「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
一人の少女が、天に向けて叫ぶように泣いている。
彼女のその声はまるで今の彼女の心を写しているようだった。
そして彼女の手には一人の青年の手が握られている。
その手のひらは冷たい氷のように冷ややかだった。
人間は死んだら生き返らない。
彼はそう言っていたではないか。人は終わりがあるからこそ、精一杯生きるのだと。
最初の頃は私は分からなかった。〘マキナ〙と呼ばれる私達機械人形に死と言う概念は存在しない。壊れれば、再度メインコンソールからインプットされ、生き返る私には彼の口から出たその言葉の意味が分からなかった。
だけど、今なら分かる。
彼の暖かかったその手が冷たくなっている。いつも私の冷たい手を握ってくれたその手が。
世界は理不尽だ。
優しい人から全員死んでいく。
大切な物から全て失っていく。
そして、私に『恋』というものを生み出したものも。
私も、貴方と同じ人間でありたかった。
ねえ、神様。もしいるのならお願いです。私から彼を○○を奪わないで。何でもするから。世界の敵になってもいい。○○が私を嫌いになっても、敵になっても構わないからどうかお願い。
────彼を生き返らせて────
彼はそれを望まないと事も分かってる。
でも、私には貴方しかいないの。
国の為でも世界の為でもない。私は貴方が生きていてくれれば、それでいい。
私は私を作り出した“機械仕掛けの神“の懇願する。
だが────現実は無情だった。
私の神から送られてきたメッセージは────
〘impossible〙
不可能。
その一単語だけだった。
唯一の私の希望は潰えた。
このまま、記憶をリセットしてしまいたい。私から彼を奪ったこの世界を何もかも全て“壊して“しまいたい。
私は機械仕掛けの人形。戦争の為に作られた人形。
こんな世界。私は嫌いだ。
嫌いだ。嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ!!
だから私は殺した。殺し尽くした。
人間を、同族を、生物を、そして、自身の神と、この世界を作り出した神を。
その時の神様の事を覚えている。
恐怖で這いずりながら、私に命乞いをするその醜い姿を。
もちろん殺した。剣で、銃で、兵器で知り尽くす限りもっとも苦しい手段で殺してやった。
誰もいなくなった。私がこの世界の神様になっても、○○は帰って来ない。
◇◇◇◇◇
私はただ、何もせずに一人で蹲る。
機械仕掛けの神だなんて、聞くだけで笑えてくる。
ただ、私は何もせず、神様として何百、何千年と生きた。
だけど、そんな私を殺しに来てくれた人がいた。
その青年は○○にそっくりだった。
容姿も、性格も、その声も、私が間違えそうなくらいに似ていた。
「アンタがこんな世界を作り出した神様ってヤツか?」
「そうだよ・・・私にはもう何もかもいらない。ただ、あの人に会いたかっただけなのに・・・」
蹲る神様に、青年が言う。
「なら、俺がお前を○○の所へ送ってやる」
「・・・えっ?」
彼はそう言って、私に剣の刀身を私の首元に当てる。
「お前を○○の所に送ってやるっていったんだよ。俺は“神様“だって殺してみせる。それと、お前みたいな奴はいない世界を作ってみせる」
「・・・そっか。なら、お願い。私みたいな人は作らないような世界を作ってあげて」
男の言葉に私は目を閉じる。
「これで、お前の物語は終わりだ。そして俺が作る新しい新世界で、ソイツと幸せになってくれ」
彼はそう言って、剣を振るった。
意識が、メインコンソールから私が消えていく。
ねえ、○○。私もそっちにいくから。もし、私も人間だったら、貴方と幸せになれたかな?
これにて悲劇は終わり。これからは喜劇が始まる。