イッチ「“個性”と言う特殊能力がある世界に転生したら“緑谷出久”って子が自殺したんだけど…どうしたらいい?」スレ民達『ハ?』 作:DestinyImpulse
1:マゼンタの旅路
ヤバい事態になった。
2:対魔忍リバイ
一体、どうした?
3:屋根裏ジョーカー
イッチがどうかしたのか、掲示板に繋がらないのだが?
4:最高最善のグランドマスター
………イッチの世界が侵略された。
5:OCGトマト
侵略!?
それってまさか!?
6:神を薙ぐ超古代の光
うん、WCDの仕業だね。
今イッチの世界は奴らの歴史改変を受けてメチャクチャになってる。
7:SAOテイマー
イッチは大丈夫なんですか?
8:マゼンタの旅路
奴らの妨害で掲示板と繋がらないが、この程度で四苦八苦する程愚かではない。今の所は無事だ、どうやら歴史改変の影響を受けていないようだ。
9:極み主任
ふむ……恐らくウールの時間停止を破った力が作用したのだろう。
救助はどうする?
10:最高最善のグランドマスター
取り敢えずマゼンタニキが先に行って、後から後続が向かう。
11:神を薙ぐ超古代の光
………それまで無事だといいけど。
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「着いたよ。……此処がウチらが暮らす拠点」
「……………」
アナザー電王を倒した後、聖火は耳郎や子供達に連れられて彼女達が暮らす拠点へと案内されていた。元は何かの大きな工場地帯だったのであろう建物の内部には、ジャンク品や鉄板で積み立てられたバリケードに、転々と置かれたテント……そしてボロボロの人々が慌ただしく暮らしていた。
「…………何があったんだ?」
「……アンタ、本当に何も知らないの? もう何年も前の話だよ。突然、正体不明の怪人が現れて世界を蹂躙してこの有様……常識でしょ?」
昨日の体育祭からは想像もつかない惨状を目の当たりにして思わず呟きが漏れた聖火を、子供達を帰路に着かせた耳郎が怪訝な表情で見る。
「っ、剣!?」
「轟!」
その時だ、呼ばれた方向を見ると、昨日体育祭で鎬を削ったクラスメイトの轟が居た。服装も聖火と同じく現代的で、何より聖火の名を知っている……間違いなく聖火の知る轟だ。
「どうして此処に?」
「……どうしたもこうしたもねぇよ。目が覚めたら一面廃墟で冬姉達も居なくなって……彷徨ってたら此処を見つけた。……何にせよ知ってる顔に会えたのは幸いだ、剣、耳郎」
「………いや、知り合いみたいに言うけど、アンタ誰?」
大まかな事情は聖火と同じなのだろう。事の経緯を伝えていた轟は耳郎の言葉に思わず息を呑む。
「………は? 何言ってんだ耳郎! 同じ雄英高校1年A組のクラスメイトだろ!? 昨日だって体育祭があったじゃねぇか!」
「? いや、高校なんてこんな荒廃した世界の何処にあるのよ?」
「っ……本当に覚えてねぇのかよ。昨日だって剣がオールマイトの弟子って大騒ぎだったろ!?」
こんな荒廃した世界の何処に高校がある?
そう不可解そうに言う耳郎に轟も一瞬言葉が詰まるが、昨日の体育祭の終わり際にオールマイトが俺を自身の弟子と公表した事実を伝える。
「
しかし、その耳郎の言葉に俺達は頭が真っ白になるような感覚に襲われた。
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『首尾はどうなっている?』
「順調だ……」
倒壊した建物が重なり合って形成された異質な塔……その頂上では白い未来チックな服を着込んだ男が、崩壊した世界を眺めながら何者かと通信を行なっていた。
「歴史改変も進み、あと数日でこの世界も緩やかに消え……アナザー電王の反応が消えた…?」
『……なに?』
何かを察知した男は、視線を遠くへ向ける。
「……どうやら、消去すべき異物が残っているようだ」
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「くそ! どうなってんだ!」
轟の苛立たしげに壁を殴った音が、周囲に木霊する。
あの後俺達は耳郎と別れ、目まぐるしく変わった現状を受け止める為に拠点から離れた廃墟で腰を落ち着かせていた。
「……………」
しかし、俺達の事や雄英の事を綺麗さっぱり忘れてしまった耳郎が脳裏を過ぎり、心が痛む。否、寧ろ彼女が正常で、自分達の方が異常……そんな気すらしてくる。
「………間違いなく世界が歪められた」
昨日とまるで違う世界……まるで本来のページを差し替えられたような歪な現状……。俺達の世界が、何かしらの改変を受けているのは間違いない。
「っ、あの時のイマジンって怪人がまた俺達の世界に!?」
「それはどうか分からない……でも、耳郎はオールマイトの事も忘れてしまっている」
改変と聞いて轟が真っ先に思いつくのは、当然イマジンだろう。確かに今回の件はイマジンの歴史改変の可能性もある。耳郎だけじゃなく、拠点の老若男女、あらゆる人に聞いたが誰もがオールマイトの事を知らなかった。ネットが使えないから調べられないが……つまり、オールマイトが歴史から消されている可能性がある。
なら、オールマイトの個性でもあるワン・フォー・オールも今のこの時代から消え、キング・オブ・アーサーも間接的に消されてしまったと考えるのが妥当だろう。
掲示板に繋がらないのが苦しい……ツカサさん達が異変に気づいてくれるのを祈るしかないな。
「とにかく、原因を探ろ……っ!?」
黙っていても始まらない、とにかく行動しなくては……。そう思ったのも束の間、何かの気配を察して後ろを振り向く。突然の事態に困惑していた轟も、廃墟の奥から現れた人物に気付いた。
そこに居たのは、およそ現代には似つかわしくない白い衣装を着込んだ男。そいつを見た瞬間、俺達は猛烈な嫌悪感を感じた。奴からは何か得体の知れないモノを感じたのもあるが……一番は目だ。
まるで心底醜い物、何が何でも認めたくない物を見ているかのような奴の目に、胸がざらつくような感覚を覚えた。
「………アンーー「黙れ」ーー…!」
「間違った世界はまもなく終わる……。後はお前だ……消えろ、異物」
【Zi-O II!】
「なっ!?」
何者なのか聞こうとした俺の言葉を一蹴し、男が取り出したのは歪な紫色をした小型の時計……【アナザーウォッチ】だった。鳴り出した音声と共に、奴の姿が変化する。
現れたのは、全体的に白く無骨なフォルムの鎧姿。肩や胸にある金色の鮮やかな装飾は何処か荘厳でありながら、白眼を剥き歯が剥き出しになった顔を仮面で無理やり隠したような悍ましい姿……マスク部分の向かって左に【Zi-O】の文字が刻まれたアナザーライダー……【アナザージオウⅡ】だった。
「っ……変身!!」
【烈火抜刀!!】
突如現れたアナザージオウⅡは時計の長針と短針を模した二振りの剣を握り、有無を言わさず俺に切り掛かってくる。咄嗟にセイバーに変身し、火炎剣烈火で鍔迫り合いに持ち込む。
「世界が狂ったのはアンタの仕業か!?」
「狂っている? 初めから狂っているだろう。
「っ、違う!! 彼の死と俺に因果関係はない! 言い掛かりだ!」
火花を散らせ、互いの剣を押し込み合う俺達。その時、側に居た轟がアナザージオウⅡに左の炎を放ち、俺から引き剥がす。
「無事か剣?」
「ああ、サンキュー轟」
「事情は分からねぇが、世界が狂ったのはアイツの仕業と見て間違いなさそうだ……ふざけやがって!」
アイツは
「……お前も歪められた存在。大人しく緩やかに消えればいいものを…」
「なに訳の分からねぇ事を言ってやがる!」
アナザージオウⅡの心底哀れむような言葉を一蹴し、轟は大氷壁を放つ。マトモに喰らえばアナザーライダーでも無傷はあり得ない。
【GAIM!】
【RYUKI!】
しかし、歪な音声と共に現れた二つの存在が轟の放った大氷壁を切り刻み、燃やし尽くした。
一体は、鎧の右肩に【GAIM】と刻まれたアナザーライダー。枯れ木のように朽ちた鎧は、まさに落ち武者を思わせる。 もう一体は、右胸の装甲に【RYUKI】と刻まれたアナザーライダー。左手の龍を模した手甲と身にまとった中華風の鎧は、騎士というよりは武将を連想させる。
【仮面ライダー鎧武】が歪められた【アナザー鎧武】と、【仮面ライダー龍騎】が歪められた【アナザー龍騎】だった。
「……いけ」
「っ、変身!」
【流水抜刀!!】
アナザージオウⅡの号令で迫る二体のアナザーライダー。炎を滾らせるアナザー龍騎に、オレンジを模した大剣を構えて突撃するアナザー鎧武。轟は仮面ライダーブレイズへと変身して水勢剣流水を構えアナザー龍騎を迎え撃ち、俺も火炎剣烈火を振るいアナザー鎧武に応戦する。
「っ、そこ!」
火炎剣烈火を大剣で防いだアナザー鎧武。だが、意識が火炎剣烈火に奪われている隙に右足を振り上げ、アナザー鎧武の横っ腹を蹴り飛ばす。アナザー鎧武が怯んで手の力を緩めた隙を見逃さず、アナザー鎧武の手から大剣を奪い取ると、火炎剣烈火と大剣の二刀流で、アナザー鎧武に連続で斬撃を御見舞いした。
「グウウゥ、ガォア!!」
大きく吹き飛ばされたアナザー鎧武は唸り声を上げると、空中に現れたジッパーのような亀裂が空間を割き、そこから虫のような怪人が数体飛び出して来る。あれはインベス。『仮面ライダー鎧武』に登場する敵怪人であり、異世界「ヘルヘイムの森」に生息する怪物だ。
されど、召喚されたのは初級インベス。相手にはならず、火炎剣烈火と奪った大剣で次々と撫で切りにし、大剣を残ったアナザー鎧武に投げつけてバランスを崩す。
【烈火居合!!】
火炎剣烈火を左の必冊ホルダーに納めトリガーを引き絞る。鳴り響く音声と共に火炎剣烈火を抜き放った。
【読後一閃!!】
「
緋色に輝く一閃がアナザー鎧武を切り裂き、敵は悲鳴を上げる暇もなく倒れ伏した。アナザーライダーは個体ごとに対応する力がないと完全には撃破できないが、ダメージを負わない訳ではなく、ダメージを与えて戦闘不能にはできる。轟も特に苦戦する事なくアナザー龍騎を戦闘不能にしたようで、静観していたアナザージオウⅡに水勢剣流水を向ける。
「……やはり中身の無いアナザーライダーは単体戦には向かんな」
しかし、アナザージオウⅡはまるで予定通りと言わんばかりの態度で言い放つと次の瞬間、戦闘不能にした筈のアナザー鎧武とアナザー龍騎が何事もなかったかのように立ち上がった。
「なっ、復活した!?」
「やはり、数の暴力こそがアナザージオウⅡの戦い方だ」
復活したことに驚く轟など意に介さず、アナザージオウⅡが手を翳すと……
背中の左側に【BLADE】と刻まれたアナザーライダー。マッシブかつ大柄な体型は、重厚な鎧姿も相まって古代の剣闘士を彷彿とさせる。 背中の右翼に【KIVA】と刻まれたアナザーライダー。ステンドグラスを散りばめた蝙蝠のような歪んだ姿ながら、女性的なボディーラインは何処となく“女王”の気品さえ漂わせる。
【仮面ライダーブレイド】が歪められた【アナザーブレイド】と、【仮面ライダーキバ】が歪められた【アナザーキバ】。
そして、耳郎と出会った時倒した【アナザー電王】。
「嘘だろ…!」
「……っ」
新たに呼び出された三体のアナザーライダーが、先の二体と共に俺達に襲い掛かる。アナザーキバとアナザー龍騎が轟に、アナザー電王とアナザー鎧武とアナザーブレイドが俺へ。
まさに数の暴力と言わんばかりに三体のアナザーライダーが三方向から各々の武器を振りかざす。俺は人間だ、腕は2本しかないし、顔も一つだ。それぞれの方向から至近距離の猛攻に完全に対処はできず、次第に切り刻まれていく。
轟も無数の蝙蝠を召喚してくるアナザーキバに翻弄され、死角から切り掛かってくるアナザー龍騎に苦戦を強いられる。
「終わりだ……」
「しまっ……!」
そんな俺達はアナザージオウⅡに完全な隙を晒す形になった。奴の声を聞いた瞬間、紫色のエネルギーを纏った強烈な一撃が、俺達を襲った。
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アナザーライダー五体によるリンチで決定的な隙を晒してしまった聖火と轟に、アナザージオウⅡの容赦の無い一撃が叩き込まれる。
消耗させられた二人に耐えられる訳もなく。土煙が晴れると、変身が解除されて倒れ伏す二人の姿があった。
そんな二人にアナザージオウⅡは近付きトドメを刺そうとする。気を失った二人はまさに絶対絶命……
【ATTACK RIDE BLAST】
「っ、グアァァアッ!?」
その時だった。
突如としてマゼンタ色のエネルギー弾がアナザージオウⅡに直撃。ボディに火花が迸り、アナザージオウⅡは苦悶の悲鳴を上げ吹き飛ばされた。
「悪いな、可愛い後輩をやらせる訳にはいかないんでな」
ガンモードのライドブッカーを構え、彼らの間に割って入ったのは、“世界の破壊者”と言われたライダー。
【仮面ライダーディケイド】……
「お、おのれディケイドぉぉぉぉぉ!!!」
起き上がり怨嗟の声を出してツカサを睨むアナザージオウⅡ。しかし、ツカサは特に気にする事なく余裕な態度を崩さなかった。
「相変わらずお前達は過激だな。確かに生きている命と世界を受け入れられない、
「黙れ! 貴様らレジェンドも世界の異物! ヤれ!!」
アナザージオウⅡの号令で一斉に飛び掛かるアナザーライダー達。しかしツカサはまともに相手をする気などさらさらない。オーロラカーテンを展開すると、自身と聖火達を呑み込む。
「悪いが、今は退かせてもらう」
オーロラカーテンが消えた時には、もうツカサ達の姿はなかった。
END