歌姫伝承〜ホロの異能大戦ストーリー〜   作:炎駒枸

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105話 しょうたいむ

 

 フレアを広場に残し、右ルートへ向かった2名、みことラミィ。

 みこは血を、ラミィは汗を流して森の道を駆ける。

 ルートの先に、森林火災が見えた。

 周囲の木々も焦げ跡があり、今拡がり始めたのではなく、拡大していた物が沈静化し始めたのだと分かる。

 

「フレア先輩のこと考えると、2人で1人を相手している暇はないですけど、どうですか、みこ先輩」

 

 珍しい組み合わせだが、恥じらう感情など湧かない。

 これが初コラボ配信なら間違いなく緊張していた。

 

「ん、分かってる。みこは剣士の方なら何とかなるけど、ラミィたんは?」

「剣士は無理だから任せます。武闘家は見てないんでわかりませんけど」

「わがった。そいじゃ、出て来たら任せて進むにぇ」

「はい」

 

 みこが剣士を、ラミィが武闘家を。

 このマッチングは確定した。

 

 

 その後も2人は息を荒げて進み続け、炎上中の通路の間近まで迫った。

 

 すると、バチっと何かが弾けるような音が響く。

 来た――!

 

「天叢雲剣」

 

 みこが刀を現出させ、隣を走るラミィに軽くぶつかる。

 衝撃で転倒するラミィ。

 そのラミィが立っていた場所を、何かが通過しかけた。

 が、みこの刀に臆し、距離を取る。

 

「おぅおぅおぅおぅ! ビビってんにぇ!」

 

 剣先を、音のした方へ向け挑発した。

 その間にラミィは立ち上がり、迷わず先へ進む。

 

「どこを向いてるんです? 私はこっちですが」

 

 みこが向く方向から90度右方向。

 その先に剣士が現れた。

 ラミィは既に火の海に飛び込んでいた。

 

「んだよ、そっちか」

「結界ですか、考えましたね」

「えりぃ〜と、ですからにぇ」

 

 見えない敵の奇襲に備えて、常に結界を展開していたが、上手く作動したようだ。

 結界に触れたり、壊れたりすれば、必然みこに伝わる。

 

「ただそれは、逆説的に言えば、私が見えないという事」

「見えるやつの方が少にぇって」

「見えなければ、聖剣とて当たりはしません」

 

 結界の干渉から識別できるのは、精々攻撃方向程度。

 正確な居場所が計れなければ、物理攻撃など当たるはずがない。

 

「勝つ算段は立てられますか? もう残り人数も少ないですよ」

「斬る」

「……」

「みこだって、剣を振る練習、したんだぞ」

 

 ラヴと戦った時、初めて天叢雲剣を使用したが素人以下の剣術で、宝の持ち腐れだった。

 宝を宝たらしめるために、みこは多少の剣術を学んだ。

 あやめには遠く及ばないが、並程度まではその技術を体得した。

 

「普通で勝てるほど私は甘くありません」

 

 剣士がすっと剣を抜いた。

 その刀身を煌めかせ、剣先をみこに向ける。

 

 無鉄砲にコイツとぶつかったが、勝てる見込みはあまりない。

 力が強いとか、足が速いとか、化け物じみた身体能力ならなんとかなる。

 でも、見えない、と言うスキルが果てしなく厄介だ。

 天叢雲剣で透過されることなく斬る事ができるが、剣士の言う通り、みこは光を透過した剣士を視認できない。

 気配を消すのも非常に上手い。

 

 だから、見えるようにする。

 続いて、どう発展し、自分が成長できるか。

 その成長レベルで未来は変わる。

 

「さあ来いよ」

「では、遠慮なく」

 

 剣士が消える。

 本当に鬱陶しいスキル。

 だが、結界越しにみこたちを見つけたという事は、この状態でも目は見えている。

 視界を遮れば、動きは止まる。

 

桜颪(さくらおろし)

 

 突如目覚めた不思議な力。

 この桜の力は使える。

 

 あたり一面に桜が舞い散る。

 視界が桃色に染まり、敵からみこは見えないはずだ。

 今結界を張れば、気配まで消えて、敵はみこを捉えられない。

 だが、結界は張らない。

 桜舞うフィールドだからこそ、迎撃に出る。

 

 桜が川のように一団となり、規則的にヒラヒラと舞い続けている。

 舞い散る桜は美の頂点。

 清純、美。

 その中に紛れる不純を割り出せ。

 紛れる不純を斬り伏せろ。

 

「桜花、灯籠流し」

 

 ガキィン、と剣と剣が衝突し火花が散った。

 同時に周囲を流れ落ちていた桜も、風に煽られ散り散りになる。

 乱れた桜が空白を作っている。

 ――いや、桜の中に空白がいる。

 そう、規則正しくひらめく桜の流れの中に、何もない人型の空間が出来ている。

 それこそが剣士。

 黒一色の中に白があれば目立つように、剣士以外の透明に色を付ければ奴は必然形を持つ。

 なんせこの桜、透過できない。

 

(桜で自分自身の視界も閉ざされている筈……なぜ見える?)

 

 剣士は冷静に姿を消したまま数歩引いた。

 敢えて気配を消さなかったのは、攻撃を誘発して迎撃するため。

 安直に向かっても攻撃は当たらない。

 

(まさか、桜一枚一枚を通して知覚しているのか)

 

 みこは剣を構え直した。

 もう一度神経を研ぎ澄まし、見えない敵を探る。

 敵の全力を引き出させ、その上で自分がどこまでパワーアップできるのか。

 剣士はきっとまだ実力を隠している。

 

「私以外を染める事で私を形造る。実にいいアイディアです」

 

 感服ですと手を鳴らす。

 

「ですが、塗りが甘い。もっと広く塗りつぶしましょう。ワールドペイント」

「――――⁉︎ なんだにぇ、これ!」

 

 剣士とみこ以外の物質全てが桃色に変化していく。

 その色はみこが使う桜と完全に同色。

 一定範囲内のフィールドが桜に染まってしまう。

 

「すべての物質の光の透過を制御しました。今、この場にある全ての物は桃色以外の光を全て透過し、桃色だけを反射する」

 

 やはり、まだ隠していたか。

 しかしまさか、透過が全物質に適用できるとは……。

 みこの対策をそっくりそのまま対策返しされた。

 これでは桜で空白を作れない。

 桜の無い場所が桃色で、区別ができない。

 容易く看破されてしまった。

 

(でも――)

 

「そんな計算外は計算内。まだまだ行くど!」

 

 姿勢を屈めて、今度はみこから仕掛ける。

 が、その時――目前を何かが通過した。

 剣士じゃない、早過ぎる。

 周囲の桜が吹き飛ぶほどの早さ。

 桜の風流で規則的な舞を乱す瞬足が、桃色の地を駆け巡る。

 

「なんだ⁉︎」

「不届者」

 

 剣士も困惑している。

 姿を隠して、身を守る体制に切り替えた。

 

 バゴン。

 

「――⁉︎」

「っ――‼︎」

 

 神速で辺りを切り裂く何かから、大きな風圧が放たれ、一つの大木の幹を削る。

 超人的な身体能力に驚嘆するみこ。

 一方剣士は、透過で誰にも見えない中、冷や汗を流した。

 

(今、確実に私の居場所を捕らえていた……透過が無ければ今頃……)

 

 神速で見えないとは言え、姿形は存在する。

 瞳を何かがすり抜ければ、一瞬であろうと感じる。

 

 しゅたっ、とみこの真横で神速が停止した。

 

「みこみこ、さっきぶり〜」

「――⁉︎ ころにぇ!」

 

 どこからともなく現れるころね。

 システマーとの戦いでやられたと思ったが、生きていた。

 

「どうやって⁉︎」

「なにが?」

「いや、だからなんで生きてんの?」

「死んでろって事かぁ!」

「ちげぇよ!」

 

 何故そうなった。

 

「あのまま吹っ飛んで荒野まで行ったんだけど、空中で動かなくなったんよ」

「分かってんじゃにぇか……でも、そっか、丁度アイツのトラップに掛かって生きてたのか」

「んで、突然勢いのまま動き出して死ぬかと思ったけど、シオンちゃんがいたから助かった」

 

 豪運を発揮しての生還。

 でも、シオンに同行していなかった。

 つまり、みこたち同様に幹部を倒しに来たのか。

 

「ん、でもなら丁度良かった」

「こおねも丁度、盾が欲しかったとこよ」

「誰が盾だ!」

 

 まあ、何でもいいが、このコンビなら24時間でも戦える。

 

「2対1で?」

「おぅよ」

「そう言う事」

 

 ころねが拳を構え、みこが剣を構える。

 剣士も深呼吸で息を整え、剣先を天に向けた。

 

 いっつ、しょうたいむ。

 

「見たところ、ころにぇはアイツが何処にいるか分かるんだよにぇ?」

「みこみこは、アイツに攻撃が当たるんだよにぇ?」

「そうだけど、まにぇすんなゃ」

「――」

 

 みっころねの共有に眉を顰める剣士。

 

(攻撃は当たるが居場所がわからない巫女。攻撃は当たらないが居場所がわかる犬神。不運な事に重なるとまずい組み合わせですね……。ですが、2人のスキルを1人が使うなど不可能。まだまだ勝機は見出せますね)

 

 敵を分析し、自身の勝算とそこへの道を探る。

 

「じゃあみこみこ、合体技いこ」

「合体技?」

 

 初耳だ。

 みっころねに合体技なんてあるのか?

 みこはきょとんと首を傾げた。

 同時に剣の向きも傾く。

 

「合体?」

 

 剣士は不穏な単語に眉を寄せた。

 たった今計算した物が、全部没になるかもしれない。

 

「お体拝借いたしまぁ〜す」

「にぇ?」

「憑依神獣・犬神」

 

 残り少ない体力で神獣を召喚する。

 この犬神が、何故憑依神獣と呼ばれるのか、もう説明は不要だろう。

 そう、ころねとおかゆは妖怪族。

 そして妖怪には2種類ある。

 取り憑く妖怪と、取り憑かない妖怪。

 取り憑くと力を発揮する妖怪と、取り憑かずに力を発揮する妖怪。

 犬神は取り憑くタイプで、猫又は取り憑かないタイプ。

 因みに、おかゆの幻影は能力ではなく妖怪として生まれ持ったスキルである。

 

「憑依」

 

 犬神がみこの身体に憑依した。

 

「な、なんじゃこれ!」

「よぉし、いけ〜みこみこ〜」

「ぅぉ! 勝手に――!」

 

 ころねの号令で従順に動き出す。

 口は自在に動くが、体の自由は効かない。

 基本的に取り憑いても、その身体を操る事は叶わない。

 だが、もしみこがころねに全信頼を預けていればどうだろう?

 ホロメンの身体なら、ころねが操れるのかも知れない。

 

「憑依しても、身体能力やアビリティは憑依体に依存する筈ですが」

「基本はにぇ〜! でも、犬神が取り憑いてるから、5感はこぉねと同じなんだよにぇ〜」

 

 まるでころねにみこが乗り移ったような語尾。

 別に乗り移ってないが。

 

「つまり、もう分かるでしょ?」

「――」

 

 もはや透過は無意味。

 剣士は実体化したまま剣を構え直す。

 正面からはみこが迫る。

 

 一閃――剣と剣が交差する。

 

「力は申し分にぇな」

「そのようで……」

 

 剣士にパワーは無かった。

 そのトリッキーな力で攪乱していたが、パワー勝負に持ち込めば、みこでも対等に戦える。

 

「ですが私よりも、相当深傷ですね。保ちますか?」

「おめぇを倒すまではな!」

 

 広場では早々に突破したが、その後の目玉、システマー戦から塔の崩落を経てここまで来た。

 その間に負った傷は数知れず、また一部は身体能力低下に大きく影響する。

 

 キン、カキン、カン、カン――カカカカかカカッ――!

 犬神が身体を操ってはいるが、身体能力はみこの物。

 ころねは想像以上の剣術に唖然としていた。

 

 体術すらままならなかったみこが、剣技だなんて。

 

 皆が皆、成長していく。

 次から次へと覚醒の大連鎖。

 やはり奇跡はとめどなく。

 

「桜花・丁字」

「フェンシンジェット」

 

 剣撃がすれ違う。

 お互いを擦り、両者傷を与える。

 

「桜花・枝垂れ」

「つゆさばき」

 

 閃光の乱れ打ちが衝突を重ね、金属の擦れ合う甲高い音が響く。

 桃色の世界に紛れて、火花が散る。

 

「桜花・陽光」

「月下宝刀、月明り」

 

 煌めく閃光の如き刃が、桃色の世界で瞬く。

 まるで瞳を焦がすよう。

 

 鋭利な刃物が頬を引き裂き、脇腹を擦り、空を駆け巡る。

 これが剣士の戦い。

 

「…………」

 

 この場にころねが来なければ、みこはここまで善戦できなかった。その自覚はある。あるのだが……。

 

「――」

 

 やっぱ、クソ悔しい――‼︎

 憑依したらお役御免でただの傍観者?

 くだらねぇ、だらしねぇ、ありえねぇ。

 何か……何でもいい……勝率を僅かにでも上げる策はないか。

 何かいい案は。

 知恵を振り絞れ――。

 

「――‼︎」

 

 そうだ! 当てれる!

 

 ころねは飛び出した。

 誰の目にも止まらぬ速度で桃の大地を駆ける。

 竜巻でも起こすかのような勢いで移動を続ける。

 そのころねを意識の端に置きながら、剣士はみこと剣筋を見せ合う。

 

 桜が舞い散る。

 

「――」

 

 桜舞う舞踏会。

 この桜フィールドの上で、繰り広げられる熾烈な剣撃勝負。

 撃ち合い、斬り合い、削り合い。

 血を流し、汗を流し、全体力を流し出して。

 

「――!」

 

 剣士の視界の端から、神速が飛び掛かる。

 みこの剣を捌いたタイミングを狙った一撃を、剣士は直感一つで紙一重の防御に出る。

 

 ガンッ、と剣が鈍い音を立てた。

 衝撃と風圧が剣士を後方へ吹き飛ばす。

 

 神速のころねから放たれる「しばきあげパンチング」の威力は一級品。

 反動で全身が痙攣するほどに振動。

 

「くっ――桜を……」

「これならこぉねも、殴れるわけよな」

 

 透過されない桜を隔てて殴れば、ころねの拳は当たる。

 みこの剣も当たる。

 2人とも敵が見える。

 

「「さあ、ゆびやきの時間、だでな[にぇ]」」

 

 そこからは、1対2でみっころね優勢の攻防が続く。

 続いていたが、予定通りに事は進まず、みこところねの体力の限界が少し早めに訪れた。

 

「ぅっぷ……うう……」

 

 激しい運動で傷口から大量の血を流したみこは、意識が朦朧とし始め、吐き気を催すようになる。

 吐血し、一度膝を曲げて這いつくばった。

 連戦の疲労が最高潮に達した。

 

「みこみこ……!」

 

 ころねも、傷こそ無いが憑依神獣を使い、自身もフルパワーで疾駆し、自慢の体力も底を尽きてきた。

 口数が減り、心拍数と呼吸数は増える。

 

 そんな好機を、剣士は逃さない。

 ルールや規則、縛りなど忘れて、闘争本能剥き出しに剣を振るった。

 

 キィン――。

 

「ぅっぐ……ぐぐ……」

 

 天叢雲剣を弱々しく持ち上げ、何とか受け止める、が次第に押される。

 気が付けば、桜花も舞を止め、世界は元の色を吹き返していた。

 ころねの攻撃も、これでは貫通する。

 神具や神器はみこ以外は使えない。

 剣をころねに譲渡する事はできない。

 

「ぐ、ぐぐぐんぬぬぬ……」

「こんっの!」

 

 抗うみこの傍を通り、ころねが拳を撃つ。

 しかし、顔面を狙った拳はその顔をすり抜ける。

 

 そのまま剣士の力はみこを凌ぎ切り――

 グザッ――

 

「ん゛に゛ゃア゛アアアァァァ‼︎」

 

 最後の最後、みこは身体を捻って切断ではなく串刺しとなる道を選ぶ。

 ビームを喰らった位置とは別の場所に、剣が1突き。

 身体を貫通して剣先が背中から生え出る。

 剣は血で纏われ、残虐性を見せる。

 

 痛い、熱い、死ぬ。

 痛い、熱い、死ぬ。

 痛い、熱い、死ぬ。

 痛い、熱い、死ぬ。痛い、熱い、死ぬ。痛い、熱い、死ぬ。痛い、熱い、死ぬ。痛い、熱い、死ぬ。痛い、熱い、死ぬ。痛い、熱い、死ぬ。

 

「みこみこ‼︎」

「んにゃぁぁぁぁ!」

 

 ころねが飛び出す……直前、死の淵に立つみこは激痛を耐え忍び、右手で腹に刺さった剣を掴む。

 

「――⁉︎」

 

 腹が痛すぎて、手の痛みはもはや感じない。

 神経が麻痺している事が幸いした。

 刀はみこの手を透過しない。いや、剣士が瞳孔を広げているから、透過できないんだ。

 

「でゃぁ!」

「ぐっ……っ! しまった!」

 

 剣を握り締めて、みこは剣士の腹部にまっすぐ蹴り込んだ。

 いつもより脚を上げたら、股関節が割れそうだった。

 でも、痛みを我慢した甲斐あって、剣士を後方に弾く事に成功。

 しかも、剣はみこの腹に刺さったまま。

 

「いげぇ゛っ゛、うぶぅぇっ――ころにぇえ‼︎」

「――‼︎」

 

 みこの最期に桜が舞い散る。

 敵が剣という脅威を手放した今、ここはころねの独壇場。

 キメろ、いつものワンパン宣言を。

 

「ッッッッォラよォッ!」

 

 しばきあげパンチングが炸裂。

 

「うぼっ――‼︎‼︎」

 

 透過できない桜に殴られ、剣士は時速100キロを超えて背後の木に激突。

 ころねの拳はいつだってワンパン。但し、直撃に限る。

 

 たった一撃で、剣士をK.O.させた。

 

「みこみこ! 大丈夫⁉︎」

「だい、じょ……ばにぇ……けどぉ……ぉオ゛ぇ……」

 

 大量に流血し、吐血しながらみこが立ち上がる。

 必死に踏ん張り、最後を引き延ばす。

 

 剣一本を貫通させたまま、よたよたと千鳥足で剣士に歩み寄る。

 今剣を抜いたら、血が噴出して、歩けない自信があった。

 

「み、みこみこ……?」

 

 当惑するころねも他所に、みこは更に剣士と距離を詰め、やがてその前に立った。

 すると、腹から生える剣の柄をグッと握る。

 グ、ぐぐぐ……。

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ‼︎」

 

 全身全霊を持って引き抜く。

 真っ直ぐ引き抜けず、傷口を抉るように広げてしまうが、どうせ死ぬなら構わない。

 腹から抜剣し、大量の血飛沫を撒き散らす。

 

「うァァアアアアア!」

 

 その剣を、剣士にお返しする。

 グジャっ――。

 

「ゔゔっ……ぅ……ぅぁ………………」

 

 剣士の心臓に、躊躇なく剣を突き立て残った命を絶つ。

 2人の目の前で、剣士は塵となって風に消えていった……。

 

 剣士、脱落。

 

 そして――

 バタッ、と、みこもまたその場に倒れ込む。

 じわじわと血の池が広がり、やがてころねの足元にも血が流れ着き――。

 

 そのままみこもゲームオーバーとなった。

 

 

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