歌姫伝承〜ホロの異能大戦ストーリー〜   作:炎駒枸

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第三章 止まらず超えて、花咲いて
29話 棒に当たっても打ち砕く犬


 先日、hololive 1st fes. 『ノンストップ・ストーリー』の開催が決定したが、実はそれ以前からいくつかのライブの開催も決定していた。

 

 ころねのライブ、おかゆのライブ、そしてそらのワンマンライブ。

 

 順序的にはころね、おかゆ、そら、そして恐らく間に色々挟んだ後にノンストップ・ストーリーの開催。

 

 その後には、4期生のデビューも控えているらしい。

 因みに、今回はスカウトなしのオーディションのみで募集を検討中。

 現在、内定は零名。

 だが、応募自体は過去に類を見ない数らしい。

 そのため、4期生のデビューは多少前後する可能性がある。

 

 そんな緊張感漂う中でも、やはり時は止まらない。

 止まらないから、緊張感は増大して、皆の感情を圧迫していく。

 

 怖くないか?

 ライブって。

 

 

 

          *****

 

 

 

 

「じゃあ、またね~」

 

 今日も配信が終了して、席を立ち、大きく伸びをする。

 数日後にライブが控えている。

 配信中は忘れられるのに……いや、ライブのことは忘れてないけど……。

 配信を閉じただけで現実味が一気に増して、精神にダメージが来る。

 メンタルは硬くなく柔らかくなく、な感じだが、悩み的なものはある。

 生き物だから。

 

「……」

 

 色々やるべき事があるのに、少しベッドに転がって虚空を見上げた。

 天井を見るか、空気を見るか。

 頭の中が一瞬だけ空っぽになった。

 

「……」

 

 初ライブ。

 嬉しいけど、嬉しくない。

 正直、誘われたとき、ただ自由に配信をするだけだと思っていたから、こんな大きな形でライブを開催すると知らされた時には驚かされた。

 人見知りなのに、会場を押さえてもらって、人をいっぱい集めてもらって。

 不安だ。

 配信は相手の顔が見えないから良いけど、ライブは対面。

 緊張しないはずがない。

 

「……」

 

 その日、ころねはいつもより早めに寝た。

 

 

 

 翌日。

 おかゆと話をした。

 

 「がんばろうね!」とか「楽しみ!」とかじゃなくて。

 「大丈夫?」とか「緊張してる?」とかじゃなくて。

 

「ぉヵゅはライブ、どう思ってる?」

「ん? そりゃあ楽しみにしてるよ」

 

 悩み相談に似た何か。

 話し始めは何だったか覚えてないが、ころねはあるタイミングでそれを切り出した。

 

「ころさんは何か困ったことでも?」

 

 ころさんは違うの?って言う返し方はしなかった。

 ころねが楽しみにしてないことなどあり得ないと分かっていて聞くなんて、愚かであろう。

 

「ぉヵゅはさ、ダンスレッスンとか、大変じゃない?」

 

 静かに頷いた後、ころねはまた別の質問をした。

 

「大変だね~」

 

 ゆるゆると、おかゆらしい返答。

 おかゆはバカじゃない。

 きっと察したはずだ。

 ころねがライブの事で何か気に掛けていると。

 そして彼女の性格から、それが人見知りに関することだということも。

 

「でも僕はみんなに楽しんでもらうために『頑張る』ことにしたんだよね~」

 

 リスナーのために。

 来てくれる観客のために。

 おかゆは苦手なダンスを頑張って、踊れる姿を見てもらうことにした。

 

「ころさんも、自分がどうあるべきなのか考えて、大変な道か、大変じゃない道を選ぶと良いよ」

 

 お節介じみた台詞を残して、珍しくおかゆは去って行った。

 こんな光景、レア中のレアだ。

 言い回しも何故か少しだけ特殊で。

 

「……」

 

 自分のペースで成長すれば良いんだよ。

 アニメとかでよく見る典型だ。

 

 キミはキミのままでいいんだよ。

 アニメとかでよく見る典型だ。

 

 親友が渇を入れて心が奮い立ち心機一転頑張る。

 アニメとかでよく見る典型だ。

 

 アニメみたいに上手くいくか!

 いや、本当にそうなることもあるさ。

 

 でもさ、どれが正しいかな?

 

 アニメならどれも成功する結果は同じ。

 経過が大事という奴もいるが、これはときとば。

 現在の相談内容に於いては結果が重要。

 

 では、何が言いたいか。

 

 最終選択を自分自身で行い、それに納得し、納得させること。

 

 人見知りを直さずに、今のままで行くのなら、楽だし、構わない。

 人見知りを克服するのなら、大変だけど、構わない。

 少しずつ変えていくなら、時間は掛かるけど、構わない。

 

 それを自分で消化して、リスナーに理解してもらう必要がある。

 

 リスナーに楽しんでもらえて、自分でも納得できるステージを作り上げるために。

 

 おかゆは大変でもダンスを綺麗にする方向性にした。

 運動できなくても可愛いと言われるが、運動できないなりに頑張って作り上げたステージを見て欲しいから。

 

 ならころねは?

 

 人見知りはすぐに直せないが。

 人見知りを克服して、変わった自分を魅せるのか。

 変わらない自分を、今可愛いと言ってもらえるようにこの先も魅せていくのか。

 

 

 ……。

 

 

 いや、これは当たり前の談義だったか。

 

 当然、自分の進化を見届けてもらいたい。

 

 なら何が問題だというのか。

 

「……」

 

 今すぐに変わることは絶対に出来ない。

 これは、絶対なんて無い!と切り捨てれる物ではなく、本当に。

 頑張りたいのに、結果は決まっている。

 結果が決まっていると、俄然やる気が出なくなる。

 すると、この先も変わることがない。

 自分に変化を与えられない。

 

「……」

 

 おかゆの去り際の言葉は?

 『大変な道か、大変じゃない道を選ぶと良いよ』

 これだった。

 

「……」

 

 ころねは知っている。

 おかゆはころねのリスナーだ。

 

「……」

 

 ころねすきーが、どんな「ころさん」でも良いよと、言う。

 

「……」

 

 ……。

 

「……」

 

 

 

 その夜の配信、初めてリスナーにこんな問いかけをした。

 

『ころねのどこが好き?』

 

 聞けば、コメントが早い早い。

 

 凄く嬉しかったのは、頑張り屋なところとか、いつも楽しそうに配信してるところとか。

 凄く驚いたのは、声とか、独特な訛とか。

 

 物凄く、心に響いたのは、『全部!』。

 

 全部を知らないのに、全部なんて、普通に考えて頭おかしいだろ?

 

 裏のころねを知ってる?

 一人の時のころねを知ってる?

 昔のころねを知ってる?

 ころねの好きな物、嫌いな物、得意なこと、苦手なこと、悩んでること、喜んでいること、今感じている事、ついさっきまで感じていたこと、全部知ってる?

 

 その時に、思った。

 

 全部知らないのに、全部という人は、既にころねを好いてくれている人。

 こんな所が好き、こんなとこは嫌い。普通はそれで結構。

 でも、彼ら彼女らは、違う。

 ここを見て好きになった、だから全部好きになれる。

 

 好いてくれる人は、どんなころねでも好きで居てくれる。

 勿論、だから何をしても良いわけじゃない。

 きっと、罪を犯せば批判される。

 でも、きっと、彼らは直感してくれるはずだ。

 ここでライブに関する、自分の選択を口にすれば、それが悩み抜いた結果なのだと。

 『大変な道』であれ『大変じゃない道』であれ、『頑張って』選んだ道なのだと、分かってくれる。

 

 遂に、ころねにも決意が漲った。

 

 コメントの流れが相変わらず早い早い。

 

「ライブ、がんばるでな」

 

 その日から、ライブを楽しみにしている自分が、密かに自分自身を追いかけてきているように感じた。

 

 




 どうも、作者でございます。

 今回は字数も少なく、なんか意味のわからない感じだったかもしれません。
 申し訳ない。
 因みに次回も意味わからんかも。

 でも、次回はずっと言ってためっちゃ時間かけた小ネタ回です。
 頑張って探してくだせえな。
 それでは、また次回。
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