歌姫伝承〜ホロの異能大戦ストーリー〜   作:炎駒枸

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7話 スーパーチャット

 少女は、ネット環境の中でゲームや雑談などをする特殊なアイドルの存在を知った。

 元々ゲームが好きで様々なコンテンツに関する動画を探る中でその存在に出会った。

 ゲーム実況者として生きていくことも楽しいかな?なんて考えて、将来、実際に挑戦してみようと思っていた。

 だが、その存在を見た時、これしかないと確信した。

 将来は自分の生きたいように、出来る限り楽しく生きようと決心したのも遠い昔。でも、その思いは未だに揺らぐ事はない。

 彼女だって女の子、アイドルと言うものに興味はある。

 

 その二つを同時にこなす仕事が、動画配信者としてのアイドルだった。

 しかも、ライブ配信の形をとっているため、視聴者とリアルタイムで言葉をやり取りできる夢のような空間。

 今までの人生に、一度も類を見ない感情が押し寄せて来た。

 今までの人生で見た、どんなものよりも楽しそうで、史上最高に心が弾んだ。

 これしかない!

 輝けなくても、例え高い人気が得られなくても、お金が全く入らずにバイトと両立することになっても、何がなんでも絶対になってみせる。

 誰よりも楽しい人生を送りたい。

 表現こそ綺麗ではない上に語弊があるかもしれないが、最優先は自分自身が充実することだった。

 

 

 

          *****

 

 

 

 そらのエルフの森での初ライブまで残り2週間となったある日、三人目となるホロライブのメンバーが決定した。

 その少女は春の暖かい日差しの下を堂々と歩いて事務所へと出向いた。

 春の日差しを反射する金髪に、色彩が髪とほぼ同じ瞳、口元にはチラと八重歯が姿を覗かせていた。

 服装が何故か周囲より少し大胆で、服や髪飾りは、コウモリの装飾がなされている。

 

 またしても外見だけで個性のある者が会社に仲間入りだ。

 

 初めての顔合わせなので、事務所の会議室にはえーちゃん、そら、ロボ子が集まった。

 そしてそこに新たに仲間入りしたのがーー

 

「今日からお世話になります、夜空メルです」

 と、礼儀正しく頭を下げるこの少女、メルだ。

 

「「よろしく」」

 

 丁寧なお辞儀に軽く手を上げて返事する、既存のメンバー。

 

「彼女は魔界から来た『自称』天才ヴァンパイアだそうです」

「自称じゃないです、周知の事実です」

 

 少し既視感を覚える風景だった。

 以前にも似たような光景があった気もする……。

 

 とまあ、それは置いておいて、

「そらのことは知っているでしょうから紹介は省いて……」

「ちょっと……」

「こちらがロボ子さんです」

 

 そらの割り込みを無視してえーちゃんが進行する。

 そらは諦めて浮かした腰を下げる。

 

「はろーぼー、よろしく」

「よろしくお願いします」

 

 ロボ子の陽気な挨拶にも丁寧に応じる。

 それを見兼ねてえーちゃんが、

 

「二人とも少しデビューが早かったけど、ほぼ同期みたいなものだし、折角のアイドル仲間なんだから先輩後輩は気にしなくてもいいですよ」

 と、二人の了承を得ずに許可した。

 

「もう、それはせめて私に言わせてよ」

 

 案の定、そらが鋭く反応した。

 二人目の仲間という事でしっかり会話して交友関係を深めたいのだろう。

 

「それにしても……ヴァンパイアってことはやっぱり、血を吸ったりするの?」

 

 そらが好奇心でそんな質問をする。

 本物の吸血鬼を見るのが初めてだが、一見蝙蝠の装飾以外では特徴が見受けられない。

 だから性質的特徴を目の当たりにしてみたいと思った。

 

「吸いたかったらえーちゃんが吸わせてくれるよ」

 

 さっきの仕返しとばかりにくすくすと笑いながら言う。

 

「ええ、私は別にいいですよ」

「えっ!」

 

 まさかの肯定にそらがギョッと目を剥く。

 えーちゃんの表情は真剣そのもので嘘ではなく本気で承諾していた。

 ロボ子には血の概念がないので正直この話には興味がなさそうだ。

 

「いや実はメル……血とかは、見るのもダメで……」

「「ヴァンパイアなのに⁉︎」」

 

 シンクロ率100%でロボ子とそらが叫ぶ。

 先程まで無関心だったロボ子までもが反応するレアケース。

 だが、えーちゃんは一切の反応を見せず淡々と流れを監視している。

 

「……で、でも、アセロラジュースなら大好きだからいくらでも飲めるよ?」

「いや赤いだけじゃん!」

 

 まるで模範的な解答で場を進めるそら。

 話好きとは言っても絶妙な返答は得意ではないのかもしれない。

 

「あー、でもボクもロボットだけど油とかは嫌いかなー……ギトギトするし」

 

 意外にも共通点のような部分を見つけ、ロボ子は少しばかり嬉しそうだ。

 

「……どうりでえーちゃんが断らないわけだ」

 

 そらは勝手にえーちゃんの対応の理由を理解してガッカリする。

 予習済みならたしかにあの反応でも不思議はない。

 えーちゃんは「残念」とばかりに眼鏡を上げた。

 そのドヤ顔にそらは歯軋りする。

 

「じゃあじゃあメルちゃん、今日は凄くいい天気だったけど太陽は大丈夫なの?」

 

 そらは、今度は逆に欠点にスポットを当てて会話を進行させた。

 見たところ灰になった部位もなければ太陽光カットの傘も所持していない。

 それどころか服装が大胆すぎて日光に直接当たる部分が多い。

 もしかして自称は天才だけでなく、ヴァンパイアもなのか?とさえも思える。まあ、まだ天才が自称とは決まっていないが。

 因みにロボ子の高性能は本当に自称だった。

 

「うん、吸血鬼はある程度の年齢まで成長したら日光や十字架に耐性ができるから」

 

 ふふん、と誇らしげに鼻を鳴らす。

 果たしてそれは彼女が自慢できることなのか……。

 

「ある程度って何歳くらい?」

 

 ロボ子がデリカシーの欠片もない質問を唐突にぶち込む。

 

「うっ…………それは、企業秘密で……」

「何の企業?」

「……ホロライブ?」

「ボクたちもホロライブのメンバーだから問題ないと思うけど?」

「うぅ……」

 

 ロボ子の圧倒的な口撃力に次第に体が小さくなっていくメル。

 居た堪れなくなったそらが、

「ま、まあまあロボ子さん、年齢についてはきっと魔界関係で何かあるんですよ」

 とテキトーに援護した。

 

「ふーん……まあいいけど」

 

 ロボ子もようやく身を引いて、僅かな静寂がおきた。

 

「はい、それじゃあ顔合わせはここまで、メルさんは明後日の配信に向けて準備を、2人は今日の配信とか考えてる?」

 

 えーちゃんが一区切りついたこのタイミングで注目を集め場を仕切る。

 一言で全員を持ち場に戻した。

 とは言っても、えーちゃんとメルはまだその場に残っている。

 

「メルさんも三人目のメンバーとして頑張ってください」

「はい」

「同期に関して、現在検討中ですので……」

「え、同期?」

 

 思いがけない発言に刹那ほど遅れて視線を向ける。

 メガネ越しにえーちゃんの瞳が映った。

 

「まだ検討中ですが、このまま進めばメルさんもこの先デビューする方々と一緒に『一期生』として活動してもらうかもしれません」

「へぇー、そうなんですね」

「そうなんですよ」

 

 メルが虚を突かれ、振り絞ったセリフに冗談めかしく反応したえーちゃん。

 その言葉のやり取りが妙に面白くて、互いにくすくすと笑った。

 

「……そのメンバーって、やっぱりもう決まってますか?」

「勿論。一癖も二癖もある個性豊かすぎるチームになると思いますよ」

「うへぇー」

「メルさんもその中の一人になるかもしれませんからね」

「メルは別に普通ですよ」

「ここに普通の人は入れませんって」

 

 特に深い意味の無い言葉だが、意味深発言に思えた。

 実の所、本当に癖が強いメンバー構成となっていくわけで、一期生が全員入ったとしても、最も真面だと言えるのはそらになるだろう。

 トップバッターとしてホロライブに加入し、活動を始めたそらが基準と感じるからだろうか?

 それとも本当に普通なのか?

 まあ、どちらにせよ社長の人選は絶妙すぎると言うことだ。

 豊満な個性が蔓延る会社になった時、きっとこの会社は恐ろしいほどに混沌とするだろう。

 が、それこそがこの会社の考え。

 この先この会社がどんな成長を遂げるのか、メンバーに社員、ファンたちは非常に興味があるだろう。

 そして会社が成長するのも、きっとそう遠くはない話だ。

 

 

 

 

          *****

 

 

 

 

 何度も似た場面が続くようだが、またしても集会だ。

 

「メルちゃんの配信見たよ! 可愛かったし、なんだかちょっと色気があって素敵だった!」

「ありがとう」

 

 メルが配信活動を始めてはや1週間。

 そらが視聴した時の感想を本人に直接聞かせている。

 

「えー、そらちゃんボクの配信に関してはそんなに褒めてくれなかったのに」

 

 そらの称賛に、感情のこもっていない冗談めかしい嫉妬の声が聴こえる。

 

「ムービーがカッコよかったって言ったよ」

「でも配信に関してのコメントもらってないしー」

 

 理由もなく感情もなく拗ねる。

 変にいじけてそらをからかっているのだ。

 

「だってムービーとイメージが全然違うんだもん、カッコよかったって褒めた次の日に可愛かったって言ったらなんかテキトーっぽいじゃん」

 

 そらは純粋に本心を伝えているようだが。

 

「あ、メルも思った。ロボ子ちゃんのムービー見た後最新の配信見た時はギャップにビックリしたよ」

 

 メルもここはそらに乗っかる。

 メルはこの1週間の間に、この会社を知るためにそらとロボ子のアーカイブを幾つか視聴していたのだ。

 

「平然と雑談してるけど、一応これから一期生のメンバーとの顔合わせなんだから、忘れないでよ?」

 

 杞憂だと知りながらも、何となく危うい空気を感じたえーちゃんが念を押して発言した。

 三人も分かってると言うが、一向に雑談が止まないあたり本当に分かっているのか怪しい……。

 一分ほどで説得を諦め、一期生が待機している部屋へとえーちゃんは様子を見に退室した。

 

「それにしても一期生かぁ……今日で一気に4人でしょ?」

「そうだね、その中にメルも加わるらしいから楽しみだなー」

「でも、メルメル達が一期生になったら、ボクたちはどうなるんだろうね?」

 

 えーちゃんの退室後も会話は弾んでいく。

 特にスポットが当てられるのは、やはり今日話題の一期生。

 顔も名前も知らない新たな仲間。

 やはり後輩ができると言うのは何度まであっても嬉しいし、非常に期待が高まる。

 メルからすれば、後輩の類には含まれないわけだが、同期として活動できる利点や期待は大きい。

 

 室内は静かなので普段声が大きくない三人でも、よく声が通る。

 その声はきっと扉の前まで来た者全員に聞こえているだろう。

 そわそわと落ち着かない気持ちを雑談で紛らせていたが、それももう終わり。

 えーちゃんが先導し、4人がその後ろについて入室してきた。

 それぞれが席の前に立つ。

 

「それじゃあ、順に自己紹介をお願いします」

 

 えーちゃんが自分から向かって左手に位置する1人を示して促した。

 全員の視線が集まる。

 

「はい、ホロライブ一期生の『白上フブキ』です! よろしきゅっーー!」

 

 活気に満ち溢れた表情と声音で名乗り、最後に挨拶を……と思いきや、まさかここで噛んでしまう。

 その事にフブキは赤面し言葉が一時中断された。

 赤く染まった顔を見つめる一同。

 だが、そらだけは他とは異なる感情を持っていた。

 

「よ、よろしくお願いします……あ、私、狐です……」

 

 最終的にそう言い直し、頭から湯気が出そうな顔色と表情で静かに席に座った。

 

「じゃあ次」

 

 何事もなかったかのように進行する。

 

「はい、ホロライブ一期生の『夏色まつり』です、動画配信とかが好きでここに来ました、よろしくお願いします」

 

 模範のように淡々と自己紹介を済ませる。

 身長の低い茶髪の高校生だ。

 

「次」

「はいーーすぅーーはあちゃまっちゃま~、ホロライブ一期生、はあちゃまこと『赤井はあと』よ、よろしくね」

 

 謎に高いテンションの挨拶に始まり、まるでお嬢様のような口調で自己紹介をしたのは、金髪や服に赤い糸を巻いた少女。

 新しいファッションだろうか?

 

「次」

「はい、アローナー、ホロライブ一期生、アキロゼこと『アキ・ローゼンタール』でーす。あ、それと私、異世界出身のハーフエルフです、よろしく」

 

 周りとは少し浮いた空間に存在する雰囲気を放つのは、この少女。

 またしても金髪で、その金髪はどう言う仕組みか一部が途切れて浮いている。

 顔立ちも僅かにだが『一般人』とは異なる。

 勿論、比較対象が一般人だと目立って見えるだけで、この会社内では特に目立つことはない。

 この会社は、言ってしまえば変人の集まりだ。

 齟齬が発生しないよう足しておくと変人と言っても変態の意味ではない。

 

「とまあ、今日からこの会社で一期生として活動してもらう4人です」

 

 本当に冷静に、何事もないように話を進める。

 えーちゃんには耐性があるのかもしれない。

 この先どんな異常者達が加入しても、きっとえーちゃんのこの性格や反応に変わりはないだろう。

 

 えーちゃんの言葉を機に3人も改めて自己紹介し、解散となったが、長い間誰一人として退室しなかった。

 

 その中でも一際目立ったのはやはりーー

「……フブキちゃんって、この前会ったフブキちゃんだよね?」

「はい、覚えててくれたんですね!」

「そりゃあもちろん! あの時すごく嬉しかったんだから」

 

 この二人の会話だ。

 以前、偶然にも出会ったそらとフブキ。

 ほんの少しの時間でも、そらはフブキのことを決して忘れない。

 直接的にファンから応援をもらったのが、あの時初めてだったから。

 

「今日から同じ会社のアイドルだから、硬くならずに話してね、みんなも」

 

 そらは笑顔で訴えかけた。

 自分が最も先輩だ。

 そして二人の後輩を持って思った。

 先輩も悪くないが、みんながみんな畏まった態度を取るとなんだか仲良く見えない。

 是非とも全員と仲良くなりたいそらとしては、それは歓迎できない。

 やはりこの先輩後輩の関係が色濃く残るのは職業上困る。

 

「それから、まだわからないけど、もしこの先に後輩ができたら、その時もみんな気軽に接するように呼びかけてあげよう?」

 

 そらの提案に満場一致で賛成だった。

 とはいえ、一部の人が先輩などの敬称をつけることはあるので、それは性格や個性の一つとして見ることとする。

 

 やがて一期生は、明日の初配信や一期生の発表のための準備へと向かった。

 

 

 

 

 そして、その初配信は全員大成功を収めたのだが、一人疑問を抱える少女がいた。

 それが茶髪の小柄な少女、夏色まつりだった。

 

「あのさ、なんか色の付いたコメントがあってそこに¥1000とか書いてあったんだけど、あれってどう言うこと?」

 

 初配信の翌日、会社に来ていた同期のフブキに相談した。

 

「え? どう言うって……スパチャもらったんじゃないの?」

 

 常識とさえ言える事への質問に、逆に何を聞かれているのか分からず困惑するフブキ。

 が、まつりも同様に困惑していた。

 

「その、スパチャってなに?」

「……」

 

 フブキの中で時間が停止した。

 

「……えっ、まつりちゃん……ウソでしょ?」

 

 動き始めた途端にフブキの顔色が変わり、それを見るまつりの目からそれが嘘偽りのない疑問であると理解した。

 

「ホントにスパチャ知らないの⁉︎」

 

 驚愕に身体を震わせてまつりと視線を合わせる。

 

「だから知らないって、何なのスパチャって」

 

 呆れを通り越して愕然とするフブキの様子にまつりは若干焦る。

 変な性格はしているが、常識はあると思っていた。だが実際のところそうではないらしい。

 

「でも、この前スパチャの収益の一部はこの会社やサイト運営会社に送られるとか説明受けたじゃん、そん時は何も感じなかったの?」

「いや、知らない言葉が出てきたなーとは思ったけど、給料の一部が削られるって話かと思って聞いてた」

「いや、解釈は間違ってないけど……」

 

 そう呟いてフブキは説明方法を思案する。

 正直、一般常識レベルと化した言葉を説明するのは却って難しい。

 

「スパチャっていうのはスーパーチャットの略称で、まつりちゃんが貰ったように色がつくの」

 

 フブキの説明にうんうんと頷き理解しようと試みるまつり。

 

「で、まあ、お金を配信者に渡す事でスパチャができるんだけど、これが使用されるのは、単純に視聴者が配信者を応援したい時とか、自分のコメントを拾って欲しい時とか、あとお祝いしたい時とかかな」

「ホントに? それじゃあまつりがもらった¥1000とか¥610とかは知らない視聴者さんから貰ったって事?」

「うん、まあそうなるね」

 

 まるで幼児に新たな知識を与えている感覚を覚える。

 これを知らずにこの業界に足を踏み入れるとは……。

 

「アキちゃんの思い込みならまだ分かるけど……スパチャを知らないのはビックリ」

 と、何気に部外者のエピソードまで挟んでくる。

 因みにこの思い込みというのは、アキロゼがスマホだけで動画配信できると思っていた事だ。

 

 動画配信者の多くは楽しくてやっていると本心から思いつつも、やはりスパチャが自分の利益になり、多少の生活の支えとなる以上、それが欲しいとはほんの僅かにでも思っているだろう。

 決して他の配信者がそうでないと言うわけではないが、まつりは本当に根っから純粋で、自分の愉しみを目当てにこの会社に入ったことがわかる。

 齟齬防止のためにもう一度言っておくが、当然他の配信者達もまつりと思いはほぼ同じだ。

 だが、知っているか知らないかだけで、ここまで印象が変わってくる。

 

「……なんでまつりにスパチャするんだろ?」

「……? 可愛いし、配信が楽しいから、応援したかったんじゃない?」

「……そうなんだろうけど……」

 

 スパチャの意味を知ると、今度は新たな疑問が生まれたようだ。

 しかも配信者としては特殊も特殊な悩み。

 

「まつりは配信してるだけで楽しかったし、お給料もきっとこの先ちゃんと貰えるだろうし、何も困ってないのに……なんか罪悪感が湧いてくる」

 

 珍しい相談にフブキも頭を悩ませた。

 スパチャに関して、そんなに深く考えたことがなかったが、たしかに視聴者側は簡単に投げてくるが、それを受け取る側は簡単ではない。

 果たして自分が受け取るに相応しいのか、考え始めるとキリがないのかもしれない。

 

「それじゃあそれに答えられるくらいおっきくならないとね」

「おっきくか……」

「人それぞれで解釈は違うけど、私だったら無難にみんなを楽しませるとか、皆の要望に応えて配信内容を変えて見るとかね」

「そんなこと言いながらフブキちゃんも昨日は大変だったよね」

「ああーーー、やめてーーーー、いーわーなーいーでー」

 まつりは最後、お礼の代わりにそんな悪戯を仕掛けた。

 フブキが頭の白い耳を両手で押さえて声を遮断する。

 見た目以上に気にしていたようだ。

 

「ありがとフブキちゃん。まつりも今はそんな感じのしか浮かばないからその案貰っとく」

「いいよいいよ、一緒に頑張ろ」

「うん、今度コラボとかもしようね」

「うん」

 

 これにて、まつりのスパチャ研修は終わった。

 

 

 そして、そらの初めて舞台が着実に近づいて来るのだった。

 

 

 




 本日も読んでいただき、誠に有り難うございます。
 どうも作者でございます。

 一期生全員は登場して加入したものの、2名ほどセリフが足りなさすぎました。
 アキロゼ推しさんとはあちゃま推しさん、どうか許してください。
 それと、まつりさんの話ですが、捏造か超誇張表現ですのであまりお気になさらずに……。

 さーて、次は遂にエルフの森での初ライブです。
 エルフの森……何やら匂いますね。
 あの二人が……出せるといいな。

 あー、それに二期生にゲーマーズに三期生に四期生に……。
 はぁ……頑張ります!

 それでは、ありがとうございました。
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