イッチ「“個性”と言う特殊能力がある世界に転生したら“緑谷出久”って子が自殺したんだけど…どうしたらいい?」スレ民達『ハ?』   作:DestinyImpulse

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 今回はキバ風のタイトルです!

 何故そうなったかは本編をどうぞ!


 そしてお気に入り登録が2500人を突破!本当にありがとうございます!

 今週のセイバー最高でしたね!
 クロスセイバー……いざ登場したら格好いいの一言でした!




戦闘訓練、闘志の声を聴け!

 

 入学式を無視して行われた前代未聞の個性把握テストの翌日。また何か有るかと思いきや、時間はただただ普通に流れていった。

 

 午前中の一般教科を終え、クックヒーロー・ランチラッシュの安価で頂ける昼食の後、待ちに待ったヒーロー科の目玉と言えるヒーロー基礎学が始まる。 

 

 

「わーたーしーがー……普通にドアから来た!!」

 

 

 そして担当するのは知らぬ人は居ない、No.1ヒーローのオールマイトである。その登場にクラスの皆は大盛り上がり。

 

「オールマイトだ…!すげぇや本当に先生やってるんだな…!」

 

銀時代(シルバーエイジ)のコスチュームだ!……画風違いすぎて鳥肌立つぜ…」

 

「私の担当はヒーロー基礎学。ヒーローの素地を作る為に様々な訓練を行う科目だ。当然、単位は最も多い。そして今日の訓練は、これ!」

 

 BATTLEと書かれたプラカードを突き出す。

 

 

「戦闘訓練!それに伴って入学前に提出してもらった個性届けと要望に沿ってあつらえた戦闘服(コスチューム)!」

 

 

 壁がスライドして出席番号がナンバリングされたアタッシュケースが現れる………こんな仕掛けがあるなんて……ホントにハイテクだな。

 

 

「着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!格好から入るってのも大切なんだぜ少年少女!!自覚するのだ、今日から自分がヒーローなんだと言うことを!!」

 

 

 オールマイトの言葉を胸に刻みながら俺は自分のケースを手に取った。正直な話…セイバーに変身すれば関係ないのだが……変身する暇もない場合もあるかもしれない。コスチュームについて兄貴達がうるさかったんだよな……自分と同じ格好にしようとして……最終的に喧嘩になって……結果は神喰ニキの圧勝だった。

 

 その為、俺のコスチュームは神喰ニキの軍服がベースになっている。緑の軍服を黒く染めて、赤いロングコートを羽織ってる。これ等は全て特殊繊維で構成されており、斬撃と熱耐性が高い。

 

 一見、動き辛いかもしれないが、全くそんな事はなく動きやすい。

 

 その事を確かめながらグラウンドに行くと既にコスチューム姿のクラスメイト達が集合している。

 

「お、剣!やっぱりA組も一緒なんだな」

 

「よ、拳藤」

 

 昨日のガイダンスでA、Bの合同授業を増やすと言うだけあって…B組も其処には居た。

 

「くぅ~!こうしてコスチュームに着替えると身が引き締まるって感じがするな!あと、剣のコスチューム、格好イイな!」

 

「………あ、ああ…拳藤もよく似合ってるぜ」

 

 拳藤のコスチュームはノースリーブのチャイナ服にマスク……正直な話、拳藤は同じくA組の八百万と同じくらい発育が良いので…あまり直視できない………ッ、殺気!?

 

 神喰ニキとの模擬戦に匹敵する恐怖心を感じ思わず振り返ると……

 

「……………………」

 

 ……………耳郎が居た。ロックンローラーみたいな格好だけど、ブーツは重装甲……おそらく何かしらのギミックがあるのだろう。

 

「よ、よう耳郎………コスチューム……似合ってるぜ」

 

「………………ドーモ、アリガトウ」

 

 そう言って耳郎は俺と拳藤……の、どこがとは言わないがある一点を睨んでいた。

 

 

「よく似合ってるぞ皆、格好いいぜ!それでは始めようか有精卵共!!戦闘訓練の時間だ!!」

 

 

 オールマイトの号令で皆いったん話を辞め視線を向ける……助かった。

 

「先生!ここは入試の時の演習場ですが、また市街地演習をするのでしょうか?」

 

 近未来的ロボットの様なコスチュームのクラスメートが質問する……声からして飯田だな。アスカニキの世界にあるガンダムみたいで格好いい!

 

「いいや、2歩先に踏み込む!これから行われるのは屋内での対人戦闘訓練だ!!ヴィラン退治は主に屋外で見られるが、合計で言えば、出現率は屋内の方が多い。監禁、軟禁、裏商売。真の賢しいヴィランは闇に潜む。君らにはこれからヴィラン組、ヒーロー組に分かれて四対四の戦闘訓練を行ってもらう」

 

「基礎訓練も無しに……?」

 

 同じクラスの蛙吹が若干心配そうに呟く。

 

「その基礎を知る為の訓練なのだよ。ただし、今回はぶっ壊せばオーケーなロボが相手じゃないのがミソだ」

 

 

「勝敗システムはどうなります?」

 

「相澤先生みたく除籍とかあるんでしょうか…?」

 

「このマントヤバくない?」

 

「おいおいせっかちすぎないか?全くA…「アンタも五月蠅い!」…ぐふぅ!」

 

 

「ハーハハハ!気持ちは分かるがちょっと落ち着いてね、今説明するから!」

 

 そうして皆が静かになるのを見計らって…オールマイトは説明を再開する。

 

「いいかい、状況設定はヴィラン側がアジトに核兵器を隠してヒーロー側がそれを処理しようとする状況だ!ヒーロー側は制限時間内にヴィランの捕まえるもしくは核兵器の回収をする。逆にヴィラン側は制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえる事。チームはA・B組二名ずつの四人一組でチームを組んでもらう」

 

 設定アメリカンだな………まぁ、オールマイト自身、アメリカンヒーローみたいな見た目だし……

 

 

「ちなみに組み分けと対戦相手はクジで決める」

 

「適当で良いのですか!?」

 

「落ち着け飯田。プロヒーローは他事務所と急造でチームアップする事も多いし、そういう先を見据えた措置だろ」

 

「なるほど先を見据えた計らい。失礼しました!」

 

「いいよ。ただ、クジ引きをする前に知っての通りA組十九人、B組二十人の合計三十九人だから…一つだけ三人のチームになるし…クラスが偏るチームも出てしまうが、現場ではよくある事だ。それをマイナスに考えてはいけないぞ……それではいってみよー!」

 

 

 こうして、A組B組でクジを引いてチームが決まり結果は以下の通りになった訳だが……

 

 

Aチーム:剣 耳郎 拳藤 

 

Bチーム:轟 障子 黒色 物間

 

Cチーム:八百万 峰田 泡瀬 小森

 

Dチーム:飯田 麗日 取陰 円場 

 

Eチーム:芦戸 青山 吹出 骨抜

 

Fチーム:口田 砂籐 鱗 塩崎

 

Gチーム:上鳴 庄田 柳 宍田

 

Hチーム:蛙吹 常闇 小大 凡戸

 

Iチーム:尾白 葉隠 回原 鎌切

 

Jチーム:瀬呂 切島 鉄哲 角取

 

 

 

「剣……お前ぇぇ!何でお前だけ女子に囲まれてんだよ!?」

 

「イケメンだからか!?ふざけるなぁぁ!」

 

 

 俺以外女子と言うチーム分けに上鳴と峰田の恨みに近い抗議の声が上がる。クジの結果に文句言われてもどうしろと言うのだ……!

 

 しかし、二人と一緒か………縁があるな。

 

「よろしくな。耳郎、拳藤」

 

「うん、剣が居るなら心強い…………けど、ウチら三人か〜運がいいのか、悪いのか……」

 

「そう言うなよ。オールマイトの言う通りマイナスに考えずに全力でやればいいさ」

 

「ハーハハハ、拳藤少女の言う通り!不利な状況を覆してこそ、ヒーローさ!続いて、最初の対戦カードはこれだ! ヒーローがAチーム! 敵がJチームだ!」

 

 VILLAIN、HEROと書かれた黒と白の箱からそれぞれアルファベットが書かれたボールを引き抜き、掲げた。JとA。

 

「初っ端からか……Jは切島達のチームか」

 

「そうだぜ、剣!」

 

 俺の呟きに反応して切島が声をあげる。ガチガチに硬化した拳同士を打ち合わせて気合を入れて、不敵な笑みを浮かべている、ヤル気十分だな。

 

「全力でいくぜ!なぁ、鉄哲!!」

 

「おうよ!勝たせてもらうぜ!!」

 

 そう言って鉄哲も体を金属化させて気合十分……個性だけじゃなくて性格まで似てるなこの二人。

 

「それはこっちのセリフだ」

 

 とは言え……俺も勝ちを譲る積りはないがな。

 

 

「男の友情ッテ奴デスネー!!アツいネー!!」

 

「イイじゃん、こう言うの嫌いじゃないよ私!」

 

「そう?ウチはちょっと暑苦しいのは…………でも、剣もあんな顔するんだ」

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

1:名無しのゴッドイーター

 お、始まったな!

 

2:名無しの転生者ハンター

 4対4のチーム戦。勝敗は原作と変わらないが……

 

3:名無しのトマト

 てか、オールマイトがマトモに教師してますよ!?

 

4:グランドマスター

 あ~そう言えば言ってたな……あの自殺事件を心に刻んで必死に教育者の勉強してたって。

 

5:名無しのゴッドイーター

 あと……やっぱりコスチュームよく似合ってるな!

 

6:名無しの転生者ハンター

>>5 そりゃあ、自分で選んだモノだから……

 

7:名無しの鬼殺隊

 ………ちくしょう……九頭龍閃が掠りもしないってどう言う事だ。

 

8:グランドマスター

 ………ちくしょう……おっぱいタイツ師匠直伝のゲイボルクを受け止めるとか………お前人間じゃあねぇ!!

 

9:名無しのわんわんお

 ……ちくしょう……金雷公の攻撃喰らって少し焦げただけとか……ふざけるな!

 

10:名無しのゴッドイーター

 鍛え方が足らないんだよ……わんわんおの雷はディアウス・ピターよりは強かった。

 

11:ありふれた赤龍帝

 神喰ニキ……やっぱり人外www。と言うか、さっきの耳郎ちゃんの目………明らかにアレを恨んでましたね。

 

12:グランドマスター

 そうだね~メルトもリップやBBを偶にあんな目で見てるよ……

 

13:名無しの転生者ハンター

 ヤメロン!その話は悲劇を生む!……無駄話はここまでにして……そろそろ始まるぞ。

 

14:名無しのゴッドイーター

 イッチは耳郎と拳藤と同じ三人チームで……

 

15:赤目の主人公

 切島達のチームとか……人数的には不利だが……問題はないだろう。

 

16:名無しのトマト

 ウワー、建物の中テープだらけですよ〜

 

17:グランドマスター

 切島君側の瀬呂君の"個性"は肘からテープを放つ……時間稼ぎや相手の集中力を削ぐいい使い方だね。

 

18:名無しのライダー

 成程……耳郎ちゃん達も面倒って顔に出てる。

 

19:炎の剣士

 

「二人共、ちょっと下がってて………よっと!」

 

 

20:名無しのゴッドイーター

 ただ、イッチ相手には無意味だな……火炎剣烈火の斬撃で一掃されたな。

 

21:炎の剣士

 

「これでよし……耳郎お願い」

 

「オッケー!任せて!」

 

 

22:名無しのわんわんお

 耳郎ちゃんが耳のイヤホンジャックで索敵してる……こうして見ると索敵に関しては耳郎ちゃんは凄いね。

 

23:ありふれた赤龍帝

 オマケに可愛いし………ふむふむ、最上階に核兵器があって其処に二人、二階に二人居るって。

 

24:名無しのトマト

 普通に考えて、二階に居るのは切島君と鉄哲君かな?

 

25:名無しのライダー

 よくも悪くも真っ直ぐな二人だし……核兵器を気にせず暴れた方が良いからね。

 

26;赤目の主人公

 そうだな、核兵器がある部屋で乱闘できないしな……スレ主達も同じ考えのようだ……ん?イッチ何か思いついたみたいだな……

 

27:名無しのゴッドイーター

 あのライドブックは……!

 

28:名無しの転生者ハンター

 成程……考えたな!

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

「へへ、待ってだぜ剣!」

 

「やっぱり、切島と鉄哲か……」

 

 始まった戦闘訓練……耳郎の索敵で切島達の位置は分かった……二階に居るのはおそらく切島と鉄哲。流石に核兵器のある場所で乱闘はできない。ならば、リスクを考えずに敵を迎え撃つ方が二人にとって良いだろう。

 

「と、言うかよ…拳藤達はどうしたよ!」

 

 そう、この場に居るのは切島達と俺だけ……耳郎や拳藤は居ない。警戒するのは当然だな。

 

「それを言うわけ無いだろ……それに考える暇なんてすぐに無くしてやるよ!」

 

 

【聖剣ソードライバー!】

 

 ソードライバーにブレイブドラゴンを装填して火炎剣烈火を引き抜いた。

 

【烈火抜刀!!】

 

 

「変身!」

 

 

【ブレイブドラゴン〜♪】

 

【烈火一冊!】

 

 

【勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!】

 

 

 火炎剣烈火で十字に振るい斬撃が仮面になって俺の姿が右半身がブレイブドラゴンを模した鎧で覆われて、仮面ライダーセイバーへと変身する。

 

「さあ、お前等の拳と俺の聖剣……どっちが強いか勝負しようぜ!!」

 

「そりゃあいいぜ!俺も気になってたんだよ、剣ィィイ!!」

 

 俺の言葉が余程気に入ったのか鉄哲は全身金属化して拳を構えて飛び掛かる。俺もそれに合わせて火炎剣烈火を振るう。

 

         ガギィン!!

 

 

 鉄同士がぶつかった音が響き、鉄哲が吹き飛ばされる。

 

「俺も居る事忘れるなよ!」

 

「心配するな……忘れてねぇよ!」

 

 その隙に切島が拳を振るうがそれに反応して俺は火炎剣烈火を素早く振るう。

 

 

 

 

 

「「うおぉぉぉぉぉッ!!」」

 

 

 

 

 

 切島の一撃と俺の一閃がぶつかり合った。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 激しい攻防にモニタールームからは歓声が上がる。固定カメラでは見にくい箇所もあるが、それでも戦いは見所があり過ぎた。

 

 剣が振るう火炎剣烈火の一閃を切島の硬化した腕が受け止め、切島の拳を剣は火炎剣烈火の腹で受け止める。

 

 鉄哲も両腕を振るうが、なかなか剣には当たらず、カウンターを貰っている。それでも不敵な笑みを浮かべて喰らいつく。

 

 小細工無しの真っ向勝負は心熱くさせる熱気を、ぶつかり合う余波で生じる火花は、見る者を魅力させる美しさがあった。

 

「スゲー!初っぱなから飛ばすなアイツ等!!」

 

「男の真っ向勝負、負けんな切島ー!!」

 

 砂藤は手に汗握ってモニターに熱中し、芦戸は楽しげに切島を応援している。他のクラスメイトもモニターを熱心に見つめ、時にコンビや友達と議論を交わす。

 

「にしても、剣の奴スゲーな!切島と鉄哲の二人がかりの超近接なのに一歩も引いてねぇ!」

 

「それに剣を手足の様に使いこなしている………凄まじい技量だ」

 

 

 二人がかりの不利な状況でも一歩も引いてない剣の技量に上鳴と障子も感服している。

 

 

 

「………………」

 

 その中でA組の推薦入学者の一人である轟の視線は剣に………正確には剣が振るう火炎剣烈火の“炎”に向けられていた。

 

 

 

◆◆◆◆

 

29:炎の剣士

 

「ハァァァァ!」

 

「うおおおお!」

 

 

30:名無しの転生者ハンター

 拮抗しているな……

 

31:グランドマスター

 切島君と鉄哲君はどっちも近接特化の子だからね…剣撃ではなかなか決まらないか……

 

32:名無しのゴッドイーター

 イッチもその事に気がついてきたな………

 

33:炎の剣士

 

「剣じゃ決め手にならないか……だったら!」

 

 

34:ありふれた赤龍帝

 お、炎重視でいった!

 

35:名無しのトマト

 やったか!

 

36:名無しのライダー

>>35 おいバカ!フラグ!

 

37:炎の剣士

 

「効かねぇぞ!!」

 

「なっ!?」

 

 

38:赤目の主人公

 炎を突き破って鉄哲の拳がイッチを吹き飛ばした!

 

39:名無しのゴッドイーター

 おい……トマト。

 

40:名無しのトマト

 ………………テヘペロ!

 

41:名無しの転生者ハンター

 やってる場合か!……鉄哲は全身を鉄に変化させるからな。熱は効果的ではない………今はまだ入学したてだから火力を上げれば……いけると思うが………

 

42:グランドマスター

 鉄哲君の性格からみて数分は耐えられるね。それで建物内の温度が上がれば耳郎ちゃん達も危険だ。

 

43:名無しのわんわんお

 剣も炎も効果がないなら!

 

44:赤目の主人公

 ライドブックだな!

 

45:ありふれた赤龍帝

 見てください!イッチが取り出したのは【ニードルヘッジホッグ】と【ピーターファンタジスタ】です!

 

46:名無しのライダー

 と言う事は!!

 

47:名無しのゴッドイーター

 くるぜ……三冊!!

 

 

◆◆◆◆

 

「シャァ!どうだ剣!俺に炎は効かねぇぞ!!」

 

 イテテ……モロに喰らったな。まさか炎を突き破ってくるとは……

 

「…………成程、剣も決定打にはならないし炎も効果がない……か」

 

「俺は流石に効かないって訳じゃないけど……やられはしねぇぜ!!」

 

 切島もまだまだやれる……このままじゃいつか押されるな。

 

「入試の話やこの前の個性テストで知ってんだぜ!これだけじゃねぇって!」

 

 ドラゴンジャッ君の事か………全く、ホントに熱い奴だな……そんな期待の眼差し向けられたら……応えたくなるだろ!

 

「心配するな………こっから本番、出血大サービスだ!」

 

 そうして俺は黄色と青の2冊のワンダーライドブックを起動した。

 

【ニードルヘッジホッグ!】

 

【ピーターファンタジスタ!】

 

 

【この弱肉強食の大自然で幾千もの針を纏い生き抜く獣がいる…。】

 

【とある大人にならない少年が繰り広げる夢と希望のストーリー…。】

 

ブレイブドラゴンのページを綴じ、ニードルヘッジホッグを真ん中のスロットに、ピーターファンタジスタを左側のスロットに嵌めて火炎剣烈火をドライバーから引き抜いた。

 

 開かれた三冊のワンダーライドブックの絵柄は重なり合い、“本来の姿”とは違う未知なる姿を現す。

 

 

 

 

【烈火抜刀!三冊の本が重なりし時、聖なる剣に〜力がみなぎる〜!】

 

 

 

 俺の後ろにニードルヘッジホッグとピーターファンタジスタのワンダーライドブックが現れ、そこから黄色の無数の棘と緑に輝く妖精が現れる。

 

 

【ワンダーライダー!!】

 

 無数の棘は俺の周りを旋回しながら光となって胸部にハリネズミを印象付ける鎧に変化、妖精は俺の左腕に溶け込み青く輝く鎧となる。

 

 

【ドラゴン!ヘッジホッグ!ピーターパン!三属性の力を宿した、強靭な剣がここに降臨!!】

 

 

 

 三冊のワンダーライドブックを使用して誕生した【仮面ライダーセイバー ドラゴンヘッジホッグピーター】。本来の三冊とは違った、セイバーの亜種形態だが、破格の強さを持っている。

 

「さぁ……第二ラウンドだ!」

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 ドラゴンヘッジホッグピーターへとフォームチェンジした剣……セイバーの新たな姿にモニタールームではこれまで以上の歓声が湧き上がる。

 

「剣の奴また姿を変えやがった!」

 

「スッゲーマジで芸達者だな!」

 

 個性把握テストでも様々な力を使って総合一位を取った……確かに芸達者と言わざるをえない。

 

「剣君……入試の時の緑の姿じゃないのか」

 

「赤、黄、青……てんこ盛りや」

 

 入試の時に見たドラゴンジャッ君とはまた違った姿に飯田と麗日も驚きを隠せない。

 

「……………三冊」

 

 そんな時に不意に轟が呟いた言葉が全員の耳に届く。

 

「三冊?剣のあの姿の事か?」

 

「ああ…剣はこれまで一冊……もしくは二冊使って姿を変えていた………だが、今回は三冊の本を使っている」

 

 

 轟の言葉に成程と声を出す。確かに剣は赤い本に黄色と青の本を追加して変身していた。

 

「ん、て事は剣は今三つの力を使ってるって事だろ!?マジヤベーじゃん!メチャ強マンじゃん!!」

 

 上鳴の叫びがモニタールームに響く。三つの特殊な力を使える……それ事を認識した彼等はモニターに映る剣に注目する。その力を知る為に……

 

 

◆◆◆◆

 

 

「面白れぇ………面白れぇぞ!剣ぃぃぃ!!」

 

 ドラゴンヘッジホッグピーターを見て闘争心か更に燃えた鉄哲が笑みを浮かべて拳を振るう。それを避けると共に左腕のフックを腕に引っ掛けてバランスを崩して後ろ回し蹴りで蹴り飛ばす。

 

「ぐぅ!?」

 

 壁に叩きつけられる鉄哲。ドラゴンヘッジホッグピーターになってスペックも上昇している。流石に効いただろう。

 

「鉄哲!?うおおおおお!!」

 

 明らかに状況が傾いた事を感じ取った切島が雄叫びを上げて飛び出す。

 

「真っ直ぐ過ぎるのもよくないぜ!」

 

「っ!?」

 

 胸部装甲の【ヘッジホッグブレス】から無数の針を飛ばす。硬化した切島の身体に突き刺さりはしないがそれでもダメージは通る。両腕をクロスして防いではいるが数の暴力で押されている。

 

 

『聞こえる剣!』

 

 その時通信機から拳藤の声が聞こえる……焦った声じゃない……つまり!

 

「成功したんだな」

 

『ああ、奇襲成功!完全にコッチのペースだ!!このまま一気にケリをつける!』

 

 見れば鉄哲と切島に焦りの表情が出ている。声は聞こえはしなかったが……拳藤達の奇襲を伝える通信だろう。

 

「ど、どういうこった!?上に行く道は此処しかねぇ筈だ!?」

 

 確かに鉄哲の言う通り上の階に行く階段は此処しかない。だけど、階段を使わずとも行く方法はある。

 

「いわゆるショートカットってやつだ!」

 

 

◆◆◆◆

 

 

 最上階で核兵器を守っていた瀬呂と角取は追いつめられていた。無論彼等とて油断しては訳ではないのだが……

 

「ヘイ!一佳!どうして窓からいきなり現れたんデスカ!?此処最上階デース!?」

 

「悪いけど……教えられないよポニー!」

 

 

 角取が飛ばす角を大拳で叩き落としながら距離を詰める拳藤。

 

「そう言う事……悪いけどこのまま勝たせてもらうよ!」

 

「くそ……当たんねぇ!」

 

 耳郎は瀬呂を相手しており、瀬呂が放つテープを躱す。一方で瀬呂の動きは何処かぎこちない。

 

(クソ…!奇襲と同時に爆音ぶつけやがって…!…頭が回んねぇ!)

 

 窓から奇襲を仕掛けると同時に耳郎はコスチュームのブーツに内蔵されたスピーカーにイヤホンジャックを突き刺し増幅された心音の爆音をぶつけたのだ。

 

 それをモロに喰らった瀬呂の動きは鈍くなっており十分対処できる。

 

 では何故耳郎と拳藤は最上階にも関わらず窓から奇襲を仕掛けてきたのか……答えは単純、中からではなく外から登って来たのだ。とは言え蛙が個性の蛙吹の様に壁に張り付ける訳でもない二人では普通は不可能。

 

(まさか剣が生やした木を登って最上階までショートカットするなんて普通思わないよな……)

 

 内心苦笑いの拳藤……そう、剣が【ジャッ君と土豆の木】を使って生やした豆の木を登って二人は最上階までショートカットしたのだ。

 

 剣が切島と鉄哲を抑えている間に二人が豆の木を登って最上階までショートカットして核兵器を回収する……これが剣達が立てた作戦だったのだ。

 

 

◆◆◆◆

 

「クソ!急いで戻らねぇと!」

 

「確かにその通りだけど……余所見は厳禁だぜ!」

 

「避けろ鉄哲!」

 

「つ!?」

 

 鉄哲は階段を振り返るが、その一瞬を逃したりしない!左腕から伸ばしたキャプチャーフックが鉄哲を捉えて俺の射程に引きずり込む。

 

【ニードルヘッジホッグ!】

 

 ドライバーのニードルヘッジホッグを押し込み……火炎剣烈火を振るうと炎に包まれた無数の針が鉄哲に襲いかかり命中すると同時に爆発する。

 

 爆煙が収まると同時に落下する鉄哲、うつ伏せに床に倒れ……そして起き上がることはなかった。

 

 

「鉄哲!?」

 

「残るはお前だけ………投降するか?」

 

 一応、投降を促すが………切島がそんな奴じゃない事は百も承知だ。

 

 

「…………分かってて言ってるよな」

 

「………まぁね………で、どうする?」

 

 

 そう言うと笑みを浮かべる切島……その目は更に闘志で燃えていた。

 

「勿論……俺は最後まで諦めねぇ!!」

 

「そう言うと思ったぜ!!」

 

 

 俺と切島が駆け出したのはほぼ同時、切島は硬化最大限まで高めて拳を握り、俺は火炎剣烈火をドライバーに戻し、トリガーを二回引いた。

 

 

【ドラゴン!ヘッジホッグ!ピーターパン!三冊撃!ファ・ファ・ファ・ファイヤー!!】

 

 俺の右手にドラゴン、ヘッジホッグ、ピーターパンの三冊分のエネルギーが収束し、輝く炎となって右手に宿る。

 

 

「即席必殺!烈怒頑斗裂屠(レッドガントレット)!!」

 

 

火龍怒髪天(ひりゅうどはつてん)!!」

 

 

 

 酷く鈍く生々しい、重々しい音が周囲に木霊した。俺の放ったライダーパンチが切島の左頬に、切島の左拳が俺の右頬に深々と拳が突き刺さっていた。一秒が一分に感じる程の静寂………それは唐突に破られた。

 

「………………ヘヘ……やっぱ強ぇな剣……」

 

 そんな言葉を呟きながら切島が倒れ伏す。起き上がってくる気配はない……気絶している。

 

 

「………それはコッチの台詞だ」

 

 

 仮面の下……口から流れる血を感じながら俺は呟いた。

 

 

『屋内対人戦闘訓練、ヒーローチームWIN!』

 

 

 それと同時にオールマイトの放送が流れる。どうやら拳藤達が核兵器を回収してくれたのだろう。

 

 

 こうして戦闘訓練の初戦は俺達の勝利で幕を閉じた。

 

 

END

 




 戦闘訓練の相手は切島君。
 私、ヒロアカの男性キャラでは切島君が一番好きです!なのでこのssでの強化対象の一人になっています。(どの様な強化かは察しがついてる方も居ると思いますが……)

 そしてドラゴンヘッジホッグピーターの登場です。今回のタイトルはキバ第十八話「カルテット、心の声を聴け」のオマージュ……キバのドガバキフォームが登場した話でどちらもてんこ盛りフォームなので関連付けました。

 出番こそ少ないモノの好きな形態ではあるのでまた登場させます。

 あと、戦闘訓練の話はもう少し、続くのじゃ!


 

・剣聖火

 そう言えば、聖火の容姿を伝えてなかった気がするので補足しますね。聖火の容姿は髪を真っ赤に染めた以外は絶賛大人気の神アニメ【ダイナゼノン】の主人公である麻中 蓬君です。ですのでCVは榎木淳弥さんのイメージです。

 なんとなく聖火のイメージにピッタリだったので、兄貴分がいる所とか……CV鈴木健一さんが味方にいますし……

 そしてコスチュームは本文の通り、神薙ユウの色違い。背中のマークはフェンリルではなくセイバーのマークですが……

 イラストで紹介したいですが………私の作画スキルは壊滅的なので……お許しください。

外伝について

  • 別に分けてほしい
  • このままでいい

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