イッチ「“個性”と言う特殊能力がある世界に転生したら“緑谷出久”って子が自殺したんだけど…どうしたらいい?」スレ民達『ハ?』   作:DestinyImpulse

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 今回で決勝…決着です!


三十九章「決勝トーナメント、決勝・後編」

 

「「ハァァァァァァァァ!!」」

 

 三冊の赤いライドブックによってクリムゾンドラゴンになった聖火が炎の翼(クリムゾンウィング)を展開して轟に切り掛かり、炎の斬撃が轟の仮面スレスレを横切り、返しに放たれた水の斬撃を火炎剣烈火で受け止める。

 

『すげぇバトルだ!爆炎が舞い、激流が迸る!なんか幻想的!』

 

 聖火と轟、炎と水で繰り広げられる激闘に観客は歓声も忘れて息を飲む。その光景は美しくすらもあり、プレゼントマイクの言う通り幻想的だった。

 

「お互いに三冊を使った形態故にスペックは互角…」

 

「でも剣技の技量は聖火が上だね」

 

 観客席で興味深そうに見るツカサ達三人。スペックは互角とツカサが言えば剣の技量は聖火が上だと言ってユウは聖剣をぶつけ合う二人を見る。

 

 聖火と轟の振るう聖剣が中央で衝突し、甲高い金属音を響かせ幾度と無く火花を散らせた。轟が先に仕掛け、振るわれた刃を聖火が巧みにいなした。そこから滑りこむように間合いを潰し、剣閃を横に薙ぐ。

 間一髪…腹を僅かに切られただけで後ろに飛び退いた轟が冷や汗を流した。

 

「ハァ…!やっぱり接近戦は分が悪いか!」

 

【ライオン戦記!】

 

 接近戦の有利を逃さず距離を詰める聖火に轟はライドブックのページを押し込みライオン戦記を実体化させて迎え撃つ。

 

「ガウゥ!!」

 

「チィ!」

 

 雄叫びを轟かせ襲い掛かるライオン戦記に聖火は足止めされ、その隙に轟は水勢剣流水をドライバーに戻しトリガーを引く。

 

 

【必冊読破!!流水抜刀!】

 

【ペガサス!ライオン!ピーターファン!三冊斬り!ウォ・ウォ・ウォ・ウォーター!】

 

「ッ!邪魔だ!」

 

 抜刀した水勢剣流水から迸る水が鋭い渦を描き轟は聖火に目掛けて突撃する。それを見た聖火はクリムゾンウィングを展開して旋回、邪魔なライオン戦記を吹き飛ばし、そのまま火炎剣烈火を必冊ホリダーに抜刀する。

 

【烈火居合!!】

 

 猛進する轟が聖火の攻撃範囲に踏み込んだ瞬間、聖火はトリガーを引き鳴り響く音声と共に火炎剣烈火を引き抜く。

 

 

【読後一閃!!】

 

 燃え盛り緋色に輝く一閃が轟の一撃を迎え撃つ。

 

 

烈火緋龍閃(れっかひりゅうせん)!!」

 

「ハイドロ・ボルテックス!!」

 

 

 お互いの威力は拮抗していて、踏み締めたステージを砕きながら決して互いに譲らずぶつかり合ったまま留まり続け、遂には爆発してお互いを吹き飛ばす。

 

「グハァッ!!」

 

「グァッ!」

 

 爆風でゴロゴロとお互いに転がり、起き上がるもダメージもそれなりに溜まってきたのだろうお互いに大きく息を吐いていた。

 

「ハァ…ハァ…!そろそろ決めるか…!」

 

「ハァ…!…ああ、望む所だ…!」

 

 

必冊読破

 

 

 お互いに仮面の下で睨み合い小さな笑みを浮かべ最後の必殺技を放つ。

 

 

【ドラゴン!イーグル!西遊ジャー!三冊撃!ファ・ファ・ファ・ファイヤー!!】

 

 

【ペガサス!ライオン!ピーターファン!三冊撃!ウォ・ウォ・ウォ・ウォーター!】

 

  

 互いの聖剣をドライバーに戻してトリガーを2回引き力を解き放つ。聖火はクリムゾンウィングを展開して飛び上がり、轟は輝く水のエネルギーとともに渦巻き状に飛翔する。

 

轟龍蹴烈破(ごうりゅうしゅうれっぱ)!!」

 

「ファンタスティック・ブレイザー!!」

 

 

 その状態から二人は互いに勝利を求めて強力な飛び蹴り(ライダーキック)を放った。二人の蹴りがぶつかり合った瞬間、大爆発が起こり周囲は吹き飛んだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『ど、どうなった?』

 

 技のぶつかり合いがステージを吹き飛ばし土煙で完全に見えなくなる。衝撃波から身を守っていた観客達も収まった事で身を起こしステージに目を向ける。

 

「……あっ…剣!」

 

「轟さん!」

 

 徐々に煙が晴れていくと結果が露わとなる。破壊されたステージに倒れ伏す聖火と轟の姿を耳郎と八百万が発見する。両者共に変身は解除されており相打ちだった事が伺える。

 

『これは…どうなんだ?』

 

『どうもこうもねぇよ。見ろ、二人はまだやる気だ』

 

 引き分けかと思ったプレゼントマイクに相澤が違うと吐き捨て目を向けるとヨレヨレと立ち上がる聖火と轟の姿があった。今にも倒れてしまいそうな程にボロボロで、もはや個性を使う余力も無いのだろう…

 

「「お……おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」

 

 ならば残りは我が身しか無い。

 聖火の拳が轟の右頬に、轟の拳が聖火の左頬に突き刺さる。

 

 そのまま両者は拳を振い相手に叩きつける。鳴り響く打撃音が壊れたステージによく響く。

 

 その光景に観客達は静まり返っていた。

 “個性”の台頭によって既存のスポーツが過疎化され、かつてのオリンピックの代わりとして注目を浴びる雄英体育祭……多くの個性のぶつかり合いの果てに辿り着いた決着が、個性も派手もない地味で泥臭い殴り合いで決められ様としていた。

 

 しかし、観客席の者達はその事に呆れる訳でも失望する訳でもなく二人から目が離せなかった。

 

「イケェー!聖火ー!!」

 

 その時だった、観客席の一つから声援が上がった。

 誰もが視線を向ければ金髪の男性が笑みを浮かべて聖火の応援をしていた。

 

「負けんなよ聖火ー!」

 

「此処が正念場だぞ!!」

 

 その隣は黒髪に青い瞳の男性と、白髪の男性…ヒーロー科の生徒は見た事がある、予選の終わりで聖火に声を掛けていたツカサだ。

 

「っ…頑張れ剣!!」

 

「ファイトですわ轟さーん!!」

 

 続けて耳郎と八百万が声援を送ると決壊したダムの様に観客席から声援が溢れ出す。

 

「頑張れー!剣くんー!!」

 

「いけぇぇ!剣ー!!」

 

「負けんな轟!!」

 

 騎馬戦で共に戦った麗日と切島、上鳴が勝ち残ったチームメイトに声援を飛ばす。

 

「負けんな剣!!」

 

「ん!剣!!」

 

「剣氏ー!ファイトですぞー!!」

 

「踏ん張れ轟!!」

 

「推薦入学者の意地を見せてやりな!!」

 

 A組だけではなくB組からも各々が応援する者に熱い言葉を投げかける。

 

「剣少年!!」

 

「焦凍ぉぉお!!」

 

 居ても立っても居られずに教師席から飛び出したオールマイトと見に纏う炎を迸らせ立ち上がり手すりを握り潰したエンデヴァーが自身の未来を託した弟子と息子の名を叫ぶ。

 

「……取り敢えず様子見ですね」

 

 今日一番の熱狂に包まれながら殴り合う聖火と轟を見て、審判であるセメントスは二人に熱くなりつつも冷静に何処までがアウトでセーフかを見極めている。

 

『―――……』

 

「?、ミッドナイト?」

 

『ぃぃっ……イイわ、良いわよ二人とも!この展開!学生の頃に夢見た、青春の殴り合い!!超絶熱くてサイコーよ!!』

 

 通信機越しに聞こえてくるミッドナイトは超ハイテンションになっていた。視線を上げてみればそこでは鞭をビシバシ振い声援を飛ばすミッドナイトの姿だった。

 

「あああー!頑張れ焦凍ー!」

 

 そんな二人の試合は突然テレビ中継されており、轟の姉の冬美が自分達の母親である轟冷の病室で弟の決勝戦を観戦していた。

 

「負けんな焦凍!腕触れ、腕!」

 

 観戦は冬美のスマホで行われており、轟家の次男の夏雄も弟の勝利を願って声を出していた。

 

「………笑ってる」

 

「「え?」」

 

 そんな時、黙って試合を見ていた母の不意の言葉に姉弟は思わず視線を向ける。見れば母を小さな笑みを浮かべて指を画面に映る我が子に添えた。

 

 重々しく叩き込まれる聖火の拳に僅かに口元から漏れている血を拭いながらお返しと拳を叩き込む轟の顔を自分達が見た事ない程に晴れやかな笑顔だった。

 

「楽しいんだね焦凍は……初めのお友達と心の底から勝負できる(遊べる)のが楽しくて仕方ないんだね」

 

 

『轟ぃぃぃい!!』

 

『剣ぃぃぃい!!』

 

 

 

 そんな決勝戦もとうとう終わりの時がやってきた。

 

 互いに笑みを浮かべて、ここ迄凌ぎを削り合った好敵手の名を叫び拳を振るい酷く鈍く生々しい、重々しい音が周囲に木霊した。

 

 互いの頬に突き刺さった拳…明確な最高の一撃だった事だろう、それを受け、苦しみに溢れた声が漏れる。

 

「グッ…!」

 

「あ…あ…!」

 

『こりゃ…ダブルノックアウーー『いや…!』

 

 その光景に再び静まり返る観客席……プレゼントマイクがダブルノックアウトかと言い掛けた時、何かに気づいた相澤がそれを遮る。

 

「……ああ…」

 

 グラリッと轟の身体が瓦礫のように崩れるように、瞳から光を消しながら重量の鎖に引かれるように前方の聖火に倒れ掛かる。

 

「剣……ありがと、な……」

 

「俺の方こそ、ありがとな…轟」

 

 最後にそう言って意識を失った轟を聖火は笑みを浮かべて抱きしめた。

 

 

「勝負あり! 勝者、剣君!」

 

『激闘、遂に決着!! 同時に以上を持って全ての競技が終了した!今年度の雄英体育祭1年の部、優勝は……A組、剣聖火!!』

 

 

 主審のミッドナイトの声、そして実況であるプレゼント・マイクの声と観客の大歓声を聞きながら……聖火は笑みを浮かべて近くに突き刺さっていた火炎剣烈火を握り天へと掲げた。

 

 天に掲げた火炎剣聖火の刀身が日の光を反射してキラリと輝いた、己達(仮面ライダーセイバー)が勝者だと知らしめる様に…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ひ、ひぃぃぃ!!」

 

 同時刻、とある路地裏で虐殺が行われようとしていた。周囲には焦げ臭い匂いと共に焼き焦げた()()()()()()が数個、転がっていた。

 

「な、何だよお前!お、俺達が何したってんだ!!」

 

 それは今、恐怖で震えているチンピラの仲間だったのだろう。訳が分からないと言わんばかりにチンピラは目の前の長い紺色コートを着た男に叫ぶ。

 

「あー悪いな。今、最高にムシャクシャしてんだ…何かに八つ当たりしねぇと頭が焼き切れそうでよ…!」

 

 コートの男は何処か申し訳なさそうに言い捨てると左腕を翳し己が力を解き放つ。それは恐ろしい程に()()()()()()()だった。

 

「……轟焦凍…!」

 

 悲鳴を上げる時間もなく燃え尽きるチンピラに視線を移す事なくコートの男は最後にそう吐き捨て路地裏の闇へと消えていく。

 

 彼が聖火と轟の前に立ち塞がるのはそう遠くない未来だろう…

 

 

END

 

 

 

 

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