ラプラスを先頭に、1階を巡り、一同は上への階段を発見。
「みこさん、2階の捜索を頼んでいいっすか?」
「ん、いいよ」
「シオンは3階、吾輩は4階を見る」
「へいへい」
階段は基本、一気に上階まで駆け上がれる設計で、ここも例に漏れはない。
この先は各々が単独行動を行う。
「んじゃ、がんばれ〜」
それぞれ、各階の捜索を開始した。
4階――ラプラス・ダークネス視点。
靴音を鳴らし、カメラやセンサーも全て無視して、堂々と歩く。
ポケットに手を入れて、傲然と胸を張り、てくてくと。
「何者だぁ!」
警備兵か?
10人ほどが束になって寄ってきた。
予備動作なく魔法を放つ。
数名には直撃。
数名は回避を試みたが、結局追撃でノックダウン。
一瞬で全滅させると、もくもくと道を進み、仲間を探す。
「…………」
妙な気配を感じた。
相当な魔力量を、微塵も隠さず、まるで威圧するかのように放つ者の気配。
「子どもじゃないじゃないじゃないか」
「ぁ?」
変な男が暗闇から堂々と現れる。
ラプラスに倣ったように。
無駄な対抗心を燃やしやがって。
「子どもよ。ここがどこだか知らない訳がない訳がない訳がないよな?」
「――」
顔に見覚えはない。
魔力量や外見から、悪魔だろう。
マクスウェルの部下か。
多分、新人(沙花叉)よりは強い。
因みに余談だが、ラプラス的holoX内の強さランキングは弱い順に――
新人→博士→侍・幹部→総帥(吾輩)。
となる。
「さっささ、さっさっさささささっとお家に帰る事を推奨しよう」
「ムカつくからその喋り方と、子どもって呼ぶのやめろ」
「口調は俺の『IでんてぃT』だから、文句は一切合切、葛飾北斎受け入れられない」
「じゃあせめて子どもはやめろ。吾輩は大人だ」
「すべては主観。分かるだろう? 子どもでも」
コイツはアレだな。
頭がイってるらしいな。
そして、今の簡単な会話で大方は理解した。
(さては、マクスウェルの奴、誰にも吾輩の事、話してないな……)
いくらマクスウェルの部下が強かろうと、魔神相手では敵わない。
にも関わらず、馬鹿げた対抗心丸出しに登場する辺りから、そう予想する。
手間なことを……。
「時間の無駄だから一度だけ言うぞ。邪魔だからどけ」
「時間の無駄か。ならどける気はない。から子どもよ、君がこの先へ進みたくぶバァッ――!」
言葉を最後まで待たずして、ラプラスは敵を葬った(倒した)。
魔力で爆破を起こして、一撃だ。
その程度でラプラスを止められはしない。
足止めにもならない。
「めんどくせー奴だなー、マクスウェル」
ラプラスは、気絶した敵を放置して、また歩みを進める。
「…………ああ、近いな」
しばらく進むと、また別の気配を感じた。
親のように感じ慣れた気配。
この魔力の気配は、やはり鷹嶺ルイだ。
悪いな幹部、助けに来たのが吾輩で。
この作戦に於いて、ラプラスとルイは他のメンバーよりも少し損な役回りだが、諸々の兼ね合い上、致し方ない。
「おーい! 幹部ー、居るかー?」
「鷹はこちらにおりまーす」
大声を張れば、ジョーク混じりに返答があった。
意識もしっかりしている。
声と気配を頼りに奥へ進めば、手足に枷を嵌められたルイがいた。
見張り、警備の類は1人もいない。
先程の雑魚数名が、この階の警備すべてだったようだ。
「悪いな、吾輩が助けに来たぞ」
「悪いって何が?」
「ん、待て。幹部、見てないのか?」
「ホークアイのことなら使えないよ」
……。
なるほど?
マクスウェルの魔力で妨害されているのか。
てっきり、ホークアイで全てお見通しだと思っていた。
通りで普段通りな訳だ。
「一応聞いとくけど、何で捕まってた?」
「なーんか、変な男の人に突然襲われてさー。捕まっちゃってさ」
「そん時幹部、誰といた?」
「クロヱ」
クロヱとルイの二人掛かりでもでも、到底敵わない、と言うこと。
やはり、ラプラス以外ではどうにもならない。
「ん、それじゃ…………幹部は2階か3階で新人か博士探しといて〜」
「分かったよ。でもいろははいいの?」
「アイツは吾輩以外の魔力持ちが行っても意味ねぇし」
「そ、りょーかい」
「あー、でも――」
「――?」
「侍んとこ行けば、幹部にとっちゃ、滅茶苦茶嬉しいことがあるかも」
直接的な表現を避けつつ、ルイに情報を与える。
上手くマリンたちと遭遇できれば、驚きのあまり泣いてしまうのでは?
「覚えとくよ。ラプも気をつけなよ」
「吾輩を誰だと思ってるんだ?」
「キモオタ最強キッズ、ラプラス・ダークネス」
「キモくはねぇ」
「気にする事ないって。オタクって大抵キモい部分があるから。私も自覚あるし」
「キモい」が何を指すのかによるが、大体のオタクはキモい。
キモいほど◯◯、なことが多いから。
その◯◯が、いい事だといいね。
「じゃ、ちょっとクソ野郎をぼこしてくるわ」
「いってら」
2人は階段へ戻り、ラプラスは更に上へ、ルイは下へと向かった。
ラプラスは最上階へ到達。
そこで出迎えてきた者は。
「超久々だな、ラプラスの悪魔。5、600年ぶりくらいか」
「覚えてねぇ。そんな細かい上に、記憶する価値もねぇ事は」
最上階にて、マクスウェルとラプラスが対峙した。