俺の霊圧は消えない   作:ディアブロー

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改めて思ったけど、一護がまともに勝利したのってグリムジョー戦以降だと、銀城戦のみか?
キルゲ戦もかな?ほぼ勝ってたし、浦原さんがトドメ刺し損ねただけだし……にしても、主人公のわりに勝率悪いなぁ。



チャドが再びツッコむ……だと!?

 

 

 場所は清浄塔居林。

 

 ここは、尸魂界(ソウル・ソサエティ)の最高司法機関"中央四十六室"の居住区域で、完全禁踏区域。

 

 本来、護挺十三隊の隊長であろうとも足を踏み入れることなど決してできない場所だ。

 

 瀞霊廷の至る所で激しい戦いが勃発してしまっている現在、完全禁踏区域であるこの場所に数名の死神が足を踏み入れてしまっている。

 

 これは明らかに重罪。しかし、その罪を裁くはずの中央四十六室は……もう()()()()()

 

 何者かによって皆殺しにされてしまっている。それも、ここ数日の間にではない。

 

 いったい誰の手によって…。

 

「あ、あ…ほ、本当に…()()()()…なんですか?」

 

 今この場所にいる1人……五番隊副隊長・雛森桃。彼女は、とある人物に言われるがままに連れられてこの場にやって来た。何故、完全禁踏区域であるはずのこの場所に連れられて来たのかすら、彼女はまったく把握できてはいない。

 

 ただ、この場所で今もっとも会いたかった人物に再会したことで、彼女は感極まって大粒の涙を流している。

 

 その先にどんな運命が待ち構えているのかすら知らずに…。

 

 数日前に殺害されたはずの人物──五番隊隊長・藍染惣右介。雛森桃が誰よりも慕い、憧れ、彼無くしては生きていけぬほどにまで心酔する理想の上司。

 

 その藍染惣右介が実は生きていた。とある目的の為に死を装い、雛森桃を含む()()()()の死神達を欺き、身を隠していた。

 

 雛森桃にとって、最初こそ困惑すれど、これほどまでに嬉しい再会はない。藍染惣右介に抱き締められた彼女は、すぐに本物であることを理解する。

 

 藍染惣右介が生きていたことに深く感謝している。

 

「…いいんです。藍染隊長が生きて下さっていただけで…それだけで私は…」

 

 藍染惣右介の腕の中で雛森桃は安堵し、これまでの絶望が嘘だったかのように穏やかな表情を浮かべている。

 

 だが、事態はそんな単純なものではなく複雑であり、藍染惣右介による自らの死の偽装工作も緻密に練り上げられた想像を絶する計画の一つだ。

 

 中央四十六室の()()もその内の一つ。

 

「ありがとう雛森くん。

 僕は、君のような部下を持てて本当に幸せ者だ。ありがとう雛森くん。本当にありがとう」

 

 雛森桃は……いや、誰もこのあとに訪れる絶望を知らない。

 

「さようなら」

 

 華奢な女の子を絶望の凶刃が貫き、いよいよ一連の騒動の()()()()が動き出した。

 

 これはまるで、決して開けてはならないパンドラの箱が開けられてしまったかのような……そんな事態に近いかもしれない。

 

 胸を容赦なく突き刺され崩れ落ちた雛森桃に向ける藍染惣右介の表情は理想の上司のものではなく、冷徹で残忍……本当に藍染惣右介なのかと疑ってしまう。

 

 いや、この表情こそが藍染惣右介の素なのだろう。

 

 雛森桃はもう用済みの存在でしかなく、その場所に放置している。藍染にとって、便利な使い捨ての存在でしかなかったということだ。

 

「行こうか…()()

 

「はい…藍染()()

 

 その藍染が唯一、己の副隊長として認めた死神……雛森桃をこの場所に連れてやって来た市丸ギンは、事の成り行きをただ見ているだけで、藍染に従い後ろを歩いている。

 

「少し()()()が起きているが、取るに足らない問題だ」

 

 藍染はもう、素を隠すつもりは一切ない。

 

 護挺十三隊の死神達が知っている藍染惣右介は、本当は存在していなかったのだ。

 

「"崩玉"を手にし…私が天に立つ」

 

 それから間もなくし、瀞霊廷に激震が走る。尸魂界(ソウル・ソサエティ)が混沌に包まれてしまう。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「ば…馬鹿な…藍染が…嘘…だ…」

 

 護挺十三隊にもたらされた凶報。

 

 四番隊副隊長・虎徹勇音が"天挺空羅"にて、藍染惣右介の裏切り……藍染惣右介の真の姿を全隊長、副隊長に告げた。

 

 藍染惣右介は自身の部下である雛森桃に手をかけた後、その場所にやって来た十番隊隊長・日番谷冬獅郎にまで手をかけた。そして、藍染の死に疑問を抱いていた四番隊隊長・卯ノ花烈が虎徹勇音を連れ現れたことで明らかになった藍染惣右介の真の姿と、恐るべき真の力(斬魄刀)

 

 そして、敵対関係にあったはずの"旅禍"──茶渡泰虎達にもそれが告げられた。

 

「ついに動き出したようじゃな…藍染」

 

 チャド以外で唯一、事の真相を知っていた夜一はついに藍染が動き出したことに険しい表情を浮かべている。彼女は二番隊隊長・砕蜂と戦っていたが、チャドの危機を感じ取り、チャドのもとに颯爽と駆けつけていたようだ。

 

 ただ、夜一の行動は火に油を注いだようなもので、護挺十三隊を裏切った夜一が姿を見せたことで総隊長は怒りを露にし、つい今しがたまでチャドと夜一 VS 総隊長・山本元柳斎重國という図が仕上がっていたところである。

 

 ある意味で、藍染の凶報はこの戦いによる被害……瀞霊廷を滅亡の危機から救った朗報のようなものでもある。何故なら、総隊長は卍解しそうになっていたのだから…。

 

「山じい…僕達こんなことしてる場合じゃないんじゃない?」

 

 思慮深い京楽春水はどこか納得したかのような、長年の胸のつかえが解消したかのような表情を浮かべながら、総隊長に向けてそう口にする。

 

「……そのようじゃな。

 茶渡泰虎、仕方ないが一時休戦じゃ」

 

 総隊長も、さすがにこの事態に動きを止め、京楽の言葉で流刃若火を収め…。

 

 護挺十三隊内で勃発した内輪揉めも、全てが藍染惣右介の掌の上だった。総隊長がこんな場所で、身内同士で戦っているわけにはいかない。況してや、卍解など以ての外だ。もっとも、チャドは身内でもなんでもないのだが…、とにかくこれ以上は戦いたくないだろう。

 

「ああ。

(一時休戦じゃなくて、もう二度と戦いたくねェよ!

 つか、まだ戦うつもりか!?)」

 

「チャド、大丈夫か?」

 

 総隊長から執拗に狙われ、誰よりも傷だらけのチャドを心配する夜一。ただ、総隊長を相手に五体満足で生きているのは称賛されるべきだ。

 

 夜一が助けに来てくれなかったら、彼女だけではなく京楽と浮竹がいなかったら死んでいた可能性は高いが…。いや、間違いなく死んでいただろう。

 

「とりあえず、なんとか…」

 

「よく頑張ったのぉ。イイ子じゃ」

 

「!?

(唇じゃなかったァ!けど、これはこれでアリ!!)」

 

 このような事態だが、頑張ったご褒美といわんばかりに、夜一はチャドの体に飛びついて頬に口付けをし、当然の如くチャドにお姫様抱っこされている。

 

「おんやまあ…あの四楓院家初の先代女性当主がねェ。面白いものが見れたよ」

 

 これから、チャド、夜一、京楽、浮竹、総隊長達は藍染のもとへと向かう。今この瞬間は、ほんの一瞬だが態勢を整える為の束の間の休息…。

 

 総隊長と戦っていたのだから、ほんの少しでも身を休めておくべきだ。

 

「貴様ァァァ!夜一様から離れろォォォ!」

 

 ただ、予期せぬ事態(ポンコツの登場)は常に起きる。

 

「砕蜂!?」

 

「夜一様!その男はケダモノです!汚されてしまいます!私があなたをお姫様抱っこしますので今すぐこちらに!!

 

『 卍解・雀蜂雷公鞭』!! 』

 

 すぐに夜一様を放せ!夜一様を放したら撃ち殺してやるから、とにかく早く放せ!」

 

「……。」

 

 チャドは思った。『コイツ、よく隊長になれたな』と…。

 

「やめんかバカ者」

 

「あぐッ!!」

 

 急に現れた砕蜂に総隊長の拳骨制裁が落とされ事態は収まるも、チャドは深いため息を吐き出した。

 

「ねえさまァァァ!

 ついにようやくッ──ねえさまの無実を証明する日がやって来ましたよ!!」

 

「はあ…何をしておるのじゃ、夕四郎」

 

 そしてもう1人登場し、緊張感がもはや台無しである。

 

 尸魂界はこれで大丈夫なのだろうかと、チャドがそう思うのも無理ないが、これも全てチャドの影響なのだから、これからチャドは馬車馬の如く頑張らなければならない。

 

 

 

 

 

 ▪️▪️▪️▪️

 

 

 

 

 

 場所はもちろん双殛の丘。

 

 茶渡泰虎と黒崎一護によって木っ端微塵に破壊された双殛の磔架やら、黒崎一護と六番隊隊長・朽木白哉の激闘の爪痕が色濃く残るその場所にて、この一連の騒動は佳境を迎えていた。

 

 四大貴族"朽木家"現当主の義妹とはいえ、席官でもない朽木ルキアの処刑が何故これほどまでに大きな騒ぎを引き起こした要因となってしまったのか…。もちろん、黒崎一護や茶渡泰虎達が尸魂界(ソウル・ソサエティ)に侵入したのもあるが、それは全てが計画の内の一つ。

 

「これが…"()()"。

 驚いた。こんなに小さいモノだったとは」

 

 朽木ルキアの魂魄内に埋め込まれた小さな物質──"崩玉"。

 

 すべては、藍染惣右介がその物質を手に入れる為の策略だったのである。

 

「…!

 浦原喜助め。万が一の時…私が崩玉を手に入れた時を考え、崩玉を破壊することはできなかったが崩玉の一部を()()()()()ことには成功したか…。

 だが…まあいい。ほんの()()()程度だ。あとで回収すればいい」

 

 すべてが上手く、計画通りに事が運んだわけではないようだが、藍染惣右介は目的の崩玉を手に入れてしまった。

 

 当初は処刑によって崩玉を手にする計画だったらしいが、茶渡泰虎と黒崎一護によってその計画は打破されてしまい、藍染は自らの手で朽木ルキアから崩玉を取り出す方法に出たようだ。

 

「ギン…殺せ」

 

 つまり、もう彼女は用済みということ。

 

 藍染の部下である市丸ギンが斬魄刀を抜き、朽木ルキア目掛けて刀身を伸ばす。

 

 朽木白哉に余力を残して勝利し、事の真相を知り朽木ルキアを助ける為に駆けつけた黒崎一護も、藍染の強大な力の前に敗北。内に秘めらた()()()()()()が覚醒するも、藍染はその力すらも難なく斬り伏せ、一護は戦闘不能状態に追い詰められてしまった。

 

 朽木ルキアを抱え逃げていた阿散井恋次も同じくだ。

 

 藍染の裏切りを知り、激昂して乗り込んできた七番隊隊長・狛村左陣も手も足も出ずに一撃のもとに沈められてしまった。

 

 今この場所に朽木ルキアを救い出せる者は誰も…。いや、たった1人だけいた。一護との激闘で満身創痍になりながらも、()()()()()()()()()()()()()()()()を優先させることを決意した人物が…。

 

「に…()()…?」

 

 市丸ギンの刃をその身に受けながらも、義妹を救い出したのは……朽木白哉であった。

 

 ただ、先の戦いですでに限界を迎えていた朽木白哉に、もう戦える余力は残ってはいない。市丸ギンの凶刃の前に崩れ落ちてしまった。

 

「兄様ッ!?

(私を助けたばかりにッ!

 兄様も、恋次も…一護も!皆が傷ついてしまった!私が弱いばかりに、皆に守られ、皆が傷つくばかりだ!

 私がもっと強ければ!!)」

 

 ただ護られるばかりの朽木ルキアはこの状況で、己の無力さを心から呪い、今は力を強く望んでいる。とはいえ、迫る脅威は止まることなく迫り…。

 

「や、やめろォォォ!!」

 

 すると次の瞬間、朽木ルキアの望みが届いたかのように、この数ヶ月間まったく戻ることのなかった彼女の死神の力が戻り、彼女は死覇装に身を包んでいた。

 

 

『舞え・袖白雪』

 

 

 辺り一面が白く美しい雪に覆われる。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 双殛の丘は現在、真っ白……一面が雪に覆われている。俺が到着すると、この有り様だ。

 

 朽木ルキアの斬魄刀"袖白雪"の刀身が雪へと変化し、一護達重傷者は、彼女が作った"かまくら"で保護されていた。

 

 袖白雪ってこんな能力だっただろうか…。確か、真の力は"所有者自身の体温を氷点下以下にする"だったはずだ。決して、朽木白哉の"千本桜"のように刀身が消えて雪に変化したりはしなかったはず。

 

「今度は私が皆を護る!!」

 

 どうやら、朽木ルキアも()()()()()()()らしい……力を…。

 

 そして、崩玉は律儀にもその望みを叶えてしまったようだ。

 

 お前もかよ、朽木ィ。

 

 

 






ついに動き出したヨン様。→ヨン様は原作通りに雛森と日番谷を斬り伏せる→双殛の丘に移動→一護、恋次、狛村をやっつける。→ルキアから崩玉を取り出す→よく見ると崩玉が少し欠けてる…→浦原喜助め→まあいい。さて、いよいよ天に立つ時だ。

崩玉の欠片は本当に浦原の仕業か?

一護は白哉に勝利するも、原作よりも余裕を以て勝利した。けど、そのせいで虚化は発現せず。しかし、ヨン様との戦いで発現。ヨン様ニッコリしながら斬る。

崩玉の影響を受けた新たな人物誕生。
New→朽木ルキア。
力を望んだら死神の力が戻った。袖白雪の能力に、千本桜のように刀身が雪に変化する能力がプラスされる。

チャドは静かにツッコミを入れた。
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