歌姫伝承〜ホロの異能大戦ストーリー〜   作:炎駒枸

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28話 後日談的な何か

 

 無事……ではないものが数名おりつつも、全員が事務所まで生還。

 長々となるが、一人一人の状態を記すとこうなる。

 

 そら。

 叫んだ際に、喉に負担を掛けたが、日頃から高音を排出するため大したダメージはなく、元気。

 負傷もなし。

 歌姫に関して物凄く気にしていた。

 

 

 えーちゃん。

 運転以外に特に何もしていないため、超平常。

 日頃の仕事帰りの方が疲労感が高い。

 

 

 ロボ子。

 魔法の受け止めで服の数カ所に損傷がありつつも身体的には異常なし。

 これもロボット故の鋼鉄さ。

 

 

 みこ。

 右肩の怪我と出血で初めは動けなかったが、シオンの回復魔法とちょこの応急処置である程度回復。

 右肩に包帯は巻いているが、ほぼ元通り。

 無くなった人形はまた神様に発注を掛けるらしい……。

 

 

 フブキ。

 いつの間にか手にした魔法は既に使えなくなっていた。

 加えて、使い慣れない魔法の使用の反動で二日ほどはちょっとしたことで体力が限界になってしまう。

 でも、闇因子も精神異常も完全回復済みなので、二日の安静で元通りだった。

 

 

 まつり。

 フブキを連れて帰る際に、フブキに気を遣いすぎて様々な箇所に擦り傷や切り傷があった。

 が、他に外傷はなく、基本は自然回復を待って、目立つ傷には絆創膏を貼っておいた。

 

 

 アキロゼ。

 まつりと同様に擦り傷切り傷が複数。

 しかし、まつりと違って目立った深い傷は無いため、水洗い以外に措置はとらなかった。

 

 

 メル。

 闇因子の空間から離れたことにより、吸血鬼の力が再び剥奪。

 それと同時に疲労感が襲う。

 が、身体的精神的には至って健康。

 

 

 はあと。

 至って元気。

 特に何も無かったからと言って、応急手当などの手伝いをした。

 

 

 あくあ。

 日差しと人混みにやられて目眩などが起きていたが、身体的には平常通り。

 フブキが帽子を持っていなかったことに驚き、残念そうにしていた。

 

 

 シオン。

 魔法の使いすぎで体力の限界が訪れた。

 帰ってすぐに寝たらしい。

 本の奪還完了と全員の無事に安堵して張っていた気が一気に抜けたのだろう。

 

 

 ちょこ。

 体力がやばいと文句を言いつつも、保険医としてしっかりと全員の手当に尽力してくれた。

 そしてその後、丸一日眠ったらしい。

 

 

 あやめ。

 怪我は無かったが、あの鋼鉄紳士に弄ばれたことを気にしていた。

 それと、大車輪は上手く決まったが、それが原因で刀一本に刃こぼれが出来ていることに気を落としていた。

 でも、表向きは元気。

 

 

 スバル。

 持ち前の明るさはずっと保っていた。

 だが、明るさを振り撒きながらも内心では何も出来なかったと自分に落胆していた。

 体力、精神面は健康。

 

 

 おかゆ。

 最後の全力の逃げで体力を消耗し帰宅後即就寝。

 精神崩壊を受けたものの、現在は普段通りで問題点はない。

 怪我はないため、睡眠だけで回復可能。

 

 

 ころね。

 体力には自信のある数少ないホロメンのため、体力は問題なし。

 挫いた足は走ったことで少し悪化したため、数日の安静が必要。

 ただ、本人は自分よりもおかゆの精神状態を心配していた。

 

 

 ミオ。

 至って平常。

 ころねと似て、フブキのことばかり心配していた。

 また、はあととちょこと応急手当を手伝った。

 

 

 ぺこら。

 まつりが偶然連れ帰ったウサギを仲間にしていた。

 ただ、共感覚の使いすぎで脳に少し反動があった。

 と言っても、小さな頭痛だけで一日で治った。

 

 

 るしあ。

 幽体化を駆使していたため怪我一つ無い。

 至って元気なため、るしあもまた手当の手伝いへ。

 

 

 マリン。

 無意識下での魔法の発動と、頑張って走った結果全身に負荷が掛かり疲労困憊。

 年のせいではない。

 怪我等は無い。

 

 

 ノエル。

 甲冑の傷を鍛冶屋に直してもらっていた。

 身体的には多少の痣があれど、痛むことは無かったので自然回復を待った。

 それと、メイスも綺麗に洗っておいた。

 

 

 フレア。

 肩の怪我はみこと同じようにシオンの魔法で治してもらい、その後軽く包帯を巻いて安静に。

 ただ、元気は元気なので色々と激しくない作業等をしていた。

 

 

 このように、皆が皆都合あって結局全ての情報を共有したのは約4日後。

 全員が集うことは敵わなかったため、集まった者達がこれなかった者達にそれぞれ伝達した。

 

 

 

 招集できた人全員が到着して、えーちゃんが切り出す。

 

「まず皆さんに話さなければならないことがあります」

 

 申し訳なさそうに、眼をキリッとさせてえーちゃんが注目を集める。

 全員の視線が集まるが、特にそらとみこ、そしてシオンの視線が強く刺さる。

 

 シオン以外は、一体何を聞かされるのかとそわそわしていた。

 

「世界の歌姫伝説とこの国の五石について」

 

 紡ぎ出された言葉の意味を理解できた人が果たして何人居ただろうか。

 

「歌姫伝説とは、この世界に伝わる伝承のことです」

 

 解説を始めるえーちゃんに釘付けになる一同。

 誰も水を差すこと無く、ただ静かに耳を傾ける。

 

「全ての世界に於いて、一人だけ歌姫と呼ばれる存在がある、と言う伝説です」

「一人だけって言うのは、この地球の一生の中で一人だけって事?」

「いえ、この世界に同時に二人存在しない、と言う意味です」

 

 つまり、今この瞬間に存在したとしてもこの世界に一人だけ、と言うことになる。

 

「歌姫は名前の通り、あらゆる者を魅了する歌声を持ちます。そして、世界の均衡を保つ存在とも言われます」

 

 簡単にいえば、神のような者、と最後に付け加えた。

 

「それがそらちゃん……?」

 

 忍者の言葉を思い出し、みこが恐る恐る尋ねた。

 そらも不安そうに眉を寄せている。

 

「……現在、歌姫の所在は不明ですが、可能性のある者は一部の業界では知れ渡っています」

 

 世界の闇を感じる発言だ。

 しかし、たったそれだけの情報では全くと言っていいほど特定に繋がらない。

 歌が上手い人。

 そんな人探せば幾らでも出てくる。

 

「その中でも、特に有力視されているのが……そら、あなたなの」

 

 そらの目を直視して、現実なのだと、それが真実なのだと訴えかける。

 

「何で……私が……」

 

「……実は、この会社、元々アイドル事業部なんて無かったんです」

 

「「――?」」

 

 全員の思考が停止した。

 

「どういうこと……?」

 

 当然そうなる。

 誰が言ってくれたのか。

 ありがたい。

 口が開けなかったから。

 

「そらがいなければ、ホロライブというチームは存在しなかった、と言うことです」

「そんなのおかしいよ……だって私、一般応募の広告見て応募したんだよ」

 

 あの日あの時、確かに広告を見た。

 たくさんかき集めたその界隈のパンフレットや雑誌、そして応募要項など。

 ポストに投函されていた物の中に確かにあった。

 

「あれは私がこの手で直接投函した、たった一つの募集要項です」

 

 待て待て!

 それこそ意味が分からない。

 

「そら以外にあの募集要項を受け取った人は勿論、オーディションを受けた人はいません」

「……出来レース……って事?」

 

 て事だよな?

 そんな……。

 いや、出来レース自体は別に構わない。

 スカウトとやってることはほぼ同じだから。

 心につっかえるのは、何故スカウトをしなかったのか。

 どうして隠しながらそんな回りくどいやり方を?

 

「このオーディションに覚えはある?」

「これは……私が初めて受けたやつ?」

 

 記憶をたどって、いつ目にした物か、日付がいつか、会社名が何か思い返す。

 行き着いたのは、そらが初めて受けた、緊張のオーディション。

 両親に応援してもらって、夢を目指して、初めの一歩を踏み出した日。

 

「そう。そのオーディション、面接会場に社長がいたの」

「へ、そうなの⁉」

 

 そらの声が珍しく強く響いた。

 今の事実が最も衝撃だったのだろう。

 

「ええ。その時は友人に頼まれての助っ人だったらしいんだけど、そこでそらを見てホロライブの創設を決意したそうです」

「私を見て?」

「そう。そこから即行で設立して、貴女をここに招待したの」

「でも、何でそんな面倒な……」

「それはこのことが知られたくなかったから」

 

 どうして隠蔽したかったのか……聞くのは野暮か。

 

「ねえ、少し話が逸れてるように思うんだけど、これって歌姫の話と関係あるの?」

 

 また一人、誰かが上手く突いてくれた。

 ただのそらの思い出話としか思えない。

 

「歌姫は意図せず人を呼ぶと言われています」

 

 ……。

 誰一人、疑問を抱けなかった。

 そらが、ホロ面全てを集めたといっても過言では無いと、心の底から思っている。

 

「誰もが認める歌声。誰にも絶やせない夢と希望。意図せずに輪の中心となる。その辺りから、そうではないかと推察しています」

「でもじゃあ、何で暗殺が起きるの? 歌姫がいることにメリットはあるけど、デメリットがないよ」

「いや、デメリットはシオンたちにはみえないだけだよ」

 

 素朴な疑問に突然シオンが割り込んで説明する。

 

「歌姫は世界の危機を何度も救った過去がある。もし世界に革命を起こしたい者がいるとすれば、とても邪魔な存在だと思わない?」

 

 なるほどな。

 納得だ。

 この世界には、ホロライブを狙う危険な輩がいる。

 そういうことだな?

 

 誰もが、その恐怖に辿り着く。

 

 

「これから先、塔にいた人たちよりも危険な人たちが襲撃してくるかも知れないって事?」

「そうです」

「その時までには!――シオンが対抗策を練っておくから」

 

 

 数分間、部屋の中はその話で持ちきり。

 その暗い空気が悪影響を及ぼすと考えたのか、微妙なタイミングではあるが、えーちゃんがとある重大発表をした。

 

 

「みなさん。こんな時ではありますが、超重大発表です」

 

 

 一同の視線を一身に集め、資料を一瞥する。

 

 

「――1月24日金曜日、hololive 1st fes.『ノンストップ・ストーリー』の開催が決定しました!」

 

 

 これこそ、晴天の霹靂であった。

 

 




 皆様どうも、作者です。
 これで本当に二章終幕です。

 ここまでのご愛読、感謝いたします。

 さて、そらの歌姫説と将来の暴動を示唆する発言。
 前にも述べた通り、四章でもバトル回があるのでね、それに繋がる……かな?
 分かりませんが。

 で、次章なんですが、こちらも述べた通り4、5期生が登場して、まあ、超えていくか、花が咲いたら終わりでしょうね。
 長く感じるかもしれませんが、多分そんなに長くはないです。
 でも、一箇所、滅茶苦茶本気で描こうと思ってるので、そこは泣いちゃうかも……私だけが。
 つまり他は期待するなよってことですね。

 それではまた次章。
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