イッチ「“個性”と言う特殊能力がある世界に転生したら“緑谷出久”って子が自殺したんだけど…どうしたらいい?」スレ民達『ハ?』   作:DestinyImpulse

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 今回はドライブ風……

 このssの戦闘訓練回は少し長いのじゃ!
 そしてお気に入り登録が3000人を突破!本当にありがとうございます!

 それではどうぞ!


どうして彼は炎に対して敵意を向けるのか

「さぁ、AチームvsJチームの講評の時間だ! 皆の忌憚の無い意見を聞かせてくれ!」

 

 

 モニタールームに移動した俺達を迎えたオールマイトが、俺達の戦いを見ていたクラスメート達に意見を求める。

 

「はい、オールマイト先生!」

 

「うむ! 八百万少女!」

 

 

 真っ先に手を挙げた八百万が立ち上がり、咳払いをしてから自分の意見を述べ始めた。

 

 

「では、僭越ながら…まず耳郎さん。潜入と同時に探査を行い、切島さんと鉄哲さん、核兵器の場所を探知して情報のアドバンテージを稼いでいました。ヴィラン側の瀬呂さんも剣さんにすぐに処理されていましたが……時間稼ぎの案として上手くテープを活用していました。剣さんは最初から三人で掛かれば無傷で捕らえることも可能だったかもしれませんが……敢えて敵の意表を突く形で二人をショートカットさせて、自身は悟られないように立ち合いながら足止め、作戦が成功し動揺した鉄哲さん達の隙を逃さず一気に勝負を決めた事……以上の点が評価できますわ」

 

「その通りだ八百万少女。付け加えるとするなら瀬呂少年と角取少女は建物内に意識を向け過ぎだったね。確かに剣少年が木を生やしてショートカットの道を作るなんて考えづらいかもしれないが、窓からの侵入は十分に予測できる事だ………後続の皆もこの事を頭に入れて訓練に臨んでくれ! それでは! 第2試合の組み合わせを発表しよう!」

 

 講評が終わりオールマイトがくじを引き、第2試合の組み合わせが発表された。

 

「ヒーローがBチーム! ヴィランがIチームだ!」

 

 

 第一試合から迫力の戦いが始まった事もあり皆からは「負けてられない」、「自分も」と、闘志を感じていた。

 

 

 

 そうして始まった第2試合だったが……

 

 

「すげぇ!!」

 

 

 モニタールームで見ていた砂藤が思わず口を開く。最も少し寒そうにだが……。

 

 モニターには氷に包まれたビル……推薦入学者である轟によって一瞬で凍ってしまったのだ。

 

「…………たいした奴だな。仲間を巻き込まず、核兵器にもダメージを与えず、尚且つ敵も弱体化するなんて」

 

 火炎剣烈火を暖房代わりにして寒さを意識しないように轟の行動を評価する。

 

「剣…ウチ等も当たっていい?」

 

「あんまり近づき過ぎると燃え移るから気をつけろよ」

 

 俺の周りに集まる皆。さぁ、観戦を続けよう。

 

「……うー温かい………それにしても流石推薦入学者だね………剣の三冊とどっちが強いの?」

 

「私等見てなかったけどメッチャ強かったって皆言ってたぞ」

 

「三冊って……ドラゴンヘッジホッグピーターの事か?」

 

「「…………………」」

 

 拳藤、耳郎の視線が痛い………言いたい事は分かる。名前が長いって言いたいんだろ……でも、こう言う名前なんだ……

 

「……信号機」

 

「おい耳郎、今何て言った?」

 

 

 因みに二戦目が終わって帰ってきた轟達だが、轟と同じチームだった物間が一瞬で終わらせた轟に文句やら嫌味をしてきたが、拳藤の手刀が首に炸裂して再び気絶した。

 

 その後、問題行動もなく事は進み……全ての戦闘訓練が終了した。

 

 

「みんな初めてにしては上出来だったぜ! 今日はここまで皆教室へお戻り! ……と、言いたいが……予定より早く終わってしまってね…………なので! 特別試合を提案する!!」

 

 

 これで今日の授業が終わると思っていた俺達は驚きを隠せず、そんな俺達に笑みを浮かべるオールマイト。

 

 

「授業の付け足しも私達、教師の自由!! 内容は特にルールもなく市街地での戦闘。誰か要望はあるかい?」

 

「なら、剣と戦わせてください」

 

 

 オールマイトにそう志願したのは第二試合で圧倒的な強さを見せた轟だ。指名したのは俺……耳郎達も言っていたが、俺とどっちが強いか議論する声もチラホラあった。推薦入学者と入試主席の戦い……最高のカードに皆のテンションも上がってる。

 

「うむ! 剣少年、どうだろう?」

 

「俺は大丈夫ですよ」

 

 第一戦の傷も癒えたし……断る理由もない。俺自身、轟と戦ってみたい気持ちはあったから丁度いい!

 

「うむ!では二人共、急いで準備してくれ。モニタールー厶の皆も瞬き厳禁だぜ!」

 

 さて、推薦入学者が相手……一筋縄ではいかないな。

 

 

 対戦場所である市街地エリアに向かう俺達……時間が余っていると言ってもゆっくりはしていられない。

 

「………悪かったな。終わりだって時にお前を選んで」

 

 移動の途中…轟が話しかけてきた。特別試合で俺を選んだ事を言ってるのか?

 

「気にしなくていいよ。一戦目の傷は癒えてるし」

 

「………そうか」

 

 ん~~なんだろ?轟が俺を見る目が他と違う様な……ライバル視?……でも、切島の時は何処か違う……。

 

 

 そうこう考えている内に市街地エリアに到着。お互いに納得する位置に付き、俺はソードライバーにブレイブドラゴンを装填して準備オッケー。

 

 両者の準備が整ったと判断したオールマイトの通信が流れる。

 

 

『それでは特別試合……スタート!!』

 

 

【烈火抜刀!!】

 

「変身!」

 

【ブレイブドラゴン〜♫】

 

 試合開始の合図と共に轟は右足より冷気を放出するノーモーションの氷結を放ち、俺が放った炎の斬撃とぶつかり合う……やがて斬撃が氷を打ち破って帰ってきて仮面となり、鎧が纏われる。

 

【烈火一冊! 勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!】

 

 仮面ライダーセイバーに変身した俺と相対する轟、こうして向かい合うとより一層、俺を見る轟の目が他と違う事が分かる。

 

「……行くぞ!」

 

「ああ!」

 

 

 考えても仕方ない……轟が放つ氷に俺は火炎剣烈火を振るった。

 

◆◆◆◆

 

 

48:名無しのゴッドイーター

 切島達との戦いを無事に勝利で納めてこれで終わりだと思っていたが……そんな事はなかったな。

 

49:名無しの転生者ハンター

 特別試合か……相手は轟。

 

50:赤目の主人公

 …………轟君がイッチを選んだ理由って……

 

51:名無しのライダー

 十中八九、父親であるエンデヴァーとイッチを重ねてますね。

 

52:グランドマスター

 そうだね……今の彼、アヴェンジャーみたいな目でイッチ見てるもん。

 

53:炎の剣士

 

「ハァっ!」

 

「チッ」

 

 

54:ありふれた赤龍帝

 今のところ、氷と炎がぶつかり合って拮抗している状態ですね。

 

55:名無しのわんわんお

 でも時間もないし、このままじゃ勝負はつかない事は両者も理解している。

 

56:炎の剣士

 

「…………なぁ、左の炎は使わないのか?」

 

「……あ?」

 

 

57:名無しのライダー

 轟君の顔怖っ!

 

58:名無しのわんわんお

 イッチ……遂に聞いちゃったか……

 

59:炎の剣士

 

「?……いや、第2試合の時に自分で出した氷を、炎で溶かしてたから………氷だけじゃないんだろ?」

 

 

 

60:名無しの鬼殺隊

 まぁ、確かに轟の事情を知らない奴にとって不思議に思うのは当然だな。

 

61:ありふれた赤龍帝

 轟君、親の仇かって目で睨んでますよ……

 

62:赤目の主人公

 親の仇って……まぁ、あながち間違いでもないか……

 

63:炎の剣士

 

「黙れ、俺は戦闘で左の炎は使わねぇ。右だけで“お前等”を倒す!」

 

「?…そうか、ごめん。変な事聞いて」

 

 

64:グランドマスター

 あ、イッチ謝った。

 

65:名無しの転生者ハンター

 触れちゃいけない何かを察したんだろう。

 

66:名無しの鬼殺隊

 てか、お前等って完全にターゲットにされたなイッチ。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

「黙れ、俺は戦闘で左の炎は使わねぇ。右だけで“お前等”を倒す!」

 

 明らかに俺を見る目が変わった轟……迫りくる氷も勢いを増した。

 

 轟が右に氷を……左に炎を宿している事はなんとなく理解できていたが……轟は戦闘では氷しか使っていない。

 

 その事を聞いたら、無表情から一変して、轟はギロリと親の仇かと思う程の視線で俺を睨み付ける。

 

「?…そうか、ごめん。変な事聞いて」

 

 誰だって言われたくない事が沢山あるし……聞いた俺が悪いし……素直に謝るべきか……。

 

 さて……このまま行くと時間切れで終わっちゃう。轟はノーモーションで氷を放ってくる。その範囲もかなり広いし……このままじゃ攻めきれない。

 

 ドラゴンヘッジホッグピーターならゴリ押しできるかもしれないけど………ここは確実にいくか!

 

「残り時間も少ないし……一気にいくぜ!」

 

 

【ストームイーグル!】

 

 

 俺が取り出したのはブレイブドラゴンと同じ二冊目の赤いワンダーライドブック【ストームイーグル】。

 

 

【この大鷲が現れし時、猛烈な竜巻が起こると言い伝えられている!】

 

 ストームイーグルはヘッジホッグと同じく動物枠だから真ん中のスロットにセット。ブレイブドラゴンのページを綴じ、火炎剣烈火をドライバーから引き抜いた。

 

【烈火抜刀!!】

 

 

 

 二冊のライドブックのページが開かれ、絵柄が繋がり、セイバーの新たな姿が現れ、胸部に大鷲の頭部を模した鎧が纏われる。

 

 

【竜巻〜ドラゴンイーグル〜♫】

 

【烈火二冊! 荒ぶる空の翼龍が獄炎を纏い、あらゆるものを焼き尽くす!】

 

 

 ドラゴンヘッジホッグピーターの様な亜種とは違うセイバーの本来の赤のワンダーコンボ二冊【仮面ライダーセイバー ドラゴンイーグル】。

 

「また違う姿……切島の時の三冊じゃなくていいのか?」

 

「ああ……お前と戦うならこれが一番いい」

 

 ドラゴンヘッジホッグピーターと戦うつもりだったのだろうが……轟と戦うならドラゴンイーグルが一番いい。

 

「そうか………それでも俺が勝つ!」

 

 轟が放つ無数の氷柱……細かくインターバルを挟みながら立て続けに放っており……火炎剣烈火での相殺を追いつかせない策だろう。

 

 だが……このドラゴンイーグルなら対処は容易い。

 

「ハッ!」

 

 俺の背部から飛翔する力を与える翼「バーミリオンウイング」が展開され一気に上昇する事で回避する。

 

「お前……空も飛べるのかよ!」

 

「荒ぶる翼龍だからね……悪いが勝たせてもらう!」

 

「そうはいかねぇ!!」

 

 

 火炎剣烈火を構えて轟に突撃する。轟も俺を撃ち落とそうと氷柱の群を俺に差し向けるが機動力が格段に上がったドラゴンイーグルには当らない。

 

「クソ……当たらねぇ……なら!」

 

 轟の周囲からかつてない程の冷気が放たれる。成程、回避できない程の氷結を生み出す気か……残り時間も後僅か……ここは引かずに勝負に出る!

 

 火炎剣烈火をドライバーに戻し、トリガーを一回引いてから抜刀する。

 

 

【必殺読破! ドラゴン! イーグル! 二冊斬り! ファ・ファ・ファイヤー!】

 

 

 轟が放った巨大な"氷山"……確かにこれを回避するのは厳しい……だから正面から迎え撃つ!

 

 

火炎竜巻斬(かえんたつまきざん)!!」

 

 

 火炎剣烈火にこれまで以上の炎が宿り……一気に振り下ろす!火炎剣烈火から放たれたのは斬撃ではなく、竜巻。獄炎を纏いし竜巻が轟が放った氷山に激突する。

 

 ぶつかり合った瞬間、水蒸気による大爆発が起こり俺達を包み込んだ。

 

 

◆◆◆◆

 

 

 凄い………!

 

 

 耳郎はモニターに映る戦いに魅入っていた。

 

 

 唐突に始まった特別試合……仮面の剣士……じゃなくて仮面ライダーの聖火と推薦入学者の中でも頭一つ飛び抜けていて、あのNo.2ヒーロー・エンデヴァーの息子である轟の戦い。

 

 

 氷と炎のぶつかり合いは凄まじいの一言だった……どちらも一歩も引かずにぶつかり合う姿に誰もが目を奪われ呆気に取られていた。

 

(でもこのままじゃ時間切れで引き分けになっちゃう)

 

 誰もがその事を感じ取っていたその時だった。ドラゴンイーグルにフォームチェンジした事で状況が一転する。

 

「剣のヤツ空も飛べるのか!?」

 

 

 拳藤の言う通り、空を自在に飛ぶ聖火の機動力に轟の氷結が追いつかない。

 

 

火炎竜巻斬(かえんたつまきざん)!!』

 

 

 そして遂に決着の時が来た。轟が放った氷山と聖火が放った獄炎の竜巻がぶつかり合い、水蒸気爆発が辺りを吹き飛ばした。

 

「どうなった!?」

 

「クソ…! 水蒸気で二人の姿が見えねぇ!」

 

 

 水蒸気が二人を包み込み状況が分からない……どうなったのか……勝負はついたのか……。

 

「しかし……ビルを一瞬で凍らせた轟君の氷と剣君の炎の聖剣の戦いがココまで凄いとは……」

 

「まさに頂上決戦……」

 

「は、はは…こ、こんな状況を容易く作るなんて…ほ、ホントにA組は…怖いな」

 

「声裏返ってるぞ物間」

 

 二人の戦いに戦慄する飯田と常闇……物間も二人の凄さにいつもの嫌味が裏返ってる。

 

 その時だ、水蒸気を何かが突き破った……段々と水蒸気の白い煙が剥がれてきその姿が露になる。

 

 それが何なのか分かった瞬間、耳郎と拳藤は同時に叫んだ。

 

「「剣!」」

 

 

 そう、竜の鎧に鷲の翼を持つ炎の剣士………仮面ライダーセイバー(剣聖火)が現れる。

 

『クソ…!放せぇ!』

 

 そして左手で轟の顔を鷲掴みにしながら地面すれすれで飛ぶ。轟は凄まじいGを感じつつも聖火を凍らせようとするが……

 

『ああ……いま離すよ!』

 

『ッ!』

 

 それより早く聖火が轟を投げ飛ばす。目まぐるしい状況でも氷で上手く受け流し、聖火を撃退しようとする。

 

『クソ…! まだ、終わりじゃ『いいや…!』……ッ!?』

 

 

 高速で投げ飛ばされても氷を生み出してGを軽減して受け流し、瞬時に反撃する轟の技量は凄まじいが……

 

『これで話は終わりだ』

 

 聖火の方が速かった……既に轟の首筋に火炎剣烈火を添えており……勝敗は明らかだった。

 

 

 

『勝者!!――剣少年!!!』

 

 

 こうして今度こそ戦闘訓練の幕が閉じた。

 

◆◆◆◆

 

67:名無しのトマト

 今日はフォームチェンジ祭りでしたね。

 

68:名無しのライダー

 3冊にワンダーコンボ……上手く使いこなしてたな。

 

69:炎の剣士

 ありがとうございます。

 

70:名無しのゴッドイーター

 お、イッチ。授業は終わったのか?

 

71:炎の剣士

 はい……今、終わって教室に戻ってる所です。

 

72:名無しの転生者ハンター

 そうか……身体に負担はないか?

 

73:炎の剣士

 特にないですよ。

 

74:グランドマスター

 そっか~ライドブックにも慣れてきたね。

 

75:ありふれた赤龍帝

 てか、さっきのエスパーダの決め台詞ですね!

 

76:炎の剣士

 洒落てるでしょ!

 

「おーい剣! 放課後は皆で訓練の反省会しねぇか?」

 

「オッケー。すぐ行く!」

 

 それじゃあ俺はココで!

 

 

77:名無しのゴッドイーター

 おう!

 

78:名無しの転生者ハンター

 さて…戦闘訓練を終えて次は……委員長決めと……

 

79:グランドマスター

 USJ編…だね。

 

 

◆◆◆◆

 

 

 時間は授業も終わり下校時間。

 

 しかし、俺達は帰る事はせずにA組B組の親睦会も兼ねて今回の戦闘訓練の反省会をしていた。

 

 

「剣、ほんと強ぇな! あの轟に勝つなんてよぉ!!」

 

「うんうん凄かった! 何が起こったか分からなかったよ!」

 

「マジでそれな! プロ顔負けのバトルだったよな。だけど、やっぱり轟もスゲーよ、エンデヴァーの子供って噂はガチっぽいな」

 

 

 切島と芦戸の言葉に上鳴が続いてそう言った。轟がエンデヴァーの息子と言う噂はクラス内でも結構広がっているようで、他にも頷いている者も多い。だが、その会話に轟のコンビであった障子が注意を促す。

 

「その話題は本人に振らない方がいいだろう。物間が轟に絡んでいた時にその話題を出していたんだが……それに対しての轟の反応はエンデヴァーをまるで嫌悪しているようだった」

 

「……そうなのか?」

 

 それを聞いた拳藤が物間に視線を向ける。既に姉御ポジションを確立している拳藤の視線に流石の物間も苦虫を噛み潰したように視線を逸らしながら首を縦に振る。

 

「…はぁ~~、物間……私達はライバルであって敵じゃないんだ」

 

「…………分かってる」

 

 

 物間は拳藤に任せておけば大丈夫だろう。とにかく轟にエンデヴァーの話題は厳禁と言う事が暗黙のルールとなった。

 

「しかし……鉄哲の時の三冊も凄かったが轟の時の姿も凄かったよな」

 

「まさに大空の王者」

 

「入試の時も緑の姿にもなったし……色んな姿に変身するなんて……どんな個性なん!」

 

「それには僕も興味がある! 君がよく使う小さな本は何なんだ?」

 

 ドラゴンジャッ君、ドラゴンヘッジホッグピーター、ドラゴンイーグル……様々な姿に変身した俺の個性を知ろうとグイグイと物理的に押し寄せてくる皆………まぁ、当然の反応だよな。

 

「分かった、分かった。話すから落ち着け」

 

 苦笑いを浮かべて両手を頭上に上げ、降参の姿勢を取った。話すと言っても流石に別世界の仮面ライダーの事は話せない。なので、この世界で登録されている“個性”として話す。

 

 

「俺の個性……名前は物語(フィクション)だ」

 

 

物語(フィクション)?』

 

 

 ハテナを浮かべる皆の前でストームイーグルとピーターファンタジスタのライドブックを取り出す。

 

「そ、一度読んだ本の力が宿ったライドブックを作れるんだ。このストームイーグルは鳥の図鑑を読んで、ピーターファンタジスタはピーターパンを読んで………って感じで作ったんだ」

 

「成程ねー、戦闘訓練の時のでけー豆の木はジャックと豆の木の力って事か……」

 

「ホント、ビルの横にビックなツリーがあったんですヨー! ビックリデスー!」

 

 戦闘訓練が終わってビルから出てみれば窓から見えない位置に巨大な豆の木が生えてた事に驚いた時の事を思い出した瀬呂と角取が苦笑いをする。

 

「ウサギとカメを読んで…爆走うさぎとかめ。一寸法師を読んで一寸武士………なんか元ネタからかけ離れてないか?」

 

「マジじゃん! 月の姫かぐやんって……オタサーの姫にでもなったの」

 

「キリンの恩返しって何だよ!?」

 

「絵本でも図鑑でも良いと言う事は……読む度に強くなると言う事ですか」

 

「て事はエロほ…「やった事ないけど心臓破裂させてもいいかな?」……ひいっ!」

 

 

 元ネタと何かが違う事にツッコむB組の骨抜と取陰。キリンの恩返しと言うパワーワードに困惑する上鳴。物語(フィクション)について考えを巡らせる八百万。皆それぞれの反応を示していた。………耳郎に心音ぶつけられている峰田なんて知らないが……試して…「剣、今変な事考えてなかった?」……そんな訳ないだろう拳藤……。

 

  

 そんな時、ふと窓から見える景色に目を向ける。そこには丁度、正門を潜って帰路につく轟の姿があった。この反省会に轟は唯一参加せずに帰っていった。

 

 轟は父親を……エンデヴァーを嫌っている。もしかしたら轟は俺をエンデヴァーと重ねていたのか……。

 

 真実は分からないが……徐々に小さくなる轟の後ろ姿が俺は少し……寂しく見えた。

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 ここはどこかのバー。椅子に座っている男が置いた新聞の一面にはオールマイトが雄英高校の教師になった記事が載っていた。

 

「見たかこれ? 教師だってさ…。なぁどう思う? 平和の象徴が………ヴィランに殺されたらさ」

 

 

 真に賢しい悪意の恐怖が……迫っていた。

 

 

END

 




 

 聖火の個性名は物語(フィクション)……まぁ、名前だけの設定なんで……表向きはこう言う感じで通ってるんだ。と、思ってればいいです。

外伝について

  • 別に分けてほしい
  • このままでいい

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