歌姫伝承〜ホロの異能大戦ストーリー〜   作:炎駒枸

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17話 怪力無双な二人の勇士

 参った参った。

 迷子だ迷子だ。

 山小屋暮らしでもこんな薄暗い森は初めて。

 そもそも海賊に森を捜索させるのはお門違い。

 

「船長ぼっちじゃないですか」

 

 独り言で心細い気持ちを紛らわせながら枝や茂みをかき分けて歩く。

 歩いてはいるが、果たしてここがどこなのか、自分が今どこに向かって歩いているのかは不明。

 

「ま、まあ、逃げのマリンと呼ばれる船長なら何が出ても爆速で逃げて見せますよ」

 

 誰もいない森で自分のダサい肩書きを誇示する。

 

「誰もこの逃げ足にはついて来れまい」

 

 体力を溜めながら眼帯に手を当て、ふっ、と決めるが、全く決まっていなかった。

 

「おっ」

 

 少し歩くと、目の前に少し強い光が見えた。

 どうやら先程の爆弾魔がいた場所のような地形になっているらしい。

 小さな空間がまたしても現れる。

 似たような外見だが、岩の形や、空間の広さなどが若干違う。

 折角なので岩の上で少し休んでいこうと、岩の側まで――

 

「ああ?」

 

「ぎぃゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー」

 

 岩陰でたばこを吸っていた男を一目見た途端、自称の肩書きに恥じない驚異のスピードで森の中に飛び込んでいった。

 

「……何だアイツは」

 

 男は呆れ、振り向かせた首を正面に戻し、再度静かに一服する。

 一応この場で見張りをしている塔の住人だが、極度の怠慢性で短期な性格なため、任務遂行などを嫌う。

 怒らない限り対人に於いても手加減するほど。

 基本的に怒らせなければ良いだけの話。

 

 男は静かに平和な空を見上げ、たばこの煙を立ち上らせる。

 

「――ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 その男の正面から、ついさっき聞いたような悲鳴が……。

 

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――ぎゃあぁぁぁぁぁ! ワープしてきたあああああああああ――」

 

 マリンが爆速で走って戻ってきたかと思うと、男を一目見るなり、踵を返してまた走り去っていった。

 

「……ワープなんかできねえよ。なんなんだあの女は」

 

 マリンの奇行に男は一人愚痴をこぼす。

 マリンは自分が戻ってきたとは思っていない。

 男に先回りされたと勘違いして叫んでいたのだ。

 まあ、恐怖に怯えた彼女にはよくあることだ。

 

「ったく、人が来たと聞けば妙な女が――」

 

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――ぎゃあぁぁぁぁ! また出たぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「――チッ! おい女! テメエいい加減にしろよゴラァッ!」

「はい! すいませんすいません、帰りますんで見逃してください!」

 

 男の怒りの叫びにマリンが背筋を凍らせて足を止める。

 そして振り返り男の顔も見えないほど素早く、何度も頭を下げる。

 会社の上司にミスを報告する平社員のように。

 

「おいいいか、おれぁいちいちテメエみたいなやつを追いかけ回したくねえんだよ」

「はい!」

「俺ぁこっから動かねえから、テメェは後ろ向いて真っ直ぐ帰れ! いいな!」

「はい!」

 

 次の瞬間、マリンは180度回転し小走りに去って行った。

 

「ったく、無駄に疲れさせやがって」

 

 新しいたばこを取り出して、岩の上でまた一服。気分を落ち着かせる。

 空を眺めて心を安らがせる。

 何度か煙が立ち上がるのを見ていたが、何やら茂みから物音が聞こえた。

 

「チッ、しつけえ方向音痴野郎が――」

「――?」

 

 音の鳴る方を向きながら愚痴をこぼしかけたが、現れた人を見て言葉を止める。

 茂みから出てきたのは、さっき逃げ回った女ではなく、まるで悪人を討伐しに来たかのような鎧を身につけた一人の女性。

 そう、白銀ノエル。

 ノエルは男の謎の愚痴に首をかしげる。

 

「……別の女か、テメェは何しに来やがった?」

「――? 団長は塔を探してるけど」

「悪いが塔へ行くのは許可できねえ。帰れ」

 

 どうせバレていると察し、ノエルは素直に目的を述べる。

 しかし、当然それは許されない。

 恐らく真っ直ぐ歩いてきたし、なんとなく空気から塔の位置は詠める。

 まっすぐ行けば塔がある。

 この空間を態々通る必要はない。

 

「――そう? じゃあ団長は戻るから」

 

 ここは素直に踵を返しこの広くない空間を回って行こう。

 そう決めたのだが――

 

「――待て」

「……」

 

 男からストップが入る。

 

「テメエはさっきの女とは違うようだ」

 

 面倒くさがりの男が肩を鳴らす。

 二人の間に広い距離はない。

 服装と男女差を考えると走っても追いつかれる。

 逃げるように指示を受けたが……ここで逃げることは逆に命を危険にさらす。

 

「……誰が来たんかは分からんけど、そりゃあ他の人とは違うよ」

 

 男とノエルが、森の小さな空間で衝突する。

 

 ノエルがメイスを構え、男が傍らにある岩に触れる。

 

「テメエみたいな野郎が俺を相手にするつもりか? 俺のエネルギーに敵うとでも?」

 

 意味深な発言とともに岩が宙に浮く。

 それが一直線にものすごい速度でノエルに迫る。

 大きな物体だが、よけることは可能。

 身を反らせて岩を回避。その瞬間そのエネルギーを利用して、メイスだけを岩に当てると、岩は粉砕した。

 手にかかった衝撃は相当のものだが、筋力には自信があるだけあって、少し痺れるだけだ。

 

「テメエら、簡単に乗り込んで来やがったが、ここが何の集まりか知ってて来てんのか?」

「生憎、団長達はシオン先輩しか眼中にないから」

「じゃあ教えてやるよ。ここが一体、どれほど恐ろしい特殊能力者の集まる場かってことを」

「それじゃあ団長も教えてあげる。団長が魔法使いにとってどれほど恐ろしいか」

 

 売り言葉に買い言葉。

 まるで物怖じしないノエル。

 何やら秘策があるらしい。

 

 ノエルがメイスを持って、男に突撃する。

 振りかぶり、強力な一撃を見舞おうとする。

 

「そんなエネルギー、俺の手に掛かればゼロにして――ぐぉっ!」

 

 不動で余裕をかましていた男にノエルの渾身の一撃が大ヒット。

 打ち所は腹。

 抉るような打ち込みにより男は後方へ吹き飛ぶ。

 

「ゴッホ――ああ、クソったれが、能力が効かねえたぁ……」

 

「そうそう、団長のメイスは特注品。魔法破壊に優れたいわゆる魔法特攻武器」

 

 メイスを素手でこんこんと叩いて自慢するノエル。

 中々の一撃だったが、男は意外にもピンピンしている。

 

「種明かしが早かったな、触れなきゃ良いんだ。対策のしようは幾らでもある」

「団長は、塔へ行くから」

 

 

 互いに牽制し合い、そしてまた衝突。

 今度は、互いの動きが凄まじい。

 この応酬合戦は他の誰も手出しできない領域だった。

 

 もう、逃げの道はない。

 どちらにも。

 背を向ければ襲われる。

 

 先に地に伏した奴が、敗者。

 どちらかが倒れるまで、戦いは――続いた。

 

 

 

          *****

 

 

 

 困った困った。

 ぼっちだぼっちだ。

 皆は固まって行動してるのだろうか?

 一人でこんなとこ、恐ろしすぎる。

 せめて誰か出てきてくれないかと願うばかり。

 

「まつり一人とか、ホントに何もできないじゃん」

 

 無力を自覚した上で、単独行動。

 しかし、先程の爆弾魔から逃れるために全員ばらけたら偶然こうなってしまった。

 これは仕方のない犠牲だ。

 

「はあ、せめて可愛い動物でもいてくれれば癒やしになるのにな……」

 

 文句たらたらでゆたゆたと歩む。

 ため息も多い。

 警戒心もかなり高めで、頻繁に周囲を見回す。

 

 ガサッ。

 

「な、何……?」

 

 暗い森の中、近くの茂みが揺れた。

 数歩退いて茂みをマジマジと見つめる。

 目を凝らし、音の正体が割れるまで視線をそらさず、瞬きもしない。

 

 ガサッ。

 

 茂みから飛び出てきたのは――

 

「ふう……ただの兎か」

 

 一匹の白くてまん丸い兎に見えない兎。

 ボールのような白い体に耳がある。

 耳がなければ兎と思えなかったかもしれない。

 

「助けてよ兎ぃー」

 

 まつりは兎を抱えて顔と顔を近づけた。

 兎に意思はないようで、意思はあるように見える。

 と言うのも、まつりの接近は一切咎めず彼女の思うままに抱かれるが、顔を近づけると、「何言ってんだ?」みたいに耳を揺らす。

 まつりの感情は理解できていないが、本能的に安全だと見抜いている。

 

「怖いから兎も一緒に行こうね」

 

 まつりはその無垢な小動物を腹の前に抱えて、歩き出す。

 一人だが、一匹がいるだけで気分が落ち着く。

 最悪この兎は囮役に……。

 

「兎……?」

 

 少し歩いて兎の様子を確認すると、なんとまつりの手の中が心地良かったのか、眠っていた。

 

「……キミ、ホントに野生の兎……? いくらまつりでももう少し警戒するけどなー」

 

 ド正論を、眠っている、しかも言葉の理解できない存在にぶつけても意味はない。

 と言うか、寝られるとまた一人になった感じで寂しい……。

 一度手に入れた仲間を失ったような寂寥感に苛まれながらまつりは歩き続ける。

 

 10分ほど歩いただろうか。

 ずっとずっと光の薄い木々の中で景色に飽きてきた。

 兎も起きず、そろそろ精神的に限界を迎えてきたところで、運良くある二人と鉢合わせる。

 

「あっ、アキアキ! はあちゃま!」

「「しーーっ」」

 

 歓喜のあまり声を上げて手を振ると、二人は人差し指を唇に当てて静止を促す。

 

「……どうしたの?」

 

 まつりは早足で距離を詰め、周囲を確認した後小声で聞いた。

 

「気をつけて、この森多分危険な動物がいるから」

「危険な動物?」

「そうよ――! 私たち見たんだから!」

 

 アキロゼの注意喚起。

 それに関するまつりの質問にはあとは証拠を見たと言う。

 

「何を見たの? 熊とか?」

「ううん。黒くて足の速い狼みたいな動物」

「そうそう」

「……ミオちゃんとかじゃなくて?」

「違う違う。そんな温厚な雰囲気じゃなかったもん」

「それって、何かを襲ってたってこと?」

「いや、見たのは一瞬横切った陰だけだけど……」

「そう! もうオーラが違ったんだから!」

 

 声を抑えながらも興奮気味に目撃証言をする二人。

 まつりは嘘とは思っていないが、見間違いであると勝手に推測する。

 証拠は兎。

 そんな恐ろしい生物がいる環境の中にいるこの兎が、こんなに隙だらけとは思えない。

 少なくとも、この森には兎を襲うほどの脅威はないものと思われる。

 だが、二人はどうやらその陰がいつまでも頭に残っているために全くと言って良いほど喋らなかった。

 折角二人と出会えたのに、ほぼ無言で少し悲しかった。

 

 しかしそれが功を奏したのか、三人の歩速が早かったため、三人はあっという間に塔まで辿り着いた。

 

 塔の周囲は木も草もない平地。

 そこに何人もの見張りが塔を囲っている。

 殆どの者が剣や銃などの武器を持っている。

 中にシオンがいることは分かっているが、全く近づけない。

 何より、塔の外周が長すぎて反対側に行くのにも相当の時間が掛かる。

 正面に扉があるが、しまっている。

 

 三人は茂みに隠れ、息を潜めながら様子を伺う。

 

 こんな見張りの数じゃあ突破は不可能。

 かといって隠密行動ができる地形でもないし、そんな能力はない。

 何ができるわけでもないがこの場で見張るしかない。

 少し暗いのは、空に黒い雲がかかっているから。

 雨雲ではなく、塔を囲う謎の雲。

 

「っ! 待って、ここなら電波が届くよ」

「ホントだ!」

 

 アキロゼがここであることに気がついた。

 まつりも自身のスマホで確認すると確かに電波が来ている。

 

「でも他の人には繋がらなくない? それに繋がったとしても私たちみたいに隠れてたら――」

 

 はあとが冷静に分析する。

 折角の希望だったが、その通りで何も言えない……と思ったが。

 

「いや……そらちゃん達なら森外で隠れてもないから連絡できるんじゃない?」

「は、確かに……!」

 

 アキロゼが頭を回転させて振り絞った可能性は見事的中している。

 唯一の連絡先だが、何を連絡するか……。

 

「取りあえず、見張りが多くて門前突破は不可能でスニークできる環境でもないって伝えよう」

「そうだね。何か解決策を出してくれるかも!」

 

 来た道を戻って知らせるよりも早く、森内の他メンバーを探すよりも確実。

 アキロゼがスマホを開いて電話を使用としたとき――

 

「何してるの?」

 

 聞き覚えのある声の誰かに声をかけられる。

 

「ひゃあっ!」

 

 それはメルだった。

 驚く必要のない相手だったが、突然の声に驚きうっかり大声を上げた上、隠れていた身を晒してしまった。

 

「誰だ!」

「やばい!」

「アキちゃん!」

 

 即行で見つかったアキロゼ。

 敵が銃を構えたのが見えたためはあとがアキロゼの足を掴んで転ばせると、同時銃弾がアキロゼの肩のあった場所を通り過ぎる。

 

「こ、腰が……っ」

「どういたしまして!」

「うん、ありがとう」

 

 尻餅をついて腰を打ったアキロゼが涙目ではあとに訴える。

 はあとの返事はまるで成立していない。

 それが成立するようにアキロゼはお尻を摩りながら礼を言う。

 

 と、そんな状況ではない。

 

 複数人が茂みに躙り寄って来る。

 無闇矢鱈とは発砲してこないが、姿を見せると確実に撃たれる。

 誰も動けないでいた。

 

 数人がもう目前だ。

 銃を構え、今にも撃ち抜かれそうで身の毛がよだつ。

 四人のいる茂みのギリギリまで接近したところで、何とメルが飛び出した。

 数発銃弾を受けながら、そばにきた者達に掴み掛かり思いっきり投げ飛ばす。

 しかも、その腕力が異常で、投げ飛ばした人間が塔の入り口まで無着地で吹き飛ぶ。

 

 その圧倒的力と、受けた銃弾をまるで無視する不気味な体質。

 敵陣も味方陣も、ともに阿鼻叫喚する。

 

「怪力無双、変幻自在、神出鬼没」

 

 どこかで聞いたことのある台詞。

 ある者がある者を例えた言葉。

 

「それがメルの本質」

 

 赤い瞳が薄暗い塔の下で煌めく。

 本来人間界では決して解放できない、吸血鬼としての力。

 それが解放できたのは、この森と塔に充満している魔界と同等な濃度の闇因子。

 魔法の根本の力を絞り出すために塔の主が用意した魔界とほぼ同じ環境が、メルの本能を呼び覚ました。

 まつりもはあともアキロゼも、目を見開いて茂みに隠れたまま、メルの様子を伺う。

 果たして本当にメルなのか。

 そしてそうだとしても、精神に異常を来していないかなど。

 

「ゆっくり、奥に退いて」

 

 小声でアキロゼ達に指示する。

 様々な恐怖から、早速指示に従う。

 

 メルがなかなか動かないのを見て、敵勢が一度に大量にメル一人に襲いかかる。

 弓で、銃で、剣で、特殊な力で……。

 

「ミラーカの夢遊病」

 

 すべての攻撃の対象となるメルがその技のような一言を置き去りに霧となって消滅する。

 あらゆる攻撃が虚空を撃ち抜き、無駄な集中砲火となる。

 そして、メルの姿は現れぬままバッタバッタと敵勢力が次々と薙ぎ倒されていく。

 

「吸血鬼だ! ニンニクと杭と結んだ紐、それから一応十字架を持ってこい!」

 

 敵の何者かが叫ぶ。

 吸血鬼と言えばな対抗材料。

 ニンニクと杭は吸血鬼殺しに確実に使える材料。

 結んだ紐は習性を利用した囮道具。

 最も効くと言われる十字架だが、実際は吸血鬼の実力で効果は左右される。

 因みにここで明かしてしまえば、今のメルに十字架は全く意味を成さない。

 

 既に見張りにいた殆どはメルが殲滅した。

 勿論、殺しはしないが。

 吸血鬼お得意の、軽い催眠術を使って眠らせてある。

 

 ただ、催眠を使うには相手が逃げられないような状況が必要。

 そのため、どんな方法でも相手を約三秒以上行動不能にする必要がある。

 

 折角ほぼ殲滅したが、塔の扉が開き更に――たった一人の援軍が。

 

「五月蠅い、騒がしい、騒々しい、(やかま)しい、(かしま)しい、(かまびす)しい、そんな私が超鬱陶しい!」

 

 一人ボケ突っ込みをかましながら登場する一人の女性。

 一体この女性はどれ程の異常者なのか。

 場合によっては、今のメルですらも凌駕する実力者かもしれない。

 そうなったとき、四人に命はない。

 

「貴女は吸血鬼だけど羽が未成熟のようね。私の勝利確実」

 

 扇子を持って気取った女が、悠々と己を仰ぎながら勝利宣言する。

 意味が分からないが、危ない空気。

 しかし何に注意すれば良いのか誰にも分からない。

 

「接着、粘着、吸着、拘束、束縛、監禁、不動不動不動不動不動不動!」

 

 呪文のように単語を羅列し、最後は同じ単語の繰り返し。

 何を言いたいのかは理解できないが、何をしたいのかは単語の意味をとれば分かる。

 自分が停止すると直感したメルはまたもや霞に消えようとした。

 だが、一瞬上半身が消滅したかと思えば、膝のあたりまで消えたところで全身の変化が解け、普段のメルがまた現れる。

 

 メルの霧になる能力……正確には、変身する力が使えない。

 それどころか、何の引力なのか、足が地面から離れない。

 

「破壊、崩壊、粉砕、爆砕、壊滅、暴発、爆発爆発爆発爆発爆発爆発!」

 

 女の喧しい言葉の羅列。

 最後の言葉はまるで起きろ起きろと念じるよう。

 そして、言葉通り、しかもメルの足下が、爆砕した。

 

 メルの姿は爆煙で見えず、生存状況は判別できない。

 

 だが、今の爆撃は免れることはできないだろう。

 

 

「メルメル!」「「メルちゃん!」」

 

 

 茂みの奥で見守っていた三人は、一斉に声を上げた。

 

 

 爆煙が薄れていくまで、誰一人体を動かさなかった。

 

 

 




 作者でございます。はい。

 さて、今回は以前の伏線通りのメルちゃん、そして団長の見せ場でした。
 でしたと言ってもまだ決着がついて……ないはずなので、多分まだあります。
 あと、船長のはほぼネタですね。
 ホラー配信で良く見る迷子と逃げ力。
 迷子のやつは少し過剰でしたが……。
 で、結局あの後船長はどこへ行ったのでしょうねぇ?

 もう一つの謎ははあちゃまとアキロゼが見たと言う黒い影ですね。
 動物なのか、はたまた敵陣営の者か、味方陣営の者か、もしくはどちらでもない人か……。
 お楽しみに。

 それではまた次回。
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