俺の霊圧は消えない   作:ディアブロー

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覚醒したチャドは、恋次くらいの強さだった?



チャドが護る……だと!?

 

 

 場所は"懺罪宮"。

 

 黒崎一護がついに──朽木ルキアのもとに到着した。

 

「助けに来たぜ、ルキア」

 

 満身創痍の状態でありながら、チャドと夜一の制止を振り切ってまでここまでやって来た黒崎一護の執念は大したものである。ただ、その執念は確かに大したものだが、十一番隊隊長・更木剣八との死闘の傷が癒えぬなか、寧ろ傷が開いてしまっている状態でこの場所にやって来るとはあまりにも無謀。

 

 懺罪宮には今、朽木ルキアの直属の上官である十三番隊隊長・浮竹十四郎と、一護にとっては宿敵でもある六番隊隊長・朽木白哉がいる。

 

 朽木ルキアとの再会も束の間……懺罪宮の橋の上にて、朽木白哉との戦いが幕を開けようとしていた。

 

「心配すんな…ルキア。

 これでも少しは強くなったんだ。死にゃしねえよ」

 

 黒崎一護は、心配な表情を向ける朽木ルキアにそう告げる。隊長が2人いるこの状況でも、絶対に死なないのだと……いや、寧ろ自分に言い聞かせているのかもしれない。ここで死ぬわけにはいかないと…。絶対に勝って、朽木ルキアを助け出すと…。黒崎一護は己の魂に誓うのだ。

 

 とはいえ、朽木ルキアの直属の上官である浮竹十四郎に関しては、隊長とはいえ黒崎一護側からしたら脅威とは言い難い死神のようだ。夜一曰く、浮竹十四郎は義理堅い男とのことで、彼らが賊とはいえ、部下の朽木ルキアを助けに来た者達を牢に入れこそすれ、殺すことはないだろうとのことだ。寧ろ、内容次第では手を組める可能性もあるとのことだ。

 

 問題は、やはり──朽木白哉である。

 

「せっかく拾った命を捨てに来るとは…愚かな小僧だ」

 

 黒崎一護が懺罪宮に到着すると、先に到着していた志波岩鷲は朽木白哉によって深い傷を負わされていた。

 

 そして、朽木白哉の凶刃が()()黒崎一護に迫っている。

 

 黒崎一護が朽木ルキアから譲渡された死神の力を奪い去ったのはこの朽木白哉で、2人には浅からぬ因縁があり、黒崎一護にとってはリターンマッチのようなもの。

 

「!」

 

「へッ、今度はちゃんと見えてるぜ……朽木白哉」

 

 死神の高等歩法"瞬歩"。その瞬歩に回転をかけることで発展させた特殊な瞬歩"閃花"。

 

 この技は、黒崎一護が朽木白哉との一度目の戦いで、為す術なく背後から貫かれたものだ。

 

 しかし、短期間で急激に成長し、護挺十三隊の三席、副隊長、隊長と次々に撃破した黒崎一護が、同じ技を食らうことはない。朽木白哉の姿をその瞳にしっかりと捉え、背後からの刺突を斬魄刀"斬月"で見事に防いでいる。

 

「この短期間でここまで成長するとは末恐ろしい。

 だがそれでも、私と貴様の間には決して埋めようのない力の差がある。

 貴様がその力に自惚れる前に、天と地ほどもある力の差を見せておいてやろう」

 

 だからといって、黒崎一護が朽木白哉を圧倒しているというわけではない。まだ朽木白哉は力の底を見せておらず、斬魄刀を解放すらしていないのだ。

 

『散れ』

 

 刀を真上に向けて構えた朽木白哉は、冷徹な瞳を黒崎一護に向けながら"解号"を口にする。

 

 すると、刀身が目に見えないほど無数の刃に分裂した。

 

 この無数の刃が光に当たり、桜の花弁のように見える。それはまさに、散り行く桜。

 

 

千本桜

 

 

 美しくも冷酷な桜が血に染まろうと…。

 

 

 

 

 

 ▪️▪️▪️▪️

 

 

 

 

 

「チャド、おぬしは京楽と戦って隊長の力を理解したじゃろうが、京楽は斬魄刀を解放しなかったじゃろう?」

 

 先走った一護を回収するべく、懺罪宮へと急いで向かう俺と夜一さん。

 

 そんな状況のなか、俺の腕の中の夜一さんがそう尋ねてきたのだが、何やら嫌な予感がする。

 

「いい機会じゃ。

 相手は白哉坊じゃが、隊長の斬魄刀解放を経験してこい」

 

 とてつもない無茶振りをされてしまった。さっきと言っていることが違うのだが…。猫は気紛れだから急に気が変わったのだろうか…。

 

 せっかく霊圧が消えなかったのに、俺の行動は霊圧が消えるフラグを常に立てるということなのだろうか…。一難去ってまた一難どころではない。運命が俺の霊圧を消しに来ている。

 

 そんな邪悪な足音が聴こえる気がする。

 

「安心しろ。ヤバくなったら儂が必ず助けてやる。

 それから──頑張ったら()()()()()()を与えよう」

 

 俄然、ヤル気が漲ってきた。今なら何だってできるような気がする。寧ろ、一護にかわって俺が『一瞬で終わらせる』と口にしそうな勢いだ。

 

 俺の腕の中で妖艶な笑みを浮かべている夜一さんは、とんでもなく年上なのに小悪魔という言葉が似合ってしまう。我ながら単純だと思ってしまうが、更なる極楽の為に俺こと茶渡泰虎は頑張ります。

 

 そして固く、強く誓います。

 

 俺の魂に。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 黒い片翼の悪魔が懺罪宮に舞い降りた。

 

 

守護悪魔(ディアブロ・グアラディアン)

 

 

 六番隊隊長・朽木白哉が斬魄刀を解放し、"始解"千本桜による目に見えぬ刃が黒崎一護に迫るも、巨大な黒い片翼が彼を包み込んで窮地から救う。

 

「チャ…チャド…」

 

「間一髪だな、一護。

 間に合って良かった」

 

 ホッと一息吐くのは、巨大な黒翼の持ち主──茶渡泰虎。

 

 黒崎一護の親友で、これまで幾度も互いに背中を預け戦ってきた戦友でもある。その戦友は尸魂界(ソウル・ソサエティ)でも変わることなく、黒崎一護を窮地から救い出した。

 

「お、お前…その翼…」

 

「む、これか?

 気付いたらいつの間にかな…。この翼は飛ぶだけではなく、防御力も高いらしい。()()()()()()()なら余裕のようだな」

 

 そして然り気無く、朽木白哉など大したことないとチャドは煽る。これは所謂、フラグというやつだ。

 

 ただ、チャドの黒い片翼が防御力が高いのは確かで、朽木白哉の始解の攻撃力が彼の想定よりも低く、傷一つ負っていないのは事実。それ故の余裕だろう。

 

 黒崎一護を回収にやって来た場所に、目的の人物である朽木ルキアがいることを確認すると安堵の笑みを浮かべながら一言声をかける余裕まである。

 

「朽木、助けに来たぞ。

(俺の声が届いているか"崩玉"。どうにかここまでやって来たぞ。まずは礼を言わせてくれ。俺の願いを叶えてくれて、どうもありがとう。 そして、俺はまた君にお願いする。

 どうか──俺に(霊圧)を!!)」

 

「チャ、チャド…お前まで…」

 

 もちろん、朽木ルキアは驚いているが……チャドが内心で朽木ルキアではない、彼女本人すら知らない彼女の内に封印された"崩玉"という代物に話しかけていることなど知るはずがない。それは、黒崎一護を含む全ての者達も同じだが…。

 

 とはいえ、悠長に再会を喜びあっている状況でも、チャドがゆっくりと目的を果たしている余裕もない。朽木白哉はチャドの行動が気に入らないのか、今度は斬魄刀による攻撃ではなく死神の霊術"鬼道"にて追撃。

 

『破道の七十三・双蓮蒼火墜』

 

 しかも問答無用で上級鬼道を放ってくるという怒りの形相だ。詠唱を唱えて放つ鬼道には、詠唱を省き発動するという高等技術"詠唱破棄"という技法がある。本来なら、詠唱破棄は詠唱を唱えた鬼道には威力が劣ってしまうのだが、さすがは隊長……詠唱破棄の鬼道も威力は絶大。

 

「ッ──(詠唱破棄でこの威力!?兄様は本気で一護とチャドを殺すつもりだ!!)

 一護!チャド!逃げろ!!」

 

 強力な蒼い炎がチャドと黒崎一護へと襲いかかる。

 

「な、何だよこれ!?」

 

 これほどの威力の鬼道は初めて体験するからなのか、黒崎一護は驚きを隠せずにいる。何より、彼にはこの鬼道を防ぐ有効な手立てがまだない。正確には、一つだけあるようだがまだ自由自在に狙って放つことができないようだ。

 

 そうなってくると、対応するのは自然とチャドになるわけで…。

 

 

悪魔の息吹(アリエント・デ・ディアブロ)

 

 

 チャドが黒い片翼を一振りすると、瞬く間に蒼い炎が打ち消されてしまった。それはもう、蝋燭の火を手で扇いで消したかのような至極簡単な行動だった。

 

「何…だと…?」

 

 隊長が放った上級鬼道を簡単に打ち消す人間。さすがの朽木白哉も驚かずにはいられない。

 

「次はこちらの番だ」

 

 すると今度は、チャドは何気ない表情のまま、左手の指先から霊圧の弾のようなものを朽木白哉に向けて放った。

 

 "悪魔の左腕(ブラソ・イスキエルダ・デル・ディアブロ)"から放たれる中距離攻撃。彼の記憶にある茶渡泰虎という男は典型的なパワータイプで、このような攻撃をするところを見せたことがなかったはずだが、この茶渡泰虎は違う。

 

 霊圧が消えない為ならば何だってする。

 

 

悪魔の弾丸(バラ・デ・ディアブロ)

 

 

「貴様…」

 

 朽木白哉の頬を掠った弾丸……頬から一筋の血が滴り落ちた。

 

 始解を防がれただけではなく、黒い片翼を一振りしただけで上級鬼道を打ち消され、それだけではなく反撃されようとは…。朽木白哉にとって想定外の事態。

 

 それに、チャドは黒崎一護を護って戦っている。チャドが黒崎一護を護りながら戦うなど、これまでありえなかったことだ。これもきっと、チャドの願い事のおかげなのか…。

 

()()()()()()する貴様のその霊圧…なるほど、貴様達人間の中で、最も強いのは貴様か…」

 

「そんなことはない。

(え…隊長格に匹敵する霊圧?俺の霊圧が?

 確か今の一護の霊圧が隊長クラスに匹敵してたんじゃ…俺…一護超えてるの?…何…だと…!?)」

 

 朽木白哉の言葉にチャドは戦慄する。今現在、自分の霊圧がどれ程のものなのか比べたことがなかったチャドは、自身の霊圧が隊長格の霊圧に匹敵するものだと言われ、表向きは謙遜しつつ、内心では大きく驚いている。

 

 ただ、チャドはそれを純粋に喜ぶことはできない。確かに、自身の霊圧が消えないことを強く望んでいた。

 

「貴様は私が()()を持って排除する」

 

 しかし、強くなればなるほどそれに比例して難易度が上がっていくのだ。チャドは夜一の無茶振りでこの場所にやって来て、それを痛感している。

 

『卍解』

 

 運命が本気で茶渡泰虎の命を奪いに(霊圧を消しに)やって来ている。

 

 "卍解"──それは、斬魄刀戦術に於いて、奥義のようなものだ。その奥義を朽木白哉はチャドに放とうとしている。

 

「お、おいッ白哉!卍解はやりすぎだ!!」

 

 事態を重く見た浮竹の制止の声も朽木白哉には届いておらず、何としてもチャドを排除するつもりのようだ。

 

 斬魄刀の切っ先を下に向け、斬魄刀を手から放そうと…。

 

「そこまでじゃ」

 

 だが、朽木白哉の卍解は発動されることなく、朽木白哉の腕と斬魄刀は布でがっしりと固定されていた。

 

「あ、あれはッ」

 

 新たな介入者の登場。その者を知っている浮竹十四郎は、()()()()()()に見たその者に驚きを隠せない。

 

「貴様は──()()()()()

 

 もちろん、驚いているのは浮竹だけではなく朽木白哉も同様だ。

 

 一方、夜一の登場にチャドは安堵の息を漏らす。これで死なず(霊圧が消えず)に済む。

 

 現れたのは、チャドをこの場所に送り込み、朽木白哉と戦うように仕向けた張本人(小悪魔)

 

「チャド、よく頑張った。

 まさか白哉坊相手にここまでやれるとは思ってもなかった。()()()()()()()じゃ」

 

 夜一の言葉で、チャドの心が燃える。

 

 チャドは思った……今なら、卍解にも勝てると…。

 

 

 






チャドの黒い片翼は防御力も高く、白哉の千本桜を防ぐほどのもの。しかも、羽を一振りすることで激しい風を起こしたり、竜巻も発生させられるかも?

悪魔の左腕(ブラソ・イスキエルダ・デル・ディアブロ)から放たれる霊圧の弾丸。霊丸みたいな感じか?


危なく卍解の餌食になるところだったチャド。しかし、夜一さんのご褒美増し増し発言に覚醒か?そして、崩玉への願いは届いたのか!?
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