ゴブリンスレイヤー外伝2 侍と上質聖騎士 作:一般火の無い灰
「火守女よ!今回もまた、デーモンを倒してきた!」
何度目だろうが、高壁の上にいる燻りすらしていないデーモンを倒したことを火守女に喜々と報告する。
「灰の方。デーモンは初めてかと思いますが、ですが流石にございます」
「おお、そうだったな!!」
彼女は引き継がれない。何度目かも忘れた言葉だ。
「それではこのままファランの不死隊と戦ってこよう!それでは行って来る!」
彼女との会話はそれが最後だった。
私はファランの不死隊を蹂躙した。SL.154の上質聖騎士だ。世界の序盤の薪の王だ。『雷の剣』で『ロスリック騎士の大剣』にエンチャントしてパリィして叩き潰すだけだ。難し相手じゃない。
問題はそのあとだった。久しぶりに被弾無しだった事に気を良くしそのままウォルニールに挑んだ。不死隊と同じようにパターン道理に腕輪を壊し深淵に引きずり込まれるウォルニールに手を振りながら煽っていた時だった。
最後の力なのか、煽られて事へのやり返しか、それとも覇王の意地か……深淵から突如伸びてきた覇王ウォルニールの白骨化した手に握られ一緒に深淵に引きずり込まれた。
そこから先の事はよく覚えていない。蛹の様な形をした四人に襲われたりしたが別に強くはなかったが……
その後……いやどれくらいの時間がたったのだろうか。不死人故、餓死で終わりなんてことはない。この狂った世界にそんな優しいものはない。
「あれは……」
光だ……闇の世界に光がある。
それにむかって走り出した。FPが切れ発動すらできない『照らす光』や耐久度が切れた『松明』以外の久しぶりの光だ。
「届いた……うっあああああああ」
掴めたと思った光だっただ頭にバナナをさし襤褸を着た緑髪に神の怒りを受けた時と同じような痛みが襲う。私はそこで意識を手放した……
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灯りが見える。深淵に居た時に頼っていた松明と同じ炎の光だ。
「ここは……」
確か神の怒りの様な痛みに襲われて……
意識が覚醒していき、まともになり始めたあたりで回りを見回す。」
「デーモン遺跡か……いやあそこは木の根っこに浸食されていた。その上、燻りのせいかかなり明るかったはずだ……」
非常に暗く微かに明るいだけ…夜目が効かなければ5m先も見えないだろう。
指輪を『佇む竜院の指輪』に付け替え、ソウルの中から魔術師の杖を実体化させ握り呪文を唱える。
《照らす光》
頭上に光の弾が出現しあたりを照らす。
これまで何週もしてきたロスリックにこんな壁はなかった。そして、呪文を唱えた時に感じた声の反響。さまざまな所で呪文や祈りを唱えていたがこんな反響はしたことはないし、その上あの身の毛もよだつような亡者やモンスター達の声も一切聞こえない。
そして燻る灰の魂…火を求める心も、ダークリングの感覚もない……
「ここは……どこだ……」
何時ぶりだろうか……『未知』の領域は……
3年後……
早くもだがもう三年がたった。その間の事を話そう。
まずは、いや、重要なことだ、ダークリングが消えた。実際それに気が付いたのは転移してから時間がたってからだった。『未知』知らぬ場所を散策するのは3週目以来だった、アノールロンドの離れの塔には苦労させられた……話がそれたな。まあ、『迷宮』を歩き始めた、モンスターは居たがあまり群れておらず単体ならほとんど苦労することはなかった、亡者、いやそれにしては肉付きがよかったが、人間はいた。これが驚いたことにロングソードの一振りで死んだ。ロスリックにいた亡者は弱くても二振り、三振り必要だった。それにソードが切った面が切断されたのだ。本来『ソウル』を傷つけ体に欠損を起こさない武器でだ。そして頭をメイスで殴られたとき頭から血が出た。攻撃同様基本的には被ダメージの時も出血はしない。がした。これにも驚いた。血が出たのはトゲトゲした騎士と戦った時以来だ。まあ、殴られた程度では俺は殺せない。攻撃を受けたメイスごと真っ二つにしてやったが……そのあとだ。そこにいた数人の男達を皆殺しにした後気が付いた、己からダークリングが消えていることに。とある不死人はダークリングを消す旅をしたらしいが…このことかはわからないがな。最初は呪いから解放されたと喜んだ。だがそのあと冷静になると思い出した、思い出してしまった「死」の恐怖を。火の無い灰の時はいくら死んでも何の問題もなかった。その上回復しようとエストを取り出そうとしたらビンの輝きが消えていた。一番の頼りだったエストが切れていたのだ。その上、篝火も不明だ。今は大丈夫だがあの時は精神が、まあダークリングが無くなった影響もあるのだが、かなり不安定になった。『迷宮』から逃げ出すためにやみくもに、とにかく歩き続けた。その時は運がよかったのか他の冒険者に助けられ地上に出ることができたがね。
その後は『冒険者』になり冒険を続けている。落ち着いてしまえばそもそも己より強大な敵を倒していたのだ。実際死なずに一周を終えたこともある。『欲張らない』これさえ徹底すれば死ぬことはない。ダークリングはなくなったが幸いソウルの業は健在だった。SL.154とカンストの死の灰に比べれば低いがほとんどの武器を使用できなおかつ奇跡も使うことができる。たとえ一人でも問題なく戦うことができる。そのまま三年ずるずると過ごしていた。幸いマラソンの為にソウルが余った時に買っていた『錆びついた金貨』や『緑花草』を売さばいた。一年後には資金にも余裕ができ城塞都市の端の一角に土地を買うことができた。そこからは何時もどおり、不死の遺骨で薪を作り螺旋剣の破片を差し手を翳し火を灯した。エストが回復したり、帰還の骨片、螺旋剣の破片は使うことができなかったが、篝火で休憩したとき、やっと落ち付くことができた。
そこからは世界を何度も救ったり、己の物にしたり、終わらせたりした火の無い灰としてまた活動しだした。はっきり言って二層三層相手になる敵はいない。犬型のモンスターには苦労するが、湖に住む巨大なカニ、
まあ、そんなこんなで二年間戦っていた。楽勝とはいえマージンはちゃんとしていた。基本的には防御力が高くなおかつ被弾を受け流す形の鎧、
こんな感じの三年間だった、他に驚いたことと言えばいつも通り宝箱を殴ったら爆発したことだな。たまたま黒騎士の大剣のかち上げだったから中身が当たらなかったがアレは運がよかった。そんなところだろう。
そんなこんなの三年目、いつも通りの迷宮から帰ってきたことだ。私は彼女を見た。くすんだ金の長髪、目を隠すアクセサリー、ローブ、火守女だ。
「火守女よ!久しいな三年か?いやもっとだろうか…だがなにより、元気そうでよかった!」
何時ものように話しかける。一度もしゃべらずに世界を救ったこともあるが大体は好意的な反応をしてくれていた。が、今回は違った。
「あの、誰かと勘違いていませんか?」
「いや…貴公、火守女よ、わすれたのかこの火の無い灰を」
「人違いかと…」
「いやすまないこの姿ではわからんな。この姿ならどうだ?」
ソウルの業を用いカタリナの鎧から下級騎士の鎧に瞬時に着替える。一週目彼女と初めて会った時の防具だ、その上武器も普段使わないロングソードと騎士の盾に変更する。
「いえ、記憶にございません…」
なんということだ。そんなに深淵に居る時間が長かったのだろうか。途中で完全に時間の感覚を失っていたがまさかこれほどとは……
「そ、そうか貴公……そんなにも」
がっくりと地に手を付ける。
「あ、あの、もういいでしょうか……」
「ああ、貴公すまなかったな……」
彼女は言い残し去って行ってしまう。心が折れそうだ。
続きは全くありません。
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