1話 世界とアイドルと私
これは、存在しないとも言い切れない、全く現実味のない奇妙な世界の、奇妙な物語である――。
*****
とある少女には一つの大きな夢があった。
正確には、一つと括るには大きすぎる夢だが、この場では一つとして置こう。
その少女の夢の第一歩となるのが、アイドルになるという事だった。
数多くの文明や、人間以外の種族が混在するこの世界の中でのアイドルは、決して簡単になれるものではない。
というのも、容易にアイドルを始められても、それを評価する第三者が、多種多様すぎる価値観だからだ。
夢を叶えるためには、その多種多様な価値観の中で一際輝き、その価値観の視線を釘付けにする力を必要とする。
それでも彼女は、夢を諦めなかった。
そして、遂に念願のアイドルになる事ができたのだ。
まだ会社として本格営業がなされていおらず、所属アイドルもまだ彼女一人。
少し他のアイドルグループやその会社たちとは運営方針が違うらしいが、そんな事お構いなしに彼女は一人心を躍らせていた。
少女は、自分の夢を胸に小さな会社へと足を運んだ。
――将来、建設されるという、世界最大規模(名称未定)のアリーナで、誰よりも早くライブを開催する、その夢を持って。
*****
今日が初出勤。
何をするのかまだ聞いていないし、漸く手にした希望を離したくないという感情が強いため、不安でいっぱいだった。
だけどやっぱり足取りは軽い。
今にも踊れそうなほどの軽やかな足取りで、心の中で鼻歌を歌いながら会社へと向かう。
彼女は普通の人だし、今いるこの街も人を中心として栄えた街だが、やはりところどころに多種族の者も見られる。
耳が尖っていたり、少し毛が生えていたり、背中に羽を持っていたり、独特な尻尾を揺らしていたり……。
そんな彼ら彼女らで賑わう街はやはり都会らしく騒々しい。
彼女が周囲を見て思う事はただ一つ。
この人たち全員を釘付けにできる……私を見て、応援してくれるファンにできるような、そんなアイドルになってみせる。
今は他人でも、将来絶対に仲間の一人としてみられるような自分になりたい、と。
微かに微笑み、弱々しく吹いた風に攫われる茶髪をそっと撫で下ろすと、心がもっともっと踊った。
突然歌い出したり、スキップを始めると不審がられるだろうが、少し笑うくらいなら誰だって咎めない。
輝かしく眩しい太陽は今日も世界を照らしている。
空に浮かぶ太陽、雲、見えない星たち……。
今日ここから、ときのそらのアイドル人生が始まる。
これからはもう少し分量多めになります。
この先の登場キャラは、タグから推測できる方もいるかもしれませんが、楽しみにしていてください。
なお、既に述べたとおり、ホロライブ全員が登場するとは限りませんので、ご了承ください。
それと、消されてしまった場合は、そういう事なのだと思ってください。出来る限りは気を付けますが、可能性としては十分にあり得ますので。
それでは、有難うございました。