イッチ「“個性”と言う特殊能力がある世界に転生したら“緑谷出久”って子が自殺したんだけど…どうしたらいい?」スレ民達『ハ?』 作:DestinyImpulse
今回から特別編になります。
全五話を予定していますのでお付き合いください。
四十一章「歪められた世界」
雄英体育祭が終わり、誰もが寝静まる夜。とあるビルの屋上に一人の男がそこには立っていた。
まるでSF映画に出て来る未来の世界の衣装のような白い服装に身を包んだ男は、視界に移る光景を不快感を隠さない目で見下ろす。
「此処も原典を汚す、醜き世界……故に消去する」
男はそう言うとポケットから一つの時計を取り出す。それは一年前にこの世界にやって来たウールが、元折寺中学生徒に渡したアナザーウォッチと同じものだった。
【Zi-O II!】
男がウォッチの側面のスイッチを押すと、ウォッチ全体が黒く禍々しく光り、同時に腰回りに真っ黒に染まったベルトが出現する。続けて男がウォッチをベルトに挿し込むと、金色のリングが歪な光と共に彼を取り囲む。 やがて収束した光が弾けて中から現れたのは、歯をむき出しにしたような異形、
「全ては正しい世界の為に…」
その一言と共に、アナザージオウⅡの頭部の二つの時計の針が脈動するように回転する。不気味なオーラがアナザージオウⅡを起点に周囲に広がって行き、世界を蝕んでいった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「どういう事だよこれは……!」
目が覚めたら周囲一面が廃墟だった…!
何を言ってるか分からないと思うが、俺も何が起きてるのかさっぱりだ。一瞬まだ夢の中に居るのかと思ったが、昨日の体育祭の痛みを感じているので間違いなく現実だろう。
「………駄目だ、掲示板と繋がらない」
掲示板に連絡しようにも繋がらない……明らかな非常事態だ!
「………スマホも繋がらないか…。とにかく辺りを探索するしかないな」
幸いにも崩壊してるが部屋は原型を保っており、寝巻きから私服に着替えて行動する。本当に一面が廃墟でマトモな建物なんて一つもない……そして、人も見かけない。
「ッ! …烈火?」
そんな時だった。腰に携えた火炎剣烈火が赤い光を放ち、何かを伝えようとしている。
悲鳴が聞こえた。
反射的に声のする方に駆け出すと、数人の子供達が恐怖で泣きながら必死に
「嘘だろ…!?」
西洋の鬼を思わせるシャープな輪郭の顔に、山羊のツノのようになった赤い複眼。胸から垂れ下がった布や腰の鎧、膝の金属パーツなどは和風な意匠になっており、背中には鬼の怒りを象徴する炎の翼らしき物があり…
スカート状のアーマーの尻部分には『DEN-O』の文字が歪に刻まれていた。
それは、一年前に現れ俺とツカサさんが倒した“アナザー電王”と呼ばれる存在だった。
何でアナザー電王が!?
いや、考えてる場合じゃない。俺はセイバーに変身する為にライドブックを取り出そうとした時、ある事に気づく。
「っ、ない!? キング・オブ・アーサーが!」
無いのだ、ワン・フォー・オールが形を変えたライドブックである筈のキング・オブ・アーサーが…!
なくした? そんな筈はない。キング・オブ・アーサーはブレイブドラゴンと同様、懐のホルスターに常備している。ブレイブドラゴンだけあって、キング・オブ・アーサーが無いということはない。
「キャァァー!!」
クソ! 大問題だが今は子供達を助ける方が先だ!! 瓦礫に阻まれて逃げ場を無くした子供達に一歩ずつ歩みながら迫るアナザー電王。
「離れろバケモン!!」
「っ!」
すると、何処からか放たれた銃弾がアナザー電王に直撃。火花を散らせながら後退るアナザー電王。
銃弾が放たれた方向を見れば黒髪ショートに
「…耳郎!?」
雄英のクラスメイトの耳郎響香が居た。
しかし彼女の服装は、ニット帽を頭に被り、黒の半袖のTシャツに迷彩色のタクティカルベスト、その上に黒と紫に彩られたジャケットをボタンを閉めずに羽織り紺色のレディースズボンを履いた、まるでサバゲープレイヤーのような装いだった。
しかも、手にはアサルトライフルが握られており、アナザー電王に容赦なく引き金を引いている……あんな耳郎は初めて見る。
「早く逃げて!」
「で、でも耳郎お姉ちゃん! あの化け物はーー「ウチは大丈夫だから!」ーー…う、うう」
しかし、幾ら銃弾を叩き込んでもアナザーライダーは対応するライダーに関する力を使わなければ倒せない。耳郎は自分を囮に子供達を逃すつもりだ。
無論そんな事を黙って見過ごす訳にはいかない。予想外の連続で出鼻を挫かれたが、火炎剣烈火を手に駆け出しアナザー電王に一閃。
予想外の攻撃に吹き飛ばされるアナザー電王。これで耳郎達から距離を離す事ができた。
「耳郎、子供達を頼む」
「え!? ちょ、アンタ…!?」
何か違和感を感じるが、子供達の事は耳郎に任せ、俺はソードライバーを巻くと【ブレイブドラゴン】、【ニードルヘッジホック】、【ピーターファンタジスタ】をセットし、火炎剣烈火をドライバーから引き抜いた。
【烈火抜刀!三冊の本が重なりし時、聖なる剣に〜力がみなぎる〜!】
俺の後ろにブレイブドラゴンとニードルヘッジホッグとピーターファンタジスタのワンダーライドブックが現れ、そこから赤い龍と黄色の無数の棘と緑に輝く妖精が現れる。
【ワンダーライダー!!】
赤い龍は右半身と一体化し、無数の棘は俺の周りを旋回しながら光となって胸部にハリネズミを印象付ける鎧に変化、妖精は俺の左腕に溶け込み青く輝く鎧となる。
【ドラゴン!ヘッジホッグ!ピーターパン!三属性の力を宿した、強靭な剣がここに降臨!!】
三冊のワンダーライドブックを使用して【仮面ライダーセイバー ドラゴンヘッジホッグピーター】へと変身、起き上がったアナザー電王に剣を振るう。
アナザー電王も二刀の剣を出して火炎剣烈火と打ち合う。一年前の時は元折寺生が変身していて言語を発していたが、このアナザー電王には正気を感じない…喋りもしないし、まるで人形だ。
アナザー電王が召喚した無数の刃が俺に向かって襲い掛かる。紫色の禍々しいエネルギーを纏ったソレも一年前に戦って対処済みだ。
【ニードルヘッジホッグ!】
ドライバーのニードルヘッジホッグを押し込み……火炎剣烈火を振るうと、炎に包まれた無数の針が迫り来る刃とぶつかり合い、同時に爆発する。
「!?」
爆煙を突き破り、俺の左腕のキャプチャーフックがアナザー電王の腕に巻き付く。アナザー電王は俺の元へ引き寄せられ、そのまま俺は火炎剣烈火をドライバーに戻してトリガーを引き、再び抜刀した。
【烈火抜刀!!】
【ドラゴン!ヘッジホッグ!ピーターパン!三冊斬り!ファ・ファ・ファ・ファイヤー!!】
「
三つのライドブックのエネルギーで激しく炎を滾らせる火炎剣烈火を握って俺は旋回、炎の車輪と化して引き込まれたアナザー電王を切り刻んだ。
激しく火花を散らせ、削る音を響かせながら最終的にエネルギーが臨界点に達して爆破、吹き飛ばされゴロゴロと転がるアナザー電王に俺はトドメを刺しに掛かる。
取り出した電王童話全集を火炎剣烈火にリードする。
【電王!ふむふむ…】
流れた音声と共に火炎剣烈火が眩いエネルギーを纏い、バチバチと火花が迸る。これでアナザー電王を倒す事ができる!
「っ!!」
アナザー電王も本能で悟ったのだろう、阻止しようとするが動きが鈍い。当然だ、対応する力でないと倒せないと言ってもダメージが無い訳ではない。
「終わりだ!エクストリームスラッシュ!!」
動きの鈍い相手に剣を叩き込むのは造作もない。すれ違い様に火炎剣烈火を力強く振るい、切り裂かれたアナザー電王の体に火花が幾度も咲く。
「これで話は終わりだ」
最後にそう言い残すと、アナザー電王は火花を散らせ爆散した。
「スゲー! カッコいい!!」
変身を解き一息つくと、離れて様子を見ていた子供達が目を輝かせながら俺に駆け寄ってくる。……まぁ、自分達を襲った怪人を仮面ライダーが倒せば幼い子供は目を輝かせるだろう。
「ふう……無事か、耳郎?」
「……………………」
子供達と共に駆け寄って来る耳郎に声を掛けるが、何か変だ。彼女の眼差しには疑いが籠っており、俺を怪しそうに見つめている。
「………アンタ…
耳郎の言葉に、俺は耳を疑った。
END
多分、この後はドラゴンヘッジホックピーターの出番は暫くは無いので登場させました。
地味に好きなフォームなので。