱねていたらしい。話が進むにつれて良くはなってるそうだが、この世界では無理そうだ。

 

 そう考えていると奴が飛び出した路地裏から声が聞こえてくる。それが聞こえると爆豪が俺に舌打ちし駆け出していった。オールマイトも爆豪に思う所があるそうで知り合いの刑事さんから聞いた話だと、更生施設の学校に入れられる間ヒーローの監視が付けられた爆豪はそれが嫌で逃げているそうだ。

 

 監視が嫌な気持ちは分からなくはないが元を辿れば自業自得。あの様子では緑谷君をイジメた事すら反省しているか怪しい。何にせよ関わりたくはない。路地裏から飛び出したヒーローが奴を追うのを眺めながら俺は買い物を済ませようと歩を進める。

 

「ブレイブドラゴン?」

 

 その時だった、懐のポケットに入れたブレイブドラゴンのライドブックが紅く発光していた。まるで何かを警告し俺に伝えようと……

 

 

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 爆豪勝己は苛立ちを隠せなかった。No. 1ヒーローになる順風満帆な未来を歩んでいると信じて疑わなかった。

 

 子供の頃から同学年の誰よりも運動や勉強も優れており、そんな彼を大人は褒めてくれた……

 

 個性が発現すればそれは加速し、いつしか彼は……自分を《特別な存在》なんだと思い込み始めた。

 

 自分は特別、自分より優れた奴なんかいないと……

 

 それが爆豪勝己にとっての当たり前であった。

 

 だからこそ、無個性の癖に自分と同じヒーローへの道を歩もうする緑谷出久が気に入らなかった。

 

 故に虐めた。今まで気に入らない奴は個性や暴力で黙らせてきた。それが間違いだと疑いもしなかった。

 

 もし、自分と対等に接しようとする者と出会えば自分の過ちに気づき緑谷出久に謝罪する未来もあったかもしれない。

 

 しかしそれは叶わないだろう。

 

 だって緑谷出久はイジメに耐えられずにこの世を去ってしまったのだから。

 

 

 その結果、爆豪の未来は大きく狂ってしまった。虐めの主犯として社会から腫物扱いされ、雄英進学どころの話ではなく更生施設へ強制転校となり監視される日々。もはやヴィラン扱いと言っても過言ではなかった。

 

 これ迄とは真逆の対応に苛立ちを隠さず監視から逃げていた。

 

 

 

 

「ハハハハ!いい格好だな…えぇ、爆豪?」

 

「グ……テメェ……!」

 

 

 そして逃げた先の路地裏で彼は……襲われていた。

 

 

 頭部の輪郭が全体的にシャープなために西洋の鬼を思わせている顔に、山羊のツノのようになった赤い複眼。歯を食いしばった口が西洋の悪魔をも連想させ……

 

 胸から垂れ下がった布や腰の鎧、膝の金属パーツなどは和風な意匠になっており、背中には鬼の怒りを象徴する炎の翼らしき物があり…

 

 スカート状のアーマーの尻部分には『2007』の数字と『DEN-O』の文字が歪に刻まれていた。

 

 それは此処とは別の世界でアナザー電王と呼ばれる存在だった。

 

 

 その正体は爆豪のクラスメイト。

 

 

 先程の謎の少年との契約によってアナザー電王へと姿を変え、爆豪に復讐する為に動いていた。

 

 湧き上がる力は凄まじく爆豪を監視していたヒーローを黙らせ爆豪を足蹴に高笑いしていた。

 

「な、何なんだ……その姿はよ! 没個性のテメェに……! そんな力はねぇだろ!?」

 

「いいだろ?この力が有れば俺はやり直せる。お前と言う()()()()をなかった事にして…俺はヒーローになれるんだよ!」

 

「ッ…!どいつもこいつも俺を()()()()呼ばわりしやがって…!ふざけんじゃねぇ!」

 

 

 ヴィラン……ヒーローとは正反対の悪人。この数日間で散々言われた言葉だ。

 

 

 ()()()()()()()()()()()では無く、()()()()()()()()()()()()()()と認識されている現実を爆豪は認めたくなかった。

 

 

「テメェ等も散々同じ事してただろうが!! 都合の良い時だけ被害者面してんじゃねえよ!! そんな化け物みてぇな面して人を痛めつけてるテメェの方がよっぽどヴィランじゃねぇか!!」

 

 

 ヴィラン呼ばわりされ感情の赴くままにアナザー電王と化したクラスメートに怒鳴り散らすが……

 

 

「………予想はしたけどさ…立場考えて物言えよ!」

 

「ゴハ……!?」

 

 

 それは相手を怒らせるだけだった。爆豪の胸ぐらを掴み躊躇いなく腹に拳を叩き込む。殴り飛ばされゴロゴロと地面を転がる爆豪。

 

 

「いつも上から目線で……!お前さ……俺達が本気でお前を慕ってるって思ったのか?んな訳ねぇだろ!お前の個性がヒーロー向きの派手な個性だから!緑谷みてぇに爆破されたくなかったからだよ!分かるか、お前に人望なんて始めからねぇんだよ!」

 

 

 それは彼が迫害されてからずっと爆豪に言いたかった言葉。普段から暴言を吐き暴力を振るい、平気で人を傷つける。普通に考えればそんな人間に関わりたいとは思わない。

 

 それでも関わりがあったのは将来有望な彼と交流が欲しかったから、緑谷の様に虐めの対象になりたくなかったから。

 

 そんないつ切れても可笑しくない信頼関係だった。

 

 

 

 

 

「お前、まだ自分がヒーローになれるなんて夢見てんのかよ!?傑作だな!現実を見ずに実現できない夢を見るなんて……まるでお前が殺した緑谷だ!!」

 

 

 

 

 

 

「ーー!?」

 

 ガシガシと足蹴にされながら言われる暴言に…爆豪は反応し、そして理解した。今自分が置かれている状況は緑谷出久と同じだった。

 

 気にいらないから、邪魔だから、イライラしたから……理由があろうとなかろうと事ある事に自分は緑谷に暴言を吐き、暴力を振るってきた。何もしなかった日など片手で数える程に……

 

 

だってアイツが“無個性”なのが悪いから……

 

 

 本気でそう考えていた。

 

 

 じゃあ何故、強個性を持ちオールマイトを超える筈の自分は何故、無個性の緑谷と同じ目に合っている?

 

 幼馴染をイジメをして自殺まで追い込んだ……この一言で終わる。

 

 では何故イジメが始まった?

 

 “出久”がいつしか“デク”に変わったのは――

 

『大丈夫?立てる?頭打ってたら大変だよ?』

 

 

 それは爆豪と出久がまだ幼い頃に、川で遊んでいた際…川で転んだ爆豪へ出久が手を差しのべて自分に言った言葉だった。

 

 誰よりも優れた自分が【大丈夫?】などと上から目線で手を差し出された。屈辱だった、認めたくなかった、だから緑谷の行動一つ一つを否定する様になった。

 

 それはどんどん周りに広がり緑谷出久は孤立した。

 

 夢を持ち語る事も、努力する事も、誰かに認めてもらう事も……

 

 何もかも否定された毎日を生きる事になった。

 

 まるで今の自分の様に……

 

 

「あ、ああ…!」

 

 点と点が繋がり彼は理解してしまった。いや、既に理解していたのかも知れない。ただ認めるのが怖かったから見て見ぬ振りをしていたのかもしれない。

 

 認めてしまえば後戻りできないのだから……

 

 

  だって償うべき相手は自らの自尊心を保つ為にイジメ、追い詰め、もうこの世には居ないのだから。

 

 

 

 そんな爆豪の心情など知らぬ存ぜぬとアナザー電王の行動はどんどんエスカレートしていく。

 

 

「お前が消えたら俺が代わりに学校の唯一の雄英合格者っていう箔を付けてやるよ!」

 

『俺はこの平凡な私立中学から初めて!唯一の!【雄英進学者】っつー“箔”を付けてーのさ、まー完璧主義なわけよ。つーわけで一応さ、“雄英受けるなナード君”』

 

 

 アナザー電王の言葉が自らの言葉と重なる。緑谷出久を追い詰めた心ない言葉に………………

 

 

「……くれ……」

 

 

 聞きたくなくても聞こえてくる言葉に爆豪の心は締め付けられる感覚に襲われる。

 

 

 

「お前みたいなヴィランがヒーローになれる訳がねぇんだよ!!」

 

『無個性のてめェがあ〜!何で俺と同じ土俵に立てるんだ!!!?』

 

 

「……てくれ……!」

 

 

 個性と言葉で傷つけるその姿は正に緑谷をイジメていた自分その者。どれだけ耳を塞ごうとも頭に響いてくるのは自らの言葉。

 

 

『そんなにヒーローに就きてんなら効率のいい方法があるぜ? 来世は個性が宿ると信じて……屋上からのワンチャンダイブ!!』

 

 

 

「やめでぐれぇ!!」

 

 

 

 もう其処に居たのは自分の罪を自覚してしまった哀れな少年だった。涙で顔がぐちゃぐちゃで言葉も滅茶苦茶、数日前の爆豪勝己は何処にもいなかった。

 

 

「は、ははは!!なんだよソレ!?やめてくれ?最高だな!あの爆豪がそんな緑谷みたいな事を言うなんてよ!」

 

 

 

 そんな爆豪の姿が心底愉快だったのか不気味な笑みを浮かべながら足蹴を舐めて短刀を構える。

 

 

「心配するな。殺すのは()()でだ。今はこれまでの鬱憤を晴らさせてくれよ」

 

 

「や、やめ…」

 

「笑えるな!何時もお前が緑谷にやってた事じゃねぇか?そうさ、お前と言う《ヴィラン》を退治すれば、俺は《ヒーロー》になれるんだよ!!」

 

 

 何度も足蹴にされ痛めつけられ動けない爆豪に紫色の短刀を投げ飛ばそうとしたその時……

 

 

 

 

 

 

 

【烈火抜刀!!】

 

 

 

「変身!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ?」

 

 

 後ろから聞き慣れない声と眩い赤い光を感じ、思わず手を止めて後ろを振り返る。この力が有ればプロヒーローなど恐れる事はない……そう考えるアナザー電王の視界には炎と龍を印象付ける……

 

 

 

 

「お前の声、聞こえたぜ爆豪」

 

 

 

 

 仮面ライダーセイバー(剣聖火)が映っていた。

 

 

END

 





 
 聖火は果たしてアナザー電王を倒せるのか?

 そして爆豪はどうするのか?

 ご期待ください。
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