俺の霊圧は消えない   作:ディアブロー

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主人公、黒崎一護の親友なのに、ベジータ、ピッコロ、クリリンにはなれずにヤムチャ化してしまったチャド。

霊圧が消える男に転生ものです。


チャドと尸魂界(ソウル・ソサエティ)
チャドが霊圧を消した……だと!?


 

 

 女物の派手な着物を羽織り、無精髭を生やし、長い髪を一つに束ねて簪で留め、笠を被り、草履を素足履きし、女物の派手な長い帯を袴の帯に使っていたりと、やたらと特徴のある外見をしているがナイスミドルな男が、まだ年若き()()()と戦っている。

 

 だが、その戦いは素手と刀……高校生が素手で、ナイスミドルな男が刀を持っており、普通に考えたら高校生が危険な殺人鬼に遭遇してしまった状況だ。

 

「参ったねェ……君、強いね。

 今ので終わりにするつもりだったんだけど」

 

 もっとも、素手で戦っている高校生は、本当に素手なのかと聞かれたら、ただの素手とは言い難い。

 

 2m近い大柄な体格の高校生。だが、人間のものとは思えぬ異形な腕だ。髑髏の様な模様が入った黒を基調とした巨大な盾のように変化した右腕と、肩付近が尖った形状をしているが右腕に比べてシンプルな白い左腕。

 

「俺の霊圧はそう簡単には消えない」

 

 浅黒い己の皮膚を媒介としたその力は、刀を容易に防ぐ硬度を誇っている。

 

 高校生だが、高校生には見えない大人びた風貌の男──彼の名は、茶渡泰虎。

 

 またの名を、"霊圧が消える男"。

 

「僕もそれなりに本気を出さないといけないかな」

 

 その茶渡泰虎は脱・霊圧が消える男を目指し、強者へと挑むのである。

 

 

 

 

 

 ▪️▪️▪️▪️

 

 

 

 

 

 ある日……中学生の俺がダンプカーに轢かれた日のことだ。

 

 それまで、オートバイに正面衝突されようと大した傷を負ったことがなかった俺だが、さすがの俺もダンプカーが相手では無傷とはいかなかった。打撲傷程度だったが、怪我の具合についてはどうでもいいだろう。

 

 重要なのは、俺がダンプカーに轢かれた瞬間に、とある記憶が甦ったことである。

 

 それは俺が……茶渡泰虎という人物がどのような人物なのか……近い将来、どのような試練が茶渡泰虎に振りかかるのか……俺はそこで初めて、茶渡泰虎に()()していたことを知った。正確には、思い出したとでもいうべきだろう──()()()()()とやらを。

 

 この世界が、"BLEACH"という死神を題材とした物語で、茶渡泰虎がその物語の登場人物あることも、この物語の主人公の親友であることも、そして……茶渡泰虎が主人公の親友なのに噛ませ犬ポジションであることも全て思い出してしまった。

 

 ダンプカーに轢かれ、数日後に目が覚めた俺は、生きていることに対する喜び以上に、茶渡泰虎に転生していたという悲しみに暮れた。しかも、目が覚めた翌日に物語の主人公である親友の黒崎一護が見舞いにやって来たのがより拍車をかけた。悲しみの度合いはかなりのものだ。もう絶望の領域である。

 

 雑魚狩り担当という噛ませ犬となり、何故かとてつもなく強い敵と戦わなければいけなくなるという不運の連続。

 

 俺が今現在進行形で戦っている"護挺十三隊"八番隊隊長・京楽春水という後の()()()もとてつもなく強い敵だ。もしかしなくても、現時点では主人公(黒崎一護)が戦っているであろう戦闘狂よりも強い。

 

 何をどうしようとも、茶渡泰虎の霊圧は消えてしまう。これも、決して乗り越えることなどできない試練の一つ……無理ゲーというものだ。

 

 だが、俺は前世の記憶を取り戻し、茶渡泰虎に転生したことを知ってからまったく何もしなかったわけではない。正確には何もしなかったに等しいかもしれないが…。神様頼み的な運任せの行動だ。

 

 俺がとった行動は、霊感がとてつもなく強く、その身に強大な力を宿した黒崎一護のそばになるべく多く、長くいて共に行動し影響を与えられ、この物語のヒロインに向けて己の願望を強く願うこと…。ただそれだけ。

 

 ただそれが、茶渡泰虎に転生した俺の霊圧が消えない為の唯一の方法だった。

 

「その右腕の盾……"鬼道"を()()()()()んだね。まさか六十番台の鬼道を跳ね返せるとは思いもしてなかったよ」

 

 まるで、七つ揃うと願い事を何でも叶えてくれる不思議な玉に願い事をするかの如く、俺はこの物語のヒロインにとにかく願った。

 

 知らぬ内に体内に無許可で異物(願い玉)混入されていたヒロインに向かってとにかく願った。

 

 消えない霊圧が欲しい──と。

 

 

巨人の逆襲(コントラアタカル・デ・ヒガンテ)

 

 

 贅沢を望んだつもりはない。

 

 とにかく、勝ったと思った矢先にとてつもなく強い新たな敵が目の前に現れて霊圧が消えてしまうという茶渡泰虎の身に起きる負の連鎖から解放されたかっただけなのだ。

 

 とりあえず、霊圧が消えない=俺が知る茶渡泰虎よりも強い……そのようになることを望んだ。

 

 その結果、茶渡泰虎に転生した俺の腕は真の力をすでに解放したのである。それと、棚からぼたもちというべきか、新しい能力を得ることもできた。

 

 八番隊隊長・京楽春水の鬼道を跳ね返したのも、右腕の盾"巨人の右腕(ブラソ・デレチャ・デ・ヒガンテ)"が得た新しい能力である。自分よりも遥かに強い相手の技を跳ね返せるかは一か八かの賭けだったが、上手くいって何よりだ。

 

 だが、霊圧も増し、新しい能力も得ることができたが、それだけで未来の総隊長に勝つことができるか──答えは否。無理だ。勝てるはずなどない。

 

 俺は簡単に命をかけたりなどしない。

 

「とりあえず逃げるとしよう」

 

「ん?」

 

 俺が願い事をして"機動力"も得たのである。

 

 俺が知る茶渡泰虎は機動力がまったくない典型的なパワータイプ。贅沢は望んだつもりはないが、霊圧が消えないことに次いでそれは望ませてもらった。

 

 

悪魔の飛翔(ボラドール・デ・ディアブロ)

 

 

 左肩付近から生えた翼。俺は飛んで逃げる。

 

「おお!?

 ちょ、ちょっとちょっと!翼まで生えちゃって本当に人間かい!?」

 

「茶渡泰虎だ。

 さらばだ…京楽春水」

 

 機動力がまったくなかった茶渡泰虎が得た悪魔の翼。人間離れしていっているのは、霊圧が消えてしまう負の連鎖から解放された代償か…。

 

 代償とはいっても、空を翔べる気持ち良さを知った今となってはまったく気にしてはいない。

 

 とにかく、俺はここから逃げる。

 

 そして、人気のない場所に降り立ったら……自ら霊圧を消して、一先ず身を隠そうと思う。

 

 






霊圧が消える男チャドに転生したオリ主。

そのオリ主が脱・霊圧が消える男を目指してやったことは、黒崎一護からより強い影響を受けることと、BLEACHのヒロイン(ルキア)の内に封印されたチートアイテムにとにかく願い続けること。

その結果、尸魂界篇ですでに両腕の真の力が解放され、翼まで得て翔べるようになり機動力が増したチャド。

最初に霊圧が消えるVS京楽戦にて、飛んで逃げて自ら霊圧を消して、脱・霊圧が消える男の道を歩み始めた!!

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