遊戯王 神秘眼の姫君   作:ヴィルティ

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与える者

「えっとねー、次は私のターン! ドロー」

 

ハスキミリアがカードを引き、にっこりと笑う。

 

「まずはこの子からだねー。おいで『ドラゴンメイド・ラドリー』」

(はーい)

 

ハスキミリアに呼びかけられ、ラドリーがハスキミリアの場に降り立つ。

 

「おっと、可愛い子が登場だね」

「では、ラドリーの効果を使いますね。デッキの上から3枚を墓地へ送ります」

(お任せくださいです)

 

ラドリーがハスキミリアのデッキの上から3枚を墓地へ送る。

 

「うん、OKOK。じゃあバトルフェイズに入るね。その瞬間にラドリーは本領発揮だよー」

 

ハスキミリアが告げた瞬間、水がラドリーの上から降り注ぐ。

全員が驚いている中、ラドリーが水色の細長い体を持つ竜へと変身した。

 

「場のラドリーを手札に戻してこのカードを墓地か手札からLV7の『ドラゴンメイド』を特殊召喚できるんだー。おいで『ドラゴンメイド・フルス』」

「おっと、そいつはたまげた。しかも攻撃力も2600としらうおを超えちゃってるねぇ」

 

フィールド魔法の効果で強化されてるとはいえ、攻撃力は2450。

フルスの攻撃力2600には及ばない。

 

「行けー」

 

ハスキミリアの間延びした攻撃宣言に応え、フルスがしらうおに突撃していった。

 

「おっと、早速召し上がられちまったか」

 

フルスに突撃され、巨大だったしらうおが本当の姿であるしらうおの軍艦巻きに変身してしまった。

そしてフルスがそのしらうおの軍艦巻きを食べ、おいしそうな笑顔になった。

 

ギンジ LP8000→7850

 

「だけども、ちゃんとお寿司を頂いたら代金を払っていただきますよ。『海せん』は相手によって俺の場の、EXデッキから特殊召喚された『軍貫』モンスターが墓地へ送られた場合、その守備力分のLPを相手に失っていただきますぜ」

 

ギンジがすっと手を差し伸べると、ハスキミリアの体から金貨が飛び出していき、ギンジの手に握られた。

 

「あうっ」

 

ハスキミリア LP8000→7750

 

「そしてその後、手札の『しゃりの軍貫』を特殊召喚して、その上にEXデッキから『軍貫』エクシーズモンスター1体を重ねエクシーズ召喚を行いやす。『弩級軍貫―いくら型一番艦』一丁上がり!」

 

次に飛び出してきたのは、いくらの軍艦巻きを模した巨大な軍艦だった。

先ほどと同じく寿司が『デュエルモンスターズ』の『闇』の力を得て巨大な船となった姿である。

 

「そして『しゃりの軍貫』がエクシーズ素材としてエクシーズ召喚されたことで札の束から1枚ドロー」

「なるほどね、手札の『しゃりの軍貫』が尽きない限り、相手はあのお寿司の船を相手にしなきゃいけないのね」

 

オディアナが感心しながらギンジの場に現れた巨大な船を見つめる。

 

「へへ、相手を飽きさせないのがお寿司を振舞う者の務めですよ」

(ハスキミリア様、次はあのいくらを頂きたいですの)

「うーん。じゃバトルフェイズ終了時、別にラドリーに戻さなくていいかな。カードを2枚伏せてターンエンドするよ」

 

ハスキミリア LP7750

 

モンスター:ドラゴンメイド・フルス

魔法・罠:セットカード2枚

手札:4枚

 

「エンドフェイズに罠の札『エクシーズ・リボーン』発動でい! 墓地のエクシーズモンスター1体を蘇生させ、このカードをエクシーズ素材にする。『空母軍貫―しらうお型特務艦』のおかわり一丁あがり!」

 

ギンジの場に再び『闇』の力で巨大な船の姿を手に入れたしらうおの軍艦巻きが降り立つ。

 

「さてと、次は俺のターン、ドロー! 俺は『いくらの軍貫』を召喚」

 

下にしゃりが乗っていないいくらが山盛りとなり、ギンジの場に置かれる。

 

「そしていくらは召喚に成功したとき、デッキの上から3枚を確認し、その中に『しゃりの軍貫』があれば手札に加えるか特殊召喚する事が出来るんですぜ。では」

 

ギンジが3枚のカードを広げると、その中に『しゃりの軍貫』はきっちりと存在していた。

 

「では、早速手札に加えさせていただきます。そして装備魔法の札『団結の力』を『弩級軍貫―いくら型一番艦』に装備させていただきます。こいつは場のモンスターの数×800だけ装備モンスターの攻撃力を上げます。しらうおの効果と合わさって、攻撃力は2700アップさせていただきます」

 

いくら型一番艦が他の船からエネルギーを分け与えられ、みるみると巨大化していく。

 

「攻撃力が4900!?」

「では、いきやす。『弩級軍貫―いくら型一番艦』で『ドラゴンメイド・フルス』に攻撃!」

「わ、わわっ。手札の『ドラゴンメイド・フランメ』の効果をダメージステップに発動するよぉ。このカードを手札から捨てて私の場のドラゴンメイドモンスターの攻撃力は2000アップするの」

 

フランメがフルスの傍に現れ、炎を突撃してくるいくら型一番艦に向かって吐きかける。

そしてフルスも口から水を吐くが、それらを全く気にせずいくら型一番艦が突撃してきた。

 

「攻撃力4600になったところで4900となったいくら型一番艦は止められません。フルスは倒させてもらいましたよ」

 

一番艦の体当たりを受け、フランメもろともフルスが目を回し、ポンと音を立ててその場から消え去っていった。

 

「くう~っ」

 

ハスキミリア LP7750→7450

 

「そしてしらうおで直接攻撃ですぜ!」

「永続罠カード『リビングデッドの呼び声』を使うよ。墓地から甦って『ドラゴンメイド・フランメ』!」

 

先ほどいくらの突撃を受けフルスとともに消えていったフランメがハスキミリアを守るべく立ちはだかる。

 

(ここは任せてください)

「おっと、先ほどの炎を吐いてきた竜がお出ましかい。しらうおはEXデッキから特殊召喚させたわけじゃないから海せんの効果を発動させることは出来ねぇ。しゃあねぇ、ここまでですぜ」

「相手のバトルフェイズ終了時に場の『ドラゴンメイド・フランメ』の効果を使うね。このカードを手札に戻して、手札のLV3の『ドラゴンメイド』モンスター1体を特殊召喚するね。おいで『ドラゴンメイド・ティルル』」

 

(ふうっ)

 

フランメが炎に包まれ、その炎の中から赤い髪の毛が映えるドラゴンメイドが場に降り立つ。

 

「前から思ってたけど、私と同じ赤い髪の毛の女の人なんだよね。ちょっと親近感湧いちゃうな」

 

オディアナがティルルを見ながらどことなく嬉しそうに呟く。

確かにアルトマ王国城の中にオディアナと同じ赤髪の人は一切存在していない。

だとしたら特別な髪の色をしていたオディアナ姫がティルルを気に入るのも無理はない、とシーアは思う。

 

「そして『リビングデッドの呼び声』のデメリットも手札に戻すことで回避して、フランメの攻撃力2000アップ効果もまた発動できるようにしてますね」

「うん、ハスキミリアちゃんもなかなかやるね」

 

シーアとオディアナがそんな感想を述べあってるのを聞き、ハスキミリアがてへへと照れた表情をする。

 

「ティルルの効果発動。特殊召喚に成功したことでデッキの『ドラゴンメイド』モンスターを1体手札に加えて、その後1枚を墓地に送るよ。デッキから『ドラゴンメイド・パルラ』を手札に加えて『ドラゴンメイド・ラドリー』を墓地へ送るね」

 

(パルラさん、後はお願いしますの)

(うん、任せておいて)

 

パルラとハイタッチをして、ラドリーがハスキミリアの墓地で待機状態となる。

 

「仲がよさそうで何より。俺はこのままターンエンドですぜ」

 

ギンジ LP7850

 

モンスター:弩級軍貫―いくら型一番艦 いくらの軍貫 空母軍貫―しらうお型特務艦

魔法・罠:セットカード1枚 団結の力

フィールド:軍貫処『海せん』

手札:2枚

 

「さてと、私のターンだね。ドロー。私は『ドラゴンメイド・パルラ』を召喚するよ」

 

緑色の髪の毛のドラゴンメイドが飛び出していき、ハスキミリアに敬礼する。

 

「やる気あって何よりだね。パルラが召喚に成功したことでデッキから『ドラゴンメイド』カード1枚を墓地へ送るよ。私が墓地へ送るのは『ドラゴンメイドのお召し替え』。そして場の『ドラゴンメイド』モンスター1体を手札に戻すことで墓地の『ドラゴンメイドのお召し替え』は手札に戻すことが出来るんだよ。戻っておいで『ドラゴンメイド・ティルル』」

(はい)

 

ティルルがぺこりと頭を下げ、ハスキミリアの手札に戻っていく。

 

「そして手札の『ドラゴンメイドのお召し替え』を使用するね。手札の『ドラゴンメイド・ラドリー』と『ドラゴンメイド・フランメ』を融合! お願いするね『ドラゴンメイド・ハスキー』!」

 

眼鏡をかけた黒髪のドラゴンメイドであるハスキーが降り立ち、ハスキミリアに頭を下げる。

 

(頑張ってまいります、ハスキミリア様)

「おっと、なんかデュエルをしてるお嬢ちゃんが成長した姿みたいな魔物が出てきたな。だけど、フランメのような強力なモンスターを融合素材にしたぐらいだ、厄介な効果があるんだろう?」

「ご明察です。バトルフェイズ。その開始時に手札の『ドラゴンメイド・パルラ』の効果を発動します。このカードを手札に戻して墓地のLV8の『ドラゴンメイド』モンスター1体を特殊召喚します。出でよ『ドラゴンメイド・フランメ』」

 

(ここは任せてパルラ)

(うん、お願いね)

 

墓地から炎が吹きあがり、中から赤き竜が飛び出していく。

そしてパルラがその赤き竜の背中をポンと叩き、ハスキミリアの手札に戻る。

 

「そして私の場のドラゴン族モンスターが手札に戻ったことでハスキーの効果を発動します。相手の場のモンスター1体を破壊することが出来ます。破壊するのは当然いくら型一番艦!」

 

ハスキーが手に巨大なはたきを手にし、いくら型一番艦に向かって振り下ろした。

得物が相手よりも小さくても、竜の力を使えば相手を排除することは出来る。

いくら型一番艦に掛けられた『闇』が排除され、いくらの軍艦寿司となり、ハスキーが一仕事終えたと言わんばかりにそれを一口で食べ、幸せそうな笑顔になった。

 

「へへ、おいしく頂かれちまったか。だけども海せんの効果で次のおかわりです。お嬢ちゃんのLP300を代金として頂戴し手札の『しゃりの軍貫』を特殊召喚して、その上に『超弩級軍貫―うに型二番艦』を乗せて一丁上がり!」

 

ハスキミリア LP7450→7150

 

ウニの軍艦寿司が『闇』の加護を得て、傍にあるしらうおよりも一回り大きな船となりギンジの場に降り立つ。

 

「そしてやはり『しゃりの軍貫』をオーバーレイユニットにしたことで俺は1枚ドローさせてもらいます。そしてうに型二番艦の攻撃力は2900。しらうおの効果で守備力500を攻撃力に足して3400になります」

「え、そんなぁ!?」

「手札のフランメを融合素材にしなけりゃうにも美味しいお寿司となってハスキーさんに頂けたかもしれないですが、まあやらかしちゃったことはしょうがないってことですぜ」

 

ギンジに指摘され、ハスキミリアが少し落ち込んだように溜息をつく。

 

「なら、そのしらうおから撤去すればいいってことだよね。フランメでしらうおに攻撃!」

 

フランメがしらうおを炎で焼くと、焼き魚風の寿司となってしまい、フランメがそれを美味しくいただく。

 

「まいどっ」

 

ギンジ LP7850→7450

 

「そしてハスキーでうに型二番艦に攻撃!」

 

ハスキーが先ほどと同じようにはたきでうにの船をたたくと、美味しいうにの軍艦巻きに変身し、それをハスキーがぱくりと頂いた。

 

「おっと、俺の場のネタたちが食べられてしまったぜ」

 

ギンジ LP7450→7350

 

(デュエルでハスキミリア様のために闘ってる最中とはいえ)

(美味しい思いが出来て幸せです)

 

フランメとハスキーがそんな感想を述べてる中、ギンジは笑顔になる。

 

「そいつは嬉しいことを言ってくれるねぇ」

 

(……どうやらギンジとやらの『デュエルモンスターズ』にとりついた『闇』は自身を糧として他の『デュエルモンスターズ』に食べさせることで、『闇』が本来持ちえない幸せや喜びといった感情を他の『闇』に与えてるのか……ギンジの明るい性格と言い、他の国から来た者はどこか一味違うのかもな)

 

シーアがそんなことを考えながらギンジとハスキミリアが闘ってる様子を見る。

お互い楽しそうに闘っており、とてもじゃないが『闇』が絡んだ闘いにはとても見えなかった。

そして楽しそうに闘ってる2人の様子を見てシーア、そしてオディアナやシュージの顔にも笑顔が浮かんでいた。

 

「バトルフェイズ終了時にフランメの効果が発動するよ。この子を手札に戻して手札のLV3の『ドラゴンメイド・パルラ』を守備表示で特殊召喚するよ」

 

フランメが手札のパルラと交代し、パルラがゆっくりと場に降り立つ。

 

「そして私の場のドラゴン族モンスターが手札に戻ったことでハスキーの効果が発動するよ。『いくらの軍貫』を破壊します」

 

ハスキーがいくらの軍貫をはたきで何度か叩くと、『闇』が解けて美味しいいくらとなり美味しく食べてしまう。

 

「えへへー。カードを1枚伏せてターンエンド」

 

ハスキミリア LP7150

 

モンスター:ドラゴンメイド・ハスキー ドラゴンメイド・パルラ

魔法・罠:セットカード2枚 リビングデッドの呼び声(対象不在)

手札:2枚

 

「さて、俺のターン! ドロー」

「スタンバイフェイズにハスキーの効果を使用するね。私の場の『ドラゴンメイド』1体を選び、そのモンスターよりもLVが1だけ高いか低い『ドラゴンメイド』モンスター1体を守備表示で特殊召喚するね。パルラを選んで墓地の『ドラゴンメイド・ラドリー』を守備表示で特殊召喚するね」

 

ハスキーがぱんぱんと手を叩くと、ラドリーが墓地から飛び出してきてぺこりと頭を下げる。

 

「さて、お客様が増えたところでネタを補充するとしますか。『闇の量産工場』を発動。墓地の通常モンスター2体を手札に戻すぜ。墓地の『しゃりの軍貫』2枚を手札に戻しますぜ」

 

ギンジの手札に再びシャリが補充され、次の船を出す準備を整える。

 

ギンジ 手札2→4

 

「そして伏せておいた『凡人の施し』を発動し、手札の通常モンスター『しゃりの軍貫』を除外して2枚ドローさせていただきます」

「手札にダブったネタを次に繋げるか。なかなか、やる」

 

しかし『しゃりの軍貫』はあのデッキの根幹とも言える程のカードであるはず。

いくらデッキに3枚積めるからといって1枚を躊躇なく除外するとは。

シーアがいろんな意味で感心していると、ギンジが笑う。

 

「来た来た。手札の『しゃりの軍貫』を見せて『うにの軍貫』を特殊召喚するぜ」

 

しゃりを引き連れうにが『闇』を纏ってギンジの場に降り立つ。

 

「さっきのうに型二番艦の素材になるってことかな?」

「お嬢ちゃん、正解。うにの効果でしゃりのLVを5に変更し、LV5のうにとしゃりでオーバーレイ! エクシーズ召喚。『超弩級軍貫―うに型二番艦』おかわり一丁上がり!」

 

先ほどハスキーによって美味しく食べられたうに型二番艦がてかてかとした光沢を纏って、新たな船となってギンジの場に降り立った。

 

「さて、しゃりを素材にしたことで1枚ドローして、うにを素材としていることで直接攻撃を行うことが出来ますぜ」

「そうはいかないよ。罠カード『ドラゴンメイドのお片づけ』を発動して場のうに型二番艦とラドリーを手札に戻すよ」

 

ラドリーが手から水を放ち、うに型二番艦の『闇』を洗い流す。

そして闇の力を失いただのうにの軍艦巻きとなり、それをラドリーが食して幸せそうな顔になり、ハスキミリアの手札に戻っていった。

 

「おっと、墓地へ送られたわけじゃないから海せんの効果は発動しねぇ。こいつはしてやられたねぇ」

 

ギンジは少しだけ残念そうな顔をしながらハスキミリアたちを見る。

どうやら『デュエルモンスターズ』に潜む『闇』を満足させることがギンジの持つ『デュエルモンスターズ』の目的としつつも、ギンジ自身には勝ちたいという気持ちはちゃんとあったみたいだとシーアは推測していた。

 

「ならしょうがねぇ。カードを2枚伏せてターンエンド」

 

ギンジ LP7350

 

モンスター:いくらの軍貫

魔法・罠:セットカード2枚

フィールド:軍艦処『海せん』

手札:1枚

 

「私のターン、ドロー。スタンバイフェイズにハスキーの効果を使用するね。またまたおいで、ラドリー」

 

先ほどと同じくラドリーが呼び出され、頭を下げる。

 

「手札の『ドラゴンメイド・フランメ』を捨ててハスキーの攻撃力を2000アップして5000にするね。そしてバトルフェイズ。パルラは墓地のフランメに、ラドリーは墓地のフルスに入れ替わる形で特殊召喚します」

 

ハスキーがぱちんと指を鳴らすとフランメとフルスが降臨し、ギンジをじっと見つめる。

 

(あれだけ美味しいお寿司をご馳走してもらって気が引けるけど)

(ちゃんと闘わなきゃ、ですね)

(その通りです、フランメ、フルス。さぁ、行きましょう)

 

「ハスキー、フランメ、フルス、ダイレクトアタック!」

 

ハスキミリアが攻撃宣言を行うと、ギンジがパチンと指を鳴らす。

 

「罠の札『波紋のバリア―ウェーブ・フォース―』を発動するぜ! 相手モンスターが俺に直接攻撃するときに発動し、攻撃表示モンスターを全て手札に戻すぜ」

「なら手札からカウンター罠カード『レッド・リブート』を発動します! LPを半分支払うことで手札から発動出来て、相手の罠カードの発動を無効にしてそれをセットし、相手はデッキから罠カードを1枚セット出来るけど、相手はこのターン罠カードを発動することが出来ないの!」

 

ギンジがデッキから『きまぐれ軍貫握り』をセットしたが、ウェーブ・フォースを封じられた以上逆転の一手とはなり得ない。

 

炎、水、はたき。

フランメ、フルス、ハスキーの攻撃をすべて受けきり、ギンジがふぅと一息ついた。

 

「毎度。またのご挑戦、お待ちしておりやす」

 

ギンジ LP7350→0

 

 

「いやー、参りました。お嬢ちゃん、強いなぁ」

「うん。でも、ギンジさんも強かったよ」

「いやいや、結局の所、海せんの効果でしかダメージを与えられなかった。俺の完敗ですぜ」

 

ギンジが素直に言い切ると、ハスキミリアが笑顔になりギンジと握手する。

 

「楽しい闘い、ありがとうね」

「こちらこそ。またいつか機会があったら、さっき言った通り再挑戦刺せていただきたいところだ」

「うん。その時もまた私が勝つからね!」

「言うね、お嬢ちゃん」

 

ハスキミリアとギンジだけでなく、戦いを見届けていた3人の顔にもまた笑顔が浮かんでいた。

 

 

そしてその日、シュージのお屋敷で3人はゆっくりと休養を取った。

 

 

(にしても、あの時たまたま部屋の前を通りかかって3人の会話を偶然聞いちゃったんだが)

 

『デュエルモンスターズ』の成り立ちは、心に潜みこむ『闇』。

ギンジはそれを聞き手にしていた『軍貫』デッキを見つめ部屋で1人ベッドで横になっていた。

 

(これからも俺は故郷の料理『寿司』をこの国の人、そしていずれかは全世界に広めていくこと。それが『闇』なんて一切関係ない俺の目的だ……だけども)

 

 

翌日。

 

「では、他の地方の視察も頑張ってくださいね」

 

シュージと、その隣に立つギンジが笑顔でオディアナたちを見る。

 

「3人の旅についていけば、俺の目的である『寿司』をこの国や全世界に広めるという目的も叶いそうですが……それ以上にこの村の人に救われた恩を俺はまだ返せていない。その恩を返すために、まずはこの村の人たちに寿司を広め、この村の名物料理にしてみせますよ。そして色々な国からこの村に寿司を食べにくる。それもまた、寿司を広めるというやり方には変わりないよな」

「素晴らしい志ですね。でも、視察の旅が終わったら一回アルトマ城に来て、城の皆に寿司を振舞っていただきたいですね」

「ええ、もちろん。オディアナ姫も頑張ってくださいね」

 

オディアナたちもまた笑顔であり『ザーストリム』の村から『エイストール』に向かって旅立っていった。

 

 

「にしても、ギンジさんを連れていけばこの旅で美味しい料理を食べられるかなーと思っていたんですが」

 

オディアナが少しだけ残念そうに呟く。

 

「まあギンジさんの目的とは一致してないからしょうがないですね」

 

そういうシーアもどことなく残念そうではあった。

それほどまでに昨日食べたお寿司という料理は魅力的だったのだ。

 

「でも、ちゃんとやるべきことが終わったらもっと多くの人とお寿司を食べられるんだよね。だから頑張ろう、オディアナ姫、シーアさん」

 

ハスキミリアに励まされ、オディアナもシーアも頷く。

 

「さぁ、次の目的地まで結構遠いですが頑張っていきましょう!」

 

オディアナを先頭に2人もその後をついて歩いていく。

 

 

姫たちの旅は、まだまだ続く。

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