歌姫伝承〜ホロの異能大戦ストーリー〜   作:炎駒枸

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115話 holoX誘拐事件

 

 ホロライブ6期生、holoX。

 それが、新たに入社したメンバー。

 計5人から成る、全く秘密要素のない秘密結社だ。

 

 個性豊かなメンバーがさらに増え、ホロライブは一層勢い付く……かと思いきや、ここ最近、過去のリスナーがホロを離れているようだ。

 チャンネル登録は外さず、ホロから徐々に離れ、幽霊部員の様なアカウントが数多点在する。

 ホロライブと似た活動が世界に広まったからか、もしくは動画配信アイドルを追いかける事に飽きたのか……。

 真相は、当人にしか分からない。

 

 それでもまだ、新規ユーザーの方が数を上回り、プラスになっている。

 しかし、このままではこの業界は次第に衰退してしまう。

 それが自然の摂理である事は、明白だが、やはり、ファンが消えて行く事は悲しいだろう?

 

 だから、早く何とかしたいのだが、早々に解決は出来ないものである。

 時間をかけて少しずつ、この業界を再発展させて行く。

 それこそ今の、ホロライブの命題の一つとなる。

 

 

 

          *****

 

 

 

 さて、前述の事は全く関係なく、場面は大きく変わる。

 ある日、ラプラス・ダークネスが事務所に来た時のこと。

 

 holoXのミーティングのため、面倒くさいが、会議室へ来た。

 すると、誰もいなかった。

 稀にラプラスが早く到着する事はあるが、それでも必ず1番はルイである。

 一瞬眉を顰め訝しむが、特に連絡もせず、1番偉い人が座りそうな席についた。

 

 待つ事30分――。

 

「誰も来ねぇじゃん」

 

 誰1人、一向に来る気配が無い。

 集合時間を大幅にオーバーしても、ルイすら来ない。

 まさか、日程を間違えた?

 そんな筈はない。

 

 電話でもかけてみようかと、ゲームを起動していたスマホの画面を切り替える。

 そしてコールボタンを押しかけて指が止まる。

 

 コンコン。

 

「失礼します」

 

 えーちゃんが丁寧に入室してきた。

 

「あれ、ラプラスさんだけですか?」

「来ねぇんだわ、あいつらが」

「そうなんですか……」

 

 珍しいですね、と軽く足しながら歩み寄ると一枚の手紙をラプラスに手渡す。

 

「これ、事務所の郵便に入ってたんですが、差出人の名前が無いんですよ」

「はぁ……」

 

 それは、困るな。

 困るが、何故ラプラスに?

 

「吾輩宛なんすか?」

「いえ……中身を見れば分かると思ったら、読めなくてですね」

 

 手紙の封は一度剥がされていた。

 その跡をなぞってラプラスは本文を取り出した。

 

「おお……」

 

 そこには、アルファベット2文字と、大量の数字が羅列してあった。

 文字は鉛筆の様な亜鉛で書かれているが、その字は出力した様に美しく並び、記されていた。

 えーちゃんにはサッパリだったその一文を見て、ラプラスはやる事を察する。

 

「RSA暗号だな。ちょっと待ってくれ、今……」

 

 と、断りを入れながら、数字と格闘を始めた。

 数百桁もある数字の羅列を見て、ラプラスは何をどう脳内処理しているのか……。えーちゃんには想像すらできなかった。

 

 それが、僅か1分後。

 

 ラプラスが目を見開いた。

 

「……道理で来ないわけだな」

「お、分かったんですか?」

 

 額に右手を当て、不敵に笑った。

 

「分かった。ただ……」

 

 ラプラスは珍しく一度熟考した。

 アレコレと今のスペックで可能な限りの展開を想像、予測して、手の打ち方を思案する。

 クソみたいな奴が目の前に立ちはだかっても、ラプラスは大抵の敵を瞬殺できる自信がある。

 しかし、今回ばかりは、少々面倒だ。

 流石に、タイマンのフィールドを用意する必要があるし、恐らく向こうもそれがお望みだ。

 

 作戦が決まって、ラプラスは「よし」、と頷いた。

 

「えーちゃんさん、ありがとうございます」

「はい?」

「それで、悪いんですけど、今からある3人を至急ここに呼んで欲しいんっすけど、いっすか?」

「――はぁ……相手が応じれば、ですけど」

 

 ラプラスの要望に従って、えーちゃんは3人のホロメンを緊急招集した。

 

 

 

 その、呼ばれたメンバーとえーちゃんを交えて、ラプラスを中心に作戦会議、基、作戦説明を始める。

 まず、呼ばれたメンバー。

 さくらみこ、宝鐘マリン、紫咲シオンの計3名。

 共通点は特に無い、様に見える。

 

「なんなん? この会議」

「これがここの郵便ポストに入ってたって」

「……?」

「何です、これ」

 

 最初に手紙の暗号文を皆に提示する。

 読める者はおらず、それがRSA暗号と分かったのはシオンだけ。

 魔術と科学に関する研究や論文などに目を通す時、偶に目にする程度だから、簡単な計算もできない。

 こんな何百桁もの暗算なんて到底不可能。

 

「これを計算してアルファベットに変換するとM、A、X、W、E、L、Lと導き出される」

「えーっと……マックス……ウェル?」

「――! マクスウェル?」

 

 やはりシオンだけ、一足早く答えに辿り着く。

 この名前は、魔界では――特に悪魔の間で有名な名前。

 

「科学的魔神。吾輩と、もう一方の存在。それが、マクスウェルの悪魔だ」

 

 魔神と聞いてピンとは来ない。

 ラプラス以外に魔人を見たことがないから。

 

「4人はコイツに捕まった可能性が高い」

「――何でそうなんの? 名前が届いただけで」

「勘だ。大方、目的は吾輩を倒すか懐柔するか……そんなとこだろ」

「ええ……」

「それに、アイツらは簡単に捕まったりはしない。なのに、誰1人時間内にここへ着いていない。そこへタイミングよくこの暗号文」

 

 関連性を疑わない方がおかしい。

 

「……んで、ラプラスはシオンたちに助けるの手伝えって言いたいわけ?」

「ああ」

「ま、待って! この2人はまだしも、船長はおかしくない?」

「こっちの都合っすね。基本皆さんが戦う事はないと思うんで」

 

 本当はもう1人、お呼びしたい先輩がいたが、今回の作戦には向かない。

 それでも、アイツらはこれで十分だろう。

 

「アイツら、本気出せば強いのに、吾輩と同じでそう言うの面倒くさがるんっすよ」

「そりゃあ誰だってにぇえ……いざこざはヤだと思うよ」

「でも今回はちょっと頑張ってもらうために、先輩たちです」

「――?」

 

 自覚のある者とない者がいる。

 この3人はholoXの各メンバーを動かすスパイスになる。

 そう、だからもう1人、すいせいにも居てほしかった。

 

「って事なんで、これからマクスウェルの拠点へと向かいます」

「え、いきなり⁉︎」

「作戦は『成り行きでどうにでもなるだろ』作戦です」

(((これだから最強は……)))

 

 最強であり、クソガキであり。

 

「まあ、後輩の頼みくらい、聞いたりますけど」

「吾輩、人生のウルトラスーパー大先輩ですけどね」

「はいはい」

 

 えーちゃんに仕事関連の事は任せて、4人はマクスウェルの拠点へと向かった。

 

 

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